UXデザイナー1年目が実務で活かせた25冊
初めまして。UXデザイナーのしんやです。私は4月にGoodpatchへ新卒入社し、UXデザイナーとしての仕事を始めました。今期から新卒2年目になります。入社から振り返るとまだ体系化の余地があるUXデザインの仕事は、手探りな部分が多く、学習と実践を繰り返して知識とスキルを身に付けていったと思います。
この記事では、UXデザインに興味がある方、学習をしたい方向けにUXデザインを学習するのに役立った25冊の本をご紹介します。
ご紹介する25冊の本は、UXデザイナー1年目として、求められている品質にたどり着けなくても暗闇を手探りで進まなければいけない状態だった際に、同じチームで仕事ぶりを見ていた先輩デザイナー、エンジニア、代表土屋からおすすめしてもらった本たちです。ぜひUXデザインの理解を深める際に役立ててもらえると嬉しいです!
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目次
おすすめされて読んだ本たち
UXデザインの目的理解
道具の目的が不明瞭のまま、道具を正しく使うことはできません。UXデザインも同じく目的を考える必要があります。目的理解には概念や影響範囲、プロセスを具体的に把握することが大切です。このセクションではそれらに関連する書籍をご紹介します。
融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論
これはインターフェイス/インタラクションデザイン研究における気鋭の若手研究者、渡邊恵太氏が書かれた書籍です。IOTやD2Cなどハードとソフトウェア、オフライン、オンライン、それぞれの境界が融けてはじめている現代。UXデザインの対象領域もそれに伴い拡大しました。融けるデザインを読むことで、これから求められるUXの本質は何かを考えるきっかけを得ることができます。
UXデザインの教科書、サービスデザインの実践
UXデザインの目的とプロセスについて書かれた書籍です。プロセスの理解はもちろん、事業、経営に対してどのような変化が起きるのか事例も踏まえて理解することができます。
ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書、顧客起点マーケティング
UXデザインは商品に触れる顧客の体験だけを設計することだけではありません。UXデザインは顧客の他に、商品を制作する企業、商品の流通、収益などビジネスの設計も必要です。まずビジネスの全体像を把握するために、基本的なビジネスモデル理解、ビジネスが捉えるユーザーの認識を理解することをおすすめします。
書籍一覧
1.融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論
2.UXデザインの教科書
3.サービスデザインの実践
4.たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング
5.ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書 アレックス・オスターワルダー
UXリサーチ / 分析の手法を学ぶ
ここからは主要なUXプロセスごとに役立ったものを紹介していきます。まずはリサーチについて。
リサーチで重要なのは、目的設定とそれにひもづく適切な手法を選択することです。UXデザインに必要な情報を定められた期間内で取得しなければなりません。そして、良い情報を得るためには効果的な目的設定する力が必要です。イシューからはじめよ、戦略「脳」を鍛えるは、効果的な目的を定めるための考え方、思考方法、フレームワークを学ぶことができます。
目的を設定することができれば、次は適切な情報を取得できる方法を選択するだけです。手法を取り上げた書籍は多くある中で、要点で学ぶ、リサーチ&デザインの手法100は手法の種類を幅広く知ることができます。手法を深く理解するきっかけにおすすめです!
書籍一覧
1.イシューからはじめよ
2.戦略「脳」を鍛える
3.要点で学ぶ、リサーチ&デザインの手法100
アイディエーション力を身に付ける
このセクションではアイディエーションを取り上げます。一見、アイデアは思いつきと思われがちですが、幅広いアイデアを出すためには、事象を多角的に捉え、具体化するフレームを活用することが必要です。
具体と抽象、「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみでは前述で述べた事象を多角的に捉えるために、持つべき観点、具象のコントロールを学ぶことができ、考具では物事を多角的に捉えたあと実現に向けて具体化していくための思考フレームを学ぶことができますよ。
書籍一覧
1.考具
2.具体と抽象
3.「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ
ユーザー体験からデザインへ落とし込む
ユーザー体験を設計したのち、UIデザイナーと共にUIデザインをする際に役立った書籍をご紹介します。
ユーザー体験からUIデザインへ落とし込むためには、UIの理解が欠かせません。私は、UXデザイナーとUIデザイナーとの協業ができる状態を目指すため、基礎的なデザイン知識を再学習し、共通言語づくりを心がけました。結果、UIの役割はもちろん、制約や作る際の考慮点なども理解できるようになり、UIを表面的なものからその裏側にある意義や理由を深ぼれるようになり、UIデザイナーと適切なUIを議論できる状態になりました。Human Interface GuidelinesやMATERIAL DESIGN、その他基礎デザインを学べる書籍はもちろん、UIで特に重要なプロダクトの情報設計の考え方を学べるIAシンキングなどもおすすめです。
書籍一覧
1.ノンデザイナーズ・デザインブック
2.UIデザインの心理学―わかりやすさ・使いやすさの法則
3.IAシンキング
ユーザー要件からシステム設計を考える
ユーザーへ価値を提供するために、どんなに体験から良いデザインを作成しても、それが実装されなければ意味がありません。このセクションではユーザー要件からシステム設計を考えるきっかけになる書籍をご紹介します。
特にユーザー要件を正しく実装へつなぐシステム設計のセオリーでは企画工程とシステム設計との関連性、モデリング、プロダクト内の構造設計などにも触れているので、一概には言えませんが、エンジニアが設計時にどのような観点で情報を捉えているかを理解できます。これら他書籍も読むと、次第にデータの受け渡しの流れや拡張性、再利用性を考慮したUIや遷移、アイデアを検討できるようになってきます。
書籍一覧
1.ユーザー要件を正しく実装へつなぐシステム設計のセオリー
2.はじめての設計をやり抜くための本
3.ゼロからわかるUML超入門第2版
UXデザインプロセスをデザインする
UXデザインはプロダクトづくりというプロジェクトの一部です。プロジェクト自体の全体像、管理、運用や規律などを理解し、UXデザインを進める上で意識するポイントを把握しておくことが大切です。よく言われる鉄の三角形やクリティカルパス、タスクの優先度付け、要件定義書の書き方など、プロジェクトマネジメントの全体像が理解できる本をご紹介します。
書籍一覧
1.リーン・スタートアップ
2.「プロジェクトマネジメント」実践講座 (日本語)
3.正しいものを正しくつくる プロダクトをつくるとはどういうことなのか、あるいはアジャイルのその先について
4.いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書
5.Webディレクション標準ガイド プロジェクト始動からサイトの設計・構築まで
UXデザインに必要なチームづくり
デザインプロセスの実践は人によって行われます。快く実践するチームをつくることも良いUXを生み出すために大切です。ここではそんなチームづくりに役立つ本をご紹介します。
今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則は代表土屋から社員全員に贈与されて一読した書籍です。結成から良いチームになるために辿るチーム状態の変化と壁を漫画「ジャイアントキリング」の1シーンを参照しながら学べます。またエンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング では不確実が高い環境の中でチームに影響を与える要因の正体や対応の仕方を理解することができます。チームの状態の変化を理解し、適切な対応をしていくことで良いチームへの第一歩を踏み出せるようになりますよ!
実は私はチャットコミュニケーションが苦手でした。今のインターネット社会ではなかなか致命的で苦労していた部分です。つい冗長になってしまい、伝えたいことが伝わらないことでチームを混乱させたこともあります。そんな時に先輩からおすすめされた書籍は、誰も教えてくれなかった ビジネスメールの書き方、送り方でした。情報とニュアンスを正しく伝え、建設的に議論する場面で、日常的に使う言葉を大切に正しく使おうと考えを改めるきっかけになりました。
書籍一覧
1.今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則 『ジャイアントキリング』の流儀
2.エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング
3.誰も教えてくれなかった ビジネスメールの書き方、送り方
1年働いて気づいたUXデザインに大切な考え方
終わりに、私が今年1年の学習と実践を通して気づいた、UXデザインするために大切な考え方を記します。
「情熱ある探究心を持ち続ける」
探究心とは一般的に、深く知識を付け物事の価値、本質を見ようとすることと言われます。UXデザインは真に顧客が求める本質を見極め、適切なタイミングで価値を提供すること。UXデザイナーとしては、常に情熱を持って価値や本質を探求し続けることを大切にしたいと思っています。
「言葉を大切に扱う」
ユーザーインタビュー、クライアントからの要望、チームでの議論など、UXデザインの過程では多くの言葉を用います。一つひとつの言葉には発した人の想い、背景も隠れています。本質を見極めるためには、一つ一つの言葉の意味と文脈を大切にして汲み取ることが重要です。
「UXデザインはチームで築く」
たった一人でデザインをしていくことは時にとても困難です。自らのバイアスを壊していくためにも、デザインには多種多様な職能を持つ人が関わります。より良いUXデザインのためには、チームづくりが何よりも欠かせない要素だと考えるようになりました。
いかがでしたか?ここまでUXデザインを学習するのに役立った25冊の本をご紹介してきました。少しでもUXデザインの理解を深める足がかりになれば嬉しいです。最後までご覧いただき、ありがとうございました!