2021年6月1日、グッドパッチのYouTube企業説明会「ONE CAREER LIVE」に代表土屋とReDesigner事業責任者の佐宗が登壇しました!

佐宗は現在4つの事業責任者を兼務しており、それぞれのストーリーは以下の記事で綴られています。
「デザインの価値を社会に広める」ReDesigner事業責任者のデザインへの想いと事業の裏側
Strapの事業責任者になりました。グッドパッチがSaaSプロダクトのスケールに挑戦する理由

ワンキャリアライブ当日は約700名の皆さんにご参加いただき、「ビジネスの世界でなぜ今デザインが求められているか」というテーマを中心にお話しさせていただきました。

前半は土屋によるデザイン市場の変化やグッドパッチの紹介、後半は佐宗とのトークセッションの内容を文字起こしでお届けします。

YouTubeのアーカイブはこちらからご覧ください!

1.CEO土屋が語る、経営と事業におけるデザインの役割の変化

土屋:
皆さんに今日知ってほしいポイントはこの2つです。デザインは自分とは関係ない領域だ」と思っている方にこそ、ぜひ聞いていただきたい内容です。

相次ぐ世界のデザインファームの買収

まずこの10年間で、世界のデザイン会社がコンサルティング会社に買収されていたり、デザイナーが共同創業者として立ち上げた会社が非常に成長しているという事実があります。これはビジネスシーンにおいてデザインの重要性が増していることを指し、デザイナーの数が増えているのも事実です。

デザイン市場は2023年までに8,000億規模になると予想されている

では、デザインの市場規模の変化を見るとどうでしょうか。

もともと2018年には4,000億円の市場規模だったのが、2023年には倍の8,000億円もの市場になると言われています。中でもExperience Design Services=体験デザインの領域は非常に伸び率が高くなると予想されています。

なぜ、そこまでデザインの重要性が増しているのか?
それは世の中の消費行動の潮流として、機能価値で差別化できる時代が終わり、体験価値が求められていることが背景にあります。

ユーザー体験にソフトウェアが及ぼす影響

ここで1970年代からのデザイン手法の移り変わりを見ていきましょう。

この50年間で工業デザイン、インタラクションデザイン、デザイン思考というトレンドの移り変わりがありましたが、これまでと現在の圧倒的な違いはスマートフォンの登場によって、消費者とソフトウェアとのタッチポイント量が増えたことですソフトウェアの普及によってユーザー体験に及ぼす影響が増しているのです。

実際にこの20年で時価総額トップになった世界の企業は、ビジネスモデルよりもユーザー体験を優先しています。例えばAmazonは利益を顧客体験の改善に投資していますし、FacebookやInstagramは立ち上げ段階はビジネスモデルもなく、売上もゼロでした。しかし、ユーザー体験が優れたサービスはユーザーが口コミで広がっていくからこそ、マーケティングも必要ないと考えたのです。

時価総額ランキングトップ企業がユーザー体験に投資する時代

その結果、今の世界の時価総額のトップ10のうち7社がソフトウェア企業になっています。平成元年には日本企業がランクインしていたものの、ソフトウェア企業が牛耳る時代になったのです。そうした会社はいずれもユーザー体験を重要視してビジネスをしてきたという事実があるので、ユーザー体験がビジネスにおいて根幹を成すという流れは不可逆なのです。

画像出典:平成最後の時価総額ランキング。日本と世界その差を生んだ30年とは?|STARTUP DB

世界の潮流に乗り遅れた日本の現状

土屋:
一方、日本ではデザインの認識が長らく「装飾」や「表層」となってしまっています。対してデザインの価値が正しく認知されているアメリカでは、デザイナーは表層だけではなく、上流の戦略から実装まで全てを担います。

そのため、アメリカのデザイナーは所得が日本のデザイナーの2倍以上あるという結果も出ています。こうした状況下において、グッドパッチはデザインの本来の価値を理解してもらい、企業のデザインへの投資を増やすことを掲げている会社です。

とはいえ日本も変わりつつあり、経済産業省・特許庁から2018年に「デザイン経営」宣言が発表され、事業や経営の上流からデザイナーを入れましょうと国が提唱しています。また、ビジネスシーンで主流になっているDXにユーザー起点で体験を設計してまとめていける人材が重要になっているというデータもあります。あのマッキンゼーさんですらデザイナーを採用し始めている。今、日本はそんな大きな変化の中、過渡期にあります。

そして、日本企業でもUI、UX、サービスデザイナーなどビジネスの上流から入るデザイナーの需要が高まり続けています。
詳しくはReDesinger Design Data Bookをご覧ください。

2.元サービス企画、現事業責任者が語るデザイナーのキャリアパス

ここから、ワンキャリア佐賀さんファシリテートの元、土屋と事業責任者の佐宗とでいくつかの質問にお答えしていきました。

— Goodpatchの新卒は総合大学出身者が8割と聞きましたが、佐宗さんの入社ストーリーを教えてください。

佐宗:
私は経営学部出身で、もともとデザインを学んでいたわけではありません。前職ではサービス企画を担当していたのですが、サービス企画はユーザーの体験を考える仕事であり、今思うとUXデザイナーと近い職業だったと感じています。

Goodpatchには、ProttというSaaSプロダクトのグロースを担当するUXデザイナーとして入社しました。その後はデザイン思考をクライアントにインストールするためのワークショップを開催したり、セールス・Bizdevを経て、2018年よりデザイナー向けキャリア支援サービスReDesignerの事業責任者を、2021年よりオンラインホワイトボードStrapとプロトタイピングツールProttの事業責任者を兼務で務めています。

Q.美大出身でなくてもデザイナーになれる?

— 佐宗さんは経営学部出身ということでしたが、美大出身ではなくでもデザイナーになれるのですか?

土屋:
前提として、これまでのデザイナーは「ビジュアルを作る・具現化する人」と認識されてきましたが、海外のデザイナーのカバー範囲はこれと全く異なります。

本来デザイナーには、ユーザーの観察を通して、ビジネスやサービスの種となる課題を発見したり、クライアントとの対話の中で本質的な価値にたどり着けるコミュニケーション能力が求められています。Goodpatchではこうしたデザインを実践する職種として、UXデザイナーやデザインストラテジストという形でキャリアを作っていくことができるため、美大出身であることは必須条件ではありません。

これまでは戦略を考える人とプロダクトを作る人が分かれている場合が多かったですが、今は戦略を考えることの価値が相対的に下がっていると思います。どれだけ戦略を作り込んでも、プロダクトが良くないと世の中では受け入れられないのです。つまりユーザーが心地いいと感じるプロダクトを作れる人が戦略を考えられる方が角度が高いのです。だけどそれを1人でやるのは難しいので、チームで一気通貫して作れることに価値があります。

戦略よりも知覚と実装。今、コンサルタント以上に市場から求められる「経営人材への直結職種」とは?|就活サイト【ONE CAREER】


佐宗:
UIデザイン・UXデザインを学ぶ機会は、一般的になかなかありませんよね。しかしGoodpatchには200名近いUIデザイナーやUXデザイナーが在籍しているので、入社後に
デザインを学ぶ機会が多く、ナレッジが溜まっています。

Q.グッドパッチのデザイナーはどんな仕事をするのか

—では、実際にグッドパッチのデザイナーはどんな仕事をしているのでしょうか?

土屋:
「ユーザー視点でプロダクトを作りましょう」というとき、ユーザーインタビューから始めることは想像しやすいと思います。しかし、今はユーザーインタビューだけでも課題解決ができない時代になっています。

グッドパッチのデザイナーは、クライアントが「この領域で事業を作りたい」と言ってきた段階で、「何故ですか、本当にやる意味はありますか?」というところから問いにいきます。

マッキンゼーさんの説明でも話がありましたが、企業のパーパス=目的や戦略、観察から抜き出したユーザーの声にならない課題など、多角的なところからユーザー体験がどうあるべきかという上流から議論し、具体的なソフトウェアに落とし込んだりサービス全体を設計します。

基本的なプロセスはありますが、企業や経営者の想いなどとても曖昧なものを議論やプロトタイピングを通して収束させていく仕事なので、「デザイナーは何をするの?」という問いの回答としては、プロダクトを作るまでの価値創造のプロセス全てを担う仕事という感じなんです。

そのために、グッドパッチのデザイナーはいかにクライアントの視点になりきるかというコミット感と、第三者目線でユーザーのニーズを捉えられるバランス感覚を重視しています。

佐宗:
市場でも、経営者の近くでプロダクトの価値をどう提供していくかを追求するデザイナーが求められている傾向にあります。デザイナーと一緒に「どういう価値を提供していくべきか」などを構造化して、プロダクトにまで落とし込みしたいという経営者のニーズは増えつつあります。

数年前、メガバンクや自動車最大手、通信インフラの企業にデジタルデザイナーが正社員として入社し、価値設計や体験設計をリードしている社会を想像できていたでしょうか?

今やどの産業でもソフトウェアファーストなものづくり・組織づくりが中心になり、ものづくりの形やプロセスが、曖昧混沌な環境の中で道標をつくっていくデザイナーの役割とマッチしてきたのです。

引用:デジタルデザイン業界の5大変化を考察する

 — こうした変化が起きている中、デザイン思考ができるコンサルタントとコンサルティングができるデザイナーではどちらが求められるのでしょうか?

土屋:
長期で見た時にどちらに価値があるかということを学生の皆さんに考えてもらいたいです。

コンサルティングだけで出せる価値は、デジタルトランスフォーメーション(DX)が叫ばれている時代において、限定的なものになっていくと考えています。デジタル領域の需要が高まっている中、ユーザーの手に渡るものを実際に作り切れるデザイナーが、上流の戦略まで作ることが正しいのではないかと思っています。

—デザイナーは難易度の高い仕事だと思うのですが、新卒で入社した後のキャリアパスをお聞きしたいです。

土屋:
最初は先輩のサポートとしてプロジェクトに入ってもらいますが、割と早い段階で独り立ちする機会を作り、実践で経験を積むことで成長していきます。

その後は、入社3年目でプロダクトづくりに必要な環境を作るためにマネージャーになったり、プロダクト開発における専門性を高めていったりと、様々なキャリアパスがあります。日々のマネージャーとの1on1などの対話を通して、それぞれのキャリア形成を後押ししています。佐宗の場合は早い段階から事業作りへの関心を持っていたので、今のようなキャリアになっています。

佐宗:
事業を立ち上げる、会社を大きくすることに興味がありました。
セールスとして直接クライアントと対話する中で「デザイナーを採用したりデザインに投資をしていきたい」というニーズを聞くことが非常に多かったため、グッドパッチのバリューチェーンを広げて新規事業を作ろうと考え、土屋に提案をして今に至るという形です。

—佐宗さんの前職のような大企業で新規事業を立ち上げる場合とでは、違いもあると思うのですが、いかがでしたか。

佐宗:
グッドパッチの場合は打席に立つ回数がとても多いのです。自分も25歳でグッドパッチに入社した後27歳で事業を立ち上げ、今では10人のチームメンバーを見ながら事業をつくっています。正直力不足を感じることもあるのですが、挑戦する
回数を自分から取りに行けることと、創業者と近い距離で仕事ができることはグッドパッチならではの面白さだと思います。

Q.今後の事業の方向性をどう考えているか?

土屋:
僕らは長期で事業戦略を精密に作っているわけではありませんが、今後も人材の成長に投資する会社であることは変わりません。

デザイン領域はDXの波が来ている中でこれまで以上にチャンスが舞い込んできており、より社会に影響力の大きな仕事をやっていくことができると確信しています。

はまだ200名規模の会社ですが、今後デザイナーが1000〜2000人規模で事業が回っている会社が作れたら、世界で類を見ない会社になれると思っています。それをやれるポテンシャルが市場にはあると感じています。 

今後日本は人口減少社会になっていき、創造性がとても重要になっている今、優秀な人がデザイン市場に来てくれるよう、デザイナーの価値を上げる後押しをしていきます。 


グッドパッチでは新卒採用を積極的に行っています。

デザイナーは今や美大出身の人だけが考える職業ではなくなってきています。デザインの経験がないとしても、今後求められる本質的課題解決の力、不確実な世界で新しい価値を生み出す力を身に付けたい方、ビジネスの最前線でデザインの力の証明に取り組みたい方はぜひご応募ください。

また、23卒向けには現在サマーインターンシップも開催します。挑戦者求む!

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