Goodpatch closed its Berlin office. We will continue to help businesses through Tokyo HQ.

Client
メディフォード株式会社
Expertise
Brand Experience Design
Date

Overview

PHCホールディングス株式会社は、2023年11月に医薬品研究開発を非臨床から臨床までサポートする新会社「メディフォード」を創立。グッドパッチは、新会社「メディフォード」のコーポレートブランディングに携わり、社名とロゴの策定、ミッション・ビジョン、ブランドムービーの制作までを支援。

Client

メディフォード株式会社

mediford .Inc
LSIメディエンス株式会社の治験事業と、LSIメディエンス株式会社の子会社であったLSIM安全科学研究所の非臨床事業を統合し、医薬品研究開発を非臨床から臨床までサポートする事業を展開している。

Summary

ご支援前の課題

  • 親会社が同じとはいえ、事業もカルチャーも社員の方々の視点や強みもそれぞれの2社を1つの会社としてまとめ上げる必要があった
  • 新会社の社名、ロゴ、ミッション・ビジョンを短期間で策定する必要があった
  • 社員に対して新会社設立の意義や想いを効果的に伝える必要があった

グッドパッチの対応とご支援後の成果

  • 社名を決めるためのワークショップを通じて、新会社の「ありたい姿」を明確化
  • 社名「メディフォード」の策定と、従業員自身が自分事化できる意味付けの実施
  • ミッション・ビジョンの策定と、それに伴う会社の存在意義と実現したい世界の明確化
  • ブランドムービーやポスターの制作により、社内外への効果的なメッセージ発信を実現

2社の融合という難題

PHCホールディングス株式会社は、将来的に市場成長が見込まれる創薬の領域を一つの組織にまとめるべく、子会社のLSIメディエンス株式会社の治験事業と、その子会社であるLSIM安全科学研究所の非臨床事業を統合し新会社の設立を決定。しかし、プロジェクト開始時点では、新会社の代表者も決まっていない状況でした。そんな状況の中、親会社が同じとはいえ、事業もカルチャーも社員の方々の視点や強みもそれぞれの2社を1つの会社としてまとめ上げ、インナーブランディングを意識した上で、社名やロゴの開発を急ぐ必要がありました。

ワークショップから見えた、新会社の「ありたい姿」

インタビュー分析

グッドパッチはまず新会社に関わるキーパーソンや事務局へのインタビューから着手。それぞれの会社の事業やカルチャー、2社の融合に関する課題、新会社で生み出せる価値など、クライアントに深くヒアリングを行いました。その結果、異なる2社の中に共通するポイントを見つけることができました。

ヒアリングの中で見えてきたポイントをより具体的にするために、その後は新会社の「ありたい姿」を考えるワークショップを実施。現在から10年後までの未来像を参加者全員で想像を膨らませました。

「未来をイメージして『ありたい姿』を考えるというアプローチが少しふんわりしているように感じられて、不思議に思うところもあったんですが、ワークが進むにつれて徐々に狙いがはっきりとしていきました。そのプロセスが結構面白かったです。私たちは技術の会社ということもあって、これまで未来を意識して『想いを語る』ということをあまりしてこなかったように思います。頭では分かっていても、『実現可能かどうか』という話にすぐ流れてしまう。でも、そこでグッドパッチさんという第三者が入ることで、想いの話に集中できました」(メディフォード株式会社 執行役員戦略企画部門長、経営企画部長 松本様)

「社名に関していうと、ロジックではなく感性の問題なので『これが正解で、これは正解じゃない』といったことはないと思っています。結果より『どういう意味を込めて、何を選択したか』というプロセスが重要。その意味で、議論の過程は本当に重要なものだったと思います」(メディフォード株式会社 代表取締役社長 清水様)

新会社の理念と将来性を象徴する社名「メディフォード」

名刺交換ワークの様子。約15種類の社名候補をそれぞれ印刷した名刺を使って、実際にあいさつをしてもらう

社名決定のためにグッドパッチは7通りほどの方向性を提示し、議論を重ねて具体的な社名案を開発。最終的には、約15種類の社名候補を用いた名刺交換ワークを実施し、社名の読みやすさ、発音のしやすさ、聞き取りやすさを検証した上で、新会社の社名を「メディフォード」に決定。

「メディフォード」という社名は、「medi+for+d」という構成で、「d」の部分を従業員個人が自由に解釈できる柔軟性を持たせた点が特徴です。例えば、「daily wellness」や「drug development」といった創薬や医療系の言葉だけでなく、「delight」「dynamic」など、より広い意味合いを持たせることも可能となるため、柔軟性と多様性を内包した社名は、新会社の理念と将来性を象徴するものとして高く評価されました。

「これまでは『これで決まります』と決まった社名を伝えられて『そうですか』と受け入れてきました。今回は作る過程に参加したので、押し付けられたものじゃなく、自分自身が関わったことに責任を感じています。この社名の背景を説明できる立場でいなければいけないなと」(メディフォード株式会社 事業統括部門非臨床事業部長 大西様)

社名「mediford(メディフォード)」の由来

社員の想いが込められたミッション・ビジョン

medifordのミッション・ビジョンを考える際に必要な観点の整理

社名とロゴの決定後はミッション・ビジョンの策定とそれを浸透させるフェーズへと移行。「『生きていく』を明るく、前向きにする」というミッションは、一言一句の単位で意味が込められ、社員全員で深い議論を重ねて決定されました。
社名やロゴの議論を経て、メディフォードの社員たちのミッション・ビジョンに対する熱意は一層高まったようです。「『トップが真剣に考えて伝えようとしている姿勢』がプロジェクトメンバーに伝わった結果だと私は思っています。『社長という立場上発したメッセージ』と『本気で、自分の言葉で伝えているメッセージ』は異なりますし、制作のプロセスに関わってきたメンバーはその違いが分かりますから」と、執行役員 松本様は語ります。トップの本気度が、全社的な一体感と目標への共通認識を醸成する上で重要な役割を果たしたことがうかがえます。

ロゴのシンボルマークの由来

細部まで言葉にこだわったミッション、ビジョン

想いを形にするビジュアルコンテンツ

ブランドムービーのラストシーン(映像制作:株式会社フラッグ)

社内掲示用のミッション・ビジョンポスター

最後に、ブランドストーリーを基にしたブランドムービーと、ミッション・ビジョンを記したポスターを制作。特にブランドムービーは、日本語版と英語版の両方を制作し、社長 清水様自らがナレーションの細部にまでこだわりました。

清水様は、このブランドムービーの影響力について次のように語っています。「2025年卒の新卒採用で面接をしたときに、ブランドムービーを観て、感動して選考を受けてくれた学生がいたんです。面接で泣いた子までいたとかで……。その方に会いたくて京都まで行ったんです。直接会って1時間くらい話しました。『こんな意味を込めてこのムービーを作ったんだ』と思いの丈を話したら、そこでも泣かれてしまいました。」

これはメディフォードのブランディング活動が単なる表面的なイメージ作りではなく、会社の本質的な価値観や目指す方向性が伝わりやすい形でアウトプットされ、採用ブランディングにも好影響を与えたことを示すエピソードとなりました。

未来を見据えた強固な基盤の構築

メディフォードは、今回のプロジェクトによって社員のベクトルを揃えるための強固な基盤を構築することができました。プロジェクトに関わった皆様より、このような評価をいただいています。

「グッドパッチさんに限らず、会社で働き始めてから、理系の専門職として薬を開発する試験を行う人々と関わってきたので、こうしたデザインの業界に接する機会がありませんでした。全く異分野の方々に当社のことを理解してイメージを作っていただく、と聞いて『本当にできるのかな』とも思っていましたが、毎回話を持ち帰って立派な成果物でご提案いただいて『さすがだな』と感じました」(事業統括部門非臨床事業部長 大西様)

「第一印象は『いかにもなクリエイター集団』という感じで半信半疑でしたが、時折、当社事業の専門用語が飛び交う中でも、それをうまく形にしてもらえて良かったです。単に社名を提案するだけでなく、この会社に関わる人たちの見えない想いも形にしてもらえた気がします。これまでは『技術がいいか』『数字はどうか』といったことだけが語られ、『このいい技術が、世の中の人をどう幸せにするのか?』とあまり考える機会がなかったように思います。今回決めた、ミッションやビジョンはこれから時間をかけて根付いていくと思うんですが、今後何かあったら、また相談に乗ってほしいです」(執行役員戦略企画部門長、経営企画部長 松本様)

「社名からブランドムービーまで、社員が同じベクトルを向けるものができました。『原点はこうでしょう、考え方はこうでしょう』と、振り返れるのがミッションとビジョン。現在というより、もっと先の未来を見据えて、しっかりと語れる言葉ができたことがものすごく大きな財産だなと思っています。一緒にプロジェクトを進めるパートナーとして、同じ目線で物事を考えてもらえているか、そして、その目線に合わせて、どう努力していただけるかということが非常に重要だと思っています。グッドパッチさんは、努力しながら一緒に議論して考えていただけるのがよく見えるのが良かったです。その様子が伝わるから、社員の皆も本気で議論ができたのだな、と思います。一人ひとりの真剣な部分を引き出していただいた。それを含めて、とても感謝しています」(代表取締役社長 清水様)

外見的なデザインにとどまらず、組織の核心に触れ、社員の思いを形にしたメディフォードが、今回のコーポレートブランディングをきっかけに、「ありたい姿」をどう実現していくのか今後も注目が集まります。

Credit

BXコピーライター:稲田 桃子
BXデザイナー:大久保 彩佳
デザインストラテジスト:高城 栄一朗

Next project
View more