ビジネスとデザインは、これまでにも増して相互に領域を横断しながら「切っても切り離せない関係」になっています。しかし、ビジネスパーソンとデザイナーが、互いの専門領域に対する理解が浅いことが課題としてあります。ここでは、特にビジネスパーソンがビジネスとデザインの関連性を学ぶために役立つ、UIデザイン・UXデザイン・デザイン思考・デザインプロセスにまつわるおすすめの本を一挙ご紹介します。

UXやUIデザインだけでなく、ビジネスの戦略を考える際や、はじめてデザインプロセスを導入して体験設計を行う際にお役立てください。

まずはデザインを理解しよう

広義のデザインを理解するためのおすすめ本

まずは「デザイン」そのものを理解することからはじめましょう。普段、デザインという言葉を耳にすることが少ない企業で働いているビジネスパーソンにとっては、デザインと言われても何を指すものなのかいまいち想像がつかないかもしれません。本記事で取り上げているノンデザイナーズ・デザインブックなるほどデザインは、デザイナーではない人にもおすすめしたい、デザインを理解するためには欠かせない視点が学べる本です。

ビジネス界隈で近年注目されているIDEOが提唱するデザイン思考であれば、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか?記事の中では、デザイン思考が世界を変えるデザインマネジメントなど、経営とデザインの関連性を学べるような初心者向けの本も紹介しています。初めは「デザイン思考」や「デザインマネジメント」と聞いても馴染みがないかもしれませんが、手元において繰り返し読むことでその理解を深められるでしょう。

UXデザインを理解するためのおすすめ本

デザインについては少し理解できましたか?まだ「自社のプロジェクトにデザイン思考を取り入れよう!」と思っても、なかなか難しいですよね。デザインの視点をビジネス視点に取り入れるのであれば、必ず押さえておきたい概念がUXです。

UX=ユーザーエクスペリエンス(ユーザー体験)
オンライン・オフライン問わず、ユーザーが製品やサービスを利用して得る体験のこと

本記事で一番最初にとりあげた一人から始めるユーザーエクスペリエンスは、Adaptive Path出身のUXデザイナーであるリア・ブリーによる、一人でUXに取り組む人のための指南書のような本です。この一冊を読めば、UXという言葉を聞いたこともない人が多数在籍する企業に、どのようにその概念を導入すれば良いかがわかるでしょう。他にもUXデザインの教科書LEAN UXなどUXデザインについて体系的に学べる本を多数掲載しています。本記事の中でご紹介している他の本も、UXを理解するには欠かせないナレッジ・ノウハウが詰まったものばかりなので、ぜひ気になったものには手を伸ばしてみてくださいね。

UIデザインを理解するためのおすすめ本

UXを理解したら、次はUIについて学んでみましょう。

UI=ユーザーインターフェース
UXを形成する上で実際にユーザーが目にしたり触れたりするもののこと

ある体験を生み出すのに、ユーザーにとって一番わかりやすく、使っていて心地の良い体験を届けるには、どのようなインターフェースにすべきか。UXという概念と比べると、UIはその一部に過ぎません。両者は同じ領域を横断し合う概念なので、UIの本であったとしても、UXの概念とかぶさることは十分にあります。IA(インフォメーションアーキテクチャ)について書かれたIAシンキングIA 100などは、まさにUI設計でもあり、UX設計でもあります。すぐに応用できる思考法や心理学的観点が書かれた本も多いので、UIという概念に触れたことがある人も読んでみてくださいね。

広義のデザインを英語で学べる本

さて、これまではデザインを日本語で学ぶ本を紹介してきました。しかし、デザインの文脈で日本よりも先駆けている欧米から学ばない術はありません。Goodpatchに在籍する多数の優れたデザイナーから勧めてもらった洋書も、ぜひ原作・日本語版・Kindle版からお好きなものを選んで読んでみてくださいね。日本でも多数読まれている誰のためのデザイン?LEAN UXの原書はもちろん、デザイン・スプリントの生みの親であるジェイク・ナップ氏によって書かれたSprint: How to Solve Big Problems and Test New Ideas in Just Five Daysも見逃せません。

ビジネスとデザインの関連性がわかる本

デザインについては理解できましたでしょうか?UXやUIについての知識は深められたけど、実際に自分のビジネスにデザインを役立てるにはどうすればいいの?と疑問に思う人も多いはず。ビジネスとデザインの関連性があまりイメージできない人のために、以下の記事では両者の関係がわかる本を抜粋しました。デザインマネジメント(デザインをビジネスの根幹にとらえたビジネス手法)デザイン経営サービスデザインなど多岐にわたる実践的な思考法を学ぶことができるでしょう。本記事では無印良品のデザインやバルミューダ 奇跡のデザイン経営など、実際にビジネスにデザインを応用して成功した実例が記載されている本も取り上げています。読んでみると、具体性がよりイメージしやすくなるのではないでしょうか。自社が開発したサービスがなかなか売れない・・・と売上に伸び悩んでいるビジネスパーソンも、ぜひグッドデザインカンパニーの代表取締役・水野学氏による「売る」から、「売れる」へ。を読んでみてください。

デザイン×ビジネス視点に不可欠なマーケティングが学べるおすすめ本

さて、ここまでデザインの本を中心にご紹介してきましたが、デザインでビジネスをドライブするためには、マーケティング視点が不可欠です。デザインと数字は無縁だなんて思いがちかもしれませんが、数字(売上)に貢献できないデザインは、せっかく投資した時間が無駄になるといっても過言ではありません。誰の何の課題を解決するのか、その結果どれだけ企業の売上に貢献できるのかという部分まで考えられてこそ、デザイン×ビジネスの理解に一歩近づけたと言えます。ぜひ「ビジネスをデザインする」という言葉への理解を深めるために、記事の中で紹介されている本をいくつか読んでみてくださいね。

ビジネスにデザインプロセスを導入しよう

チームビルディングを導入するためのおすすめ本

デザインとビジネスの強い関連性が理解できたところで、ここからは実際にデザインプロセスを導入したい企業に向けた本をプロセス別にご紹介します。まずは、デザインプロセスの中でも、序盤のキックオフと呼ばれるフェーズで行われる「チームビルディング」について理解してみましょう。

チームビルディング=プロジェクトに関わるチームメンバー1人ひとりが
個々の価値を最大限に発揮して、チームで団結しながら目的を達成するための組織を編成すること

この記事にはGoogleの会長エリック・シュミットによるHow Google Worksや、エンジニアリングチームを率いるブライアン・W. フィッツパトリックによるTeam Geekなど、Google社のチームビルディングに対するノウハウが書かれた本が多数掲載されています。また、ピクサーやサイボウズなど多数の有名企業の代表が書かれた自社流のチーム編成について書かれた本も見逃せません。あまり「プロジェクトにおけるチームビルディング」ということを意識しすぎず、どのような企業でも各部署やプロジェクトメンバー同士のコミュニケーション改善術として、各書を読んでみると自社のビジネスで実践しやすいかもしれません。

ユーザーインタビューを実施するためのおすすめ本

キックオフの後は、プロジェクトメンバーで分担しながら競合・ユーザーリサーチをすることが多いでしょう。市場やユーザーのニーズをまずは把握しなければ、作るサービスが必要とされるかどうか・ユーザーの課題を解決できるかどうかも明確にはなりません。この記事ではユーザー調査に焦点を絞り、その中でも特にユーザーのインサイトを定性的に得やすいユーザーインタビューに焦点を絞りました。

ユーザーインタビュー=特定のサービスを開発するにあたり
ユーザーが日々どのような課題やニーズを抱えているかを検出するために行うインタビュー

UXデザインを実現したいのであれば、必ず行うべきユーザーインタビュー。本記事では、マーケティングで役立つインタビューのノウハウが書かれたマーケティング・インタビューや、私生活でも実践できるコミュニケーション能力が学べる聞く力など多数読み応えのある本が記載してあるので、ぜひ読んでみてくださいね。

ビジネスの息抜きにデザインに触れよう

休日でも読みやすいおすすめ本

ビジネスパーソンとしては、業務で成果を出すことも大切ですが、休日のインプットも欠かせませんよね。特に社会人経験の浅い人は、休日もさまざまなイベントスポットに出かけたり、家で本を読んだりしてインプットに励んでいるのではないでしょうか?この記事では、「仕事で成果を出して成功したい」という思いが強いビジネスパーソンに、ビジネスで成功するためのヒントになる思考法が学べる本を紹介しています。iPod、MacBook、iPhone、iPadなど、Apple製品のデザインを手がけてきたデザイナー・ジョナサン・アイブ氏によるジョナサン・アイブをはじめ、ユーザーに長く愛され、成長し続けているサービスやプロダクトを生み出した企業の代表やデザイナーの思想に触れられる本が満載です。ビジネス書でテクニカルスキルを学ぶのも良いですが、たまにはこのようなエッセイ・コラム式の本も読んでみることをおすすめします。休日はリラックスしながら本を読んで、また新しい一週間も仕事を頑張りたいですね。


いかがでしたか?本ブログではこれまで多くのビジネスやデザインにまつわる本を記載してきました。今後もデザインプロセスに関する本や、仕事に役立つ実践本など、多数のトピックにまつわるおすすめ本をまとめた記事を掲載する予定です。こちらには随時足していきますので、ぜひまたチェックしてみてくださいね。