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Client
株式会社 丸井グループ
Expertise
Organization Design
Date

Overview

1931年に家具の月賦商として創業、小売と金融を一体化した独自のビジネスモデルで知られる丸井グループ。「売らない店」を標榜する現在は、商業施設「マルイ」「モディ」のお客さまをクレジットカード「エポスカード」につなげ、LTV(LifeTime Value、顧客生涯価値)を高める「体験の提供」に経営の舵を切っています。また、スタートアップとの共創やゼロから立ち上げたアニメ事業、サステナブルアクションなど、国内だけでなく海外マーケットからも熱い支持を集めています。

GoodpatchはLTV経営と、その先にある社会的インパクト実現の基盤となるDX推進を戦略および戦術面から支援。本質的な課題解決策を模索する中で、丸井グループの内側から組織を変革する急先鋒となり、同時にデザイン/デジタル人材の採用受け皿の役割も担う『Muture』を丸井グループと共同出資で設立するにいたりました。本記事の前編では『Muture』設立までの経緯を。後編では『Muture』のビジネスデザインおよびブランドエクスペリエンスデザインの取り組みを紹介します。

Summary

クライアントの課題

  • LTV経営と社会的インパクト実現の基盤となるDXを推進したい
  • DXに必要なデザイン/デジタル人材を採用および育成したい
  • デザイン/デジタル人材に対する知見が自社にない

Goodpatchの対応

  • 10事業部からプレイヤー、マネージャー、ボードメンバーまで30名にインタビュー
  • インタビューから真の課題を特定
  • 目指すビジョンを実現するための人材像を明示
  • 人材がポテンシャルを発揮できる組織像を明示
  • 組織変革の急先鋒であり、採用の受け皿となる新会社を共同出資で設立

成果

  • 共同出資の新会社『Muture』が、丸井グループの中核事業を担うプロダクトの開発チームに伴走、アジャイルなチームへの変革をリード
  • Goodpatchと『Muture』の協働チームが、丸井グループの経営層と連携、さまざまなDX組織変革を推進・これまで丸井グループが出会えなかった求職者との出会いが実現

社員数5000名、多角経営企業のDXを支援するプロジェクト

アフターデジタル社会を見据え、「売らない店」を標榜する丸井グループ。年間約2億人が来店する商業施設「マルイ」「モディ」のお客さまを、累計会員数700万人を超えるクレジットカード「エポスカード」につなげ、LTV(LifeTime Value、顧客生涯価値)を高める「体験の提供」に経営の舵を切っています。

この戦略を加速させるにはデザイン/デジタル人材の採用/育成が不可欠であり、体験のデザインに強みを発揮するGoodpatchをDX推進パートナーとしてお迎えくださいました。 嬉しいことに青井代表は、Goodpatchの「事業やサービス、組織の本質と向き合い、内側からデザインする」という思想にシンパシーを感じてくださったといいます。かつて組織崩壊の危機を乗り越えたGoodpatchが痛みの中で手にした思想であり、机上の空論ではなく、リアルに組織をデザインしてきた知見を高く評価いただいたのです。

本質的なソリューション提供は課題の定義から

プロジェクト始動にあたっては丁寧な意識合わせが必要だと考えました。スピード感をもって推進したい意向があると、いっそく飛びにソリューションの提供に向かいがちです。しかし、創業から90年という永い歴史の中で事業が多角化し、これまでにもさまざまな組織活性施策を取り入れてきた現状を踏まえると、課題を定義することからスタートするのが望ましいと思われました。

当然ですが問いが違えば、最適解は導きだせません。急がばまわれの精神で、そもそもなにが課題なのか、現状をときほぐす調査を実施するフェーズをはさむ提案をしたのです。これはGoodpatchが大切にしている「内側からデザインする」思想にも通じるアプローチでした。

プロジェクトの初期、丸井様と合同チームを立ち上げた際に作った両社のパートナーシップを示すシンボル

丸井グループが目指す未来から現在の組織/人材の間にあるギャップを特定すべく、10を超える事業に所属する多種多様な価値観やバックグラウンドを要する5000名ほどの社員から総勢30名に対し聞き取り調査を実施。その対象者はプレイヤー、ミドルマネージャー、経営メンバーなど様々な関係者に及びました。要した期間は1ヶ月半。決して短い期間ではありません。ですが、わたしたちが求めていたのは丸井グループの戦略や戦術をデザインやデジタルの側面から推進しうる人材の特定であり、その採用を阻む課題の解決法です。対処法ではなく、本質的な課題解決が求められていたからこそご理解いただき、組織の深部に触れさせていただきました。

Goodpatchではビジネス課題や組織課題に対して「人」を起点としたリサーチや分析を提供しています。すべてのプロセスをクライアントに並走しながら実施し、リサーチ結果から実現可能な施策につなげる探索型リサーチについてはこちらもご覧ください。
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解決すべきは組織の構造的課題とビジョンを実現する人材の獲得

調査を通じて可視化した理想と現在のギャップに対し、解決策となるソリューションを明示しました。その際に留意したのはデザイン/デジタルの知見がない方でも明確なイメージが浮かぶ解像度です。インタビューで抽出した象徴的なエピソードをもとに組織の構造的課題とビジョンを推進するうえで欠かせない人材の要件や獲得方法を示しつつ、「丸井グループの社員にたとえるなら○○の事業部の○○さん」といった置き換えなども取り入れ、具体的なアクション指針を明示しました。DX推進となると手法論に走り、そこで働く方々の気持ちや組織のカルチャーが置き去りにされてしまうケースがありますが、Goodpatchは新しい挑戦に向かうときこそ組織の結束力が大切との考えから、ソリューションをクライアントの文脈や価値観にあわせて咀嚼し、ハレーションを最小限にしながら実践につなげ、最終的には外部依存せず組織で自走できる状態へと導きます。本プロジェクトでも強く意識した結果、部門横断で変革に臨める状態へと導くことができました。

組織リサーチの末、組織の特徴や目指すべき経営の姿に必要な人材をまとめた報告書

絵に描いた餅で終わらないソリューションを

当初のご依頼としては、大きなコンセンサスをいただく着地となりました。失敗を恐れず俊敏に挑むアジャイル組織かつ、顧客の生涯に渡って価値を提供するLTV経営を力強く推進する道筋が見えた状態です。一方で新たな課題が立ち現れました。丸井グループに必要なデザイン/デジタル人材は希少性が高い。加えて、丸井グループの企業イメージが採用のボトルネックになることが推察されました。小売と金融が一体となったビジネスモデルや、スタートアップと共創しD2Cビジネスを加速化しているなど、求める人材が魅力に感じる実体が採用市場に浸透していないためです。

この状態で伴走をやめては、調査のうえで提示したソリューションも絵に描いた餅で終わってしまう。そう考えたGoodpatchは、丸井グループが醸成できていないデザイン/デジタルに強い企業というイメージを、Goodpatchのブランドアセットで補填する提案をしました。すなわち採用や組織変革をリードする組織として、丸井グループとGoodpatchが合弁会社を設立するという提案です。Goodpatchにシンパシーを感じてくださっていた青井代表は、この提案を即断即決。丸井グループから出向する3名に加え、Goodpatchでさまざまな企業のデザインパートナーとして事業・サービスづくりを担当してきたUXデザイナーと、ブランディング・UIデザインを担当してきたBXデザイナーが選出されました。そうして新会社Mutureの設立に至ったのです。今後は小売・フィンテックなどの領域を中心に、アフターデジタルの時代における事業づくりを目指した組織を作ってゆきます。

関連記事:はじめまして。Mutureです!

丸井グループとGoodpatchのメンバーからなるMutureの経営陣

共創パートナーとして内側から変革に貢献

現在、Goodpatchは『Muture』との共創を進めています。丸井グループの中核事業を担うデジタルプロダクトを基点に、内側から組織変革を牽引する『Muture』をサポート、丸井グループへの提供価値最大化をはかっています。成果を語るには時期尚早ではありますが、プロダクト開発チームを対象にしたワークショップでは、アジャイルチームに移行する手応えが感じられました。また、採用面では丸井グループがこれまで接点を持てずにいた方々との出会いが生まれているといいます。

わたしたちは、異なる出自を持つ人材が組織に新しい血を巡らせ、新陳代謝を高めてくれることを組織崩壊から再起する過程で学びました。その観点で『Muture』という新しい会社を設立するというソリューションは、Goodpatchらしい「内側から」生まれたものであり、丸井グループの未来を共創するパートナーとして本質的なソリューション提供ができたのではないかと感じています。

近日公開予定の後編では『Muture』のビジネスモデルとブランドをデザインしたプロセスを紹介します。

Credit

デザインストラテジスト:伊澤 和宏、高城 栄一朗、田中 拓也、長友 裕輝
UXデザイナー:山根 圭太、吉本 健太
BXデザイナー:出村 邦明、チン カイ

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