新しいものが大好きなGoodpatchで3月話題になったアプリ、サービス、デザインまとめ(2024)
春の陽気の訪れが感じられると同時に、花粉と人間との共存を考えさせられる季節になりました。花粉症に苦しむ方も、そうでない方もいかがお過ごしでしょうか?
今月もGoodpatchで話題になったサービスやトレンドを紹介します!
目次
サービス
Pokémon Trading Card Game Pocket 発表
https://www.pokemon.co.jp/ex/pokemon_tcg_pocket/ja/
世界中で楽しまれているポケモンカードを、手軽にコレクションできるアプリ「Pokémon Trading Card Game Pocket」が発表されました。2024年内のリリースを目標に開発中ということです。
「ポケモンカードゲーム」は、ゲームソフト「ポケットモンスター」シリーズの世界観をテーマにしたトレーディングカードゲームです。発売から28周年を迎え、「ポケカ」の愛称で大人から子供まで広く親しまれているアナログゲームのアプリ版とあって、ファンからも期待や驚きの声が上がっています。
新しいパックをゲットした際には、カードのパッケージを切るモーションが付いており、どんなカードが入っているかワクワクしながらカードを開封する、アナログな体験がアプリでも再現されています。同様に、カードの並び替えやカード交換などでも、アナログな体験の心地よさが演出に盛り込まれています。
公開された動画に登場したアプリのUIを見ると、ニューモーフィズムのデザインスタイルが採用されており、影と光の表現による、リアルな質量感のあるボタンやアイコンが印象的です。物理的なカードであるポケモンカードと相性が良いUIの質感になっていると感じます。
また、ポケモンカードに描かれたイラストの世界に飛び込んでいるような映像が見れる「イマーシブカード」と呼ばれる演出など、デジタルアプリならではの工夫にもワクワクしますね!アナログゲームであるポケモンカードの体験を壊さず、デジタルだからこそできる演出への挑戦が感じられる体験設計に注目です。
コープデリ宅配アプリ、リリース
https://www.coopdeli.jp/information/app-release/
関東信越1都7県の6生協で構成するコープデリ生活協同組合連合会は2月19日、コープデリ宅配の注文アプリをリニューアルし、新たに「コープデリ宅配アプリ」をリリースしました。
本アプリでは、コープが取り揃える食材や日用品など、計6,000点以上の商品を手軽に注文できます。注文形式のデジタル化にとどまらず、カタログをタップすることで注文できる「WEBカタログ」の機能や、魅力的な商品との出会いをサポートする多様なレコメンド機能など、アプリならではの注文体験を実現しています。
これらの体験設計に加え、サービス全体で統一されたポップな世界観は、商品の探索をよりワクワクさせてくれるはず。新たに実装された暖かなデザインが、豊富な商品と配達員さんをはじめとしたコープの方々の優しさという独自性を、より象徴するものになるでしょう。
例えば、見やすくなったアレルゲン表示。豊富な食品の中でも、自分が食べられないものをしっかりと教えてくれる優しさを体現しています。SNSでの反応を見ると「助かる!」といった声も届いています。
本アプリはグッドパッチがUI/UXデザイン支援を行いました。リリースまでのプロセスが気になる方は、こちらの記事もぜひチェックしてみてください!
渋谷でつながるアプリSHIBUYA MABLsが話題
東急不動産株式会社が2月26日、エリア特化型のアプリ「MABLs(マブルス)」をリリースしました。このサービスは、渋谷で働く人を中心に、渋谷へ訪れる人々が、職場やコミュニティーを超えて気軽につながることができる、コミュニティアプリとなっています。
このアプリは、「渋谷への出社」を起点にしたエンゲージメント向上が目的とされています。渋谷に訪れるたびに渋谷のお店ポイントが貯まるという出社のインセンティブ設計や、貯まったポイントを同僚やアプリ内で繋がった人と共同利用できたり、出社している人を確認して外食に誘えるなど、コミュニケーションの起点となるような仕組みになっています。
Goodpatchも渋谷にオフィスがあるため、筆者もダウンロードしてみました。せっかく出社しているなら、どこかでランチをしたいと思うものの、誰を誘ったらいいか分からないという状況はこれまでもあったため、このサービスは人を誘うフックになると感じます。
また、渋谷で働く他の会社の方々とも繋がれるという特徴も面白いです。コロナ禍以前においても、近くの会社同士の交流は生まれにくかったと思います。このサービスで新たな会社同士の繋がりやコミュニティが生まれることで、イノベーティブなアイデアが生まれるかもしれません。
博報堂が7000人の「バーチャル生活者」の本音を理解できるサービスを開発
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/109174/
博報堂は3月22日、生成AIを活用し7,000タイプの「バーチャル生活者」を深く理解できるサービスプロトタイプの開発を発表しました。
本サービスは、毎年7,000人に調査を実施している博報堂オリジナルの大規模生活者調査データベース「HABIT」から、生活者の基本プロフィール・価値観/意識・生活行動・消費行動・メディア消費・ブランド評価の情報を生成AIに読み込ませることで、7,000タイプの生活者を再現したものです。バーチャル生活者とメッセージアプリのようにやりとりができる機能を搭載し、忖度のないリアルな意見やニーズなどの本音を聞き出すことを目指して作られています。
また、UIの観点でも、バーチャル生活者の感情を引き出すメッセージの画面や、複数のバーチャル生活者同士の会話を観察するようなカンバセーションの画面などにおいて、ユーザーの創造性を刺激するように工夫されているとのこと。
従来のユーザーインタビューでは、緊張やバイアス、立場など、さまざまな要因によりインタビュイーの本音を聞き出すことが難しいとされることが多々ありましたが、このサービスで、より簡単に本音を引き出せるようになることに期待したいです。
現在はプロトタイプとして博報堂社内で試験的に活用・ブラッシュアップを行っているそうで、今後は対外的なサービス展開も見据えているとのことです。
デザイン
「こんな人と話したかった!」を実現するプラットフォームCULUMUリサーチ
2024年3月7日、株式会社STYZが運営する「多様な人々・社会と共創するインクルーシブデザインスタジオ」のCULUMUは、これまでリサーチが難しかったターゲットとの定性リサーチが行えるプラットフォーム「CULUMUリサーチ」をリリースしました。
CULUMUリサーチは、3000団体以上のNPO・NGOとの繋がりを通じて希少なN=1が多く集まる調査パネルを基に、これまでリサーチが困難であった人々に繋がることを実現したサービスです。
定性リサーチにおけるリクルーティングでは、「想定していた人と違う人が来てしまった」となることも少なくありません。そうした食い違いを防ぐためには、デモグラフィックな項目だけでなく、価値観や行動に訴求したリクルーティングが必要になります。
本サービスは、そうした「特性・経験」から候補者を募集できる仕組みを実装しており、ユーザーは最適なリクルーティングを目指すことが可能になります。
ユーザー中心にサービスを設計する際、デザインの手法を用いた定性リサーチは必須と言っても過言ではありません。リサーチの効果を最大化するため、リクルーティングは非常に重要な要素となります。本サービスを使って、繋がりづらい人に話を聞くことで、尖ったインサイトが生まれることも期待できます。今後の動向に期待です。
Figma Japanの事業方針発表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000097201.html
Figma Japan株式会社は3月13日に東京・丸の内オフィスで事業戦略発表会を開催しました。
今回のイベントには、Figmaの創業者兼CEOのディラン・フィールド氏が来日し登壇。「デザイン・ツール」から「ソフトウェア開発プラットフォーム」としてのFigmaの進化について話すとともに、「想像を現実に変えていく」というビジョンに対し、AIとDev Mode(開発モード)がどのように生きるのかが解説されました。
また、イベント内ではFigmaが日本向けにローカライズされてから2周年を迎え、日本が世界のFigmaの中で、最も急成長している地域であることにも言及されました。
Figmaは2023年9月にGoogle for Educationとパートナーシップを開始しており、日本の小学校・中学校・高校にサービスを無償提供することで、現在35,000人以上の児童生徒がFigmaとFigJamを使用しているとのこと。今後もFigmaの日本での成長に期待が集まります。
イベント
デザイナー黒歴史フェス開催
https://kurorekishi-fes.peatix.com/
2024年3月16日に大阪天満橋の株式会社NASUの事務所にて、デザイナー黒歴史フェスが開催されました。過去の仕事における失敗を披露しあい、誰も教えてくれない有益な話として「成仏」する機会として開催されたようです。
ショックの大きい黒歴史ほど、なぜ失敗したか、どのように乗り越えたかなど、非常に大きな学びになります。内容は参加した人だけの秘密ということみたいですが、Xなどでも少し失敗談がポストされ話題になっていました。
筆者も興味があったものの、大阪での開催ということで参加できませんでした。東京でも、同様のコンセプトでイベントを行っても面白いかもしれませんね。
ビジネス
Unityとマツダ、パートナーシップ契約締結
https://unity3d.jp/news/unitywithmazda/
2024年3月7日、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社はマツダ株式会社とコックピットHMI(自動車の運転席周りの空間におけるインターフェース)におけるGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の開発共創を支えるパートナーシップ契約を締結したことを発表しました。
ユニティは世界シェアナンバー1のマルチプラットフォームに対応したゲームエンジンを提供しており、そのリアルタイム3Dの評価の高さや多岐にわたるハードウェアへの実装実績などから、今回マツダとの契約締結に至りました。今後、ユニティとマツダが共創したGUIは、2025年〜2027年以降に市場投入されるモデルに採用される予定と発表されています。
マツダは、2030 VISIONとして「「走る歓び」で移動体験の感動を量産するクルマ好きの会社になる。」と掲げており、VALUEの中でも「ひと中心」という言葉が登場するように、快適で安全・安心な移動体験だけではなく、移動することの感動や心のときめきを創出への貢献を目指しています。
一方で、クルマは年々多機能になってきており、その機能を使いこなせないという人も増えてきています。今回のユニティとのGUI開発において、「使いやすさ」の向上はもちろん、「ハートを揺さぶる」移動体験の創造がなされていくことに期待したいです。