サービスやプロダクトのグロースを実現させる「プロダクトマーケティング」とは?役割と機能を解説
グッドパッチでプロダクトグロース領域の支援をしている富田です。
グッドパッチではUI/UXを中心としたデザインの支援だけでなく、「プロダクトマネジメント」と「プロダクトマーケティング」という機能を活用し、プロダクトグロース実現に向けた支援も行っています。
昨今、「プロダクトマネジメント」については広く認知されてきましたが、「プロダクトマーケティング」については注目され始めているものの、具体的な役割や領域・効果といった点については多く語られていません。
そこで、この記事では「従来のマーケティングとの違いは?」「どのような事業フェーズやケースで必要となるのか?」「プロダクトマネジメントとの共存や棲み分けは?」といったトピックについて、これまでの経験と書籍などの情報を用いて、プロダクトマーケティングの在り方について解説したいと思います。
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目次
プロダクトマーケティングとは?
プロダクトマーケティングとは、「特定のプロダクトや製品にフォーカスしたマーケティング戦略・手法」を指します。同じ企業であっても、扱うプロダクトごとに市場やターゲット、特徴が異なるため、それぞれ適したマーケティング戦略が求められ、開発の初期段階からプロダクトチームとの連携が必要となってきます。
プロダクトマーケティングの定義
プロダクトマーケティングの役割や責務は、以下の内容と定義されると考えています。
- プロダクトのGo-to-Market=ビジネス領域の責任を持つ役割
- 戦略・戦術をビジネスサイドの各機能と合致させ、各機能のアウトプットをマネジメントし最大のアウトカムを生み出す役割
- 市場の声やフィードバックをプロダクトチームに適切に提供し、プロダクト戦略を支援する役割
プロセスにおいても、プロダクトマーケティングは通常のマーケティング機能とは異なり、プロダクトチームとビジネスチームの間に立ち、双方の声を循環させプロダクトをグロースさせるためのビジネス領域における戦略の策定・実行が重要なミッションとなります。
従来のマーケティングとの違いは?
従来のマーケティングとプロダクトマーケティングの違いは、「対象」「範囲」「プロセス」の3つです。 マーケティングは一般的に、認知から購入に至るまでの活動を指し、見込み顧客の獲得から育成が目的となります。
一方、プロダクトマーケティングは購入だけが目的ではなく、その後の継続利用も含めたカスタマーサクセスも対象となり、プロダクト全体のGo-to-Market(GTM)戦略が領域となります。
なぜプロダクトマーケティングが必要なのか?
従来、プロダクトのビジネス領域に関してはプロダクトマネージャー(以下、PdM)が管掌し、マーケティングチームやセールスチームと連携しながら対応してきました。しかし、以下のような注意点もあります。
- PdMの責任範囲が広く、専門性を活かしきれない
- マルチプロダクトにおいてはビジネスチームが「機能型組織」であることが多く、1プロダクトに対するGo-to-Market戦略の解像度が上がりにくい
このような背景から、より専門性を活かせるスキルセットを持つ人材が、プロダクトマーケティングマネージャー(以下、PMM)として、プロダクトのビジネス的成長にコミットするポジションで、Go-to-Marketの戦略設計から実行支援までを行うケースが増えてきています。
プロダクトマーケティングの目的とは?
プロダクトマーケティングの目的=果たすべき成果は「特定のプロダクトをマーケットに届け、定着させることでビジネス目標を達成させる。そのために、プロダクト価値を言語化し、プロダクト・ビジネスチームと連動しながらGTM戦略を計画・遂行する責任を持つこと」です。
そのためには、以下のような役割や具体的なタスクがあります。
- 市場感知と理解
- ポジショニングとメッセージング
- GTM戦略の策定と遂行支援
- マーケティングチームとの共創
- セールスチームへのイネーブルメント提供
- コンテンツの提供
- 顧客フィードバックの収集と提供
- プロダクトロードマップ情報の提供
- プロダクト情報をインプットし、新たなマーケティング戦略を計画
- PdMと連携し、プロダクトビジョン達成に向けた意思決定を遂行
プロダクトとビジネスの間に位置し、マーケットに対して価値を届け最大化させる。上記の役割を果たし目的を達成させるためにPMMは存在します。
プロダクトマーケティングの基本
ここからはプロダクトマーケティングの基本を解説している「LOVED」に沿って、解説します。プロダクトマーケティングで行うべき基本は、以下の4つです。
アンバサダー
プロダクトマーケティングが顧客・市場のインサイトをさまざまな手法で感知し、「アンバサダー」としてプロダクトチームやビジネスチームに伝える。顧客と市場での定着を促進する最も重要な要素を確実に把握し、それをドキュメントにし、チームがより良い仕事ができるようにする役割
- 手法例
- 顧客と直接対話する
- 顧客や見込み顧客向けの、自由回答形式のアンケートを用意する
- プロダクトチームとGo-to-Marketチーム(マーケ、営業)の議論にインサイトを反映させる
- 最も重要なインサイトを書き出し、簡単に共有と活用ができるようにする
- サードパーティから得られるインサイトを活用する
- 競合の状況を常に把握する
ストラテジスト
プロダクトマーケティングの仕事とは、プロダクトの状況やGo-to-Marketに特化した戦略を明確にすること。「なぜ」「誰に」「いつ」「何を」「どのように」という問い答える戦略をストラテジストとして作り上げ、活動群をビジネスのニーズと整合させる責任を持つ
- 戦略構成要素
- 収益目標や事業目標を達成するための成長を促進する
- 特定の顧客のコンバージョンを向上させる
- 認知を向上させ、ディスカバリーの改善をして、ブランドを構築する
- カテゴリー、エコシステム、またはプラットフォームを定義、再形成、またはリードする
- 顧客の評価、ロイヤリティ、エバンジェリズムを生み出す
- 新しい顧客セグメント、パートナー、プログラムを発見し、開発する
ストーリーテラー
世の中の人が、プロダクトに関する考え方や、なぜ価値があるのかについてプロダクトマーケターが定義し、定義されたメッセージングからストーリーを伝え、ポジショニングを形成する
- メッセージングのポイント
- クリア(Clear):何をするかが明確で、好奇心がそそられる理由があるか?
- オーセンティック(Authentic):顧客にとって感情に訴えられる、意味のある言葉を使っているか?
- シンプル(Simple):何が魅力的で、他と何が違うのかが分かりやすいか?
- テスト済み(Tested):顧客が実際に経験する状況下で繰り返しテストされたか?
エバンジェリスト
エバンジェリズムとは、他者を介した影響力を体系的にイネーブルメントすることを意味する。プロダクトマーケティングはプロダクトを代表する触媒であり仕切り役として、他者がストーリーを語れるようにイネーブルメントを通じて支援する
- エバンジェリズム活性化のための活動例
- プロダクトがレビュアーに渡るたびに、詳細な評価ガイドを送る
- 営業担当者にも同様のガイドを配布する
- 影響力のある専門家に対面で会い、聞かれる質問にその場で答える
- 営業用プレゼンテーションとデモを徹底的に現場でトレーニングする
- プロダクトチームと連携してベータ版プログラムを用意し、リファレンスカスタマーから推薦文を得てダイレクトメールや広告に活用する
PMMはこの4つの基本に則り、以下のようにinputとoutputを循環させ、先に上げた目的を達成させます。
- プロダクトからinput
- プロダクト戦略
- リリース計画
- ビジネスチームへのoutput
- Go-to-Market戦略
- 戦略遂行サポート
どのようなステップでプロダクトマーケティングを実践するのか?
ここまでプロダクトマーケティングの基本や役割について解説してきましたが、最後にグッドパッチのPMMがこれらをどのような流れで実施するのかをご紹介します。
プロダクトマーケティングの軸となるGo-to-Market戦略については3つのフェーズに分解して進めていきます。
- 環境分析フェーズ
STEP1:課題を特定する
STEP2:競合とニーズについて調査する
STEP3:ターゲットオーディエンスを定義する
STEP4:キーメッセージを決める
STEP5:バイヤージャーニーにマッピングする - ビジネス分析フェーズ
STEP6:マーケティングプランを作成する
STEP7:セールスプランを作成する - プロセス分析フェーズ
STEP8:具体的な目標を設定する
STEP9:明確なプロセスを作成する
これらのステップを以下のポイントを取り入れながら、PdMやプロダクト開発チーム及びビジネスチームと協業しながらプロダクトグロースに向けて推進していきます。
最後に
プロダクトマーケティングや責任を持つPMMについては、古くから欧米中心にその役割自体は存在していました。現代のSaaS中心のプロダクトにおいては、ベストプラクティスなどがまだ浸透されていないものの、永続的なプロダクトグロースを実現させるためには、非常に重要な役割となります。
本記事で紹介した考え方や流れを参考に、自社にマッチしたプロダクトマーケティングの型をこの機会に検討してみてはいかがでしょうか?
グッドパッチではPdMとPMMの役割を起点に、プロダクトグロースを実現させる支援をソリューションとして提供しております。気になる方は以下のリンクよりお問い合わせください。