新規事業の立ち上げにおいて自社にノウハウがない場合は、専門性の高いコンサルティング会社の力を借りることがおすすめです。しかし、以下のようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

「デザインコンサルティングファームや戦略コンサルティングファームはたくさんあるが、どのような違いがあるのか分からない」

「新規事業領域でコンサルティングを依頼する際の進め方やプロセス、判断基準が分からない」

そこで本記事では、新規事業コンサルティング企業の選び方や、厳選したおすすめのコンサル会社をご紹介。依頼の際の費用相場や、新規事業コンサルティングの進め方についてもまとめました。これから新規事業の立ち上げを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

新規事業のパートナー選定において持つべき観点と事業フェーズに合わせたパートナー選定ガイドブック

コンサルティング会社やインキュベーションファーム、そしてデザインコンサルティングファームなど、今やさまざまな企業が新規事業開発支援を行っており、支援する内容や方法も三者三様です。
外部パートナー選定の際に持っておくべき観点と、事業のフェーズ・状況に合わせた選び方をご紹介します。

このような方におすすめです

  • ・昨今、デザインコンサルティングファーム、コンサルティングファームが数多くあるが、それぞれの違いが分からない
  • ・リソースの都合上、内製から外部に切り替えたいが、どんな体制を組めば良いか分からない
  • ・コンサルに依頼したが、示唆出しだけで現場レベルで実践できず、失敗した経験がある

目次

【比較表】新規事業コンサル会社の特徴を比較

以下に、本記事で紹介する新規事業コンサル会社の特徴をまとめています。

コンサル会社 種別 特徴
株式会社グッドパッチ デザインコンサルティングファーム クライアントのビジネスや課題の本質に深く関わりながらアプローチ。コミット力の高さが魅力
株式会社ビービット デザインコンサルティングファーム コンサルティング、デザイン&運用、テクノロジーの分野を組み合わせた支援が特徴
株式会社コンセント デザインコンサルティングファーム 顧客価値や体験を基にビジネスモデルや業務オペレーションを包括的に設計
DigitalBCG インキュベーション特化型ファーム 新規事業開発フェーズを「イノベーション」「インキュベーション」「グロース」の3段階に分け、オーバーラップさせながら展開
株式会社ドリームインキュベータ インキュベーション特化型ファーム ビジネスの構想から戦略策定、ルールづくりまで、さまざまな角度から新規事業をサポート
株式会社アルファドライブ インキュベーション特化型ファーム 新規事業支援のリーディングカンパニーとして、新規事業開発の仕組みづくりから立ち上げまで一貫して支援
株式会社Relic インキュベーション特化型ファーム デザイン×テクノロジー×投資を掛け合わせたコンサルティングファーム
アビームコンサルティング株式会社 戦略コンサルティングファーム 総合型コンサルティングファームならではの幅広いラインナップのサービスが特徴
株式会社リブ・コンサルティング 戦略コンサルティングファーム 成果主義・現場主義を重視したアプローチが特徴。新規事業開発の支援に加えて、技術起点のコンサルティングも実施
デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社 戦略コンサルティングファーム グローバルな知見と実績を活かして、新規事業創出の支援を実施。独自のツールも提供している

3つの軸から見る新規事業のコンサル会社の選び方

まずは、新規事業のコンサル会社の選び方について解説します。一口にコンサル会社といってもさまざまなサービスがあり、どの会社を選んで良いか迷ってしまう方も多いでしょう。

以下では、コンサル会社を「デザインコンサルティングファーム」「インキュベーション特化型ファーム」「戦略コンサルティングファーム」の3つに分けて解説します。

  • 顧客視点で、売れる/使われる新規事業の立ち上げに伴走してほしい:デザインコンサルティングファーム
  • 新規事業の型を学びたい:インキュベーション特化型ファーム
  • 新規事業で参入する業界や課題を明らかにしたい:戦略コンサルティングファーム

1. 顧客視点で、売れる/使われる新規事業の立ち上げに伴走してほしい|デザインコンサルティングファーム

ユーザー目線を優先した本格的な新規事業を検討している場合、デザインコンサルティングファームへの依頼がおすすめです。デザインコンサルティングファームとは、デザインを軸としたサービスを展開する会社のこと。顧客体験の設計や新規事業の立ち上げなど、さまざまなビジネス領域に幅広く関わります。

デザインコンサルティングファームでは、ミクロなユーザーインサイトに着目します。仮説検証を繰り返しながら、具体的かつ実践的なアプローチで事業を進めていく点が特徴です。

「ユーザーが求めているもの」を明確にしながら、事業を具体的に形作っていくプロセスを共に進めていくことで、立ち上げ後も成長することができる新規事業を生み出していけるのが、デザインコンサルティングファームの強みといえます。

2. 新規事業の型を学びたい|インキュベーション特化型ファーム

インキュベーションファームでは、新規事業を立ち上げるためのプロセスが各社で用意されています。具体的なアウトプットの方法は、コンサルティングファームによってさまざまです。各社が設ける特定の型に沿って事業を検討することで、必要な観点を網羅し、迷いがちな新規事業立ち上げのプロセスをスムーズに進行できます

新規事業の作り方の基礎を学べるため、ノウハウを自社に持ち帰って将来的に応用することも可能です。

3. 新規事業で参入する業界や課題を明らかにしたい|戦略コンサルティングファーム

新規事業に取り組むにあたって、参入する市場の概況や顧客が持つ課題感を明らかにしていきたい場合は、戦略コンサルティングファームがおすすめです。

戦略コンサルティングファームは市場調査やデータ分析が得意です。そのため、事業計画に必要な判断材料を整理して提供してくれる点が強みです。複雑なビジネス要素やステークホルダーの調整・整理も行い、市場でのホワイトスペースを見つけられるよう支援してくれます。

また、事業がある程度進行していて、「この方向で合っているのか?」という相談も可能です。課題に対して、リスクを最小限に抑えた業務改善や経営改善の戦略を提供してくれるでしょう。

新規事業コンサルでおすすめなデザインコンサルティングファーム3選

以下では、新規事業の立ち上げにおすすめなコンサルティング企業を紹介します。まず紹介するのは、デザインコンサルティングファーム3社です。

  • 株式会社グッドパッチ
  • 株式会社ビービット
  • 株式会社コンセント

株式会社グッドパッチ

株式会社グッドパッチ

出典:株式会社グッドパッチ

株式会社グッドパッチは、2011年に創業したデザインコンサルティングファームです。デザインの専門家として、クライアント企業の課題解決・成長に貢献しています。2020年には、デザイン会社として国内で初めて東証マザーズ(現:グロース市場)に上場しました。

グッドパッチの強みは、クライアントの事業や組織の課題の本質に深く関わりながらアプローチをしていく点です。単なるデザイン制作にとどまらず、戦略の立案から関わり、UI/UXデザインやプロダクトマネジメント等の専門知識を活かして、顧客視点でプロジェクトを進めます。

BtoB・BtoCの領域問わずスタートアップ企業から大手上場企業まで幅広い分野において、事業戦略の立案フェーズから新規事業立ち上げを支援してきた実績があり、コミット力の高さも特徴です。熱量のあるパートナーをお探しの方は、ぜひグッドパッチまでご相談ください。

企業名 株式会社グッドパッチ
こんな企業におすすめ ・熱量のあるパートナーを探している
・立案フェーズから伴走してほしい
・特にUIやUXデザインに強みを持つ会社を選びたい
・デジタル領域でのサービス開発・プロダクト開発も含めた新規事業を検討している
公式サイト https://goodpatch.com/

 

株式会社ビービット

株式会社ビービット

出典:株式会社ビービット

株式会社ビービットは、ユーザー視点のデザインとデジタルマーケティングを展開するデザインコンサルティングファームです。コンサルティング、デザイン&運用、テクノロジーの分野を組み合わせた支援が特徴で、自社開発のUXプラットフォームや広告運用サービスも提供しています。

新規事業の領域においても実績豊富で、ライオン株式会社や花王株式会社など、大手企業への支援事例もあります。特にテクノロジーを駆使したUXコンサルティングを求めている場合は、同社への相談を検討してみてはいかがでしょうか。

企業名 株式会社ビービット
こんな企業におすすめ ・デジタル領域に関する新規事業を検討している
・支援事例の豊富なパートナー会社に依頼したい
・ユーザ視点で価値を創出したい
公式サイト https://www.bebit.co.jp/

株式会社コンセント

株式会社コンセント

出典:株式会社コンセント

株式会社コンセントは、「デザインでひらく、デザインをひらく」をミッションとして掲げるデザインコンサルティングファームです。

サービスデザインの視点と技術を活かし、新規事業開発からブランディング、顧客接点の構築までさまざまな領域を支援しています

新規事業の立ち上げでは、顧客価値や体験を基にビジネスモデルや業務オペレーションを包括的に設計。顧客中心の発想を重視しているのが特徴です。

企業名 株式会社コンセント
こんな企業におすすめ ・組織全体のデザイン力を強化したい
・ビジネスモデルから顧客接点まで包括的に改革したい
・サービスデザインのアプローチで解決策を見出したい
公式サイト https://www.concentinc.jp/

新規事業におすすめなインキュベーション特化型ファーム4選

続いて、新規事業におすすめなインキュベーション特化型ファームを4社紹介します。

  • DigitalBCG
  • 株式会社ドリームインキュベータ
  • 株式会社アルファドライブ
  • 株式会社Relic

DigitalBCG

DigitalBCGは、世界的に有名なコンサルティングファーム「ボストンコンサルティンググループ」のデジタル領域に特化した組織です。

DigitalBCGでは、各クライアント企業のフェーズに合わせて新規事業の支援​を実施していることが特徴です。新規事業開発のフェーズを「イノベーション」「インキュベーション」「グロース」の3段階に分割。それぞれをオーバーラップさせながら展開しています。

インキュベーションフェーズを終えたあともフォローしてもらえるため、長期的な支援を受けたい企業におすすめです。

企業名 DigitalBCG
こんな企業におすすめ ・長期的な支援を求めている
・デジタル領域の新規事業を立ち上げたい
・既存事業の抜本的改善や体制の再構築も検討している
公式サイト https://digitalbcgjapan.com/

株式会社ドリームインキュベータ

株式会社ドリームインキュベータ

出典:株式会社ドリームインキュベータ

株式会社ドリームインキュベータは、自社の事業は「ビジネスプロデュース」であると掲げています。大手企業の成長戦略のための新規事業の支援から、国内外のベンチャー企業への投資・インキュベーションまで、幅広い支援実績があります。

業界を超えた視野と発想によって、ビジネスの構想から戦略策定、ルールづくりまで、さまざまな角度から新規事業をサポート。5年後、10年後の「柱」となるような大規模な事業創造を目指している方は、同社に相談してみてはいかがでしょうか。

企業名 株式会社ドリームインキュベータ
こんな企業におすすめ ・大規模な事業創造を目指している
・戦略策定からルールづくりまで依頼したい
・従来の枠組みに囚われない構想力がほしい
公式サイト https://www.dreamincubator.co.jp/

株式会社アルファドライブ

株式会社アルファドライブ

出典:株式会社アルファドライブ

株式会社アルファドライブは、企業内新規事業のプロフェッショナル集団であり、企業変革を推進するコンサルティングを提供するソリューションカンパニーです。新規事業開発を「人づくりであり、文化をつくること」と捉え、新規事業開発や組織変革、次世代人材育成など、さまざまな支援サービスを提供しています。

特に、企業内での新規事業創出支援に強みを持ち、豊富な実績とノウハウを活かして、構想段階から事業化、グロースまで一貫してサポートします。

企業名 株式会社アルファドライブ
こんな企業におすすめ ・企業内での新規事業創出に力を入れたい
・組織変革や次世代人材育成にも関心がある
・構想段階から事業化、グロースまで一貫した支援を求めている
公式サイト https://corp.alphadrive.co.jp/

株式会社Relic

株式会社Relic

出典:株式会社Relic

株式会社Relicは「新規事業特化型」のデザイン×テクノロジー×投資を掛け合わせたコンサルティング会社で、新規事業の戦略立案から実行・成長までを一貫して支援しています。

独自SaaS(Throttleなど)やオープンイノベーション、共同開発モデルを活用し、累計4,000社以上・20,000件以上の支援実績があります。

企業名 株式会社Relic
こんな企業におすすめ ・新規事業を本格的に立ち上げたい
・オープンイノベーションや共創型のアプローチを望む
・地方企業や複業&人材体制の構築に課題を抱えている
公式サイト https://relic.co.jp/

新規事業におすすめな戦略コンサルティングファーム3選

続いて、新規事業におすすめな戦略コンサルティングファームを3社紹介します。

  • アビームコンサルティング株式会社
  • 株式会社リブ・コンサルティング
  • デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社

アビームコンサルティング株式会社

アビームコンサルティング株式会社は、アジアを基点とするグローバルなコンサルティングファームです。

総合型コンサルティングファームならではの幅広いラインナップのサービスが特徴で、支援実績が豊富なところも魅力です。コンセプトの創造から事業の立ち上げ、展開まで、トータルで新規事業を支援しています

大手物流会社から金融会社、旅行会社まで、多岐にわたる支援実績があります。

企業名 アビームコンサルティング株式会社
こんな企業におすすめ ・グローバルな視野でアドバイスがほしい
・コンセプト創造から事業立上・展開までトータルで支援を受けたい
・支援実績が豊富な企業に依頼したい
公式サイト https://www.abeam.com/jp/ja/

株式会社リブ・コンサルティング

株式会社リブ・コンサルティング

出典:株式会社リブ・コンサルティング

株式会社リブ・コンサルティングは、成果主義・現場主義を重視したアプローチが特徴のコンサルティングファームです。新規事業開発の支援に加えて、技術起点のコンサルティングも行っています。

伴走型のスタイルを重視しており、事業企画後の事業検証や成果創出の確度を高めているのが魅力です。また、独自のネットワークを活かして、実際の対象企業や生活者へのヒアリングもカバーしてくれます。

さらに、大企業からベンチャー企業まで、さまざまな支援実績があることも特徴です。アイデア出しから事業化までのサポートや、事業開発能力を向上させるための組織づくりまで、多岐にわたる支援を手がけています。

企業名 株式会社リブ・コンサルティング
こんな企業におすすめ ・成果主義・現場主義のアプローチを行いたい
・プロジェクトにコミットして最後まで伴走してほしい
・組織づくりも含めて支援してほしい
公式サイト https://www.libcon.co.jp/

デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社

デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社は、スタートアップや大企業向けにさまざまな支援サービスを展開。グローバルな知見と実績を活かして、新規事業創出の支援も行っています

また、新規事業開発支援ツール「Startup Compass」を提供していることも特徴です。このツールは、イノベーション創出の加速を目的に、新規事業を開発する際に必要となるプロセスを網羅しています。

戦略立案から事業拡大まで幅広い領域での支援を受けられるので、まずは相談してみてはいかがでしょうか。

企業名 デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社
こんな企業におすすめ ・新規事業開発支援ツール「Startup Compass」に興味がある
・事業拡大も含めてサポートを受けたい
・グローバルな知見を取り入れたい
公式サイト https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/dtvs/dtvs.html

新規事業のコンサルティングを依頼する際の費用相場

新規事業のコンサルティングを依頼する際の費用は、ソリューション内容やアサインする人数、期間をベースに算出されます。そのため、実際の金額や料金プランを提示している企業は少ないです。具体的な金額について知りたい場合は、相談したい内容を基に見積もりを依頼しましょう。

なお、グッドパッチでは、ダウンロード資料にて具体的な事例をご紹介しています。あくまで目安となりますが、自社での想定内容と似た事例があれば参考にしてみてください。

資料のダウンロードはこちら

新規事業のコンサルティングの進め方

以下では、新規事業のコンサルティングの進め方について解説します。依頼内容やコンサルティングファームによって進め方は異なりますが、グッドパッチでは以下の流れで新規事業の立ち上げを行っています。

  1. 市場選定、顧客リサーチ
  2. 事業コンセプト設計
  3. コンセプト検証
  4. PoCや実証実験による事業性の検証
  5. 市場投入とグロース

1.市場選定、顧客リサーチ

新規事業開発の初期段階においては、適切な市場を選定し、顧客を深く理解することが重要です。市場選定と顧客リサーチの段階では、市場全体の状況を把握し、自社が参入すべき領域を明確にするとともに、顧客のニーズや課題を詳細に分析します。

まず、外部環境を把握するために以下の点に取り組みます。

・市場理解:設定したテーマに関わる市場を理解し、競合企業や事業の現状を深堀りする。
・ポジショニング分析:自社が取るべきポジションを明確にし、事業成長の可能性を探る。

次に、市場と顧客の実態を把握するための調査を設計・実施します。

・定性調査:インタビューや行動観察などを通じて、数値では測れないユーザーの行動や思考、課題の背景を深く理解するための調査。なぜそのように感じるのか、どういった状況で課題が生まれるかといった「質」の情報を集めることで、新規事業におけるアイデアの発見や顧客ニーズの仮説を立てる際の基礎となる。

・定量調査:アンケートやアクセス解析などを用いて、数値データを収集・分析する調査。市場規模やユーザー全体の傾向を「量」的に把握し、仮説の確かさを検証したり、事業の優先順位付けを行ったりする際に活用する。

調査実施後は、収集したデータを多角的に整理・分析します。

【定性データの分析】
ユーザーインタビューや行動観察などで得られた発言や行動の記録を分析。ユーザーの行動の背景にある「なぜ」を掘り下げ、本質的なニーズや課題などの質の高いインサイトを発見する。
【代表的な分析手法】
KA法、上位下位分析、価値マップ分析など

 

【定量データの分析】
アンケートやアクセスログなどの数値データを統計的に分析。市場全体の傾向やユーザー層ごとの特徴を「広く」客観的に把握し、データに基づいた意思決定を可能にする。
【代表的な分析手法】
クロス集計、クラスター分析、因子分析など

最後に、調査結果を基にユーザーモデリングを行います。リサーチで得られた情報を整理・構造化し、ユーザーの全体像を可視化するプロセスです。

ユーザーを以下の3つの階層で捉え、分析を進めます。

・属性層(誰が):ユーザーの属性や特徴を具体化した「ペルソナ」を作成し、ターゲットユーザー像を明確にする。
・行為層(どんな体験を):「カスタマージャーニーマップ」を用いて、ユーザーがプロダクトやサービスを体験する際の具体的な行動・思考・感情を時系列で可視化する。
・価値層(どういう価値を):ユーザーの行動の背景にある本質的な価値感や、本人も言語化できていない潜在的なニーズを深堀りする。

上記のプロセスを通じて、市場の魅力度と顧客ニーズを総合的に評価し、新規事業の方向性を定めます。

【関連記事】【保存版】UXリサーチ完全ガイド|成功のポイントと手順を徹底解説

2.事業コンセプト設計

市場選定と顧客リサーチを通じて得られた情報に基づき、新規事業の具体的なコンセプトを設計する段階です。顧客にとっての本質的な価値を特定し、それをどのようにプロダクトの機能や特徴として具体化するかを検討します。

まず、顧客課題を解決する事業アイデアの発散と収束を行います。

・アイデア発散:顧客の潜在的ニーズを捉え、多様なアイデアをブレインストーミングによって発散させる
アイデア収束:発散されたアイデアの中から、実現可能性や市場性を考慮しながら、最も価値があり、自社が取り組むべき解決策に絞り込む

次に、顧客の受容性を高めるための価値検証設計を行います。

・検証項目設定:絞り込み段階で立案した事業アイデアの仮説を基に、提案するデジタルサービスが顧客に真の価値をもたらすか、定性・定量の両面から検証項目を設計する
検証方法の策定:上記検証項目について、具体的な検証方法を策定する

そして、事業アイデアを可視化するために、コンセプトシートを作成します。

・コンセプトシートに記載すること:顧客の課題や提供価値、差別化要因、収益モデルなどを明記する
作成の目的:作成したシートで課題とサービスコンセプトへの共感が得られているかを確認するため

事業コンセプト設計のプロセスを通じて、新規事業の骨格を明確にし、その後の開発の指針を定めます。

【関連記事】自由な発想でアイディアを生み出す!Goodpatchの新しいワークショップとは

3.コンセプト検証

事業コンセプト設計で作成したコンセプトシートを基に、ターゲット顧客へのインタビューや調査を実施し、コンセプトが実際に顧客に受け入れられるかどうかを検証する段階です。

検証の結果、コンセプトに改善点が見つかった場合は、原因を分析し、具体的な改善策を検討。必要に応じてコンセプトを改善し、プロダクト開発の方向性へ反映します。

コンセプト検証のプロセスを通じて、机上の空論ではなく顧客ニーズに基づいた、より確度の高い事業コンセプトへと磨き上げます。また、開発の初期段階で顧客の反応を確認することで、手戻りのリスクを低減し、効率的な開発につなげられるのです。

4.PoCや実証実験による事業性の検証

コンセプト検証を経て磨き上げられた事業アイデアについて、実際に顧客にプロダクトやサービスを提供し、事業としての実現可能性や収益性を検証する段階です。PoC(Proof of Concept:概念実証)や実証実験により検証を行います。

一例として、以下のようなステップで進めます。

1.PoC検証設計 ・実際の想定顧客にプロダクトを提供し、収益性を保ってサービス提供できることが確認できている状態を目指す
・PoCで何を検証するのかを明確にする
(例:顧客は本当に価値を感じて対価を支払うか、オペレーションは継続可能か、など)
2.PoC用MVPプロダクトの開発伴走 PoCで使用するMVP(Minimum Viable Product)の開発支援
3.事業計画策定サポート PoCの結果を踏まえ、本格的な事業化に向けた事業計画の策定を支援

PoCや実証実験を行うことで、より現実的な環境下で事業の有効性を評価可能です。本格的な事業投資を行う前のリスクを最小限に抑え、成功の確度を高められます。

【関連記事】素早く作って素早くリリース!MVP開発をスムーズに進めるポイント

5.市場投入とグロース

PoCや実証実験を通じて事業の有効性が確認できたら、いよいよ市場投入(プロダクトリリース)です。リリース後も継続的にプロダクトを成長させていくための取り組みが重要になります。

市場投入とグロースの段階では、以下のような活動を行います。

プロダクトの改善 ・市場投入後、ユーザーからのフィードバックや利用データを分析し、プロダクト改善を継続的に行う
・アジャイル開発の手法を取り入れ、短期間で素早く改善を繰り返し、ユーザーニーズへの迅速な対応を目指す
マーケティング戦略の実行 ・プロダクトの認知度向上と新規ユーザー獲得のために、効果的なマーケティング戦略を実行する
・最適なマーケティングチャネルの選定や、価値を適切に伝えるメッセージの作成など
セールス戦略(toB向けプロダクトの場合) ・営業体制を構築し、販売促進活動を強化する
・ターゲット顧客のリストアップや営業資料の作成など
グロース戦略の策定・実行 ・プロダクトの成長を加速させるための戦略(グロース戦略)を策定し、実行する
・新規機能の追加や新たな市場セグメントへの展開など
KPI設定とモニタリング プロダクトの成長を測るための適切なKPIを設定し、継続的にモニタリングを行う

上記の活動を通じて、プロダクトを市場に適応させ、持続的な成長を目指します。

新規事業コンサルティングを依頼する前に準備すべきポイント

スムーズにパートナー会社とやり取りをするために、新規事業コンサルティングを依頼する前に準備すべきポイントも押さえておきましょう。

  • コンサルティングファームへ依頼する目的を明確にする
  • 自社で取り組む新規事業の中で譲れない制約条件を明確にする
  • 予算や期間の計画を立てる
  • 社内の協力体制を整える

それぞれ解説していきます。

コンサル会社へ依頼する目的を明確にする

まず、コンサル会社に依頼する目的をはっきりさせましょう。自社に足りないノウハウや解決すべき課題を整理して、コンサル会社に対してどのような支援を求めるのか明確にします。また、具体的な目標も設定しておきましょう。

自社で取り組む新規事業の中で譲れない制約条件を明確にする

新規事業を成功させるには、外部のコンサルティングファームの知見だけではなく、自社内の事情や制約条件も考慮に入れる必要があります。そのため、新規事業を進める上で「絶対に譲れない制約条件」を明確にしておきましょう。

例えば、以下のような項目が挙げられます。

  • 次フェーズに進むためにクリアしたい検討項目
  • 事業アイデアを選定するにあたっての前提条件
  • 上申予定日 など

制約条件を事前にコンサルティングファームと共有することで、より現実的で自社に合った提案を受けられます。また、プロジェクト終了後に「期待した成果を得られなかった」という事態を防ぐためにも、上記のポイントについて細かくすり合わせをしておきましょう。

予算や期間の計画を立てる

コンサルティングを受けるには、当然コストがかかります。プロジェクトの規模や内容に応じて予算を計画し、その範囲内でベストな結果を得られるように取り組みましょう

また、プロジェクトに必要となる期間についても、余裕をもって見積もっておくことが重要です。どのフェーズにどれくらいの時間を割くのかを考えておくことで、プロジェクトの始動後も効率的に進められるでしょう。

社内の協力体制を整える

コンサルティングを利用して新規事業を成功させるためには、社内の協力体制も欠かせません。プロジェクトが進む中で事業方針を変えたり、業務プロセスに変更が生じたりすることがあるからです。

そのため、コンサルティングを受ける目的と内容について、事前に社内で共有して理解を得ておきましょう

新規事業コンサルの成功事例

最後に、新規事業コンサルの成功事例をいくつか紹介します。

グッドパッチでは、幅広い分野において新規事業を支援した実績があります。以下では、その取り組みの一部を紹介します。

■目標達成・習慣化アプリHabee(日本たばこ産業)

■目標達成・習慣化アプリHabee(日本たばこ産業)

たばこ事業を中核に多角的に事業展開を進めてきた日本たばこ産業(JT)。そんな同社が目標達成・習慣化を支援するスマートフォンアプリ「Habee(ハビー)」。

主力の事業とは一風変わった新規サービスとして立ち上がった同サービスは、現代人の受動的な余暇時間(スマホをぼんやり眺める時間)が増えている点に注目し、それを「積極的な行動」に変える習慣化アプリとして構想されました。

グッドパッチは限られた開発期間の中で、企画・コンセプト設計、UI・仕様設計、MVP検討・開発〜ベータ版開発からリリース後のフォローまで、実施。1年以上にわたって伴走支援を続け、Habeeの成長に大きく貢献しています。

[関連記事] JTの新たな挑戦、目標達成・習慣化アプリ「Habee」はどう生まれた? 開発プロジェクトの裏側に迫る

SUNTORY+アプリ開発(サントリー食品インターナショナル)

SUNTORY+アプリ開発(サントリー食品インターナショナル)

「SUNTORY+(サントリープラス)」は、サントリー食品インターナショナルが提供するヘルスケアサービスです。企業の「健康経営」のために開発されたこのサービスは、従業員の健康行動習慣化をサポートします。

当初、同社では、飲料以外の分野で新たにヘルス関連の事業を立ち上げる必要がありました。そこでグッドパッチは、事業の構想のタイミングから参画。デザインスプリントを駆使することで、迅速に価値の検証を実施しました。

ユーザーに実際にプロトタイプを試してもらい、フィードバックをベースに機能を改善。この手法によって、議論の中心が「仮説」から「事実」に基づくものへと変化しました。

その結果「SUNTORY+」は多くの健康アプリが抱える課題を克服。利用者の高い継続率を実現できています。また、現在でも企業の健康経営を支援するツールとして、従業員の健康行動習慣化の促進に成功しています。

サントリー食品インターナショナル株式会社の事例をダウンロードする

ワンキャリアクラウド開発(株式会社ワンキャリア)

ワンキャリアクラウド開発(株式会社ワンキャリア)

「ワンキャリアクラウド」は、戦略人事を支援するSaaSプロダクトで、新卒採用における課題解決を目指したソフトウェアです。

グッドパッチは、ワンキャリアクラウドのデザインアーキテクチャ設計を支援。また、シリーズの第一弾となる「ワンキャリアクラウド採用計画」の開発をサポートしました。

新規事業の立ち上げであったため、ユーザーからの反応を見ながらサービスの方向性を見極める必要がありました。そのため、限られたリソースを有効活用し、不確実性を乗り越えるために「アジャイル開発」を取り入れたことが特徴です。

プロジェクトを段階的に進めるアプローチを採用することで、密なコミュニケーションを実現。スピーディにプロジェクトを進行できました。

ワンキャリアクラウドはリリース後も順調に拡大し、2024年12月末時点で4,200社に導入されています。大手企業から中小企業・ベンチャー企業まで、幅広い業界で利用されるソフトウェアへと成長を遂げています。

ワンキャリアクラウド開発(株式会社ワンキャリア)の事例ダウンロード

新規事業のコンサルティングをお探しならグッドパッチへご相談を!

今回は、新規事業のコンサルティングについて解説しました。一口にコンサル会社といっても強みや得意領域はそれぞれ異なるため、自社に合ったコンサル会社を見つけることが大切です。

グッドパッチでは、デザインの技術を活かして事業戦略の立案からプロダクト開発までを幅広く支援しています。コミット力が高く、熱量のあるパートナーをお探しの方は、ぜひグッドパッチまでご相談ください。

デジタル新規事業開発支援サービス

企業の新規事業創出において、プロダクト開発をアイデアの仮説検証から実証実験、ベータ版開発まで一気通貫で支援します。また、リリース後のグロースを見据えたマーケティング/セールス領域の支援も合わせて行うことで、新規事業の成長を実現します。

このような方におすすめです

  • ・理想的な事業アイデアはあるものの、プロダクトの構想が具体に落とせていない
  • ・事業の確実性に対する情報が不足しており、上申が突破できない
  • ・プロダクトを作ることができる人材、ディレクションできる人材が社内にいない