12時間でプロダクトビジョンとロードマップの作り方を学ぶ、グッドパッチのPdM向け研修
「プロダクトの存在意義をメンバーに示せていない」「プロダクトが向かう先がどこなのか、うまく言語化できていない」
プロダクトの方針を示すのは、PdM(プロダクトマネージャー)の大きなミッションですが、苦戦する方も多いのではないでしょうか。
グッドパッチでは、プロダクトマネージャーに向け、「ユーザー視点で、プロダクトビジョンと中長期ロードマップを策定する」をテーマにしたワークショップを提供しており、先日、ノーコード開発を特徴とする企業向けソフトウェアなどを手掛けるアステリア様からご依頼をいただきました。
同社は、社内に複数の事業とプロダクトがあるものの、プロダクトマネジメントの経験が少ないメンバーもおり、手探りで進めている状態だったそう。プロダクトのフェーズが違うためそれぞれ異なる課題を抱えており、どこから手を付けるべきか思案していたといいます。
そこで、まずはプロダクトチームがどこを目指し、何を実現させるべきか?そして、設定したゴールに向けてどのような道筋を描くべきか?という、最もコアな部分について関わるチームメンバーの目線を合わせる初期フェーズから、プロセスを描く手法を事業に持ち帰っていただくこととなりました。
この記事では、アステリア様から3名のプロダクトマネージャーにご参加いただいた、3日間のワークショップの様子をダイジェストでお届けします!
Day1:プロダクトビジョンの策定
1日目は4時間という短い時間で、Zoomのビジネスプランを題材にして、プロダクトビジョンを立てる上で最も重要なユーザーを起点に「誰をどうしたいのか」を考えてプロダクトビジョンを策定しました。
事前に作成してもらった仮想のペルソナを用いて、「このペルソナには、この先どのようになってほしいか」「このペルソナには、その時何に困っているか」という問いに答える形で、ペルソナに提供したい価値や抱えてしまうであろう課題を挙げていきます。
次に、挙げていった価値や課題をグルーピングした後に、それらの関係性を構造化して価値マップを作成します。
この価値マップを基に、プロダクトビジョンの言語化を行います。言語化する際にはテンプレートを用いて、最終的には、以下のようなプロダクトビジョンを言葉にできました。
- 現在、コミュニケーションでいい印象を持ちたい人がいい印象を持ってもらいたいと望むとき、彼らは相手の情報に基づきコミュニケーションを盛り上げなければならない。この状況は情報収集に時間がかかる/コミュニケーションの中で変化し判断が難しいため、受け入れられない。我々は相手の状況からコミュニケーションの流れを提案し、いいコミュニケーションの場を作る世界を夢見ている。
- 現在、オンラインでセミナーや会議を行う人が会議の目的を果たしたいと望むとき、彼らは参加者の反応を確認しながら、相互コミュニケーションを行わなければならない。この状況はオフラインと同等またはそれ以上に相手に伝え、反応を享受しにくいため、受け入れられない。我々は話して聞き手に伝えたいことがきちんと伝わる世界を夢見ている。
- 現在、ビジネスパーソンが社内外の関係者との円滑なコミュニケーションを望むとき、彼らはオンラインミーティングだけではなく、リアルミーティングやチャットツールなど、さまざまなツールを併用しなければならない。この状況は情報の分散化や検索の困難化を招き、ひいては業務効率の低下やストレス増大につながるため、受け入れられない。我々はリアルミーティングよりも円滑に、音声・ビデオ・テキストの垣根なくコミュニケーションできる世界を夢見ている。
Day2:中長期ロードマップの策定
2日目は同じく4時間のワークで、Day1で作成したプロダクトビジョンを題材に「どうしたらプロダクトビジョンに近づけるか」を設計しました。
始めに「ペルソナがプロダクトビジョンに近づくためにZoomは何をすべきか」という問いから考えました。ここで挙げた提供価値を構造化し、価値の分解図を作成します。
整理した価値を提供できたら、ペルソナにどのような影響を与えられるのかを整理し、どの提供価値から着手していくのかを整理することで、以下のような中長期ロードマップを作成できました。
Day3:自社プロダクトへの落とし込み
3日目はDay1、Day2で行ったプロセスをなぞって、4時間で自身のプロダクトに落とし込みました。
事前に実在のユーザーをモデリングしたペルソナを作成し、まずはクイックに手を動かす姿勢で望んでいただき、自社プロダクトにおいても、プロダクトビジョンと中長期ロードマップの土台を作成することができました。
参加者の感想
ワークショップ終了後、アステリア様からご参加いただいた3名の方に、以下のようなコメントをいただきました。
- 鈴木様「プロダクトを成長させるためにさまざまなフレームワークや思考法がありますが、それらを知ることと活用することの間に高い壁があると感じています。今回のワークショップでは、サンプルプロダクトで学んだ後、自社プロダクトへの適用までワークとして組み込んでいただいたので、両者の違いを具体化しながら活用へのイメージをつかむことができました。今回の経験を土台に社内メンバーへ展開していきたいです」
- 大野様「製品ロードマップ策定まで、どのような考え方やステップが必要なのか実践を通して学習できるため、アウトプットを通して自分の思考の偏りやつまづくポイントに気付けました。ワークショップ自体、最初はどんなものか不安もありましたが、メリハリを付けながらも明るい雰囲気で質問や相談がしやすく、悩む部分は丁寧にアドバイスをいただけるので、ポジティブに課題を進めることができました」
- 東海林様「知識だけでなく、ワークショップ形式で経験しながら学ぶ貴重な機会になりました。講師や参加者からのフィードバックで気付かされることも多く、参加して良かったです。また、今回の研修を通じてPM同士のつながりが深まったため、お互いにこれまで以上に相談しやすくなりとても心強いです。実務との間にはまだギャップを感じますが、試行錯誤しながら製品も自分自身も成長していきたいと思います」
最後に
今回のワークショップは、基本的にはプロダクトビジョン、および中長期ロードマップの策定を体験するものであり、Day3の4時間で自社プロダクトに落とし込んだものが、そのまま採用できるものではありません。「事業収益を上げられる戦略になっているか」「自社がやる意味のある事業になっているか」といった事業観点を踏まえて策定する必要があります。
しかし、まずはユーザーを起点にしてこれらを策定することで、事業責任者やチームメンバーと同じ方針を見ながらディスカッションをすることができます。
顧客への提供価値を定義するプロセスや考え方を体感したい方、目的からやることを考える逆算思考を学びたい方などにおすすめのワークショップです。ぜひお気軽にこちらからお問い合わせください!
関連リンク
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