Client
サントリー食品インターナショナル
Expertise
Digital Product & Service Design, Brand Experience Design
Date

Overview

SUNTORY+(サントリープラス)は、企業の「健康経営」のため、従業員の健康行動習慣化をサポートするサントリー食品インターナショナル(株)のヘルスケアサービスアプリです。
未来の健康リスクチェック結果に基づきパーソナライズされた“超低ハードル”な健康行動タスク(株式会社THF監修※1)が複数提示され、「朝食に牛乳を1杯プラス」「大股で堂々と歩く」「よく噛んで食べる」など血糖・血圧・コレステロール・体脂肪対策になるタスクを実行していくことで、健康行動の習慣化をサポート。
また、職場の自販機(サントリーGREEN+対応の自販機)で健康飲料と引き換えができるクーポンがアプリ上で配信され、利用することができます。アプリ、健康飲料、自販機という3つの接点で日常に寄り添い、自然と健康的な習慣を身につけられます。

Goodpatchは、SUNTORY+が構想段階であった2018年12月から参画。0→1のアイデア創出からプロダクト開発/グロース、プロモーションまで一気通貫で共創してきました。
ブランドの思想を言語化したVision・Mission・Valueをもとに、iOS/Androidアプリ、サービスサイト、プロモーションツールなど、ユーザーとのあらゆる接点で統一感のある体験をデザインしています。

※1 筑波大学発研究成果活用企業。健康支援事業のコンサルティング会社。筑波大学の研究成果から開発された「スマートダイエット(SD)理論」に基づく減量教育プログラム等を提供。さまざまな企業、地域の健康啓発活動にて、確かな効果をあげている。

事業構想からデザインパートナーとして並走

SUNTORY+は、飲料などの製品以外でも健康をサポートするべくスタートした新規事業です。新規事業の背景には、医療費の企業負担の増加という社会課題があります。40歳以上の一人当たりの医療費が増加傾向(平成29年厚労省調査)にあり、健康保険組合の約6割が赤字(平成31年健康保険組合連合会調査)といった状況が報告されています。企業や健保の医療費負担増を招かないためにも、従業員の健康管理は必須の時代が来ています。またHR総研の「健康経営」に関する調査(2019年)によると、従業員1,001名以上の企業で「健康経営を導入している」と回答した割合は52%ではあるものの、施策に積極的に取り組むのは疾病のハイリスク層ではなく、「普段から健康意識の高い人」が約6割を占め、実践効果に繋がりにくい状況です。そのような課題を解決するべくSUNTORY+が始動しました。

アプリ開発の知見を求めてパートナーを探していたサントリー食品インターナショナルに対して、Goodpatchは事業の構想段階からデザインパートナーとしてコミットしました。新規事業立ち上げフェーズでよく用いられるデザインスプリントという手法を使い、高速で何度も価値検証を重ね、ときには会議室に篭り週に3回ほど事業アイデアを発散したり、ユーザー理解やアイデア検証のためにターゲット層の会社員が行き交う街でゲリラインタビューを実施することもありました。事業アイデアの発散と収束を繰り返す中で、現在のSUNTORY+に繋がるアイデアの種が見つかりました。

プロトタイプを通して議論する

事業アイデアが決まると、コア機能の検討やプロトタイプ作成が動き出します。
SUNTORY+は新しい思想で作られたヘルスケアサービスなので、自分たちが考えたアイデアがユーザーに価値を感じてもらえるのか、まず自分たち自身で体験してみる重要性をチーム全員で感じていました。

そこで、私たちは初期段階から実際のアプリに近い形のワーキングプロトタイプを作ることを決めました。最初のバージョンは「タスクを選んで達成ボタンを押す」というコア機能に絞り切ったもので、そこから少しずつ小さなアイデアを実装しては検証するというサイクルを繰り返して継続的にプロトタイプを育てていきました。

実際に生活の中でゆるく使えて、自分が健康行動をした記録が溜まるという利点はヘルスケアアプリとの相性が良く、ワーキングプロトタイプを使うようになってから議論の質が「想像」から「事実」に基づくように変わりました。また、ペルソナに見立てた人に一週間使ってもらうといった、限られた時間や空間では難しいようなテストも実施できるようになりました。

形にして使ってみることで想像以上に良いフィードバックをもらえた機能もあれば、全く使われずお蔵入りになった機能もあります。そういった学びこそがプロトタイプの価値であり、クライアントにフルコミットで並走しているからこそアイデアをすぐ形にして柔軟な意思決定をサポートすることができました。サントリー食品インターナショナルの赤間康弘さんは、ワーキングプロトタイプを使った開発プロセスについてこのように語ってくださっています。

SUNTORY+は日常の中で使ってもらう習慣化のアプリなので、30分のユーザーテストだけではわからないことが多かったのです。1週間から2週間、継続的に使った行動データを貯めるためにも、実際の形に近いプロトタイプを作って使ってみるのはどうか、とスピーディに一連の体験が繋がったプロトタイプを作ったことも印象深いですね。新規事業を作っていく中で、仕様が決まっていない状況は多かったのですが、そんな時でも「まず作ってみる」という姿勢はとても心強かったですし、嬉しかったです。
引用:「まず作ってみる」が前進の鍵。サントリーとGoodpatchが共創するSUNTORY+開発ストーリー【前編】

ストラテジーデザインでビジネス観点からも支援

私たちは着実にサービスをビジネスへ展開するために、SUNTORY+の短期的課題の明確化と整理、そして中長期的に事業が目指す将来像の検討を支援させていただきました。サービスがある程度煮詰まった段階からデザインストラテジストが参画し、アプリとして目指すゴール、事業として目指すゴールを明確化することで、既存事業とのシナジー効果のあるサービスを構築することに取り組みました。

関連記事:新規事業開発に必要な「デザインストラテジスト」の話

ファーストリリースにも情緒的価値を持たせる

0→1から新規事業を立ち上げる際は、早くリリースすることを優先して機能的価値を担保することが一般的です。ですが私たちは、情緒的価値に重きを置く文化をチームに残すため、SUNTORY+らしい世界観を感じられる要素をミニマムで取り入れることにこだわりました。

サービスの性格を定義するTone of Voice

本開発が始まってからは、サービスの特性、性格を定義したTone of Voiceを使って、アプリ内で使う文言に「SUNTORY+らしさ」を取り入れました。

Tone of Voiceを定義することで、ユーザーとどのようにコミュニケーションを取ればいいのかチーム内で明確になるほか、ユーザーがアプリを機械的なものではなく人間味あるものに感じられるので、敬遠されがちな健康行動も楽しめるようになっています。

ユーザーのモチベーションを支える「設計」と「演出」

SUNTORY+では、日常でできる健康にまつわるタスクを行うことで、ランクアップしたり、プレゼントが届きます。健康行動を思わず続けたくなるような情緒的価値を持たせるために、ユーザーの体験を遮らないかつ、盛り上がるところはしっかりと情緒的に盛り上がるような演出ができる設計をしました。

企業とサービスの思想を繋ぐブランドデザイン

SUNTORY+が実現したい世界観、想いをチームメンバー共通の目標として掲げ、ビジュアルで表現するために、ビジョン、ミッション、バリューを策定しました。

サントリー食品インターナショナルの皆さんや、ユーザーインタビューで出たキーワードを抽出し、機能的価値と情緒的価値に分類。ここで生まれたビジョンやミッションは、ロゴなどのビジュアルデザインをしていく上での判断軸となりました。

ビジョン、ミッション、バリューはチームの道しるべとなる一方で、抽象度が高く、定義が感覚的になることもあります。SUNTORY+においては、ビジョン、ミッション、バリューに紐づくビジュアルデザインに一貫性を持たせるために、プリンシパルを策定。これにより、大規模なプロジェクトにおいてもビジュアルデザインにブレがなく進めることができました。

不確実性に立ち向かうために「まず作る」

新規事業の立ち上げ段階では、完成形は誰の目にも見えません。プロダクトオーナーの頭の中にあるイメージを形にしていく段階で、チームが不安に陥ることもあります。0から1を生み出す際の企画の精度を高めるために、Goodpatchメンバーは「まず形にする」ことにこだわりました。目に見えるアウトプットを共通言語としたことで、大規模なプロジェクトでも目線を揃えながらリリースすることができました。リリース後も、アジャイル開発を取り入れ、グロースフェーズを支援しています。

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