どのようなサービスづくりにおいても、届けるユーザーを定めることは重要です。
多くの情報があふれる中で、ユーザーは自分が使いたいと思うサービスを自ら取捨選択しています。また、ユーザーに自分たちのサービスを選んでもらうためには、彼らの悩みを解決することが不可欠です。そのために、ユーザーの「悩み」や「課題」を明確にするのがペルソナ法です。

とはいえ、プロジェクトによって、ペルソナの作成方法は様々。答えは一つではないのです。
今回は、ペルソナを作ったことがない人や、具体的な例を知りたい方向けにペルソナの作り方とポイントについてご紹介します!Goodpatchのクライアントワークにおけるペルソナ策定方法を事例としてとりあげますので、ぜひ参考にしてみてください。

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ペルソナとは

ペルソナとは、商品やサービスのターゲットとなる架空のユーザー像です。

サービスを0から作る際やグロースをする際、チーム内でターゲットユーザー像が明確でないと、サービスの方向性にブレが生じてしまいます。ペルソナを作成してチーム全体で認識を統一することで、より的確な戦略を立てることができるのです。
ペルソナを作るときは、その人物が実在しているかのように、年齢・性別・居住地・職業・役職・年収・趣味・価値観・家族構成・休日の過ごし方・ライフスタイル・ネットリテラシーなどリアリティのある詳細な情報を設定します。

ペルソナの作り方は一つではありません。会社やプロジェクトによって、手法や行程は多少なりとも異なります。では、これらの情報をどのように定めればいいのかをみていきましょう。

ペルソナの作り方

1. ターゲットユーザーのおおまかな像を定める

まずサービスのターゲットユーザーは「どのような人物か」「どのような悩みを持っているのか」を知るために、ターゲットユーザーになりうる人のオンラインリサーチを行いましょう。

例えばコスメ系のサービスのターゲットユーザーを考える際、「新しいコスメを買うときに、どのような悩みを持っているか」や「コスメを買うときに、いくらまで支払うか」などユーザーの悩みや購入時の実例をリサーチします。FacebookやTwitterなどのSNSで話題になっているサービスや、コスメに関連するメディア記事、統計記事などを参考にすることより、具体的な情報を得られます。

これらのリサーチを元に、以下のような大まかなターゲットユーザー像を作ります。

リサーチ結果を元に、ターゲットユーザー像の「特徴」「悩み」を書き出します。このときにオススメなのが、その人物像に合った「写真」とその人を表す「一言」を加えることです。「写真」と「一言」を挿入することで、ターゲットユーザー像がより具体的になり、チームメンバーと共通したイメージを持つことができます。「女子高生」だけではなく「新しいもの大好き女子高生」と命名することで、よりターゲットユーザー像が明確になるでしょう。プロジェクトにより異なりますが、このターゲットユーザー像は大体6~8人作成します。

過去のGoodpatchの事例では、サービスの価値観の軸を元に作成したターゲットユーザー像を分類しました。サービスが生み出す価値と、サービスのターゲットユーザーになるであろう人物を絞り込むのです。これにより、ターゲット像を決める基準を定めることができました。
ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。

2. ユーザーインタビューを実施する

リサーチでおおまかな像を定めただけでは、「ペルソナを作成した」とはいえません。想像しただけの人物像を作り上げると、自分たちに都合が良いペルソナになってしまいます。ペルソナを作るポイントは、作成したペルソナが実際に目の前にいて、何を考えているかを見通せるまで突き詰めることです。そこで、よりリアリティのあるターゲットユーザー像に近づけるため「ユーザーインタビュー」を実施します。

ターゲットユーザー像に近いインタビュイーを見つけるために、まずはオンラインアンケートでインタビュイーを絞り込むと良いでしょう。
GoodpatchではGoogle フォームのアンケート機能を活用して、インタビュイーを策定することが多いです。

Google フォームは、記述式・選択式・プルダウン形式・チェックボックス・評価スケールなど、さまざまな形式の質問を作成できることに加え、画像や動画の挿入も可能です。アンケートの回答結果は自動的にフォームに集計されるので、回答者の情報を簡単に整理できます。
例えば、コスメに関するアンケートを作成する際、「年代」や「職業」の他に「1ヶ月でコスメにどれくらいお金をかけるか」「コスメを購入する時、金額を重視するか」など、その人の価値観や買うときの行動がわかる質問を問いかけるとよいでしょう。集計後、回答結果からメインターゲット像に近い人を選定し、対面でのユーザーインタビューを行います。

ユーザーインタビュー実施方法やポイントに関しては、ぜひ以下の記事を参照にしてみてください!

 

3. ペルソナシートに落とし込む

インタビューを実施したら、それらの情報を整理しペルソナシートにまとめましょう。ペルソナシートとは、ユーザーインタビューで得た情報を統合して作り上げた架空の人物のプロフィールです。Goodpatchで使っているペルソナシートを例に、どのようなものかをご説明します。

 

 

  1. PROFILE どんな経歴の人物なのか
  2. BEHAVIOR どんな行動様式をとるか
  3. PAIN どんな悩みを抱えているか
  4. GOAL どんな目的を持っているか

インタビュイーの経歴の他に、その人の「悩み」や「目的」を記入します。ユーザーインタビューを実施したことにより、今まで仮説だったユーザーの課題やゴールが信憑性のある情報となり、マーケティングへの道筋ができます。ペルソナシートに情報をまとめることで、チームメンバー間での情報共有も効率的になるのです。ユーザーインタビューの際、インタビュイーの許可を取り、彼らの写真をペルソナシートに使うのもよいでしょう。

4. ペルソナの要素を具体化する

ペルソナシートに記載した情報を元に、ペルソナを作り上げます。プロジェクトにより異なりますが、2~4人のペルソナを作成するといいでしょう。

ペルソナシートには、以下のような要素があります。

  • プロフィール
    年齢、年収、学歴など詳しい経歴や日常の行動
  • 人物写真
    インタビュイーの写真やイラスト。インタビュイーの素の情報や価値基準を知るために、写真を撮らずにイラストで表現することもある
  • 消費行動
    ユーザーがよく買う商品、買う基準、きっかけ、決め手など買うときの行動基準
  • 一言
    ペルソナを一言で表す

ペルソナを作るときは、ユーザーインタビューから得た「共通したリアルな価値観、特徴」を持つ複数のユーザーを統合して、架空の人物像であるペルソナを作ることもあります。例えば、ペルソナ1は「コスメに月々1万円使う」と回答した人、ペルソナ2では「ネットでコスメを買う」と回答した人、など特徴に分けて作成します。その人が実際に存在するかのように、ペルソナを作り上げることが大切です。

また、ユーザーインタビューをした人をそのままペルソナに設定する方法もあります。プロフィール、属性、消費行動、価値観など全てを一人のインタビュイーから作りあげるのです。実際の人をペルソナとして設定することで、プロジェクトの途中でユーザーの行動に悩んでいる時に「ペルソナの◯◯さんなら、このような時きっとこのような行動をすると思う。合っているかどうか、実際に◯◯さんに聞いてみよう」など仮説を実際にユーザーインタビューで検証することができます。よりリアリティのあるペルソナにアップデートをすることができるのです。

このように、ペルソナの作り方は一つではありません。プロジェクトやサービスに合ったペルソナ作成方法を見つけてみてください。

5. メインターゲットを決定する

ペルソナを作ったら、その中からプロジェクトのメインターゲットを決めます。メインターゲットとは、そのサービスをもっとも利用するであろうユーザーのことです。プロジェクトのターゲットになりうる人が持っているであろう価値観や行動様式を選定し、それら全ての要素を持つペルソナをメインターゲットに選定します。

メインターゲットは以下の基準で決定しています。

  • ターゲットが持つであろう価値観を全て持っている
  • 高頻度にサービスを利用する
  • 企業がサービスを届けたい人

メインターゲットの他にサブターゲットを策定する手法もあります。サブターゲットは以下の基準で決定しています。

  • ターゲットが持つであろう価値観をほとんど持つが、メインターゲットと職種や年代が異なる
  • ターゲットが持つであろう価値観をほとんど持っていないが、今後ユーザーになる可能性がある
  • サービスを高頻度で使わないが、あったら困らないと考えている

など、今後ターゲットになるであろうペルソナをサブターゲットに選定するのです。
これにより、将来的に可能性を広げるようなユーザーも視野に入れてターゲットを決定しましょう。

まとめ

このようにぺルソナの作り方には、特定の方法があるわけではなく、プロジェクトやサービスによって臨機応変に変更します。ペルソナの改善を繰り返し、都度アップデートをすることが大切です。
検証を積み重ねて、よりリアリティと説得力のあるペルソナを作りましょう。

ペルソナを作成した後には、「カスタマージャーニーマップ」を作り、ペルソナの行動を時系列でまとめましょう。カスタマージャーニーマップの作り方については、こちらを参考にしてください。

カスタマージャーニーマップが必要な理由とは?目的と作り方

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