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Client
株式会社プログリット
Expertise
Digital Product & Service Design
Date

Overview

英語コーチング企業のプログリットが提供する「シャドテン」は、リスニング力向上に効果的な「シャドーイング」学習アプリです。ユーザーが録音したシャドーイング音声をシャドーイングアドバイザーが24時間以内に添削しフィードバックを返すサービスを提供しています。

知名度向上に伴い利用者は増加していましたが、次なる課題として、無料トライアルからの有料会員転換率と継続率の向上が挙げられていました。2024年2月、プログリットはグッドパッチに定量・定性データに基づく改善支援を依頼し、プロジェクトがスタートしました。

Client

株式会社プログリット

progrit.Inc
「世界で活躍できる人を増やす」 株式会社プログリットは、ビジネスパーソンを対象とした英語コーチングサービス「プログリット」を提供し、短期間での英語力向上を支援しています。また、シャドーイング学習アプリ「シャドテン」など、英語学習をサポートする多様なサービスを展開し、世界で活躍できる人材の育成に貢献しています。

Summary

ご支援前の課題

  • 無料トライアル期間中(7日間)に、サービスの価値を感じてもらい有料会員に転換してもらうための施策が手つかずだった
  • 「シャドーイング」の学習目的を正しく理解しないままスタートするユーザーがおり、効果的なオンボーディングができていない
  • 施策に対しての効果測定や課題の深堀りができていない
  • ユーザーが問い合わせないと理解できない点が多く、効果的な学習の妨げになっている

グッドパッチの対応とご支援後の成果

  • PdM(プロダクトマネージャー)とPMM(プロダクトマーケティングマネージャー)がプロジェクトに参画することで、ユーザー体験向上のためのデータドリブンな意思決定サイクルを構築
  • ユーザーが「シャドーイング」を正しく理解し、トライアルを最大限活用できるオンボーディング施策を導入(PdM担当)
  • 課題であったプロダクトマネジメントの施策の洗い出しと優先度が明確になった(PdM担当)
  • LINEと顧客情報の連携を進めることで、サポート業務の効率化と自己解決支援が強化され、ユーザーの深い悩みに向き合える環境を整備(PMM担当)
  • ダッシュボードの導入とKPIツリーの定義により、施策が及ぼすKPIの相関関係がクリアに。チーム全体での迅速な意思決定を促進(PMM担当)

課題は有料会員への転換率と退会率

プログリットのプロダクト開発部は、「シャドテン」利用者の増加に応じた改善策を模索していました。積極的な広告展開により7日間の無料トライアルのユーザーは増加している一方で、有料会員への転換と、解約率退会率の改善が課題とされていました。ユーザーインタビュー等は行っていたもののデータ分析→継続支援の施策には手がつけられていない状態でした。

そこでまずグッドパッチは、ユーザーがシャドテンになにを期待し、課題と感じているかを把握するため、リサーチとデータ分析を実施しプロジェクトを始動。有料会員転換に影響を与える要素を探索し、インサイトを抽出することで改善策を探っていきました。

定量・定性データから問題の原因を特定し、ユーザー体験設計の見直しを実施

プロジェクト初期段階でグッドパッチのリサーチチームは、シャドテンの無料トライアル期間中の行動が、有料会員への転換に直接影響していることを見出しました。

プロジェクト初期段階でグッドパッチのリサーチチームは、無料トライアル期間中の「課題提出回数」が有料転換率に影響していることを特定。5回以上提出したユーザーは転換率が顕著に上昇する傾向があることが確認されました。

PdMとPMMが連携し、スムーズな意思決定ができる状態を構築

リサーチの結果を踏まえ、有料転換率を向上させるための施策としてトライアル開始時に「シャドーイングとは何か」を説明し、学習の目安をトップページで確認できる改善案を提案。またユーザーが進捗状況を確認しやすいようアプリ内にマイルストーンを設定し、提出後には次のステップに進むための通知や動画などのアドバイスを提供する仕組みを構築しました。

同時に事業指標と販売指標をうまく結びつけ、より効率的に事業目標を達成する状態を作るべくPdMの石田の他に、PMMの富田と吉田がプロジェクトに参画。PdMとPMMが連携することで、事業KPIとプロダクト側の指標を上手く結びつけたKPIツリーを再設計。ダッシュボードを通じて進行状況をモニタリングする仕組みを整備することで、効果的に改善のPDCAを回せる環境を構築し、無料トライアルの期間中にユーザーとコミュニケーションを取る機会を増やしました。これによりユーザーは無料トライアル期間をフル活用し、期待される学習効果を実感できる体制を整えることができました。

ユーザーの学習体験をさらに向上させるための顧客管理基盤の整備とFAQの見直し

当時シャドテンでは顧客管理基盤と、LINEから問い合わせる顧客情報をサポートチームが手作業で情報を紐づけるコストが発生していました。そこでPMMの吉田を中心にサポートチームとCSの実務を理解するべくヒアリング・現場同行・ワークショップを重ね、LINEの問い合わせと顧客情報を自動連携できる顧客管理基盤構築の要求整理をクライアントとワンチームで実施。顧客管理基盤を整備し必要な機能を統合することで、コスト削減になることはもちろん、サポートチームがユーザーの属性やアプリ内行動に応じてよりきめ細やかに学習をサポートするための重要な役割を果たす土台を構築しました。

サポートチームと連携し顧客データと問い合わせ対応の連携強化を実施。顧客管理基盤の見直しと並行し、プロダクトが成長していく上で避けては通れない、いかにユーザー体験を向上させつつも顧客対応コストを下げるか?という課題を解決するべく、FAQの内容・導線の整備に着手。当初、シャドテンガイド(スターターガイド)とFAQが別サイトだったため、ユーザーの回遊性が低く、自己解決しづらい状況でした。そこで、スターターガイドとFAQを統合した「サポートサイト」をリリースしました。サポートサイトは更新性を担保できるよう、GoogleSiteで作成しサイト内のユーザー行動を計測し素早くFAQの改善が可能にしました。ユーザーが疑問を素早く自己解決できる環境を整備することで、シャドーイング学習方法の理解促進と、自己解決可能な問い合わせ数の削減を図ることが可能となりました。

シャドテンのカスタマーサポートは、単なる質問対応にとどまらず、ユーザーの学習習慣の形成に寄り添い、目標達成をサポートするという理念のもとで活動しています。顧客管理基盤とFAQの整備により、サポートチームは本来の使命である「学習習慣の形成支援」に注力できる環境が整いいつつあります。

データドリブンな意思決定とUXデザインの融合による戦略的改善サポート

プロジェクトを通じてグッドパッチは「シャドテン」の改善に向けてデータドリブンな意思決定が可能な環境を整え、ユーザー視点に基づく改善を推進。データの可視化によって施策の効果を定量的に把握できる仕組みを構築すると同時に、定性的なユーザーリサーチを通してインサイトを抽出し、優先度の高い施策を見極められる体制を構築することができました。これによりプロダクト開発チームはデータに基づいた改善サイクルを回せるようになり、意思決定に一貫性を持たせることが可能となりました。またUXデザインの観点から、ユーザーが実際にアプリ内での体験を最大限に活用できる施策を導入し、ユーザ満足度の向上と継続率の改善を目指すための基盤を整えました。

北澤さんは「グッドパッチの解像度の高いリサーチと迅速な情報整理力には驚かされました」と述べ、特に視覚的な整理が情報共有の大きな役割を果たしたと評価しています。定性と定量の両面からアプローチする私たちの改善プロセスによって、チーム全体のデータリテラシーも向上し、施策の優先順位付けが行えるようになったことで、今後のプロジェクトでも活用できる教訓が得られたと語ります。

クライアントの声

グッドパッチの皆さんには、当初からプロジェクトの要点を素早く理解し、現場の課題を解像度高く把握していただきました。特にユーザーのインサイトやデータの視覚的な整理・共有により、キャッチアップが円滑に進みました。

KPIツリーを構築することでユーザー行動と事業目標を結びつけ、何に注力すべきかが明確化され、施策に自信を持って取り組むことができました。ダッシュボードはプロジェクトメンバーが共通の理解を持つための重要なツールとなり、次に取るべき行動が一目で把握できる環境が整備されました。

プロダクトが成長しユーザーが増えていく上で避けては通れない、いかにユーザー体験を向上させつつ、顧客対応コストを下げるか?という課題も浮き彫りとなり、LINEと顧客データの連携により、サポートチームの効率化を目指しました。サポートチームがより良い学習体験を提供するために、ユーザーの深い悩みに向き合える時間を確保できる状況がつくくれたのも大きな成果でした。グッドパッチのスピード感と解像度の高さ、そしてプロジェクトに対する真摯な姿勢には深く感銘を受けています。デザイン会社というと定性的な印象がありましたが、デザインとデータのバランスが絶妙で、両面からの支援によりプロジェクト全体がデータドリブンで効果的に進行しました。

Interview

本プロジェクトの詳細は、こちらのインタビューをご覧ください。
プログリットの語学学習アプリ「シャドテン」 多忙なPdMを支え、共に歩んだKPI改善プロジェクト

Credit

プロダクトマネージャー:石田健二
プロダクトマーケティングマネージャー:富田一行、吉田早希
UXデザイナー:門屋町咲穂
アカウントマネージャー:浦田文恭

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