Goodpatchメンバーに聞いた!UIデザインを知りたい人へのおすすめ本13選
デザインには「装飾」と「設計」という異なる顔があり、非常に多様な意味合いがあります。
今回は、UIデザインに着目して、「UIデザインって何?」というところから勉強できる本をご紹介します。
次のような人に特におすすめです。
- UIデザイナーになったばかりの人
- もっとUIデザインについて勉強したい人
- サービス、アプリ開発に携わるエンジニア・ディレクターの人
目次
▶︎ 導入編
1. 誰のためのデザイン?
ものづくりに関わる人は必ず読んだ方がいい!と紹介されたのが、この本です。
作り手の都合や機械のための設計ではなく、人間中心の設計をせよ、と初めてユーザビリティに重きを置いた提唱をしたD.A.ノーマンの著書です。
デザイナーは、起こり得るエラーが実際に起こることを想定した上で、そのエラーが起こる確率と、エラーが起こった時の影響が最小になるようにデザインしなければならない
本書のこの言葉からも、本来デザイナーとは見た目の良いものを作る職業ではなく、ユーザーを思いやった設計をする職業なのだと教えてくれる本だということが分かりますね。
本質的なものづくりとして、UXを勉強するためにも、エンジニアやプロジェクトマネージャーの人に読んでいただきたい内容だと思いました。
内容を分かりやすくまとめたスライドがあったので、チェックしてみてください。
2. 失敗から学ぶ ユーザインターフェース
この本は、「洗面所のユーザインターフェース」「エレベーターのユーザインターフェース」など、身近でよく見かける使いにくいUIを、写真と共に紹介しています。
さまざまな身近にあるBAD UIから、「使いにくさの原因は何なのか・どうすれば使いやすくできるのか」まで解説してくれるので、UIデザイナーになりたての人にとっては、特に読む価値のある本ではないでしょうか。
私もUIデザイナーに貸してもらって読み始めましたが、写真や図解も多く、読みやすい文体なので、勉強を始める導入にぴったりだと感じます!
プロローグに「BAD UIの世界入場申請書」が載っていたのでご紹介します。
記入に困ってしまうポイントがたくさん見つかり、思わず笑ってしまいました。これから読み進めるのが楽しみです。
▶︎ 実践編
3. デザイニング・インターフェース
たくさん小説を読むと語彙が増えることと同じように、この本を読むことでUIについて理解がしやすくなり、アイデアを出しやすくなるそうです。
この本で紹介されている「パターン」とは、UIを構成する具体的な要素のことで、UIデザインを経験したことがある人にとっては当たり前のように使っているものばかりかもしれません。
しかしこの本は、実務経験が浅い人の学習用、チームでUIを話し合う機会や仕様書を書く際の用語集として使用例を想定しています。
- 開発中のソフトウェアのUIを自分でデザインする必要があるソフトウェア開発者
- 新人のインターフェースデザイナおよびユーザビリティスペシャリスト
- 優れたインターフェースデザインの本質を理解したいと考えるマネージャ
このような人が、「本書の読者層」として序章で挙げられてもいます。
初心者なら持っておくことで、辞書のように使える心強い存在となりそうですね。
41ページにわたるサンプルが公開されているので、未読の人は内容を確認してみてください!
ftp://ftp.oreilly.co.jp/download/di_sample.pdf
4. ヒューメイン・インタフェース
ヒューメイン・インタフェース−人に優しいシステムへの新たな指針
著者のジェフ・ラスキンは、Appleの“Macintosh”の名付け親でもあるコンピューター技術者です。
この本では、ユーザーインターフェイスではなく、ヒューメイン・インターフェイスという表現が用いられています。
なぜこの表現を使っているのか考えてみるだけでも、デザイナーとしての視点が磨かれるのではないかと思います!
後述しますが、Appleが提唱するデザインガイドライン「Human Interface Guidelines」とも通ずる内容となっているそうで、UIデザインに関わる人は必読と言えるのではないでしょうか。
5. IAシンキング
情報アーキテクチャ(Information Architecture)は、いわゆるWeb屋用語としては、知識やデータの組織化を意味し、「情報をわかりやすく伝え」「受け手が情報を探しやすくする」ための表現技術といった意味である。ウェブデザインの発展に伴い、従来のグラフィックデザイン(平面デザイン)に加え、編集・ビジュアルコミュニケーション・テクノロジーを融合したデザインが要求されるようになった。情報アーキテクチャはこれらの要素技術を組み合わせた、わかりやすさのためのデザインである。ウェブ技術の発達に伴いその重要性が認識されているが、情報アーキテクチャの考え方自体は、紙面デザインの頃から変わらない。
Wikipedia – 情報アーキテクチャ
IAとは幅広い領域を指す言葉のようですが、この本では、webサイト設計におけるIAについてを学ぶことができます。
教科書のような構成なので、「最初は斜め読みして、気になった単語を調べていく使い方でもいいと思う!」とのことです。
「IAの情報構築プロセスは、webだけではなくアプリにも活用できるところがある」 とUIデザイナーが話していたことから、本質的なユーザー視点のデザインをするためにも、ぜひ読んでおきたいですね。
また、演習問題も入っているようなので、読んでいて退屈しない構成になっているようです。
実際に問題を解きながら、情報を設計することがなぜ大切なのかを学んでみてはいかがでしょうか。
6. IA 100
IA100 —ユーザーエクスペリエンスデザインのための情報アーキテクチャ設計
こちらもIAについて、体系的にまとめられている本です。
情報設計に必要な要素を細かく分解し、100の要素として紹介しています。
情報アーキテクチャ=IAは、UXデザインという言葉が普及する前によく使われていた言葉だそうで、本書でもIAからUXDへという章があるなど、両者は密接な関係性にあると言えます。
webやアプリのインターフェースを通して、どれだけユーザー体験を向上させられるか、そのためにどのような設計をするのか。現代のデザイナーに求められる能力を考える手がかりになりそうです。
▶︎ ユーザー心理を学ぶ
7. UIデザインの心理学
「基本的な知識がある人は、この本で基礎を活かすと良いと思う!」と紹介していただきました。
webサイトの分かりにくいフォームの図を使って、どこが悪い点でどうすれば良くなるかを、人間の心理の観点でレビューしているため、より実用的に使えるそうです。
脳と視覚の関係から、論理的に適切なUIとはどんなものなのかを解説してくれるので、思い込みでデザインをしてしまうといったケースを防ぐためにも、一度は読んでおきたい本ですね!
8. インタフェースデザインの心理学
インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針
複数名のデザイナーから名前が挙がったのがこちらの本でした。
チームの共通知識として持っておきたい内容が詰まっているとのことで、何度も読み返したい本質的な指針を見つけることができるのではないでしょうか。
数々の参考文献をまとめた本なので、論文を引いたり、参照元から内容を深掘りできる点も重宝されているようです。
続・インタフェースデザインの心理学 ─ウェブやアプリに新たな視点をもたらす+100の指針
また、この本には続編も存在します。
ベストセラー書『インタフェースデザインの心理学』の続編。本書では、デザイナーが心に留めておくべき指針を、最新の研究で明らかになった事実とともに紹介します。
とのことで、より時代背景が反映された内容になっているようです。2冊合わせて読んでみたいですね!
9. 行動分析学入門
難しそうな本だな…と感じましたが、「アプリやwebを作ることは、人の心の動きを設計することに近い。だからUIデザインをするなら、行動科学などの理解も大切!」という言葉を貰い、なぜ読むべきなのか納得できました。
この本の紹介に、以下のような文章を見つけました。
失敗行動や犯罪の原因は、“心”に求められることが多い。「あいつはやる気がない」「過去のトラウマだ」等々。しかし、これでは評価にこそなりえても、問題解決にはつながらない。
つまり、予測できないような人の行動を分析して、原因を特定し、予測や制御を可能にするという問題解決のアプローチを図る本なのですね。
行動分析学と聞き、デザインとはやや離れた分野に感じましたが、実は非常にデザイナー的な視点だと分かり、興味が湧きました!
▶︎ プロダクトの作り方を学ぶ
10. デザイン思考の道具箱
KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)出身のデザイナーからは、こちらの本を紹介していただきました!
著者の奥出直人さんはKMDの教授であり、デザイン思考をプロセスとして実践する研究を続けています。
iPodなどの革新的なプロダクトの事例から、デザイン思考について理解することができる内容です。
デザイナーとして、本質的なモノづくりを目指すなら、読んでおきたい一冊だと思いました。
11. リーン・スタートアップ
事業の立ち上げにおいて、仮説の構築、実装、検証・改善を高速で繰り返す、無駄を削ぎ落とした手法をリーンスタートアップと呼びます。
デザイナーや開発者として、長く愛されるモノに憧れるなら、イノベーションがどのように生まれるのか、この本を通して考えてみると良いかもしれません。
▶︎ UIデザインのバイブル:デザインガイドライン
12. Human Interface Guidelines
新しい価値を生み出し続けるAppleには、根幹とも言える、デザインガイドラインが存在します。
User Interfaceではなく、Human Interfaceという言葉を使う点から、Appleが人間の感情や心理をデザインの中心に据えていることが分かりますね。
HIGの今昔について詳しく知るなら、弊社のiOS Developerがまとめた記事もおすすめです!
Macintosh から iPhone へ受け継がれるデザイン原則
HIGは日本語で書籍化もされているので、ユーザー中心の一歩先を行く人間中心のデザインをじっくり学んでみませんか。
Human Interface Guidelines:The Apple Desktop Interface(日本語版)
Google – Material design
Androidにも同様に、デザインガイドラインが存在します。
得意不得意があれど、UIデザイナーはiOSとAndroidのどちらも設計できなくてはなりません。
iPhoneとAndroidは、少し触っただけでも操作感が全く違うことが分かりますよね。
デザイナーやエンジニアが、iOSとAndroidの違いをガイドラインで理解することは、非常に重要だと感じました。
こちらは書籍化されていませんが、ぜひ上記のリンクから読んでみてくださいね。
▶︎ インスピレーションを得る
13. UI GRAPHICS
UI GRAPHICS ―世界の成功事例から学ぶ、スマホ以降のインターフェイスデザイン
スマートフォンが登場してからのインターフェイスについて、様々なアプリやwebの事例で振り返ることができます。
海外の事例も多く登場するので、色遣いなどのインスピレーションを得られるのではないでしょうか。
▶︎これからのものづくりを見据えるには
14. 融けるデザイン
以前、デザイナー志望ならフォローするべき!おすすめTwitterアカウント【日本人編】でもご紹介した、渡邊恵太さんの著書。
情報技術の発展に伴い、日々進化する私たちの生活。そんな生活の中に融けるように馴染むデザインを丁寧に紐解き、情報を中心とした設計の発想手法を解き明かしています。
これから先、UIデザインを知りたい人には、ぜひ読んでいただきたい一冊です!
おわりに
いかがでしたか?マインドセットの形成に役立ちそうな本から、実務向きの本まで、13冊のおすすめ本が挙がりました。
私はUIデザインに対して、「アプリ上の目で見える枠組みを作る」というイメージを持っていました。
しかし、その枠組みが作られる過程には、人間の心の動きなど、抽象的な事象が密接に関わっていることを知りました。
いつも使っているアプリやwebサービスも、デザイナーが私たちの感情や行動を分析・設計したものだと思うと、操作する時もなんだか新鮮です。
感性などの目に見えない部分を的確に捉え、分かりやすく設計することがUIデザイナーなんだと解釈することで、また少しデザインに近づけた気がします。
最後になりますが、Goodpatch Blogでは、社内で話題になったアプリ、サービス、デザインのまとめ記事を発信しています。
新しいもの好きなメンバーによる今までのまとめは、こちらからご覧ください!
(追記:2017/07/04 21:05 14.「融けるデザイン」を追加しました)