・デザイン経営の投資効果と3つのビジネスメリット がわかる
・デザイン経営の実践に必須となる「3つの条件」 がわかる
・デザイン経営を導入するための具体的な5つの手順 がわかる
・グッドパッチが取り組んだデザイン経営の事例 がわかる
「なぜ日本企業は停滞し、一部の企業だけが勝ち続けるのか?」
この問いに経済産業省が示した戦略的回答が「デザイン経営」です。
本記事では「デザイン経営」の定義や必要性から、企業にもたらす効果、実践に欠かせない条件、導入の具体ステップ、成功事例などを解説します。
デザイン経営は、見た目を整えることではありません。「デザイン思考」を経営の核心に据え、「ブランド」と「イノベーション」の両輪で他社が真似できない競争優位性を築く経営戦略です。
- 「事業の成長が停滞し、イノベーションのアイデアが出ない」
- 「デザイン経営への投資効果に確信が持てない」
- 「導入したものの、現場の意思決定や行動につながらない」
上記のような課題に対し、2011年の創業以来、2000件以上のビジネス課題解決を支援してきたグッドパッチが、デザイン思考を「手法」で終わらせず、組織変革の切り札となる「経営のOS」へと昇華させる実践的アプローチを解説します。
またデザイン経営の土台は、顧客視点で価値を生む「人」にあります。グッドパッチではDX戦略やイノベーションを支える自律型組織への改革を支援していますので、以下より詳細をぜひご確認ください。
監修者:長友 裕輝 | 株式会社グッドパッチ
事業戦略支援チーム デザインストラテジスト
インターネット系広告代理店でのプロデューサー/プランナー、新規事業開発コンサルティングファームでのPM/プランナーを経てGoodpatchへ入社。ゼロイチ、マーケティング、セールスといったプロダクトの立ち上げからグロースに関する横断的なキャリアを歩みつつ、Goodpatchでは組織/人材開発系のプロジェクトに多く従事。
丸井グループの変革組織Muture(グッドパッチとの合弁会社)の立上げに構想段階から中心メンバーとして参画しながら、現在もMutureとともにアジャイル経営への変革を最前線で実践中。2024年9月より、クライアントのデジタルビジネス創出を立ち上げから成長まで支援する専門チームのゼネラルマネージャー、2025年9月より事業戦略コンサルティング部門のゼネラルマネージャーに就任。
目次
デザイン経営の本質とは?
「デザイン経営」とはデザインの力でブランドを構築し、イノベーションを起こすこと
デザイン経営とは、デザインを重要な経営資源として活用し、ブランド力向上とイノベーション創出によって企業競争力を高める経営手法です。
2018年の『「デザイン経営」宣言』(経済産業省・特許庁)では、人口減少や国際競争力低下など環境変化への打開策として提唱されました。
ここでいうデザインは「見た目を整えること」だけではありません。企業の価値観や意志を体験として届けるようにデザインし、選ばれる理由をつくることまで含みます。
グッドパッチは、デザイン経営の本質を「WHY(目的)を追求すること」だと考えています。

なぜやるのか(WHY)を問い続けると「企業が社会に提供したい価値」と「ユーザーが本質的に抱える課題」がつながります。その接点をプロダクト・サービスで解決していく共創のプロセスこそがデザインです。
結果として「その会社らしさ=ブランド」と「新しい価値=イノベーション」が生まれると考えています。
「経営にデザインが求められる背景」や、グッドパッチがどんな問題意識で事業づくりに向き合っているのかを掴みたい方は、ワンキャリアライブ登壇レポートもご覧ください。
【関連記事】これからの経営・事業に求められるデザインの力とは?ワンキャリアライブ登壇レポート
デザイン思考とデザイン経営の関係
デザイン思考とは、本質的な課題解決に向けて、ユーザー視点で課題を発見し、仮説検証を繰り返すアプローチです。
デザイン経営においては、このデザイン思考が実践を前に進める「エンジン」の役割を担います。
経営層がデザイン思考を理解すると、不確実な未来に対しても「ヒト」を起点に意思決定が可能です。加えて「まず作って検証する」を前提としたプロトタイピングの姿勢を持つことで、完璧さよりも意思決定速度を重視した「攻めの経営」が行えます。
こうした考え方が組織に根付くことで、ユーザーを起点とした判断が積み重なり、結果として一貫したブランド体験やイノベーションを生み出す「変化に強い組織への変革」が実現できるのです。
デザイン思考については、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
【関連記事】デザイン思考とは?活用事例と、すぐに実践できる5つのプロセスやフレームワーク
誤解されがちな「デザイン」の本当の意味
ビジネスにおけるデザインは、課題解決や計画、設計までを含む「広義のデザイン」を指します。よくある誤解のように、見た目を美しくする「狭義のデザイン(意匠)」だけではありません。
ビジネスで成果を出すには、使いやすさや価値の伝わり方まで含めて、体験全体を設計する必要があります。具体的にデザインが関わる範囲は、以下の通りです。
- プロダクトの見た目(意匠)
- 使いやすさ・導線などの体験設計(UX)
- サービス提供までの流れ(プロセス)
- ビジネスモデルの設計
- 実行し続けるための組織づくり
デザイン経営の「デザイン」とは、企業活動を一貫した体験として設計し、価値を届け切るための仕組みづくりだと言えます。UI/UXについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】UI/UXとは?UIとUXの違いや関係性、デザイン設計の手順を解説
なぜ今「デザイン経営」が必要なのか

今、デザイン経営が求められるのは、価値の競争軸が「機能価値」から「体験価値」へ移っているためです。
AIの進化や技術の均質化(コモディティ化)が進み、スペックだけではプロダクトやサービスの差別化がしにくくなりました。その結果、顧客は性能よりも、使いやすさや一貫した体験、ブランドの世界観を基準に選ぶ傾向が強まっています。つまり「何ができるか」より「どう感じるか」が重要になります。
さらにAI・デジタル化で市場変化が速いVUCA時代では、過去データの積み上げだけでは解けない課題が増えました。
だからこそ、ユーザー視点で本質課題を捉え、仮説検証を回しながら解決策をつくるデザインの手法が、企業の成長に欠かせないのです。
変化が激しく先が読みにくい時代に、事業デザインをどう実践するか知りたい方は、グッドパッチ関西支社開設イベントのレポートも参考にしてください。
【関連記事】VUCA時代を乗り越える、事業デザインの最前線 グッドパッチ関西支社開設イベントレポート
デザイン経営の投資効果と3つのビジネスメリット
デザイン経営の投資効果と3つのビジネスメリットを紹介します。
デザイン投資がもたらす圧倒的な数字

デザイン経営は理念や感覚論ではなく、明確な「投資効果」が数字で示されている経営アプローチです。デザイン投資の効果は、大きく分けて次の3つの数字に表れています。
- 4倍の利益
British Design Councilの調査では、デザインに1ポンド投資した企業は、平均して約4ポンドの営業利益増加につながると報告されています。 - デザインを重視する企業の株価は、S&P500平均より2.1倍の成長
Design Value Index(DVI)では、デザインを経営戦略の中核に据える企業群の株価が、S&P500全体と比較して過去10年間で約2.1倍の成長率を記録しました。 - デザイン賞受賞企業166社の株価は、市場平均の2.0倍の成長
デザイン賞への登場頻度が高い166社を対象とした調査では、株価成長率が市場平均(FTSE指数)に対して約2.0倍となっています。
上記の数値はあらゆる企業で同じ結果を保証するものではありません。ただし、デザインへの継続的な投資と企業パフォーマンスに相関があることは、複数の調査で一貫して示されています。
デザイン経営は中長期のリターンを見据えた経営投資として位置づけるべき取り組みだと言えるでしょう。

1.ブランド力の向上と競争優位性の確立」
デザイン経営がビジネスにもたらすメリットの1つ目は「ブランド力の向上と競争優位性の確立」です。
企業の本質的価値を一貫したメッセージとして、店員の応対、プロダクト、サイトやSNSなどのタッチポイントで体現すると、顧客の信頼と愛着(ロイヤルティ)が高まります。その結果、再購入や継続利用が進み、リテンションレートの改善につながります。
ブランドの世界観や体験価値で選ばれる状態をつくれるため、価格・スペック競争から脱却し、独自のポジションを築くことが可能です。
2.ユーザー視点によるイノベーションの創出
デザイン経営がビジネスにもたらすメリットの2つ目は「ユーザー視点によるイノベーションの創出」です。
顧客自身も気付いていない潜在的なニーズを発見し、既存の枠組みにとらわれない新しい価値(プロダクト・事業)を生み出せます。デザイナーの観察眼(デザインリサーチ)を用いることで、数値データからは見えない人間中心の課題を発見できます。
イノベーションとは特別な発明ではなく「価値軸を変えること」です。スペックや価格ではなく、ユーザー・シーン・文脈を変えることで、新たな意味を持つ価値が立ち上がります。
例えば「整う」という言葉がサウナ文化の再定義を生んだように、価値軸の転換が市場を動かす起点となるのです。
3.組織文化の変革とエンゲージメント向上

デザイン経営がビジネスにもたらすメリットの3つ目は「組織文化の変革とエンゲージメント向上」です。
企業のビジョンが明確に可視化されると、従業員の理解が深まり、組織の一体感や働く意欲(エンゲージメント)が高まります。
抽象的な経営理念を具体的なストーリーやビジュアルに落とし込むことで、社員が自社の目指す姿を「自分ごと」として捉えやすくなります。
実際にデザイン経営に取り組んだ企業の81%が「企業文化・組織風土が改善した」と回答しており、売上などの数字以上に組織へのポジティブな影響が大きいと言えるでしょう。
デザイン経営の実践に必須となる「3つの条件」

デザイン経営の実践に必須となる上記の「3つの条件」を解説します。
1.経営チームへのデザイン責任者(CDOなど)の参画
デザイン経営の実践に必須となる条件の1つ目は「経営チームへのデザイン責任者(CDOなど)の参画」です。
CDO(Chief Design Officer)やCXO(Chief Experience Officer)は、プロダクト・サービスにおけるユーザーの感情価値に責任を持つポジションであり、現場で感じているユーザー体験の課題を経営やKPIに反映しつつ、経営者の考えを現場へ伝えるハブの役割を担います。
デザインを経営戦略の中核に据えるためには、他部署と連携できる裁量や人事権を持ち、経営判断の場でデザイン視点の意見が反映されることが不可欠です。
実際に海外では、起業時にチームにデザイナーがいないと「成功する気はあるのか」と問われるほど、デザイナーの必要性は共通認識となっています。スタートアップでCDOが求められる背景を、具体事例とともに知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
【関連記事】スタートアップにCDOが必要な理由
2.事業戦略・製品開発の最上流からのデザイン関与
デザイン経営の実践に必須となる条件の2つ目は「事業戦略・製品開発の最上流からのデザイン関与」です。
デザインは製品の外見を決める最終段階だけでなく、事業構想や戦略策定の段階から入ることで、顧客起点で製品開発の戦略を立案でき、戦略からUIまでが横断的につながります。その結果、「ビジネスとユーザー体験」が分断されず、一貫した価値提供が可能になるのです。
グッドパッチでは、新規事業や既存事業改善の上流工程において、アイデアを実際に触れられる形にし、最短1カ月で検証するサービスを提供しています。ユーザーリサーチ・プロトタイピング・ユーザーテストというデザイン思考のプロセスを短期間で実施し、意思決定を加速させる方法については、以下の資料をご覧ください。
3.顧客志向のアジャイル型開発プロセスの実践
デザイン経営の実践に必須となる条件の3つ目は「顧客志向のアジャイル型開発プロセスの実践」です。
開発工程を小さな単位で区切り、短いサイクルで改善を繰り返すアジャイル型開発は、デザイン思考のプロセスと相性がよく、高い顧客価値をスピーディーに提供できます。
「何を作るか」「なぜ作るか」という本質的な価値をプロトタイプとして具体化し、ユーザーのフィードバックを取り込みながら継続的に開発を進めます。その結果、致命的な手戻りを防ぎつつ新しい価値創出につながるのです。
アジャイル型開発をより理解するには、従来型の開発手法との違いを整理することも重要です。詳しくは、以下の記事も合わせてご覧ください。
【関連記事】アジャイル開発とウォーターフォール開発の違いは?向き不向きの特徴から開発手法を選ぶ方法(比較表あり)
デザイン経営を導入するための具体的な5つの手順
デザイン経営を導入するための、具体的な5つの手順を紹介します。
1.デザイン経営にコミットする「責任者の配置」
デザイン経営を導入する手順の1つ目は、推進にコミットする「責任者」を配置することです。
具体的には、デザインを重要な経営アクションとして位置づけ、その遂行と結果に責任を持つ役員(CDO/CXOなど)を任命します。社員任せにするのではなく、経営層が「デザインは投資である」と明確に言語化し、退路を断つ姿勢が組織変革の前提になります。
また、ワークショップなどを通じて経営層自身の理解を深めるのも有効です。
2.「求める成果」と「時間軸」の言語化
デザイン経営を導入する手順の2つ目は「求める成果」と「時間軸」を言語化して合意形成することです。
経営層と現場の間で、デザイン経営によって「いつまでに、何を変えるのか」を定義し、ズレをなくします。特に重要なのは、以下の2点を明確にすることです。
| 求める成果:財務・非財務の両面で設計 | 時間軸:短期・長期の両面で整理 |
|---|---|
| 売上やLTVといった財務指標だけでなく、顧客体験の向上、組織文化の変容、採用力の強化など、非財務指標の観点からも成果を整理します。 | 初期段階から「短期的なスモールサクセス」と「長期的なイノベーション」を分けて考えることで、持続可能な推進体制を築けます。 |
この整理が不足すると「実行したのに成果が見えない」という批判が起こり、取り組みが形骸化する原因になります。
3.既存の枠組みにとらわれない「実践のための場づくり」
デザイン経営を導入する手順の3つ目は、既存の枠組みに縛られない「実践の場」をつくることです。既存組織とは切り離された「特区(実験組織)」を設けると、変革のスピードを高められます。
従来の評価制度やウォーターフォール的な業務フローなど、組織の構造や価値観を短期間で変えることは簡単ではありません。独自の環境をつくり、デザイン人材を育成・採用しながら「最上流からのデザイン関与」やアジャイルな意思決定・プロセスを実現します。
実践のための場は、既存組織の内側から変革を先導する役割を果たし、最大限のパフォーマンスを発揮します。
4.小規模なトライアルによる「スモールサクセスの創出」
デザイン経営を導入する手順の4つ目は、小さく試して成果をつくる「スモールサクセス」を創出することです。
特区(実験組織)の中で、デザイン思考を徹底的に実践するパイロットプロジェクトを立ち上げます。「まずは手を動かし、形にする」というプロトタイプ文化を実践すれば、顧客の反響を可視化することが可能です。
成果が見える状態になると、社内の理解や信頼を得やすくなり、次の取り組みへの推進力につながります。
5.成果の共有と「取り組みの全社拡大」
デザイン経営を導入する手順の5つ目は、成果と学びを共有し、取り組みを全社へ段階的に拡大することです。
パイロットで得た学びや成果を経営層へ共有し、成功体験を起点に範囲を広げていきます。事例の共有だけでなく、プロジェクトを通じて育ったデザインを理解する人材をハブとして、既存組織へのワークショップや共創を進めるのが重要です。
さらに、特区(実験組織)で成果があった業務フローや評価制度などの環境づくりを展開し、全社にデザイン文化をインストールしていきます。
グッドパッチが取り組んだデザイン経営の事例
| 会社名 | 概要 |
|---|---|
| 丸井グループ | 合弁会社「Muture」設立によるDX推進体制の構築と、デザイン思考を活用した顧客起点のプロダクト開発・全社展開 |
| ダイキン工業 | 経営戦略に紐づく近未来の事業テーマ構想のため、グッドパッチが「未来洞察」ワークショップを支援。72個のビジネスアイデアや6つの事業テーマの立案に伴走。 |
| サントリー食品インターナショナル | 健康習慣アプリ「SUNTORY+」の開発で、モノ売りから体験提供へのビジネス転換をアジャイル開発で実現 |
| トヨタファイナンス | 実践型研修「Project-YOU」でデザイン思考を組織に浸透させ、部署横断の人材育成と組織文化変革を推進 |
| リンクアンドモチベーション | 「モチベーションクラウド」のUI/UXリニューアルで、組織論ノウハウをSaaSの競争優位へ昇華 |
グッドパッチが取り組んだデザイン経営の事例を上記の5つ紹介します。
丸井グループ|人材が躍動する「カルチャー」のデザイン

▼丸井グループが取り組んだデザイン経営の進め方
| 手順 | 実施内容 |
|---|---|
| 1.責任者の配置 | グッドパッチがDX推進パートナーとして参画し、関係者へのリサーチを通じて組織課題を特定。経営層と現場をつなぐ推進体制を構築。 |
| 2.求める成果の言語化 | 目指す姿と現状のギャップを言語化し、デザイン/デジタル人材が活躍できる土台としてミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を設計。 |
| 3.実践のための場づくり | 既存組織の枠組みに縛られず変革を加速させるため、丸井グループと共同出資で合弁会社「Muture」を設立。採用の受け皿とDX推進の中心的な役割を同時に担う体制を構築。 |
| 4.スモールサクセスの創出 | Mutureで出店サービス「OMEMIE」やライフスタイルアプリの改修を実践。ユーザーテストとプロトタイピングを繰り返し、顧客起点のプロダクト開発を実現。 |
| 5.取り組みの全社拡大 | Mutureでの成功体験を基に、既存開発チームとの共創を開始。アジャイル開発プロセスを導入し、部門横断の意思決定を加速。 |
変革を加速させた「Muture」の設立
丸井グループと共同出資で設立した合弁会社「Muture」は、既存組織の枠組みに縛られない実験組織として機能しました。採用の受け皿としてDX人材を集めながら、同時に社内のDX推進の中心的な役割を担う体制を構築。
出店サービス「OMEMIE」では、出店希望者が理想の店舗を簡単に見つけられるよう、ユーザーインタビューとプロトタイピングを繰り返し実施。従来の「完璧な計画を立ててから開発」するプロセスから、「小さく作って検証する」デザイン思考のプロセスへと転換しました。
ライフスタイルアプリの改修でも同様に、顧客の行動データとインタビューを基に、使いやすさと価値提供の両立を追求しています。
成功体験を既存組織へ展開
Mutureでの成功体験を起点に、既存開発チームとの共創プロジェクトを開始。デザイナーとエンジニアが一体となったアジャイル開発プロセスを導入し、部門横断の意思決定を加速させました。
「まず作って検証する」プロトタイプ文化が社内に浸透し始め、デザイン経営が丸井グループ全体の競争力を高める土台となっています。事例の詳細は以下の資料をダウンロードして確認してみてください。
ダイキン工業|近未来の事業テーマ立案のための未来洞察プロジェクト

ダイキン工業は、経営戦略に紐づく近未来の事業テーマを立案するために「未来洞察」を用いたアプローチに着目しました。
グッドパッチはパートナーとして、全6回のワークショップと専門家へのインタビューを通じ、27個の「社会変化仮説」と70個のビジネスアイデアを創出。ビジネス面も踏まえた6つの事業テーマの立案まで伴走しています。
単なるアイデア出しで終わらせず、未来洞察から事業アイデアの具体化までをプロセスとして体系化した点が特徴です。
結果として、ワークショップ手法や中間生成物も含めたプロジェクトプロセスのアセット化にもつながり、将来的に事業化までを提案・支援できる体制づくりを後押ししました。
このプロジェクトについて詳しくは、以下の資料にて確認してみてください。
サントリー食品インターナショナル|「体験」を売るためのプロセス変革

サントリー食品インターナショナルは、飲料という「モノ売り」から「健康という体験提供」へと事業を拡張する中で、健康行動を習慣化するアプリ「SUNTORY+」を立ち上げました。
構想段階からグッドパッチが参画し、プロトタイプを用いたユーザー検証を繰り返すアジャイルな開発プロセスを導入しています。
大企業特有の計画重視の進め方から脱却し、「まず作る」姿勢を共通言語として複数部署の意思決定を加速。アプリ・健康飲料・自販機という複数の接点を横断した体験設計により、継続率の高いサービスへと成長しました。不確実性の高い新規事業において、デザインが意思決定の軸となり、スピーディーな事業化を支えた好例です。
このプロジェクトについて詳しくまとめた、下記の資料も併せてご覧ください。
トヨタファイナンス|顧客視点とデザインによる課題解決で社内の「壁」を超える人材育成術

トヨタファイナンスでは、顧客視点を軸にした事業変革を進める中で、実務課題をテーマにデザイン思考を学ぶ実践型研修「Project-YOU」を導入しました。
グッドパッチのファシリテーション&コーチングチーム「Marble」が4日間の研修を伴走し、座学では定着しにくい考え方を、現場で使えるスキルとして落とし込みました。
部署横断チームで課題探索からインタビュー、プロトタイピングまで体験することで、縦割りの壁を越えた議論が生まれ、生成AI活用プロジェクトへ発展するなど具体的な成果につながっています。
デザインを共通言語として顧客視点を浸透させ、人材育成と組織文化の変革を同時に進めた事例です。
事例の詳細は以下の記事で詳細に解説していますので、併せて確認してみてください。
【関連記事】デザイン思考で、あなたの周りの人を救ってください──超実践型研修「Project-YOU」をトヨタファイナンスが受講した結果
リンクアンドモチベーション|無形資産をUIで「競争優位」へ昇華

リンクアンドモチベーションは、無形資産である「組織論」のノウハウをUIに落とし込み、SaaSとしての競争優位へ昇華した事例です。
3,300社・79万人のデータと組織人事コンサルティングの知見を基に開発した「モチベーションクラウド」のリニューアルで、グッドパッチがUI/UXデザインから開発まで伴走し、だれもが直感的に使えるプロダクトへ再設計しました。
BtoBプロダクトでは、顧客だけでなくコンサルタントやカスタマーサポートなど裏側の業務体験も定着に直結します。
本プロジェクトではサービスブループリントで関係者の行動を可視化し、現場で迷わず使えるUI構造を設計。さらに、グラフの最適化やブランドカラーを活かしたデータ可視化により、分析・意思決定のスピード向上にも寄与しました。
事例の詳細は以下のページで紹介しています。ぜひ併せて確認してみてください。
【関連記事】リンクアンドモチベーション麻野さんと語る、デザインがビジネスにもたらす可能性とは?
デザイン経営の導入で直面しやすい課題と成功ポイント
デザイン経営の導入で直面しやすい課題と合わせて、上記の成功ポイントを紹介します。
短期的な成果を求めすぎず、中長期視点を持つ
デザイン経営の導入で直面しやすい課題と成功のポイントの1つ目は、短期的な売上成果を求めすぎないことです。
デザイン経営はブランドや組織風土といった無形資産への投資であり、数字に表れるまで時間がかかります。
特許庁の調査でも「売上が増加した」企業は約2割にとどまる一方、「企業文化・組織風土が改善した」企業は81%に達しており、まず社内の変化として効果が出やすい傾向が示されています。
短期の売上だけで評価すると取り組みが形骸化しやすいため、非財務指標も含めて中長期で評価する視点が欠かせません。
出典:特許庁「中小企業におけるデザイン経営の効果・ニーズに関する調査」
「センス」ではなく「課題解決」として社内理解を促す
デザイン経営の導入で直面しやすい課題と成功のポイントの2つ目は「センス」ではなく「課題解決」として社内理解を促すことです。
デザインを個人の感性だと誤解されると、ビジネス部門は「自分には関係ない」と距離を置きがちです。そこで、デザインを見た目づくりではなく、顧客・現場の課題を特定し、仮説検証で改善する論理的プロセスとして社内の言葉で説明しましょう。
例えば「離脱率や問い合わせを減らす設計」「業務ミスを減らす設計」と言い換えると腹落ちしやすくなります。
加えて、ワークショップでプロセスを体験してもらうと、業務改善に効く実感が得られ、協力を引き出しやすくなります。社内の共通言語としてデザイン思考を根付かせるには、まず一度プロセスを体験してもらうのが近道です。
具体的な進め方を知りたい方は、グッドパッチの「デザインプロセスワークショップ」資料をご覧ください。
「デザインプロセスワークショップ」をダウンロード
小さく失敗する「プロトタイプ文化」の醸成と「組織の成功循環モデル」

変化が激しく不確実性の高い時代においては、最初から完璧な計画を立てることよりも、仮説を立てて試しながら学習する「仮説検証力」が重要になります。
デザイン経営では、課題を具体化したプロトタイプを用いて小さく試し、小さく失敗しながら議論と検証を重ねることで、意思決定のスピードと精度を高めていきます。
小さな実践を根付かせるには、失敗を単なるリスクではなく学習の機会として捉える組織文化が不可欠です。挑戦が歓迎される環境が整えば、メンバーは早い段階からアイデアを共有でき、チーム全体で知見を積み上げられます。
グッドパッチでは「偉大なプロダクトは、偉大なチームから生まれる」という思想のもと、MIT組織学習センター創始者が提唱した「組織の成功循環モデル」を重視。まずはチームのビジョンや目指す姿を言語化し、共通の価値観を持つことが、プロトタイプ文化を支える土台になると考えています。
心理的安全性と組織デザインの関係をより深く理解したい方は、以下の記事も参考にしてください。
【関連記事】デザイナーが考える「組織デザイン」(1):「心理的安全性」って本当に必要か?
社内リソースが不足する場合は外部パートナーと連携する
社内にデザイナーや知見が不足する場合は、外部パートナーと連携するのが近道です。
デザイン経営は「デザイナーを採用して終わり」ではなく、デザイン文化の浸透、デザイン組織の設計、デザイン人材の採用・育成まで含めて取り組む必要があります。
社内にリソースがない状態でゼロから進めるよりも、デザインの専門家をパートナーとして迎え、ノウハウを社内に移転しながら進めるほうが、変革のスピードと再現性が上がります。
また、いきなり全社展開を狙わず、プロダクトの成果から逆算して戦略〜実装まで伴走できるパートナーと、プロジェクト単位で小さな成功体験を作るのも有効です。
こうしたグッドパッチが行っている戦略から実装までの伴走型の支援が、実際にどのように組織変革へつながるのかを知りたい方は、以下の事例も参考にしてみてください。
株式会社丸井グループの事例をダウンロード
デザイン経営の推進ならグッドパッチに相談を
本記事では、デザイン経営の定義や必要性、企業にもたらす効果、実践に必要な条件、導入ステップ、成功事例、成功ポイントまでを解説しました。
デザイン経営は、デザインを経営資源として扱い、ブランドの一貫性とユーザー起点の価値創出を強められる点が特徴です。
一方で、短期成果だけを追うと形骸化しやすく、推進体制づくりや社内理解の醸成で止まりがちです。社内だけで進めきれない場合は、外部パートナーの活用も現実的な選択肢になります。
下記よりグッドパッチが支援する「デザイン経営」への変革のプロセス・事例を参考にしてください。
顧客のニーズが刻々と変化する事業環境において、常に顧客価値を中心に据えた事業運営やプロダクト・サービス開発を推進し、DX戦略やイノベーションを支える自律型組織への改革を支援します。
デザイン経営に関するよくある質問(FAQ)
Q.デザインへの投資対効果(ROI)を、経営層にどう説明すればよいですか?
短期的なPL(売上)だけでなく、中長期的なコスト削減と資産価値の視点で説明することをおすすめします。
例えば、プロトタイピングによる「手戻り開発コストの削減」や、ブランド力向上による「採用コスト・広告獲得単価(CPA)の低減」などです。
デザインはコストではなく、将来の負債を減らし、資産を積み上げる「投資」であるという共通認識を作ることが第一歩です。
Q.社内にデザイナーがおらず、CDO(最高デザイン責任者)もいませんが導入できますか?
可能です。
ノウハウやリソース不足は、外部パートナーの知見を活用することで、デザイン思考の社内への浸透施策やデザイン組織設計・採用などのデザイン経営をスムーズに進められます。
また外部パートナーをプロジェクトの上流工程から参画させ「組織の起爆剤」として活用し、プロジェクト単位で成功事例を作ってから、徐々に社内人材の育成や採用(内製化)へシフトするハイブリッドな進め方も有効です。
Q.成果が出るまでにどれくらいの期間が必要ですか?
組織文化の変革まで含めると数年単位の取り組みになりますが、事業成果は数カ月で出すことも可能です。
例えば「特定プロダクトのUI改善でCVRを上げる」「新規事業の仮説検証を3カ月で回す」といった小さな成功を積み上げながら、並行して長期的な組織変革を進めるアプローチが推奨されます。
