新しいものが大好きなGoodpatchで12月話題になったアプリ、サービス、デザインまとめ(2023)
2023年も残りわずか。そろそろ帰省をする方も多い時期になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。今月もGoodpatchで話題になったサービスやトレンドをご紹介します!
目次
AIトレンド
Geminiリリース
https://japan.googleblog.com/2023/12/gemini.html
米国時間12月6日、Googleが高性能AIモデル「Gemini」を発表しました。
Geminiはテキスト、画像、音声、動画、コードなど、さまざまな種類の情報を一般化してシームレスに理解し、ユーザーの動作や質問に応じて、情報を組み合わせて柔軟に返答を返すマルチモーダル型のAIです。さまざまなベンチマークテストで既存のマルチモーダルモデルよりも優れた能力を発揮し、ほぼすべてのドメインで最高水準の成績を収めています。
公開された「ハンズオン Gemini: マルチモーダル AI とやりとりする」という動画では、カメラで地図を見せて「ゲームを考えて」と言うと、Geminiが国当てゲームを提案し、そのゲームで遊ぶ様子や、ユーザーがキャンバスに描いた絵のクイズを理解し、Geminiが正解する様子などが映っています。
こちらの動画はGeminiで何が可能になるかを表現したイメージ映像であり、Geminiはまだリアルタイム応答には対応していないようですが、さまざまなタスクを遂行できることがわかります。
非言語も含めたリアルタイムのコミュニケーションができることで、カメラの画像認識を用いて、日常生活の中によりAIが介入できるようになるのではないかと期待ができます。全ての個人にAIコンシェルジュがつく時代も到来しそうだと感じさせられるニュースでした。
マスク氏、対話AI「グロック」をX有料プランで本格提供を発表
12月8日、X社は自社のXアカウントにてXのPremium+を契約している米国ユーザー向けに、独自のAIモデル「Grok」の公開を開始すると発表しました。
Grokとはイーロン・マスク氏が2023年7月に新しく立ち上げた「xAI」という企業が提供するAIモデルです。他社AIと異なる特徴として、X上に存在するリアルタイムの情報にアクセスして回答をする点や他のAIモデルでは回答が難しい質問にもウィットに富んだ答えを出すという点が挙げられます。また、X上のサイドバーから気軽に開いて使える点も魅力の一つです。
リアルタイムで起きているニュースのまとめや、エンゲージメントが高い投稿の分析といった用途での活用が期待されています。
イーロン・マスク氏は、米国ユーザーの次に日本ユーザー向けに公開する意向を示しつつ、世界のさまざまな地域への公開が続々と発表されています。
Twitterでの一次情報はこれまで、信ぴょう性が定かではなく、引用先として扱うには不十分なものとされていました。しかし、これまでのアップデートでファクトチェックができるようになったり、今回のGrokによって内容をまとめたりすることができるようになったことで、より個人の発信が力を持つことができるようになるのではないかと感じました。今後の動向に期待です。
デザイン
Figma専用の左手キーボード「Figma Creator Micro」公開
https://store-jp.figma.com/products/figma-creator-micro-keyboard
12月12日、Figma専用の左手キーボード「Figma Creator Micro」が公開されました。
Figma Creator Microは、Figmaユーザーが必要な機能を素早く実行でき、ちょっとした遊びもできるというハードウェアの触覚ツールとなっています。Figmaと Work Louderのコラボレーションにより実現しました。
Figmaの公式ブログでは、コラボレーションの経緯とキーボードの歴史について解説しており、多用途になるために犠牲にしてしまったFigmaの個性と品質を取り戻すために、効率化のためだけでない愛されるメカニカルキーボードを作りたいという企画者の思いが綴られています。
記事公開日現在、セール中で139USドルで予約注文ができます。物理スイッチはカチッと音が鳴るクリッキーまたはサイレントを選択できます。
仕事での強力なパートナーとしてだけでなく、愛するガジェットとして迎えるのもよさそうですね!
文節で文字を改行できるCSSプロパティ word-break: auto-phrase; がChrome 119以降使用可能に
https://developer.chrome.com/blog/css-i18n-features?hl=ja
Web技術の国際標準化を推進する非営利団体W3C(World Wide Web Consortium)により、国際的に標準化されたCSSの機能の中で、テキストに関する以下4つの新しいCSS機能がChromeに導入されることが発表されました。
- 日本語の文節が自動で改行できるプロパティ word-break: auto-phrase;
- 英語と日本語など、異なる言語の文字間にスペースを追加するプロパティ text-autospace
- 中国語、日本語、韓国語において、句読点文字の間にカーニングを適用するプロパティ text-spacing-trim
- 10px以下のフォントサイズが、指定のサイズ通りにレンダリングされるように
特に文節で改行ができるプロパティ word-break: auto-phrase; に関しては、既に Chrome 119から利用可能です。このプロパティを設定することで、単語の途中で改行されることがなくなり、自然な文節で行を折り返して表示されます。読みやすくなるため、見出しや詩などの短いテキストにおいて非常に効果的です。
これまでは文節による改行を手動で行う必要がありました。改行位置が固定されてしまうため、同じ文をスマートフォンやタブレット、PCなどの異なる画面幅で表示すると、意図しない過剰な改行が行われてしまうことがありました。その問題を解決するためには、対応する全ての画面幅で調整を行う必要があり、Webコーダーの負担の一つとなっていました。
新しい機能によりその問題が解消され、より簡単に文章の美しさを保つことができるようになったため、社内外のエンジニアから喜びの声が上がりました。
その他3つの機能についても、日本語の読みやすさを向上させる改善が実施されているため、今後のアップデートが待ち遠しいですね。
イベント
ファミマ×落合宏理、コンビニ業界初のファッションショー開催
https://www.family.co.jp/company/news_releases/2023/20231201_01.html
ファミリーマートは11月30日に東京・代々木第二体育館で「ファミリーマートフェス」を開催しました。
イベントではファミリーマートの店舗をイメージしたセットが作られ、「FACETASM」のデザイナーで知られる落合広理氏とファミリーマートのコラボライン「コンビニエンスウェア」のファッションショーが行われました。コンビニ業界において、ショー形式でアパレル商品を発表するのは、初の試みということです。
アパレル業界において、ショーは服にこめたコンテクストや意味を空間として表現する場です。このファミリーマートフェスでも、モデルが店舗での購入体験を演出するなど「国籍や年齢、性別、価値観など異なるさまざまな人が訪れるコンビニ」をステージ上で表現していました。
私はショーのルックや会場の様子の写真を見る中で、「コンビニエンスウェア」がダイバーシティを支える1つのアイテムなんだという意図を感じとることができました。コンビニという誰もが訪れることのできる場所だからこそ、ダイバーシティを体現する服を販売する意義があると考えられます。ファミリーマートは、その一連の流れや意図を表現するためにファッションショーという形式をとったのではないでしょうか。
また、このコンビニ業界でも初めての試みは、新たなポジションを確立することにも繋がります。ブランディングとして今後どう展開していくのかも注目です。
Spectrum Tokyo Festival 2023開催
https://fest2023.spctrm.design/
多様性をテーマにしたデザインコミュニティ、Spectrum Tokyoが運営する 「Spectrum Tokyo Festival 2023」が、12月2日と3日の2日間にわたって開催されました。イベントではさまざまなセッションやワークショップが催され、グッドパッチからも数名が参加しました。
活躍されているデザイナーの方々のセッションでは、デザインとビジネス観点の接続や日本における脱植民地化の視点など、既存のデザインを再解釈するような内容が多く、自身のキャリアの選択肢やデザインの見方を拡張することに繋がりました。
また、このイベントでは、ハイタッチでの人との出会いやAMA・交流スペースでの対話といった体験を提供したいという意向で開催されており、筆者も提供された昼食を食べながら他の参加者との交流を楽しむことができました。
デザイナーは、自身の価値観を常にアップデートしていくことを求められます。本イベントのセッションやワークショップを通じて、多様な人の価値観に触れていくことで自分の価値観を塗り替えられることを改めて実感できました。
オンライン配信は実施されておらず、アーカイブなども残っていませんが、スライド資料がまとめて公開されているため、興味のある方はコチラのリンクからぜひご覧ください。
トレンド
「Shibuya Sakura Stage」が竣工
https://www.shibuya-sakura-stage.com/
11月30日、東京・渋谷の桜丘エリアに新たな大型施設、Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)が竣工しました。
東急不動産、東急などが推し進めている渋谷の大規模都市再開発の一環で、地上39階の「SHIBUYAタワー」と地上17階の「セントラルビル」、地上30階の「SAKURAタワー」と「SAKURAテラス」が建設されました。
“働・遊・住”を兼ね備える施設として、商業施設や飲食店のみならず、さまざまなイベントに対応できるスペースやインターナショナルスクールやオフィス、国際医療施設など幅広い分野の施設が完備。周辺の大型施設の中で、唯一住宅施設も建設されています。
多様なカルチャーが融合する街である渋谷ですが、これまでは、原宿や代々木へ続く北側が賑わいを見せている一方で、代官山や恵比寿へ続く南側は落ち着きを持ちつつも比較的、人流が少ない場所でした。
サクラステージのコンセプトである「めぐり歩いて、楽しいまち」は滞留していた北側の人流を南側に流していくことを表し、これまでの落ちつきを保ちつつも、渋谷の多様さを表すような建物の構造になっていると感じられます。
ぜひ一度、実際に赴き、その意匠を体感していただければと思います。
ちなみに、JR新南口の通り抜け通路新設によってグッドパッチオフィスへのアクセスが改善し、社内では駅からオフィスへの移動にかかる時間が大幅に短縮されたと喜びの声が上がっています。
渋谷にインディーゲームから広がるグローバル・クリエイション拠点「404 NOT FOUND」誕生
ちなみにその「Shibuya Sakura Stage」では、2024年7月26日に「404 Not Found」がオープンします。
この「404 Not Found」は「シブヤの空き地でなにして、あそぶ?」をテーマにした、イベントホールや配信スタジオを持つインディーゲームクリエイターのためのグローバル・クリエイション拠点ということです。
消す行為によって渋谷で遊べる空き地を生み出すというロゴのコンセプトから、Webサイトもそのコンセプトに沿った「消す」インタラクションを取り入れた楽しい表現になっています。
ゲームやクリエイティブを愛する人が集まるコミュニティの場として活用することを想定していて、ゲームプレイや発表の場として活躍しそうです。最新式270度のLEDモニターを設置し、多くの各国の政府やゲーム関連企業、団体とパートナーシップを結んでいます。今後それらのアセットを活用して、インディーズゲームのイベント誘致などに取り組んでいくそうです。
日本のゲームやクリエイティブのトリガーとなりそうな新たな施設が、渋谷に誕生すると聞くだけでワクワクしますね。
以上、12月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。早いものでもう2023年もおしまい。2024年も毎月新しい情報をお届けしますので、よろしくお願いします!過去の月間まとめ記事はこちらからどうぞ。