日本でグローバルスタンダードなプロダクト開発を。曽根原顧問×Strap佐宗対談
2021年11月日、Goodpatchの注力プロダクトであるオンラインホワイトボード「Strap」。Strapの顧問として現LinkedIn本社シニアプロダクトマネージャーであり「プロダクトマネジメントのすべて」の共著者の一人、曽根原春樹氏が就任したことを発表しました。
曽根原氏には、2021年6月から並走いただき、Strap開発チームはグローバルスタンダードなプロダクト開発を実践しています。
今回は、Strap顧問就任背景、日本におけるプロダクトマネジメントの課題。デザインとプロダクトマネジメントの関係性について、曽根原氏とStrap事業責任者 佐宗との対談をお送りします。
曽根原さん顧問就任に関するプレスリリースはこちら:https://goodpatch.com/news/strap-soneharasan
曽根原春樹さん:LinkedIn Senior Product Manager
シリコンバレーに在住15年目。これまでNASDAQ、NYSE上場の大手外資系企業でエンジニア、セールス、コンサルティング、マーケティング、カスタマーサポートと様々な役職を日米でこなし、各ポジションで表彰歴あり。サンフランシスコの米系スタートアップでは、180カ国にグローバル展開するBtoCアプリのHead of Product Managementを務めた後、日本発ユニコーン企業のSmartNews社にてプロダクトの米国市場展開をPMとしてリード。現在は世界最大のビジネス特化型SNS・LinkedInの米国本社にてシニアプロダクトマネージャーを務める。シリコンバレーの大企業・スタートアップのプロダクトマネジメントをBtoB・BtoC双方で経験し、これを元にしたUdemyでのプロダクトマネジメント講座の配信の受講者は6000人を超える。『プロダクトマネジメントのすべて』の著者の一人としてPM啓蒙活動も展開。顧問として様々な日本の大企業やスタートアップ企業もサポートしている。
(Twitter: @haruki_sonehara)
目次
これからの時代に必要なのは、ビジネスとデザインの両軸で価値を作り出せる人材
——まず大きなところから話を始めていきたいのですが、日本におけるプロダクトマネジメントにどのような課題を感じていらっしゃいますか。
曽根原春樹さん(以下、曽根原さん):日本はこれまでハードウェアのものづくりで世界で存在感をはなっていましたが、現在世界的に見ると時価総額ランキングのトップ10のうち、上位7社はソフトウェアで利益を上げている会社です。「Software is eating the world」の世界になって、価値の考え方の転換が確実に訪れてきています。ソフトウェアを生かせる企業が優位になる流れは、これからも当面続くはずですし、その流れを支えるのが、プロダクトマネジメントだと思うんです。
グローバルレベルで通用するプロダクトマネジメントの考え方というのが、日本の中でもきちんと根付いてほしいし、そこをベースに育つ人たちがたくさん出てきて、日本のプロダクトマネージャー(以下PM)層がもっと厚くなればいいなと思っています。
佐宗純(以下、佐宗):私たちグッドパッチは創業まもない頃、「UIデザインの会社」としてさまざまな事例を担ってきました。
当時は「すでに 仕様(体験)は決まっているので、かっこいいUIデザインをお願いします」といったケースが非常に多くて。そこから、より多くの企業がソフトウェアを通じて価値を提供する時代になり、グッドパッチに寄せられる相談にも広がりが出てくるようになりました。「方向性はあるが、そもそもどういったサービスを立ち上げていくべきか相談したい」「どうやってプロダクトをデザインする組織を作ればいいのだろう」というような、事業戦略レイヤーに関わる相談です。
ですからグッドパッチとしても、UIデザイン、UXデザインの領域だけでなく、事業を作る上でデザインとビジネスをきちんと横断できる人材、2つの視点を持ってプロダクトマネジメントができる人材を増やしていきたいと考えていたので、曽根原さんの課題感はとても共感します。
曽根原さん:目線が一緒でしたね。素晴らしい。
佐宗:それこそ曽根原さんのように、LinkedInというビジネスパーソンなら誰でも知っているような、世界を代表する企業でPMとして働いている日本人は少ないんじゃないですか?
曽根原さん:そうなんですよ。シリコンバレーにいる日本人PM自体、他の人種プレゼンスと比べれば圧倒的少数というのが現状です。
——そういう現状もあって『プロダクトマネジメントのすべて』を執筆されたのでしょうか。
曽根原さん:そうですね。僕はシリコンバレーでPMをやってもう10年ぐらいになります。だからこそ、世界で実践されているプロダクトマネジメントの全体像をきちんとまとめて伝えることは、日本のPM界にとって意義があるのではないかと思ったんです。
例えばシリコンバレーには、ポジション問わず世界中から才能ある人たちがやってきます。毎年ごまんと応募がある中で採用されるのはほんの一握り。PMに絞るとさらに数字が厳しくなる、そういう世界です。だからこそアメリカの、特にシリコンバレーのPM界はどんどん進化しますし、それがエッジの効いたプロダクトが生まれることにも繋がっていく。
とはいえ、日本には日本のやり方があることも分かっているので、まず世界の状況と全体像をきちんと提示して、そこから先は日本のPM界に最適化させて行く部分はあってもいいと思っています。ガラパゴス化するのではなく、グローバル共通のコアを守りながら、日本で根付くようにどのように周辺のPM領域をアップデートできるのかを議論できるようにしたいと思いながら執筆していました。
日本のものづくりには「いいものを作れば売れる」という思想がどうしてもあって、「今あるものを磨き込む」という方向に走りがちなんです。ですがこれからの時代に必要なのは「価値づくり」であって、「ものづくり」じゃない。アプローチが全然違うんです。だからこそ、実現の手段としてのプロダクトマネジメントが重要なんです。
世界で戦える可能性がStrapにはある
——そうした世界的な大きな流れがある中で、Strap顧問に曽根原さんが就任することになった背景をお聞かせください。
佐宗:Strapをリリースして約1年が経ったころ、事業責任者を任されました。他社からもさまざまなコラボレーションツールがリリースされている中で、改めてStrapをどのようなプロダクトにしていこうかと考えたときに、外部の視点もほしいなと思い、曽根原さんの著書である「プロダクトマネジメントのすべて」を読んでみたんです。そしたらたまたまStrapメンバーの1人である西山が曽根原さんとつながっていて。それで、お話させていただいたことが最初の出会いでした。
Goodpatch社内で輪読会も行われている「プロダクトマネジメントのすべて」
——曽根原さんはなぜStrapの顧問をお引き受けくださることを決めたのでしょうか。
曽根原さん:Strapのお話を伺ったときに「これは何かすごくポテンシャルがありそうだぞ」と思ったんです。新型コロナウイルスの流行という、大きなパンデミックが起こったことで、人々の働き方に対する考え方は変わりました。そうなると、プロダクトの価値のあり方も当然変わります。これまでの当たり前が通用しなくなってきていて、考え方を大きくシフトしなければならない。
その文脈の中で、Strapというプロダクトは、オンラインホワイトボードの中でイノベーションを創発する目的があるわけですよね。まさにこれからの時代にマッチしているなと思いました。
なおかつ、イノベーションを創発する目的というのは、国境や人種も関係なければ、業種も業界も関係ない。きちんと育てれば、国境を越えて戦えるプロダクトになるのではないかと思ったんです。
プロダクトの価値を感じるのはユーザーだから徹底してユーザーと向き合う
——実際に、お二人は並走してどのようなことを実行されてきたのでしょうか。
佐宗:今年7月頭に実施した打ち合わせの初回に、曽根原さんから「Strapのコアユーザーってどんな人たちなんですか?どうすればPro Strapper(Strapのコアユーザー)は生まれるんですか?」と質問されたんです。
事業責任者に就任した後、まず事業のあらゆる数字をキャッチアップしていたのですが、どうやってコアユーザーは生まれていくのかを上手く言語化できず、ハッとしました。そこからグロースプロダクトマネジメントの視点からAARRRモデルをベースにユーザー行動についてのディスカッションを深めていきました。
曽根原さん:当時、僕はStrapというプロダクトのことをほとんど知りませんでした。その上で、最初にやりたかったことは、Strapを使っているユーザーさんが一体どんな人たちなのかを知ることです。なぜならプロダクトの価値を感じるのはユーザーさんだから。価値は、我々が押し付けるものではなくて、ユーザーさんが感じるものです。
ということは、スタートは常にユーザーであるべきなんですよね。だからこそ僕は、Strapを頻繁に使っているユーザーさんが、どういう人なのかを深く知りたかった。でも「ユーザー」と一口に言っても、いろんな濃淡があります。すごく使ってくれるコアユーザーさんもいれば、そこそこ使ってくるアクティブユーザーさんもいれば、離脱しちゃうユーザーさんもいる。じゃあ、この濃淡は一体プロダクトの何が原因で生まれてくるのだろう、というのが次の関心軸ですね。
やっぱり今の時代はユーザーをどれだけ深く理解できるかというのが、コア中のコアなんです。ここなしにはすべての施策が意味がないと言ってもいいと思います。
佐宗:それで曽根原さんとディスカッションをしながら、コアユーザーのユースケースの仮説を立てていきました。
曽根原:それから、事業目標としてどこを目指したいのかというBusiness Metricの話をしていきました。この事業目標を達成するためには、AARRRモデルのどこから手をつけないといけないのかと。まさにここがプロダクトマネジメントの世界で、ビジネスの議論とプロジェクトの議論がマージするんです。
佐宗:確かに事業理解のスピードを上げたり、ボトルネックを明確にしたりする上で、AARRRモデルは非常に有効だったと思います。
かつ、最初にBuisiness Metricの話をしてからProduct Metricの話をすることで、両方がつながるというのは、僕自身が他の部門も見ていて感じることで。プロダクトづくりは、ただ価値の設計をひたすら深掘りしていくだけではなく、Business MetricやFinance Metricをきちんと設計した上でプロダクトを成立させる、そういう両輪がやっぱり大事じゃないですか。
曽根原:そうそう、そうなんですよ。
佐宗:打ち合わせのアジェンダの中に毎回ビジネス側の話とプロダクトの価値の話、両方出てくるんですよね。プロダクトマネジメントというのはプロダクトだけを考えてちゃダメで、プロダクトを中心にしたビジネスの展開を同時に推進しなければならないと改めて感じました。
シリコンバレー在住の曽根原さんとオンラインMTGを開催する様子
曽根原さん:加えて、よくデザインとプロダクトマネジメントの関係の質問をされるのですが、これもどちらかが欠けてもダメなんですよね。
特に現代のソフトウェアは、デザインとプロダクトマネジメントの結晶です。どちらかが欠けていると、プロダクトとしての迫力に欠けてしまいます。「やろうとしてることはいいんだけど、デザインが悪くて使いづらいな」みたいに。ですから、デザインとプロダクトマネジメントは車の両輪みたいに、「どちらか」ではなく「どっちも」重要なんです。
佐宗:その両輪が回る車に乗っているメンバーが全員同じ方向を向いていなければいけないんだと、この3ヶ月で実感しました。まさにプロダクトビジョンを再確認した感じです。
曽根原さん:おっしゃる通りですね。プロダクトビジョンを考えないでプロダクトを作ろうとするのはすごく危険だと思います。
というのも、プロダクトマネジメントを行う時には多くのステークホルダーと向き合うことになります。ステークホルダーの人たちがちゃんと同じ方向を向いてくれる、あるいは少なくとも同じ土俵で議論できる状態がないと、いいプロダクトは絶対できないです。そのための扇の要がプロダクトビジョン。だからこそ、ビジョンがしっかり設定できていないと、どんな議論をしても必ずズレが生じるし、まとまらなくなってしまいます。
佐宗:プロダクトビジョンがあるからこそ「WHY」が伝えやすいし、社会に対する「WHY」も発信できる。すべての「WHY」がプロダクトビジョンに紐づきますよね。
プロダクト志向組織を目指してチームもアップデートしていく
——プロダクトビジョンの次にはどのような議論があったのでしょうか。
佐宗:プロダクトのビジョン・ミッションに従ってロードマップをアップデートしたことです。Strapのビジョンとして「世界を前進させる偉大なチームを増やす」、ミッションとして「すべてのチームに結びつく場所」と定めた上で、「じゃあこのビジョン・ミッションを持ってロードマップをアップデートしましょう」と曽根原さんから言われて。
曽根原さん:プロダクト戦略だったり、ロードマップだったり、すべてがビジョンにつながるように設計し直さなければならないので。
佐宗:プロダクトのビジョン・ミッションに沿ってロードマップをアップデートしたあとに、曽根原さんから打ち合わせで「セールスとマーケのアクションを話しましょう」と言われて。一見すると直接的な繋がりがない領域も、プロダクトマネジメントの領域なんですよね。
曽根原さん:僕がStrapを通して実現したいことの1つに、「Product Led Organization」という考え方があって。日本語で言うと「プロダクト志向組織」になるのかな。
「Product Led Organization」は、プロダクトを作る活動が中心にあって、そこにあらゆるビジネスファンクションがつながっているんです。この考え方の下では、営業もマーケティングもカスタマーサクセスも、全部がプロダクトビジョンの実現のために一緒に動いています。なので僕はStrapも、単に何をどう作るというロードマップ的な話をするのではなく、その先にある、営業やカスタマーサクセスの動きも一緒に議論しないと意味がないと思っているんです。
——佐宗さんから見て、曽根原さんが入ってくださったからこそのメンバーの変化はどういうところにありますか?
佐宗:先ほどの話にも通じますが、これまではどうしてもマーケティング・セールスの組織と開発・デザインの組織がそれぞれ独自に動いて頑張っていました。ですが曽根原さんからのアドバイスを元に、プロダクトビジョンを起点に、今のStrapがプロダクトとしてどういう状態にあって、これからどのような状態を目指していきたいのかをチーム全員に共有できたことで、全員がユーザーやビジネスのステージを認識し、同じ視点に立てるようになったんです。
「このオンボーディングはStrapっぽくなくない?」とか「この機能はStrapの目指すところとちょっとずれてない?」というようなフィードバックが自然とチームの中から生まれるようになったことは大きな変化だと思います。
Strap PM 大竹からみた変化
海外の競合が資金力や人材の厚みで数十倍勝っている中、後発プロダクトとして「どんな選択をするか?」が事業の生命線になります。曽根原さんの参画によって、実行から数段階乖離のある方法論ではなく事例や経験をもとにした具体論で議論を重ねる機会が多くなりました。日本にいると知り得ない実践的なアドバイスをいただけることはもちろん、機能の優先度、分析基盤構築、メトリクス設計、人材採用、リソース配分など、事業フェーズから逆算してやるべきこと・やらないことの練度を上げる議論・判断をできるようになったのが1番の大きな変化だと思っています。
実は曽根原さんとのミーティングは全部Strapに蓄積していっているんです。メンバーにも開放しているので、どういうディスカッションをしてきたかがすべてボード上で一覧できます。ナレッジを貯めつつ、思考の軌跡を簡単に振り返ることができる。Strapの良さを自分たちがまさに享受している感じです(笑)
——プロダクトづくりにおいて求められる、デザインの役割はどのようにお考えでしょうか。
佐宗:今まで話してきたようなところは、グッドパッチがこれまでやってきたことでもあります。グッドパッチの言葉でプロダクトビジョンは「ブランドエクスペリエンスデザイン」の領域で、きちんとプロジェクトの目指すビジョン・ミッション・バリューを策定していきましょうというところから、デザインプロセスに組み込まれています。プロダクトづくりとデザインはどうしても切り離せないし、切り離して考えちゃいけないと思うんです。ですから、プロダクトマネジメントの考え方を起点にして、事業そのものを作っていく、そういった視点がこれからのデザイナーには必要なのではと思っています。
継続的に成長していくためには、デザインだけを考えていればいいのではなく、デザインが持つ役割をより拡張して、ビジネス戦略やプロダクトビジョンのレイヤーから、そのプロダクトの機能一つひとつの体験をデザインをしていかなくてはならないんです。
曽根原さん:プロダクトが進化してるということは、作り手がユーザーさんに対して新しい価値を継続的にどんどん生み出している状態で、その価値の体現がデザインなんです。デザインというのは、あるタイミングでの価値のスナップショットであって、その瞬間のデザインだけを考えているだけではダメなんですよね。
佐宗:確かに、デザイナーがプロダクトマネジメントの観点を身につけることで、今回で言うとAARRRモデルのように、プロダクトの成長と顧客の価値の最大化を同時に考えられるようになると思います。そうすると、よりデザインの持つ力、それこそUXデザイン、サービスデザインの考え方そのものがアップデートされていくはずです。
Strapを通じて偉大なチームを生み出し、デザインの力を証明したい
——今、改めてデザイン会社であるグッドパッチが自社プロダクトStrapを作る意味はどういうところにあると思われますか。
佐宗:Strapも、グッドパッチが掲げている「デザインの力を証明する」というミッションを達成するための事業だと思っています。特にStrapはちょうどリモートワークが普及したときに生まれたプロダクトなので、Strapを通じてオンラインコラボレーションができる人が増えて、組織の中にナレッジや議論の資産がどんどん溜まっていくことで、組織自体がアップデートされていって欲しいという願いが込められています。すべてのチームが結びつく場所をStrapが提供することで、日本社会をアップデートする一助になるんじゃないかと思っています。
一方で、社内の変化としては、プロダクトマネジメントのナレッジを循環していく役割がSrtapの使命だと思っていて。実はグッドパッチでも全社研修の一環として、曽根原さん主催のUdemyのBtoBプロダクトマネジメント講座を講座を受けることを提案しました。
僕自身が曽根原さんからプロダクトマネジメントの真髄を学んだことで非常に視点が変わりました。だからこそ、プロダクトマネジメントの考え方はデザイナーこそ持つべきものだと思い、社内で提案してみたところ、想定定員を上回る70名以上の応募が来たんです。
受講したい理由も非常に熱量が高くて。「UXデザイナーとして、またサービスデザイナーとして、プロダクトの企画だけでなく、事業成長やグロースを追っていけるデザイナーになりたい」とか「デザインストラテジストとしてBtoBプロダクトの知見を深め、プロジェクトの中でさらに価値を出していきたい」とか。
それぐらいグッドパッチ社内においても、プロダクトマネジメントへの着目度は高いし、パートナー企業からも求められている証拠だと思うんですよね。
そろそろこの研修の結果がプロジェクトに実装されていく頃なので、グッドパッチがプロダクトマネジメントの考え方を導入することによって、どのように変わっていくのかということはとても楽しみに思っています。
曽根原:ありがたい話ですね。本当にありがとうございます。
——最後にStrapを通じて、世の中にどんな価値を提供していきたいと思っていますか。
曽根原さん:よく現代を「VUCAの時代」と言いますよね。ユーザーさんの嗜好の変化のスピードも変わったし、嗜好自体も多様化しています。「いいものを作って売れさえすればいい」という時代はとっくに終わっているんです。だからこそ、新しい価値を継続的に創造しなければならないし、その価値の連鎖によってユーザーさんができることが増えたり、ユーザーさんの生活や仕事がよい方向に変わっていったりすることが求められる時代であることは間違いがありません。
その中でStrapは、こうした新しい世界を実現するための強力な手段だと僕は思っています。新しい価値が生まれる背景には、いつもStrapがあるみたいな。そんな世界を僕は一緒に作りたいなと思っていますね。
佐宗:すごく共感します。曽根原さんは外部顧問ではありますが、チームの一員の実感を既に持っていただいていてとても嬉しいですね。
曽根原さんが、新しい価値が生まれるところにStrapがある世界を作りたいと仰っていましたが、それはまさにグッドパッチの価値観そのものでもあります。僕たちは、ツール単体を広めていきたいというよりも、使っていただいているクライアントさんに「文化」を残したいと常に思っています。
ですから、Strapを通じてコラボレーションカルチャー、つまりすべてのチームが結びつくカルチャーそのものを広めることが最終目標。Strapを通じて、より偉大なチームを生み出していきたいし、それによってデザインの力を証明したい。そのビジョン・ミッションを達成していくためには、ただ単にツールのユーザー数を増やすだけではなく、きちんとコラボレーションカルチャーが根付いているかどうかを価値として提供できるかにかかっていると思います。
曽根原さん:Strapチームとこれから実践したいのは、仮説検証のスピードを上げることです。価値というのは、出した瞬間から低減していくものなので、ずっと出し続けていかないと、ユーザーさんは新しさを感じなくなり、最終的には離脱してしまいます。
なので、常に新しい価値を出し続けるアクティビティが自然となるようなカルチャーを作りたいと思っています。仮説検証のスピードを上げて、価値を生み出し続けることが当たり前になる状態を作りたいですね。
佐宗:Strapを通じて、コラボレーションを中心に価値を創っていくことが、日本の仕事のスタンダードになっていく。こういった世の中を達成できると、グッドパッチがStrapを作っている意味が強固になるのだと思います。引き続き曽根原さんにお力をお借りしながら、ビジョンの実現に向かって、ひとつひとつ積み上げていきたいです。