本記事では、新規事業のアイデアの出し方、思い付かない時の対処法や考え方・プロセス・事例をご紹介します。
「新規事業の担当になったが、良いアイデアが思いつかない」
「どうすれば事業として成功するアイデアになるのか分からない」
といった課題はありませんか?
人を起点にした「デザイン思考」のアプローチで数々の企業の新規事業立ち上げを支援してきたグッドパッチの知見を基に、アイデア創出の思考法から事業化のプロセスまで具体的に解説します。
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目次
新規事業のアイデア創出要素を7つ紹介(持続可能な事業にするために)

新規事業を成功させるためには、思いつきではなく、ビジネスとして成立し、継続可能なアイデアが求められます。本章では、新規事業の立ち上げにおいて検討すべき7つのアイデア要素を取り上げ、それぞれのポイントについて解説します。
解決性
新規事業の立ち上げで求められる1つ目のアイデア要素は「解決性」です。
顧客が抱える課題を正確に把握し、それに対して本質的な解決策を提供できるかどうかが、事業の成否を大きく左右します。
どれほど革新的なアイデアでも、実際のニーズからずれていればビジネスとして成立しません。ターゲットとなる顧客の日常にある不便さや不満を深く理解し、それを的確に解消できる手段であることが求められます。
実行可能性
新規事業の立ち上げで求められる2つ目のアイデア要素は「実行可能性」です。
魅力的なアイデアでも、実行できなければ意味がありません。自社のリソース(技術・資金・人材)を考慮し、現実的に実現可能かどうかを冷静に見極める必要があります。
また、スモールスタートで検証可能か、MVPとして具現化できるかの観点も重要です。実行可能性を見極めることで、机上の空論ではなく、実践に耐える事業アイデアへと洗練されていきます。
継続性
新規事業の立ち上げで求められる3つ目のアイデア要素は「継続性」です。
一時的なブームに依存した事業では、長期的な成長は見込めません。市場や顧客ニーズが中長期的に持続するかどうか、また環境の変化に対応できるかを見極める必要があります。
継続的に価値提供きる仕組みを事前に設計することが、安定した事業運営につながります。
拡張性
新規事業の立ち上げで求められる4つ目のアイデア要素は「拡張性」です。
新規事業では、初期から大規模市場を狙う必要はありませんが、将来的に拡張の可能性があるかどうかは重要な観点です。
顧客層の拡大や機能追加による価値向上など、成長の選択肢を持てるかを検討しましょう。拡張性が高いほど、将来の成長シナリオを描きやすくなります。
優位性
新規事業の立ち上げで求められる5つ目のアイデア要素は「優位性」です。
競合他社に容易に模倣されない独自の強みを持っているかどうかは、非常に重要な視点です。独自データやブランド力、UX、パートナーシップなど、優位性の源泉を明確にしておきましょう。
一つひとつは小さな違いでも、積み重なることで大きな差別化につながります。
新規性
新規事業の立ち上げで求められる6つ目のアイデア要素は「新規性」です。
新規事業のアイデアには、既存市場にはない新たな価値を提供することが求められます。他社と同じ価値提案では、後発の事業が市場で優位に立つのは難しいでしょう。
新技術の導入や新たなサービス形態の開発に加えて、既存要素を掛け合わせた新たな提供価値の創出も有効です。独自性を確立することで、市場における存在感を高められます。
収益性
新規事業の立ち上げで求められる7つ目のアイデア要素は「収益性」です。
安定的に収益を生み出す仕組みがなければ、アイデアを持続的なビジネスへと成長させることはできません。「顧客が対価を支払う価値があるか」「投資に見合うリターンが期待できるか」といった観点を、アイデアの段階から多角的に検証することが重要です。
長期的に利益を生み出せるビジネス構造を意識し、収益モデルをていねいに設計しましょう。
関連記事:新規事業開発を成功させるプロセス5つ・成功事例・大企業特有の課題と対処法・AI時代の取り組み方を紹介
新規事業のアイデア創出の考え方4つ(グッドパッチ流)
グッドパッチでは、多くの企業の新規事業立ち上げを支援してきた実績から、優れた事業アイデアを創出するための4つの思考軸を大切にしています。
以下では、グッドパッチが現場で実践しているこれら4つの考え方についてご紹介します。
顧客の感情を起点に考える
新規事業のアイデア創出の考え方の1つ目は「顧客の感情を起点に考える」です。
成功する新規事業には、顧客の感情に訴えかけ、行動変容を促す「コアバリュー(中核的な価値)」の定義が欠かせません。
単に機能や技術の優位性を追うのではなく、「誰が」「どんなときに」喜びを感じるのか、「どのような不安を解消するのか」といった感情の動きに目を向けましょう。
顧客の心に響く体験を提供できれば、サービスは長く支持され、継続的な成長が期待できます。
【関連記事】新規事業担当者に伝えたい、まず考えるべきは事業開発ではなく「顧客開発」
ユーザーリサーチで隠れたニーズを発見する
新規事業のアイデア創出の考え方の2つ目は「ユーザーリサーチで隠れたニーズを発見する」です。
顧客自身も気づいていない潜在ニーズ(インサイト)を明らかにするには、表面的なアンケートだけでは不十分です。
実際の行動を観察したり、深い対話を通じて価値観や感情の背景を探るリサーチが効果的です。
- 深いインサイトを得るための手法
- ユーザーインタビュー:率直な意見や感想を引き出す
- 日記調査:日々の行動や感情の変化を記録し、傾向を把握する
- エスノグラフィ調査:生活環境の中での行動を観察し、文脈を理解する
こうした手法を通じて顧客の背景や状況を深く理解すれば、本質的な課題が見え、革新的なアイデアの種を発見できます。表面的なニーズにとどまらず、本音やその裏にある心理まで掘り下げましょう。
【関連記事】【実践事例あり】UXリサーチ完全ガイド|成功のポイントと種類・手法を徹底解説
作りながら考える(プロトタイピング思考)
新規事業のアイデア創出の考え方の3つ目は「作りながら考える(プロトタイピング思考)」です。
グッドパッチでは、アイデアを言葉で語るだけでなく、試作品として「形にする」ことを重視しています。
企画書で議論を重ねるよりも、プロトタイプとして可視化し、実際に検証するほうが、本質的な課題に早くたどり着けます。プロトタイプ(試作品)を使って実際に触れることで、アイデアの強みや弱点が明らかになります。
初期段階では、紙やホワイトボードを使った簡易なものでも十分です。手を動かしながら思考を深めることで、チーム内の認識を揃えたり、ユーザーからのフィードバックを得たりする上で、非常に有効なアプローチとなります。
【関連記事】プロトタイピングとは?重要性・解決できる課題・種類・メリット・成功ポイント・事例まとめ
競合がいる前提で考える
新規事業のアイデア創出の考え方の4つ目は「競合がいる前提で考える」です。
「競合がいない=良い市場」と捉えがちですが、ブルーオーシャンに固執すると、実際には市場ニーズが存在しない領域を選んでしまうリスクがあります。一方で、競合が存在することは、その市場に明確なニーズがあることの裏付けとも言えます。
重要なのは、既存の競合が対応しきれていない課題を見つけ、そこに自社ならではの強みを掛け合わせて、差別化されたポジションを築くことです。先行事例を分析しながら、自社独自の価値提供を明確にしましょう。
新規事業で熱のこもったアイデアを生み出すプロセス
前章まで「顧客起点」の考え方を紹介しましたが、本章では「自分の内発的動機」 を起点としたアイデア創出プロセスをご紹介します。
新規事業では、論理的な分析や市場調査は欠かせません。しかし同時に、担当者自身の「熱意」や「好き」といった感情の源泉から生まれるエネルギーも、アイデアに説得力を持たせる上で極めて重要です。
実際に、「何から考えればいいのか分からない」「調査や検討はしているのに、なぜか熱のこもったプランにならない」といった壁に直面するケースは少なくありません。こうした壁の背景には、「想い」を出発点とするアイデア創出の“場”や“プロセス”が用意されていないという構造的な課題があります。
グッドパッチでは、社員一人ひとりの「好き」や内発的動機に着目し、アイデアの芽を引き出す超初期フェーズの支援プログラム「SANDBOX」を提供しています。以下では、「SANDBOX」で実際に取り入れている考え方を基に、“好き”から生まれる熱量を起点とした、実践的なアイデア創出プロセスをご紹介します。
1.「自分の好き」を書き出す
新規事業で熱のこもったアイデアを生み出すプロセスの1つ目は「自分の『好き』を書き出す」ことです。
まずは、自分の感情に素直になり、思い浮かぶ「好きなこと」を自由に書き出してみましょう。このプロセスは、自分の内面と向き合い、自身を形作ってきた価値観や興味を“可視化”するための第一歩です。
可視化された「好き」は、困難に直面した際のモチベーションの源になります。ビジネスとして成立するかどうかは一旦気にせず、純粋に心が動くもの、時間を忘れて没頭できることをリストアップしてみてください。
なお、SANDBOXでは初心者でも実践しやすいよう、「『好き』を深掘る10の問い」も用意されています。
【関連記事】熱のこもった事業プランが新規事業の成功確率を高める。イントレプレナー創出支援プログラムSANDBOXとは?
2.「好きの本質」を言語化する
新規事業で熱のこもったアイデアを生み出すプロセスの2つ目は「『好き』の本質を言語化する」ことです。
書き出した「好き」について、なぜ自分がそれに惹かれるのかを掘り下げてみましょう。その対象のどんな特徴に魅力を感じるのか、どのような感情が得られるのか、機能的なメリットは何か、これらを具体的な言葉で表現していくことが重要です。
「好き」の本質を言語化することで、他の分野にも応用可能な抽象的な価値(コンセプト)が見えてきます。
3.「好きから生まれた要素」をテーマと掛け算する
新規事業で熱のこもったアイデアを生み出すプロセスの3つ目は「『好きから生まれた要素』をテーマと掛け算する」ことです。
言語化した「好きの本質」を、社会課題、ターゲット市場、自社の強みやリソースなどのテーマと掛け合わせてみましょう。一見関係がなさそうな要素でも、組み合わせることで思いがけないユニークなアイデアが生まれる可能性があります。
例えば、「ゲームのレベル上げの達成感」と「健康管理」を掛け合わせれば、楽しみながら運動を継続できるヘルスケアアプリというアイデアに発展するかもしれません。意外な組み合わせを数多く試すことが、創造性を高めるポイントです。
4.初期コンセプトに落とし込む
新規事業で熱のこもったアイデアを生み出すプロセスの4つ目は「初期コンセプトに落とし込む」ことです。
アイデアの中から可能性を感じるものを選び、イメージしやすい形で初期コンセプトとして具体化しましょう。この段階で他者に見せてフィードバックをもらうことで、客観的な視点を取り入れることができます。
最初から完成度を求める必要はありません。ラフなスケッチや簡単な文章で構わないので、まずは形にしてみましょう。早期に他者の意見を取り入れることで、独りよがりなアイデアに陥るリスクを避け、ブラッシュアップの方向性も明確になります。
新規事業のアイデアが思いつかない時の解決方法8つ
ここまで、新規事業アイデアの「本質的な考え方」と「プロセス」を解説してきました。
本章では、それでもアイデアが出ない時に活用できる「具体的なテクニックやツール」を8つご紹介します。行き詰まりを感じたときの「引き出し」として活用してください。
ゼロから革新的なアイデアを生み出すことは、決して簡単ではありません。行き詰まりを感じたときこそ、思考の視点を意図的に切り替えることが突破口となります。
フレームワークを活用する
新規事業でアイデアが思いつかないときの解決手段の1つ目は「フレームワークを活用する」ことです。
フレームワークは、抜け漏れなく体系的にアイデアを発想・整理したいときに有効です。
例えば、ビジネスモデルの構成要素を可視化できる「ビジネスモデルキャンバス」や、市場や競合、自社の立ち位置を整理する「3C分析」などが代表的な手法です。
フレームワークを活用することで思考を整理し、ビジネスとして成立させるために必要な要素を具体化できます。ただし、枠を埋めること自体が目的とならないよう、常に顧客視点を忘れないことが重要です。
日常の悩みから着想を得る
新規事業でアイデアが思いつかないときの解決手段の2つ目は「日常の悩みから着想を得る」ことです。
日常生活や業務の中で感じる「不便さ」や「面倒さ」は、ビジネスアイデアのヒントになります。自分が抱えている悩みは、他の多くの人も共通して感じている可能性があるからです。
身近な不満をどう解決するかを考えるだけでも、有望な事業アイデアに発展することがあります。日頃から小さな違和感や気付きを意識する習慣を持つことで、着想力が自然と高まります。
異業種の成功事例から学ぶ
新規事業でアイデアが思いつかないときの解決手段の3つ目は「異業種の成功事例から学ぶ」ことです。
同業他社に加えて、異業種の成功事例から学ぶことは、斬新なビジネスアイデアを生み出す大きなヒントになります。サブスクリプションやシェアリングといった他業界で成功している仕組みを、自社の業界に応用することで、新たな価値を創出できる可能性があります。
例えば、自動車業界のトヨタは、動画配信サービスなどで一般的だった「サブスクリプション(定額制)」というモデルを自動車販売に導入しました。「クルマは購入して所有するもの」という業界の常識を疑い、異業種の成功モデルを取り入れることで、「KINTO」という新しい利用体験を創出しています。
業界の常識にとらわれない柔軟な視点こそが、新たな市場を切り拓く鍵となります。視野を広げ、他分野の成功事例を積極的に観察しましょう。
既存の要素を新しく組み合わせる
新規事業でアイデアが思いつかないときの解決手段の4つ目は「既存の要素を新しく組み合わせる」です。
ゼロから新しいものを生み出すのではなく、既存のサービスや技術を異なる視点で組み合わせることで、革新的なアイデアが生まれる可能性があります。
- 組み合わせのパターンの例
- 既存商品×デジタル技術
- 既存商品×意外な利用シーン
- 異業種のサービス同士の連携
このように、既存の要素を分解し再構築することで、コストを抑えながら新たな価値を創出できます。
例えばヘアカット専門店の「QBハウス」は、従来の理容室から「洗髪・顔剃り・マッサージ」などの要素を削ぎ落とし、「ヘアカット」と「券売機(効率・時短)」を組み合わせました。既存のサービスの引き算と、他分野のシステムを掛け合わせることで、「10分1,000円」という新しい市場を切り開きました(※現在1,400円(税込))。
ブレーンストーミングで発散思考を鍛える
新規事業でアイデアが思いつかないときの解決手段の5つ目は「ブレーンストーミングで発散思考を鍛える」ことです。
ブレーンストーミングは、チームで自由にアイデアを出し合うことで、個人では得られない新たな視点を引き出す有効な方法です。「批判しない」「質より量」「自由奔放」「便乗歓迎」という4つのルールを守って実践することで、創造性を引き出す効果が高まります。
【参考記事】効率的にアイデア出しができるブレインストーミングのやり方
クレイジー8で短時間にアイデアを量産する
新規事業でアイデアが思いつかないときの解決手段の6つ目は「クレイジー8で短時間にアイデアを量産する」ことです。
クレイジー8は「8分間で8つのアイデアをスケッチするというスピード重視の発想法」です。グッドパッチのデザインスプリントでも活用されている手法のひとつです。制限時間があることで深く考えすぎず、直感的にアイデアを出せるのが特徴です。個人で煮詰まるよりも、チームで共有・議論することで、新たな視点やヒントを得やすくなります。
【参考記事】短時間で複数のアイデアを創出できる「クレイジー8」とは?
「AI」を補助ツールとして活用する
新規事業でアイデアが思いつかないときの解決手段の7つ目は「『AI』を補助ツールとして活用する」ことです。
AIをアイデア出しの壁打ち相手や補助ツールとして活用するのも有効な手段です。キーワードを入力して多様なアイデアを生成させたり、既存アイデアに対する反論や視点を求めたりすることで、思考の幅が広がります。
ただし、AIの出力は過去のデータや世に出回っている一般論の再構成であることがほとんどです。最終的な判断は人間の創造力が担うべきです。アイデア創出の補助として適切に活用しましょう。
外部パートナーの知見を借りる
新規事業でアイデアが思いつかないときの解決手段の8つ目は「外部パートナーの知見を借りる」ことです。
社内だけでアイデアを練っていると、既存の枠組みや固定観念に縛られてしまうことがあります。新規事業の立ち上げに豊富な実績を持つ外部パートナーと連携することで、客観的な視点や自社にはないノウハウを取り入れられます。
例えばグッドパッチでは、数多くの新規事業の立ち上げプロジェクトで培った知見を持っています。専門的なサポートを受けることで、プロジェクトをよりスピーディかつ確実に前進させることが可能になります。
グッドパッチの「事業構想・戦略策定サービス」を見る
新規事業のアイデアを評価する視点4つ(グッドパッチ流)
前章まででアイデア創出方法をご紹介しましたが、この章では新規事業のアイデアを形にするための評価方法についてご紹介します。アイデアの良し悪しを客観的に評価する視点は重要です。
グッドパッチが提供する事業性評価プログラム「BusinessDesign Review」では、以下の4つの視点を基に、事業化の可能性を検証しています。以下では、グッドパッチがどのようにこれらの視点を活用しているのか、具体的なポイントを解説していきます。
評価視点①アイデア|誰のどんな課題を解決するのか?
- 誰の、どんな課題に対して、どんな解決策を提供する事業か?
- その解決策は顧客の未解決の痛み(Pains)を解消するか?
- アーリーアダプターは誰か?その顧客は十分な購買力を持っているか?
新規事業の評価における最初の視点は、「誰の、どんな課題を解決するのか?」という、アイデアの本質に関するものです。
事業の中核となる「提供価値」が明確であるかを確認しましょう。「なんとなく良さそう」ではなく、特定の顧客が抱える深刻な課題に対し、的確な解決策を提示できているかが重要です。
上記のような問いに対し、自信を持って答えられるまで解像度を高める必要があります。顧客へのインタビューなどを通じて、机上の空論になっていないか確認してください。
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評価視点②市場性|その事業は今やるべきか?
- 想定する市場セグメントは最適か?
- 市場は今後も成長が期待できるか?
- 技術トレンドや競合状況を踏まえて、「今参入する意義」はあるか?
2つ目の評価視点は「市場性」、つまりその事業を“今”やるべきかどうかです。
アイデアに対して、十分な市場規模があるか、また市場への参入タイミングが適切かを検討する必要があります。対象市場が小規模すぎたり、縮小傾向にあったりすると、事業の拡大は見込めません。
また、技術革新や法規制といった外部環境の変化も視野に入れる必要があります。「なぜ今なのか?」という問いに対して、論理的な根拠を持って説明できることが重要です。
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評価視点③戦略性|どうすれば競合に勝てるのか?
- 業界内の競合は何社あるか?
- 競合や既存大手はどのような戦略で市場に挑んでいるか?
- 自社が持つ模倣困難な資産・ノウハウはどの程度か?
3つ目の評価視点は「戦略性」です。競合に対してどのような優位性を築けるか明確にします。
例えば、資金力のある大手が参入してきた場合でも「勝てる独自のアセット」や、「模倣困難な強み」があるか検討すると良いでしょう。
自社の既存事業とのシナジーや保有する技術、顧客基盤などをどう生かすかも含めて考えます。有限なリソースをどこに集中させれば勝機があるのか、勝ち筋を明確にしましょう。
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視点④収益性|どうやって儲けるのか?
- 顧客は誰で、どんな価値を提供し、どう対価を得るのか?
- 単月黒字化(Break Even Point)はいつか?
- 投資回収(Payback Period)の見込みは?
新規事業でアイデアの最後の評価視点は「どうやって儲けるのか?」という収益性です。
新規事業を持続可能なビジネスに育てるためには、収益モデル(マネタイズ)の設計が不可欠です。誰にどのような価値を提供し、誰からどのように収益を得るのかを具体的に描く必要があります。
売上が立つだけでは不十分です。利益を確実に残せる構造になっているか、経済的な合理性の観点からも厳しく検証しましょう。
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本記事ではここまで、新規事業のアイデアについて以下を解説してきました。
- 理論編:アイデアに必要な7要素、創出の考え方4つ
- 実践編:熱量あるアイデアを生むプロセス、行き詰まった時の解決手段
- 評価編:アイデアを客観的に評価する4つの視点
しかし、「良いアイデアが出た」「評価もクリアした」としても、 それを実際の事業として成功させるまでには、さらに多くの壁が存在します。
- 顧客像があいまいで、誰に刺さるのかが不明確
- 企画書レベルの構想で、実際の体験が想像できない
- 社内の意思決定者を説得できる材料が不足している
- アイデアに対する熱意はあるが、本当にニーズがあるか確信が持てない
上記の壁を乗り越えるには「アイデアの検証・ブラッシュアップ」 というプロセスが不可欠です。
次章では、グッドパッチが実際にクライアントと共に、初期アイデアを徹底的に検証・洗練させ、事業化を実現した事例をフェーズ別にご紹介します。
「新規事業のアイデア」を成功へ導いたグッドパッチの支援事例
新規事業の成功は「優れたアイデアの種」を「事業として確実に成功する形」へと磨き上げられるかにかかっています。重要なのは「アイデアを出すこと」だけでなく、「そのアイデアが本当に顧客に求められているか」を検証し、ブラッシュアップすることです。
この章では、デザイン思考と徹底した顧客理解を軸に、クライアントの初期アイデアを検証・再構築し、市場で成果を上げたグッドパッチの新規事業の支援事例をご紹介します。新規事業の進行フェーズ順(アイデア創出 → 検証・ブラッシュアップ → 具体化・MVP開発)に沿って紹介していますので、参考にしてみてください。
【新規事業0→1の事例】アイデア創出(SUNTORY+)

出典:SUNTORY+(グロース)|小さな「できた」が楽しく続く健康アプリ。
▼新規事業アイデア創出フェーズで直面していた課題
- 新規事業の完成形が誰の目にも見えず、何を作るべきか不透明だった
- 「健康経営支援」というテーマはあったが、具体的なサービス形態が未定だった
- アプリ開発の知見が社内に不足しており、どう進めるべきか手探りの状態だった
- チーム内で認識をそろえ、意思決定するための共通言語が不足していた
サントリー食品インターナショナルが2020年にリリースした従業員の健康行動をサポートするアプリ「SUNTORY+」は、2018年12月の構想段階からグッドパッチとの共創によって生まれました。
当時、サントリーには「企業の健康経営を支援したい」という明確なテーマはありました。しかし、「何を作るのか」「誰にどんな価値を届けるのか」といった具体的なサービスの形は、まだ見えていませんでした。
医療費の企業負担増加という社会課題に対し、既存の健康施策では「健康意識の高い人」にしか届かないという問題もあり、本質的な解決策を見出す必要がありました。
グッドパッチは、アプリ開発の知見を求めていたサントリーに対し、単なる開発支援ではなく、事業構想段階からデザインパートナーとしてフルコミット。アイデアの創出から具体化まで、約2年にわたって伴走しました。
▼グッドパッチが実践したアイデア創出のためのアプローチ
| アプローチ | 実施内容 | 解決されたポイント |
|---|---|---|
| ①顧客の感情を起点に考える | ターゲット層の会社員へのゲリラインタビューを実施し、健康行動に対する本音や抵抗感を深掘り | 「難しい」「面倒」ではなく、「簡単」「楽しい」「気軽」という感情価値を中心に据える方向性が定まった |
| ②ユーザーリサーチで隠れたニーズを発見する | デザインスプリントを通じた発散・収束のプロセスで、「健康意識の低い層」にアプローチする必要性を発見 | 既存の健康施策では届かない層に向けた「超低ハードル」なタスク設計という独自の価値提案が明確化 |
| ③作りながら考える(プロトタイピング思考) | 「タスクを選んで達成ボタンを押す」というコア機能に絞ったワーキングプロトタイプを制作し、実生活で継続的に使用しながら検証 | 議論が「想像」から「事実」ベースへ変化。小さく実装→検証のサイクルで、お蔵入り機能も含め高速で学習 |
| ④競合がいる前提で考える | 「習慣化」を核にした体験設計で、一般的な健康アプリ(継続率15%未満)との差別化を実現 | 単なる健康管理アプリではなく、「楽しく続けられる習慣化支援」という独自ポジションを確立 |
▼アイデア創出プロセスの詳細
デザインスプリントで高速検証を繰り返し、週3回ほど会議室にこもって事業アイデアを発散。「タスクを選んで達成ボタンを押す」というコア機能から始め、1〜2週間継続使用できるワーキングプロトタイプを制作しました。
実生活で使うことで、想像以上に良いフィードバックを得られた機能もあれば、お蔵入りになった機能も。こうした試行錯誤から得られる学びこそがプロトタイピングの本質です。さらに、Vision・Mission・Valueと「Tone of Voice」を策定し、アプリ内の文言に「SUNTORY+らしさ」を取り入れ、一貫した世界観を構築しました。
▼成果:継続率50%超の健康アプリへ
- 継続率:平均50%以上(一般的な健康アプリは1カ月後15%未満)
- 健康経営優良法人認定:501社(導入企業のうち)
- グッドデザイン賞(2020年)、iF Design Award(2021年)受賞
- 導入企業数:1,500社突破(2026年2月時点)
2020年10月のリリース後、SUNTORY+は飛躍的な成長を遂げています。
サントリーの担当者は「新規事業を作っていく中で、仕様が決まっていない状況は多かったのですが、そんなときでも『まず作ってみる』という姿勢はとても心強かったです」と評価しています。
0→1のアイデア創出から、「まず作る」姿勢で高速検証を繰り返したことが、ユーザーに本当に求められるプロダクトの実現につながりました。
サントリー食品インターナショナル株式会社への支援事例をDLする
【新規事業1→10の事例】アイデア検証・ブラッシュアップ(mitaseru)

出典:mitaseru(ミタセル)|三井不動産グループの厳選お取り寄せグルメサービス「mitaseru(ミタセル)」のPoC支援
▼アイデア検証・ブラッシュアップフェーズで直面していた課題
- 顧客像があいまいで、「誰のどんな課題を解決するのか」が不明確だった
- BtoB的な発想から抜けきらず、エンドユーザーの感情や行動に迫れていなかった
- 企画書中心の構想で具体性に欠け、社内での説得力が不足していた
- 「商品を届けること」に注力し、購入後の体験全体が設計されていなかった
三井不動産グループの社内新規事業提案制度「MAG!C」の審査を通過したmitaseruは、「有名飲食店の味を家庭で楽しめる冷凍グルメサービス」というアイデアからスタートしました。
しかし、「具体的に誰が・どんなシーンで・なぜ使うのか」といった顧客像が不明瞭で、事業化承認には大きな壁が立ちはだかっていました。
グッドパッチは2021年10月から2カ月間のPoC(概念実証)支援を実施。「このアイデアをどう通すか」ではなく、「そもそも誰に、どんな体験を届けるのか?」という原点に立ち返り、顧客理解を深めながらアイデアの提供価値を洗練させるプロセスを伴走しました。
▼グッドパッチが実践したアイデア検証・ブラッシュアップのためのアプローチ
| アプローチ | 実施内容 | 解決されたポイント |
|---|---|---|
| ①顧客の感情を起点に考える | 日常の料理体験全体を可視化する「日記調査」を実施。献立の検討〜片付けまでを通じて「見えない家事」に注目 | 「食べる」だけでなく、暮らし全体のストレスに寄り添う体験として再構築された |
| ②ユーザーリサーチで隠れたニーズを発見する | 密着調査・インタビューを通じて、生活者の「違和感」や「ちょっとした不便さ」を発掘 | 表面的な仮説では捉えきれないリアルな生活ニーズを発見し、体験価値を再定義 |
| ③作りながら考える(プロトタイピング思考) | 冷凍食品パッケージ・解凍チラシ・ECサイトなど、リアルに近いプロトタイプを制作し、実体験から検証 | 仮説に手触りを与え、高速で「構想→体験→フィードバック」のサイクルを回した |
▼検証プロセスの詳細
日々の食事の様子(献立を考えるところからゴミ処理まで)を写真と短い文章で記録してもらう「日記調査」を実施。冷凍食品に関する課題は「食べる」部分だけでなく、献立を立てる→買い物→調理→片付けという一連の「見えない家事」全体に存在することが明らかになりました。
さらに、ECサイト、商品パッケージ、解凍手順を記したチラシなど実際のサービスに近いプロトタイプを制作し、リサーチ対象者の自宅で購入から食事までの一連の体験を観察。例えば、ウェブサイト上では美しく見えた料理写真が、自宅で解凍して白いお皿に盛り付けた途端、全く違う印象になってしまうといった「企画書では見えない、実体験レベルの課題」を次々と可視化しました。
グッドパッチが特に意識したのは、「mitaseruチームの中で固まりつつあった顧客像を、調査を通じて一度壊す」ことでした。一次情報に触れることで既存の仮説を検証し、フラットな視点でユーザーの価値観に基づいて顧客像を再解釈しながら、サービス設計を根本から見直しました。
▼成果:事業化の実現とマインドセットの定着
約2年の検証期間を経て、三井不動産社内の本格事業化の承認を獲得。2024年4月、mitaseru JAPAN株式会社として事業会社が設立されました。
mitaseruの代表取締役 松本氏は「リサーチを通じて顧客が何を求めていて、どういった価値がUX的に刺さるのかという検証に集中できたのはとても価値がありました。グッドパッチさんと協業した2カ月間で、実際にユーザーの声を拾いながら突き詰めた顧客視点のサービスであると社内でも理解してもらえたところが、事業化へつながったポイントだと感じています」と語っています。
また、この2カ月間で確立した「顧客視点を拾い続ける」マインドセットは事業化後も継続。定性調査の頻度が1年に1回から2カ月に1度へと変化し、顧客アンケートに必ず目を通す習慣が定着しました。グッドパッチとの協働を通じて得た「徹底的な顧客理解」というアプローチが、事業の成長を支える土台となっています。
株式会社mitaseru JAPANへの支援事例をDLする
【新規事業10→100の事例】アイデアの具体化・MVP開発(タベチャム)

引用:構想3年、三菱電機の新規事業「タベチャム」 プロトタイプ制作からサービスリリースまでの道のり
▼アイデアの具体化・MVP開発フェーズで直面していた課題
- 「ワードから飲食店を探す」というサービスコンセプトはあるものの、それをどう体験に落とし込むかの整理が不足していた
- 社内で作られたプロトタイプは最低限の機能のみで、デザインが不在。ユーザー検証に必要な完成度を満たしていなかった
- ユーザーにどんな価値を届けるべきか、MVPとして“何をつくるか”の優先順位が定まっていなかった
- スピード重視の新規事業開発に対して、インフラ事業特有の慎重な組織文化がスピードの足かせとなっていた
三菱電機が構想した「タベチャム」は、“なんとなく”という感覚的なワードから飲食店を見つけられる、ユニークな検索体験を提供するサービスです。しかしその立ち上げ当初、サービスのコンセプトは定まっていたものの、ユーザーにどう届け、どのように使ってもらうかという具体設計が不明瞭なまま、プロトタイプ制作が先行していました。
グッドパッチはそのフェーズから参画し、UI/UXの設計支援にとどまらず、MVPに必要な価値定義の整理を通じて、サービスアイデアを検証可能な形に具体化。社内外ステークホルダーの共感を得られるプロトタイプへと導きました。
▼グッドパッチが実践したアイデア具体化のための4つのアプローチ
| 考え方 | 実施内容 | 解決されたポイント |
|---|---|---|
| ①顧客の感情を起点に考える | 「なんとなく」という感覚的な検索体験を実現するため、ワードの見せ方・選び方を徹底的に検討 | サービスの核となる「感覚的な検索」という体験を、実際に使える形で具現化 |
| ②ユーザーリサーチで隠れたニーズを発見する | 毎日30分のMTGでやりたいことを深掘りし、機能の優先順位を明確化 | 「何が本当に必要か」が整理され、検証可能なプロトタイプの要件が定まった |
| ③作りながら考える(プロトタイピング思考) | ワイヤーフレームからUIデザインまでを短期間(2カ月)で制作。毎日の定例で合意形成を高速化 | サービスのイメージが具体化し、社内の意思決定スピードが向上。プロジェクトが前進する基盤に |
| ④ブランド全体の設計で価値を伝える | ロゴデザイン、LP制作、SNS広告など、サービス認知に必要なタッチポイントを一貫して設計 | 社内外へのプレゼンテーションに必要な完成度と納得感を実現。マーケティング活動にも貢献 |
タベチャムは「コンセプトはあるが、体験に落ちていない」というMVP開発フェーズ特有の壁に直面していましたが、グッドパッチの共創支援により、検証可能なMVPと、社内外の共感を得られるプロダクト像を短期間で確立することができました。
新規事業「タベチャム」へのグッドパッチの支援事例を読む
新規事業のアイデアを形にするなら「グッドパッチ」へご相談を
- 仮説検証サイクルを高速で回せる開発体制
- 顧客体験と事業成長をブリッジする設計力
- 立ち上げ後も成長を継続できる支援体制
当記事では新規事業のアイデアの出し方についてご紹介しました。新規事業のアイデアは、頭の中にあるだけでは前に進みません。顧客の課題を深く理解し、プロトタイプで検証しながら、ビジネスモデルとして磨き上げていくプロセスが不可欠です。
グッドパッチが新規事業支援のパートナーとして多くの企業に選ばれているのは、アイデアを確実に「事業」へと昇華させる実践力を持っているからです。「いかに迅速に形にし、検証し、成長につなげていけるか」、このプロセスの質とスピードが事業の成否を分けます。
グッドパッチは新規事業に関する課題を抱える企業の皆さまを、企画、検証、プロトタイピング、事業化フェーズまでの全てをサポートします。リリース後もチームが自走できるよう、持続可能なプロダクトグロース戦略を立案し、長期的な成長を見据えた体制づくりまでを支援します。
新規事業についてお悩みの方は、ぜひグッドパッチまでご相談ください。私たちは「デザインの力を証明する」というミッションの下、貴社のアイデアを“次の成長エンジン”となる実践的な事業へと昇華させることを目指します。
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