プロダクトマネジメントとは?プロジェクトマネジメントとの違い・必要性・役割・課題・スキル・事例まとめ
当記事では「プロダクトマネジメント」とは何かについて、プロジェクトマネジメントとの違い・必要性・役割・課題・スキル・事例までわかりやすく解説します。プロダクトマネジメントを理解することで「本質的な価値を届けるプロダクト作り」のヒントが得られます。ぜひ最後までお読みください。
当記事はプロダクトグロース専門チームを持ち、2011年の創業以来、デザインファームにおけるパイオニアとして多くの企業に向けてデジタルプロダクトのUIデザインやUXデザインの支援を進めてきたグッドパッチがお届けします。プロダクトマネジメントを理解してプロダクト開発にご活用ください。
〈グッドパッチにおけるプロダクトマネジメントの取り組み事例〉
会社 | 概要 |
株式会社プログリット | 英語学習アプリ「シャドテン」の開発で、プロダクトマネージャー(PdM)とプロダクトマーケティングマネージャー(PMM)が参画し、有料会員転換率と継続率向上のための、プロダクト改善サイクルを確立 |
TOPPANデジタル株式会社 | 受託開発事業で、社内プロダクトマネジメント組織基盤の構築を行い、実際に校正サービス「review-it! for Package」にてプロダクトグロースを実現 |
アステリア株式会社 | 企業向けノーコード開発の自社プロダクトマネージャー(PdM)を対象に、3日間のワークショップを実施。自社プロダクトにおけるプロダクトビジョンと中長期ロードマップの土台を策定 |
【関連記事】プロダクト改善とは?成功のための2つの要素と具体的なステップを解説
監修:加納俊平(株式会社グッドパッチ プロダクトマネージャー)
新卒でヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)に入社後、スポーツメディアサイトのWebデザインやアプリのUIデザインなどを担当。2020年にUXデザイナーとしてグッドパッチに入社。ユーザーリサーチや、LPのデザイン、開発ディレクションなど幅広く経験。現在はプロダクトマネージャーとしてユーザー観点と事業観点の両面からクライアント企業のプロダクトグロースを支援している。
目次
プロダクトマネジメントとは
商品やサービスの「構想策定・リリース・改善までの全プロセスを一貫して推進するマネジメント手法」
プロダクトマネジメントとは、商品やサービスなどの構想策定からリリース、改善までの全プロセスを一貫して推進するマネジメント手法です。プロダクトの本質的な価値を伸ばす手法として注目を集めています。
プロダクトマネジメントとは、商品やサービスの「構想策定からリリース、改善までの全プロセスを一貫して推進するマネジメント手法」です。
プロダクトマネジメントは「プロダクト価値による収益の最大化」と「利用するユーザーへの価値提供の最大化」を目指して実施されます。単にプロダクトを作ることだけを目的としていないことを理解しておきましょう。
プロダクトマネジメントは、ビジネスサイド・開発サイド・ユーザーの3者の視点をバランス良く取り入れ、「プロダクトビジョン(=プロダクトを通して実現したい最終的な目標)の達成」が実現できるよう進めていきます。つまりプロダクトマネジメントでは「事業収益の最大化」と同時に「顧客ニーズに応えるプロダクトの開発」が求められます。その実現のためには、さまざまなポジションの人材が互いに協力しなければなりません。
プロダクトマネジメントでは「何を作るべきか」と「どう作るべきか」を考える
プロダクトマネジメントにおいて最も重要なのは、「何を作るべきか(What)」と「どう作るべきか(How)」を明確に定義し、実行に移すことです。単なるアイデアやビジョンにとどまらず、それを実現可能な仕様へと落とし込む必要があります。
プロダクトマネージャー(PdM)が全体をリードしながら進めていく
引用:「プロダクトやサービスの成長における壁とその乗り越え方とは?(ビジネス×デザインの最前線)
プロダクトマネジメントの進行において必要とされるのがプロダクトマネージャー(PdM)です。プロダクトマネージャーはプロダクトマネジメント全体を管理し、関係者をリードしながらプロダクトを成長させる役割を担います。
プロジェクトマネジメントとの違い
プロダクトマネジメントは「プロダクトの価値の最大化」が目的
プロダクトマネジメントの本質的な目的は「プロダクトの価値を最大化すること」です。この「プロダクトの価値」とは、顧客にとっての利便性や満足度、企業にとっての収益性・競争力など多角的な要素を含みます。プロダクトマネジメントはこれら要素を横断的に捉え、最適なプロダクト戦略を設計・実行していくプロセスといえます。プロダクトマネジメントはプロダクトマネージャー(PdM)がリードして進めます。
プロジェクトマネジメントは「定められた期間と予算でのプロジェクト完遂」が目的
対してプロジェクトマネジメントの主目的は「決められた期限と予算内で、計画通りにプロジェクトを完遂すること」です。スコープ・スケジュール・コストの三要素をコントロールすることが主眼であり、完成品が価値を生み出すかどうかよりも「納期や品質、工数の管理」が優先されます。プロジェクトマネジメントはプロジェクトマネージャー(PjM)がリードして進めます。
プロダクトマネジメントとプロジェクトマネジメントは「相互補完的な関係」にある
プロダクトマネジメントが「何を、なぜ作るのか」を定義する上流工程に関わるのに対して、プロジェクトマネジメントは「どのように、いつまでに作るのか」といった下流工程(=実行フェーズ)に関与します。プロダクトマネジメントとプロジェクトマネジメントは目的と領域が異なりながらも、相互補完的な関係にあり、両方の視点を理解することが現代のマネジメントには不可欠です。
【関連記事】「プロジェクトをデザインする」ということ。タスク管理について、プロジェクトマネージャーに聞いてみた【前編】
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プロダクトマネジメントの必要性
「プロダクト自体の価値の高さ」が求められる時代に突入したから
プロダクトマネジメントが必要とされる理由の1つ目は「プロダクト自体の価値の高さが求められる時代に突入したから」というものです。
競争環境が激化し、消費者ニーズが多様化した市場では、プロダクトそのものに価値がないと消費者から選ばれません。消費者や企業のニーズ、市場の変化を迅速に捉えつつ、プロダクト全体を俯瞰して管理し競争力を高めていく上で、プロダクトマネジメントの考え方が必須になってきています。
「開発チームとビジネスサイドをつなげる組織作り」が重要になってきたから
プロダクトマネジメントが必要とされる理由の2つ目は「開発チームとビジネスサイドをつなげる組織作りが重要になってきたから」というものです。
開発チームとビジネスサイドの両面を理解した上でプロダクトを創出するには、ミッションやビジョンの策定、戦略の立案、市場調査などさまざまな過程が必要です。一方で、多くの企業ではこのような戦略的な工程や組織づくりが徹底できていない結果、チームで足並みをそろえられずに開発効率が落ちたり、思うようにサービスをグロースできない、といった課題があります。
プロダクトビジョンの達成を目指して一丸となって自走できる組織づくりをするためにも、プロダクトマネジメントを理解することが必要になってきています。
【フレームワーク】プロダクトマネジメントトライアングルとは
プロダクトを軸に「顧客・ビジネス・開発者」を結ぶフレームワーク
引用元:プロダクトマネジメントトライアングルと各社のPMの職責とJD
プロダクトマネジメントトライアングルとは、「顧客」、「ビジネス」、「開発者」の3者をバランス良く結びつけながらプロダクトマネジメントを実行するためのフレームワークです。このプロダクトマネジメントトライアングルの構図を確認することで、プロダクトマネジメントでプロダクト開発を成功に導くためには、「顧客」、「ビジネス」、「開発者」の3者のバランスを同等に重要視し、健全に機能させることが重要であると理解できるはずです。
プロダクト開発が「顧客ニーズのみ」に偏ったり「ビジネス利益だけ」に偏った場合は、「プロダクトとしての整合性や継続性」を損ないやすくなります。プロダクトマネージャーは全領域を理解して健全に機能させる役割が求められます。
「顧客・ビジネス・開発者」へ最良の選択をすることがプロダクトマネジメント
プロダクトマネジメントトライアングルにおいて重要なのは、3者にとっての「最良の落とし所」を見つけるスキルです。例えば、顧客には「使いやすく魅力的な体験」で、ビジネスには「収益性と持続可能性」で、開発者には「実現可能な範囲での設計とスケジューリング」で、各所にとって最良の落とし所を見つけていくことが求められます。各所の要望を理解し、調整・優先順位付けを行いながら、プロダクト開発全体の最適化を目指します。
各所と良質なバランスを保つためには「定量的なデータに基づいた意思決定」と、「各領域との深い対話」が不可欠です。プロダクトマネージャーがただの「橋渡し役」でなく、積極的に提案・主導できる立場になることが、プロダクトにとっての真の価値創出につながります。
プロダクトマネジメントの役割(=やるべきこと)
プロダクトマネジメントで求められる業務は多岐にわたりますが、主にやるべきことは大きく3つあります。ここでは、プロダクトマネジメントの各段階でどのようなことをするのか解説していきます。
【プロダクトマネジメントでやるべきこと】
- 「なぜ」するのかを決める
- 「何を」するのが決める
- 「なぜ、何を」するのかをステークホルダーに広める
「なぜ」するのかを決める(=なぜこのプロダクトを開発するのか、なぜこの戦略が必要なのか)
プロダクトマネジメントでは「なぜこのプロダクトを開発するのか」「なぜこの戦略が必要なのか」などの「Why」を決める必要があります。
Whyの根源は下図の3つに集約でき、それぞれ明確にすることが求められます。
Whyの根源の1つ目は「目指す世界に近づけるため」です。
目指す世界はビジョンとも言い換えられ、ビジョンを明確にすることで、プロダクト開発の文脈におけるWhyの根本的な理由がクリアになります。
ビジョンを明確にするには、まずは関係者へのヒアリングが必要です。その上で個々の思いを集約し、プロダクトビジョンの達成に近づけるにはどうすればいいのかを整理しましょう。
Whyの根源の2つ目は「ユーザーが求めているから」です。
ユーザーが求めていること(=ユーザーニーズ)を明確にすることで、ユーザー体験向上の文脈でのWhyを明確にできます。
ユーザーニーズの検証やアンケート調査など、さまざまな方法を使い「ユーザーが本当に必要な機能なのか」「ユーザーの欲しいコンテンツなのか」など理解を深めていきます。
Whyの根源の3つ目は「プロダクトを継続するため」です。
プロダクトを継続するには、事業戦略を踏まえたプロダクトマネジメントが重要です。事業戦略を明確にすることが、プロダクト継続を目的とした本質的な理由を明確にできます。
前述のようなユーザー体験のみを追求してもプロダクトを事業成功につなげることは困難です。事業として成立しなければ継続も難しくなります。「このプロダクトがどのように利益拡大につながるのか」など事業戦略を踏まえて検討していきます。
「何を」するのか決める(ビジネス要件/ユーザー要件/開発要件)
続いて「なぜ」に基づいて何をするべきか決めていきます。何をするのか決める際の判断基準としては、下記3つの軸が代表的です。
例えば、ユーザー要件では、プロトタイピングやユーザーテストを実施し、新しい機能がユーザーにどの程度有用なのか確認します。その上で優先順位をつけて何を開発するのか決めていきます。
また、ビジネス要件や開発要件では各主要人物とコミュニケーションを取りながら、何をするとビジネス成果にコミットできるのか考えていきます。
このように、プロダクトマネジメントでは「なぜ」の問いで終わらず、「何を」するのか具体的なアクションに落とし込むことも重要な役割です。
「なぜ、何を」するのか各ステークホルダーに周知する
「なぜ、何をするのか」が決まったら、下記のようにセールスやエンジニア、デザイナーなど各ステークホルダーと連携して浸透させていきます。
ステークホルダーへの浸透が必要な理由は、下記の3つです。
1.チーム内の認識をそろえ、皆が納得感を持ちプロダクト開発に向き合うため
2.目指すべき方向性をそろえて、質の高い議論をするため
3.各ステークホルダーの役割、スケジュールを明確にするため
特にプロダクト開発では、チーム全員が共通認識を持ち同じ足並みをそろえてプロダクトビジョンの達成を目指すことが重要です。
各ステークホルダーに、プロダクトの目的や取り組み内容などをしっかり伝えることで納得度を高め、モチベーションを高めながらプロダクト開発を推進できます。
プロダクトマネジメントの実践における課題
プロダクトマネジメントの必要性は近年急速に認知されているものの、実践においてはさまざまな課題があります。ここでは、プロダクトマネジメントを実践における大きな3つの課題をご紹介します。
【プロダクトマネジメントの実践における課題】
- プロダクトマネージャー(PdM)が不足している
- プロダクトマネージャーのスキルが不足している
- UX領域・マーケティング領域など「スペシャリスト型」プロダクトマネージャーのニーズの高まり
プロダクトマネージャー(PdM)が不足している
プロダクトマネジメントの需要は拡大しているものの、プロダクトマネジメント全体を管理し、関係者をリードしながらプロダクトを推進する「プロダクトマネージャー」が不足しています。
プロダクトマネジメントの成功には、課題の把握や顧客の理解、開発、提供後の改善などプロダクトそのものだけでなく、ビジネスの面も網羅的に把握し、管理できる人材が必要です。
特にプロダクトグロースの現場では、即戦力となるシニアレベルの知識・スキルが求められますが、採用市場が形成されたばかりでシニア級の経験を持つ人材が不足しているのが現状です。
ジュニアレベルのプロダクトマネージャーの数は増えているものの、企業が求める人材の要件とは隔たりが多く、即戦力採用を求める企業とのアンマッチが加速しています。
プロダクトマネージャーのスキルが不足している
プロダクトマネージャーには、各ステークホルダーと関係を築きつつプロダクト成功に向けて主体的に行動する上で、さまざまなスキルが求められます。
特に日本市場におけるプロダクトマネージャーはエンジニア出身者や事業企画出身者が中心で、TechやBizの領域に強みを持つプロダクトマネージャーが多い傾向があります。
一方で少なくないプロダクトマネージャーが顧客視点での価値向上や、ビジョンミッション策定、プロダクトの戦略立案などに課題があり、スキル不足を感じています。
スペシャリスト型プロダクトマネージャーの需要への対応(UX領域・マーケティング領域など)
プロダクトマネージャーの役割は多岐にわたるため、今後は役割が分業化され、いわゆる「オールラウンダー型」だけでなく、各領域に尖った強みを持つ人材、つまり「スペシャリスト型」のプロダクトマネージャーのニーズも高まってくると考えられます。
スペシャリスト型の先駆けとして、マーケティング領域に特化した「プロダクトマーケティングマネージャー(PMM)」を配置するプロダクトチームも増えてきています。プロダクトマネージャーがプロダクト戦略を遂行し、PMMがGTM(市場参入)戦略を遂行する役割を担うことが多いです。
またグッドパッチでは、UX領域に強いプロダクトマネージャーが今後増えると考えています。誰かに対して変化を起こすことがプロダクトの存在意義である以上、「誰か」の解像度を上げていくことに対する需要も高まるからです。
UXデザイナーは「価値」の言語化を得意としています。例えば、一つ一つのユーザーの声を基に、「価値マップ」や「上位下位分析」といった手法を用いて欲求や課題を抽象化します。抽象化することで「ターゲットユーザーが抱えている課題は〇〇」「プロダクトで△△という価値を提供することで、ユーザーは□□を実現できる」といった言語化を行えるというわけです。
プロダクトの方向性や提供価値を明らかにすることで、メンバーとグロースの方向性を擦り合わせることに貢献できるでしょう。
プロダクトマネジメントで求められるスキル
即戦力として必要とされるプロダクトマネージャーには、どのようなスキルが求められているのでしょうか?
ここでは、プロダクトマネジメントで求められる35項目のスキルをご紹介します。プロダクトマネージャーに必要なスキルを可視化するためにも、参考にしてみてください(スコアはダミーです)。
事業戦略スキル
事業戦略とは、プロダクトの目標を設定し、目標達成に向けた計画を策定することです。プロダクトの核となる部分で、プロダクトマネージャーには欠かせないスキルと言えます。
必要なスキル | 概要 |
プロダクトビジョン策定 | プロダクトの目指す未来像を顧客、社会、事業の観点から言語化できる |
短期プロダクトロードマップ作成 | 四半期〜1年間のプロダクト開発組織の活動計画を優先順位を踏まえて作成できる |
中長期プロダクトロードマップ作成 | 3〜5年間のプロダクト成長のステップをプロダクトビジョン、顧客ニーズ、事業目標の観点から作成できる |
プロダクト戦略 | プロダクトビジョンを達成するための事業成長過程を明確に描ける |
マーケティング戦略立案 | プロダクトが市場で価値を生むための分析、意思決定ができる |
KPI管理 | 必要なKPIを設定し、施策ごとにKPIの効果検証ができる |
【関連記事】プロダクトロードマップの作り方を徹底解説!グッドパッチ流の成功戦略とは
リサーチスキル
リサーチは「プロダクトがユーザーニーズを満たしているか」「市場にとって価値があるのか」など多角的な視点から調査をすることです。
顧客へのインパクトを考慮した施策立案をするためにも、プロダクトマネージャーにはリサーチスキルが求められます。
必要なスキル | 概要 |
競合調査 | 競合他社を分析し優位性や差別化要因を特定できる |
市場調査 | 外部環境と内部環境を分析してプロダクト戦略と紐づけができる |
定量分析 | プロダクトの利用データやビジネスメトリクスから仮説を立てて改善ができる |
ユーザーリサーチ | ユーザーインタビューなどを通じてペインポイント、プロダクトの価値を理解できる |
ユーザー検証 | プロダクトグロースに必要な仮説を立てて、検証のための設計、実査ができる |
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ディレクションスキル
ディレクションは、プロダクトビジョンの達成に向けて進行管理やステークホルダーに指示をする業務のことです。プロダクトにはさまざまなポジションの人材が関わるため、プロダクトマネージャーには、プロジェクトを円滑に進行する上で適切なディレクション力が求められます。
必要なスキル | 概要 |
施策優先度管理 | クライアント合意の下、優先順位を決めながら施策を管理できる |
スケジュール見積もり | 各チームとコミュニケーションを取りながら過不足のないスケジュール、見積もりを作成できる |
リソース調整 | 開発リソースの最適な分配、配置ができる |
開発ディレクション | 開発チーム進行管理や必要な指示を伝えられる |
UIデザインのディレクション | デザインチームに進行管理や必要な指示を伝えられる |
要件定義スキル
要件定義とは、プロダクト開発の目的を明確にして、施策内容などを整理していく作業です。プロダクトマネージャーが中心となり、ステークホルダーと認識を合わせるスキルが求められます。
必要なスキル | 概要 |
ユーザー価値定義 | ユーザーの悩みや課題を明確にしてバリュープロポジションを設計できる |
要求への落とし込み | ユーザーストーリーをベースとした要件定義ができる |
プロダクト要件定義の作成 | 要求定義を実装要件に落とし込みエンジニアやデザイナーなどと合意ができる |
フィージビリティ確認 | 各ステークホルダーとコミュニケーションを取り施策や機能の実現可能性を調査できる |
詳細設計スキル
詳細設計とは、施策の詳細を設計してステークホルダーと共有する作業です。専門性の高い作業なので、プロダクトマネージャーと専門家で役割分担することもあります。
必要なスキル | 概要 |
仕様詳細のドキュメント化 | 仕様詳細をドキュメント化しステークホルダーと共有、理解が得られるようコミュニケーションが取れる |
プロトタイプ作成 | 担当者に理解を促すプロトタイプを素早く正確に作成できる |
ユーザー体験設計 | プロダクトの成長過程におけるユーザー体験を可視化、言語化できる |
影響範囲の確認 | 開発の留意点や技術的制約などを把握して、他領域への影響を踏まえ要件調整ができる |
リリーススキル
リリースは、制作したプロダクトをエンドユーザーに届ける作業です。プロダクトマネージャーは主にエンジニアやPRチームと協力して、問題なくリリースを実施するスキルが求められます。
必要なスキル | 概要 |
リリース戦略設計 | リリースに向けて関連するチームを巻き込みながら適切なプロモーションの設計、実行ができる |
ABテスト | ABテストを行い、より効果の高い施策を検討できる |
QA対応 | リリースにあたり懸念点がないか要件定義〜仕様策定を確認する |
リリースタスクマネジメント | 問題なくリリースできるよう設計、ディレクションができる |
コミュニケーションスキル
プロダクトマネージャーは、各ステークホルダーと適切なコミュニケーションを取るスキルが求められます。本記事では、クライアントとのコミュニケーションスキルを中心に記載しています。
必要なスキル | 概要 |
フィードバックの受け取りと提供 | クライアントや社内のフィードバックを基にブラッシュアップできる
プロダクトマネージャー自身も適切なフィードバックができる |
プレゼンテーション | クライアントに対して納得感のあるプレゼンテーションができる |
チーム内コミュニケーション | チームを醸成させるための場づくりやファシリテーションができる |
コンサルティングスキル
コンサルティングとは、クライアントの課題を明確にして解決策の助言や提案をすることです。プロダクト開発を内製化するときに必要なスキルです。
必要なスキル | 概要 |
ドキュメンテーション | プロダクト開発の一連の流れを可視化して、各施策の詳細、フローを明確できる |
ネゴシエーション | クライアントと期待値調整ができる |
ファシリテーション | 施策に必要なプロセスを提示してクライアントをリードできる |
プロジェクトの要件設計、管理 | クライアントのゴールに向かい要件設計やスケジュール管理ができる |
▼プロダクトマネージャーのスキルについては、下記の記事で詳しく解説しています。
PdM(プロダクトマネージャー)の「スキルマップ」を作ってみた
プロダクトマネジメントの事例紹介(株式会社グッドパッチ)
プロダクトマネージャーにはさまざまなスキルが求められ、採用や育成に時間がかかるのが現状です。グッドパッチでは、顧客サービスのプロダクトマネジメントに関わる業務の支援を行っています。具体的なサポート事例から育成に関わる事例をここではご紹介します。
会社 | 概要 |
株式会社プログリット | 英語学習アプリ「シャドテン」の開発で、プロダクトマネージャー(PdM)とプロダクトマーケティングマネージャー(PMM)が参画し、有料会員転換率と継続率向上のための、プロダクト改善サイクルを確立 |
TOPPANデジタル株式会社 | 受託開発事業で、社内プロダクトマネジメント組織基盤の構築を行い、実際に校正サービス「review-it! for Package」にてプロダクトグロースを実現 |
アステリア株式会社 | 企業向けノーコード開発の自社プロダクトマネージャー(PdM)を対象に、3日間のワークショップを実施。自社プロダクトにおけるプロダクトビジョンと中長期ロードマップの土台を策定 |
株式会社プログリット
プログリットの英語学習アプリ「シャドテン」は、ユーザーが録音した音声を専門スタッフが24時間以内に添削する「シャドーイング」サービスです。
リリースから順調に利用者数を伸ばしていましたが、無料体験後の「有料会員への転換率」と「解約率」に課題を抱えていました。
そこでグッドパッチから、プロダクトマネージャー(PdM)とプロダクトマーケティングマネージャー(PMM)がプロジェクトに参画。ユーザーリサーチとデータ分析から2つの指標に影響を与える要素を探索し、ユーザー体験改善サイクルの構築を支援しました。
具体的には、ユーザーが「シャドーイング」の学習効果を十分に理解しないまま利用を中断している実情と、無料期間中の「課題提出回数」が有料転換率に影響していることを特定。
トライアル期間中に期待される学習効果を実感できる体制を整えると同時に、FAQとオンボーディグ機能を統合したサポートサイトのリリースや顧客管理基盤の整備を通じて、サポートチームがより細やかな学習サポートに注力できる体制を築きました。
また並行して、ダッシュボードの導入とKPIツリーの定義により、チーム全体で迅速な意思決定をできるデータ基盤を整備しました。
その結果、プロダクトの課題特定から施策実行、効果測定までの一連のプロセスが明確になり、プロダクト改善を迅速に進める自走体制が構築できました。
プロジェクトの内容をより詳しく解説した資料は下記よりダウンロードしてください。
TOPPANデジタル株式会社
出典:株式会社グッドパッチ | Work 「TOPPANデジタル」
TOPPANデジタルは従来の受託開発から自社プロダクト開発へと、事業領域を拡大しています。
その中で、社内プロダクトマネージャー(PdM)の人材不足、マネジメント手法の属人化、クライアントありきでユーザー視点の開発文化に乏しい、といった課題に直面していました。
そこでグッドパッチは、プロダクトマネージャー(PdM)やその上長へのヒアリングから潜在的な課題を整理。
ジュニアプロダクトマネージャー向けの「PdM委員会」立ち上げに伴走し、TOPPAN式プロダクトマネジメントのプロセスを確立、プロダクトマネジメント・プロダクトマーケティング組織基盤の構築に取り組みました。
またプロダクトマネジメントを組織に根付かせるため、自社の校正自動化サービス「review-it! for Package」のプロダクトグロースを1年にわたり支援することで、成功体験のロールモデルを築いています。
開発体制の立て直し、プロダクトビジョンの策定、追うべき指標の定義や数値の可視化、開発計画策定など、取り組みは多岐にわたりました。
その結果、ビジネスサイドと開発サイドの認識のずれが解消され、データドリブンな意思決定に基づく、スピーディーなアジャイル開発プロセスを実現しました。
月に1回以上の安定したリリースを実施し、持続的な成長に向けた自走フェーズに入っています。
アステリア株式会社
出典:12時間でプロダクトビジョンとロードマップの作り方を学ぶ、グッドパッチのPdM向け研修
アステリアは、企業向けに複数のノーコード開発(プログラミング知識なしで開発設計する手法)自社プロダクトが並行する中、組織全体でのプロダクトマネジメントのノウハウの共有と、経験の少ないプロダクトマネージャー(PdM)の育成を、手探りで進めている状態でした。
そこでグッドパッチでは、「ユーザー視点で、プロダクトビジョンと中長期ロードマップを策定」をテーマに、3日間の集中ワークショップを実施しました。
具体的には、最初の2日間ではサンプルプロダクトを題材にして、「プロダクトビジョン」を言語化し、提供価値を整理、「中長期ロードマップ」の設計プロセスまでを実践。最終日に、同じプロセスで自社プロダクトに落とし込んだアウトプットを作成しました。
参加者からは、実際に手を動かしながらのワークショップを評価し、「実践を通して自分の思考の偏りやつまづくポイントに気付けた」という声が上がりました。
また、ユーザー視点での自社プロダクトの方向性を明らかにできただけでなく、プロダクトマネージャー(PdM)同士で共に課題に取り組んだことで、つながりが深まったという副次的な成果も喜ばれています。
グッドパッチのプロダクトマネジメント支援サービス
プロダクトマネジメントに欠かせないプロダクトマネージャーに必要なスキルを身につけることは非常に大変で、どうしても時間がかかります。
とはいえ、スキル不足のままプロダクトマネージャーを担うと、プロダクトマネジメントそのものが成功しない可能性が出てきてしまいます。
そんなときは、グッドパッチのプロダクトマネジメント支援サービス「Product Growth Partnerships」をぜひご活用ください。
グッドパッチのUX領域に強いプロダクトマネージャーがプロダクト開発マネジメント、プロダクトマーケティングマネジメントの双方から支援し、下記のような価値を提供します。
【Product Growth Partnershipsが提供する価値】
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プロダクトマネジメントの人材不足を解消し、本質的なプロダクトの成長に向けて躍進したい企業さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。
プロダクトマネジメントでユーザーへの価値提供を最大化する
本記事では、プロダクトマネジメントの必要性やプロセス、プロダクトマネージャーに欠かせないスキルなどをまとめて解説しました。プロダクトマネジメントは本質的な価値を提供するプロダクト開発に欠かせない手法です。
プロダクトマネジメントに取り組むには、核となるプロダクトマネージャーがチームを引率し成果を最大化することが欠かせません。
プロダクトマネージャー不足が深刻化するなか、プロダクトマネジメントに取り組む基盤の構築や人材不足にお悩みの場合は、ぜひ一度グッドパッチまでお問い合わせください。