本記事では、UXデザインの基本概念やUIデザインとの違い、設計プロセスについて分かりやすく解説します。ユーザー体験向上のためのUXデザインの実践方法や事例、パートナー企業への依頼時のポイントについても紹介し、ユーザー体験向上とビジネス成功への活用法を提供します。

UXデザインは、ユーザーがプロダクトやサービスを使う際の「価値のある体験」を届けるための一連のプロセスを設計することです。

しかし、プロダクト開発に効果的なUXデザインのプロセスを取り入れたくても、

「具体的に何をすればいいかわからない」
「UXデザインを依頼する際に気をつけるべきことは何?」

といった疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、2011年の創業以来、デザインファームのパイオニアとして多くの企業に対してUXデザイン支援をしてきたグッドパッチが、UXデザインの基本的な考え方やプロセスを分かりやすくご紹介します。UXデザインを取り入れた事例や依頼時のポイントなどもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

監修者:片貝 朱里(株式会社グッドパッチ UXデザイナー)、丸 怜里(usagimaru)

成果に直結するUI/UXの改善点を1週間で提案

UI/UX分析の様子

プロダクトのUI/UXを「ビジュアルデザイン」「コンテンツ機能」「情報設計」の側面から分析・レポート。アプリやWebサイトの、CVR改善、離脱防止、ユーザー数アップなど、成果に直結する改善点を最短1週間でご提案します。

このような方におすすめです

  • ・ 短期間でUI/UXを改善したい
  • ・ CVR改善、離脱防止、ユーザー数アップなどKPIを達成するための改善点を見つけたい
  • ・ ユーザー視点に立った改善がしたいが、なにから手を付けていいかわからない
  • ・ 数値分析やABテストをやりつくしたので、インパクトのある改善点が見つけられない

UXデザインとは

UXデザイン(ユーザーエクスペリエンス・デザイン、ユーザー体験設計)とは、ユーザーがプロダクトやサービスを利用する際の一連の体験の仕方を設計することです。

利用する前の体験から利用中の体験、利用した後の「使いやすい、分かりやすい」「心地いい・楽しい」「また使いたくなる」といった一連の体験における設計・企画がこれに当たります。

ここで言う「UX(ユーザーエクスペリエンス、ユーザー体験)」とは、ユーザー一人ひとりにとっての主観的、時間的、または状況的な側面を含む一連の体験のプロセスを指します。

uxデザインとは何かを簡潔に表している画像です。

そもそもUXというものは、それ自体を誰かが直接設計できるわけではありません。

グッドパッチでは、UXを「個人的で主観的な心のプロセス」と位置付けています。デザイナーがユーザーひとりひとりのUXを直接設計するという発想を持つのではなく、ユーザーの利用状況やニーズに合わせて必要な仕組みを設計・提供することによって、「価値のある体験」を得られる環境づくりを志していきましょう、という発想を持つことが大切です。

この一連の取り組みを「UXデザイン」と呼んでいます。

例えば、「料理レシピ提案サービス」のUXデザインを行う際のプロセスは、次のようになります。

「料理レシピ提案サービス」のUXデザインプロセス例です。

⓪ユーザー調査  :想定サービス利用ユーザーに対して、料理の実態把握インタビューや料理時の課題についての定量調査を実施

①ユーザー課題抽出:「献立を考えるのが面倒」「食材を余らせる」などの問題を特定

②解決策設計:プロの調理師による食材を無駄にしない献立提案サービスを考案

③解決策具体化:解決策における価値を得られる仕組み(アプリやWebサービスなど)を開発

④ユーザー課題解決:ユーザーが簡単に献立を決め、食材の無駄を減らせるようになっているかをユーザー調査で検証する。課題解決ができていなければ、差分を抽出して①に戻る

このように、ユーザーの課題理解から解決策の考案、そして検証と再度の課題検証に至る一連のサイクルを何度も繰り返し、ユーザーにとって「価値のある体験」が得られる環境を形作っていきます。この一連のプロセスがUXデザインです。

UXそのものを直接設計することはできませんが、ユーザーの実態把握や価値抽出、インターフェイスの設計を通じて、「価値のある体験」をもたらすことのできる環境を作っていきましょう。

UIデザインとの違い

UIデザインとの違いを解説している画像です。

UXデザインとよく比較される言葉の一つに、「UIデザイン」があります。また、「UI/UXデザイン」などとまとめて呼ぶこともあります。これらは一緒に語られることも多いですが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。

UIデザイン(ユーザーインターフェイス・デザイン)とは、製品やサービスの優れたUIを設計するためのさまざまな考え方や手法、ツールなどをまとめた取り組みです。そして設計対象であるUIは、製品とユーザーとをつなぐ架け橋になる部分です。優れたUIをデザインするということは、製品やサービスの魅力を高め、印象や使い勝手を向上させることにつながります。

【関連記事】UIデザインとは? 大切な5つのポイントや取り組み事例を紹介

例えば、アプリなどのソフトウェアの画面の映り方や振る舞い方を設計するのは主にUIデザインでの仕事です。もちろんソフトウェアに限らず、ゲームのコントローラや券売機の操作盤、乗り物の運転席などもUIデザインの対象です。「UIデザインとは、ユーザーが直接触れて操作することのできる仕組みを作ること」と言い換えれば、イメージしやすいと思います。

対してUXデザインでは、UIに限らず、ユーザーの側に立ってさまざまな事柄を検証し、そこに「価値のある体験」がもたらされるような環境づくりを行います。UIデザインの設計対象が主に「モノ(プロダクトそのものや関わり方)」であるのに対し、UXデザインの対象は「ヒト(ユーザー)」と「コト(活動の仕方)」になります。UIデザインよりも広範囲で、ユーザーひとりひとりの主観的な心理プロセスに焦点を当てています。

UXデザインの重要性

ではなぜ、昨今のビジネスにUXデザインが重要なのでしょうか。

UXデザインが重要視されるようになった背景には、モノだけでなくコトも重視する、プロダクト・サービスづくりにおいて、ユーザーにとっての体験の過程を無視してはならないという価値観が広まったことが挙げられるでしょう。

モノからコトへの変遷を表現している画像です。

現代において、企業の存続には「ユーザーに必要とされるサービス」が必要であり、そのための手段の1つとしてUXデザインが注目されているのです。

また、近年のスマートフォンの普及も、UXデザインがより重要視されることとなった大きな要因の1つです。

かつての「一家に一台のコンピュータ時代」から、2007年のiPhone登場を機に、急速に「一人一台のコンピュータ時代」に変化しました。特に途上国におけるスマートフォンの普及は凄まじく、人類の大多数がインターネットに接続し、コミュニケーションをとることができる時代になりました。

すなわち、世界中のあらゆる人々が何かしらのデジタルプロダクトを使い、リッチなUIを備えたアプリやWebサービスを利用し、何らかの価値を得ているということになります。ユーザーとの接点の多くはソフトウェアが占めるようになり、ソフトウェアにおけるUX(ユーザー体験)を高めることは、サービスの魅力を高めることに直結します。

プロダクトは一度作って終わりにするのではなく、継続的に改善し、ユーザーに長期的に使い続けてもらうよう工夫していく活動が欠かせません。特にソフトウェアを使ったビジネスにおいては、常にアップデートをしていかなければ仕組み自体が成り立たないため、このことはビジネスの基本姿勢になるはずです。

効果的なUXデザインにより、「価値のある体験」を届けられる環境を作れば、たとえその瞬間は購買には至らずとも、わずかであったとしてもプロダクトやサービスの魅力を届けることはできているはずです。その後のリピート利用や、購入や導入数の増加など、ビジネス的な成功を期待できます。短期的なモノの売り切りではなく、「中長期的に、かつ継続的にどのようにユーザーに使ってもらい、LTVを最大化していくのか?」を考えると、UXデザインに投資することは非常に意義のあることだといえます。

UXデザインの設計に取り入れたい5つのプロセス

UXデザインの設計に取り入れたいアプローチの1つに、「HCDプロセス」というものがあります。

HCD(Human-Centered Design)とは、人間中心設計ともいわれている、ユーザーのニーズや行動、感情を中心に据えてプロダクトやサービスを設計する手法です。

HCDではプロダクトやサービスの構想段階から要求に合わせて設計し、ユーザーの満足度を評価していきます。ユーザーの求める製品やサービスになるまで、この一連の流れを繰り返します。

このHCDプロセスが、UXデザインの設計にも役立つと考えられています。

  1. 利用状況の把握と明示
  2. ユーザーと組織の要求事項の明示・ユーザーの課題やニーズを明確にする
  3. 設計による解決策の作成・解決策を考え出す
  4. 要求事項に対する設計の評価・解決策を評価する
  5. システムが特定のユーザーおよび組織の要求事項を満足するまで、1〜4を繰り返す

【参考】特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net)|HCDのプロセスと手法

ここからは、HCDプロセスに基づく、UXデザインの設計に取り入れたい5つのプロセスについて具体的に解説していきます。

STEP1.利用状況の把握と明示

まずはユーザーの視点を理解し、要求事項を明確にするために、ユーザーの実態把握に努めましょう。

具体的には、定量的なアンケートや、探索的なインタビューや観察、ユーザーの生活に実際に身を置くエスノグラフィー調査などを実施することで、ユーザーがどのような状況において、どのような背景から、何を課題に思い、何を求めているのかを理解します。

UXデザインのゴールを明確にするために、ユーザーの生活や行動を深く理解することが大切です。

STEP2.ユーザーと組織の要求事項の明示

STEP1で得たインサイトをもとに、ユーザーが求める要求事項を明確にしていきます。
収集したデータを分析し、ユーザーが抱えている課題やニーズを具体化しましょう。

要求事項の明確化にあたっては、ペルソナやジャーニーマップの作成が有効です。
ペルソナシートでユーザーの特徴的な行動やゴールとその背景を可視化したり、ユーザー行動とその流れの中での課題発生箇所と背景をジャーニーマップで可視化したりなどして、ユーザーの課題やニーズをまとめていきます。

誰がいつどのような課題を抱えていて、どのようなニーズを持っているのかを明確にすることで、関与者全員が共通認識を持ちやすくなります。
また、デザインのゴールを絞りやすくなることで、解決すべき具体的な課題やその優先順位を明確にしながら議論できるようになります。

STEP3.設計による解決策の作成

次に、可視化した要求事項に対して、解決策を考えていきます。

ブレインストーミングやマインドマッピング、プロトタイピングなどの手法により、要求事項を解決するためのアイデアを考案します。

STEP4.要求事項に対する設計の評価

STEP3で選んだアイデアを具体化し、ユーザーからのフィードバックをもらいます。

その上で利用状況を観察・評価し、明確化した要求事項は正しかったのか、要求事項に対する解決策はフィットしているかについて、ユーザーの反応を分析します。

STEP5.システムが特定のユーザーおよび組織の要求事項を満足するまで、1〜4を繰り返す

STEP4の評価時、仮説と異なる反応がみられた場合は、何が差分であったかを明確にし、STEP1〜4に状況に応じて立ち戻ることが重要です。

仮説と打ち手をブラッシュアップし続け、ユーザーおよび組織の要求事項が満たされるまでサイクルを回していきます。

UXデザインを活用した身近な事例

より具体的なイメージを掴むために、UXデザインを活用した身近な事例をご紹介します。

Spotify

SpotifyのTOPページのキャプチャです。

Spotifyは世界中の数千万もの音楽やポッドキャストを楽しめる音楽ストリーミングサービスです。シンプルで直感的なインターフェイスで、幅広い年齢層に支持されています。

Spotifyは、ユーザーのリスニングデータと行動分析を活用し、継続的にUXを改善しています。例えば、AIを用いたパーソナライズ機能「Discover Weekly」。個々のユーザーの履歴を分析し、Spotifyでまだ聴いたことのない曲を週替わりで30曲集めたプレイリストを自動で生成してくれます。

実際に、多くのユーザーがこの機能を通じて新しい好みのアーティストを発見し、音楽の幅を広げています。また、年末に提供される「Wrapped」機能は、ユーザーの1年間の聴取傾向を魅力的なグラフィックで表示し、SNSでの共有を促しています。これにより、ユーザーエンゲージメントを高めると同時に、新規ユーザーの獲得にも貢献しています。

このように、ユーザーデータに基づく継続的な改善と、ユーザーに「わくわく」を提供する具体的な機能により、Spotifyは優れた体験を実現しています。

LINE

LINEのTOPページのキャプチャです。

LINEは、日本人の約9割が利用しているコミュニケーションツールです。(出典:総務省情報通信政策研究所

  • 簡単で迅速なコミュニケーション手段が欲しい
  • 複数の機能を1つのプラットフォームで利用したい
  • 無料で便利なサービスを利用したい

このようなニーズを抱えたユーザーがLINEを使用しています。

「簡単で迅速なコミュニケーション手段が欲しい」というニーズに対しては、チャット機能を使って簡単にやり取りができるように設計されています。

また、テキストメッセージだけでなく音声やビデオ通話、スタンプなどの機能を搭載しているのも特徴です。ユーザーはメッセージや最新情報を即座に受け取ることができ、リアルタイムのコミュニケーションを実現できます。

「複数の機能を1つのプラットフォームで利用したい」というニーズに対しては、チャット機能のほか、マンガ、ニュース、ショッピングなど多数のサービス・機能を1つのアプリ内で提供する、いわば「スーパーアプリ」の形態をとっているため、1つのLINEアカウント・1つのLINEアプリでさまざまなサービスを利用することができます。

また、外部のサービスがLINEと連携することで、LINEアプリを使ったチェックイン/チェックアウトサービスの提供など、社会インフラの1つとしても活用できる点が魅力とする見方もあります。

「無料で便利なサービスを利用したい」というニーズに対しては、さまざまな機能を通じて魅力的なサービスを提供することによって、多くの需要に応えようとする設計が特徴です。LINE内のサービスはユーザーのLINEアカウントに紐づくので、新たなサービスのためのアカウントを作る必要がありません。

LINE株式会社では、UI/UXの評価を計測するためのログの実装やABテストの実施などを通して、継続的な改善に取り組んでいます。

Netflix

NetflixのTOPページのキャプチャです。

Netflixは、多彩な映像コンテンツを配信するサブスクリプション型のサービスです。

「さまざまなジャンルの映画やドラマを視聴したい」「家で手軽に新しいコンテンツを発見したい」といったユーザーがNetflixを利用しています。

Netflixでは、映画やドラマ、ドキュメンタリー、アニメなど、幅広いコンテンツを提供しています。ユーザーの視聴履歴や評価に基づいて、個別にカスタマイズされたコンテンツを提案してくれるのも特徴です。

配信には高解像度の映像や優れたストリーミング技術を採用することで、スムーズな再生体験を実現しています。

また、カテゴリーごとに整理されたコンテンツや使いやすい検索機能、予告編の再生など、見たいコンテンツにストレスなくアクセスできる設計となっているのも魅力です。前回の視聴位置からすぐに再開できる継続視聴機能を使えば、手間をかけることなく前回の続きから視聴を再開することができます。

コンテンツをダウンロードすれば、インターネットの接続がなくてもオフラインで視聴することも可能です。

グッドパッチにおけるUXデザインの取り組み事例

グッドパッチでは、これまでさまざまな企業のプロダクト・サービスに関わるUXデザインを支援してきました。その取り組みの一部を紹介します。

Unipos株式会社

Uniposの事例のメインビジュアルです。

Unipos株式会社は、従業員同士が少額のインセンティブ「ピアボーナス」と「感謝の言葉」をWeb上で送り合えるサービス「Unipos」を開発・運営しています。ビジョンとして「『はたらく』と『人』を大切にできる世界に」を掲げ、従業員の貢献を強調することで組織課題の解決を目指しています。

グッドパッチは、立ち上げ期からβ版プロトタイプの作成を支援し、UniposのUXの定義や戦略をまとめた「Creative Brief」を作成しました。Uniposの前身である「発見大賞」という社内制度から、善行を共有し合う体験を提供するサービスとしての本質を明確化しました。

次に、Uniposのコア体験を可視化し、価値の循環を体験サイクルとして示しました。これにより、1対1ではなく、N対Nで善行が回り続けるUniposの特徴をチーム内で共有することができました。さらに、グッドパッチはUniposの体験やコアの価値をまとめた「Creative Brief」を作成し、後に「UX Brief」として発展・活用され、重要な資料になりました。

Uniposの事例の補足資料です。

Unipos株式会社の事例を見る

サントリー食品インターナショナル株式会社

SUNTORYの導入実績

「SUNTORY+(サントリープラス)」は、サントリー食品インターナショナルの企業向けヘルスケアサービスアプリで、企業の「健康経営」のため、従業員の健康行動習慣化をサポートすることを目的に開発されました。

グッドパッチは事業構想段階から参画し、デザインスプリントを用いて価値検証を高速で実施。また、コア機能に絞ったワーキングプロトタイプを作成し、実際に使用しながら機能を検証することで、議論を「想像」から「事実」に基づくものに変えました。

さらに、短期的な課題の明確化と中長期的な事業の将来像を検討し、既存事業とのシナジー効果を考慮したサービス構築に取り組みました。Tone of Voiceを定義し、アプリ内の文言に「SUNTORY+らしさ」を取り入れ、ユーザーのモチベーションを支える設計と演出を行いました。また、ビジョン、ミッション、バリューに基づいたビジュアルデザインの一貫性を保つためのプリンシパルを設定。リリース後もアジャイル開発を取り入れ、継続的な改善とグロースを支援しました。

これらのUXデザインプロセスを通じて、SUNTORY+は高い継続率(平均50%)を達成し、ユーザーの健康行動習慣化を促進することに成功しました。また、企業の健康経営を支援するツールとして確立し、一般的な健康アプリの課題を克服したヘルスケアサービスの成功事例となっています。

サントリー食品インターナショナル株式会社の事例をダウンロードする

株式会社ジンズ

株式会社ジンズ(JINS)は、2001年創業の日本のアイウェアブランドで、長年にわたり「低価格メガネ」市場をリードしています。

JINSが抱えていた主な課題は、激化する価格競争の中で差別化を図ることでした。これに対応するため、シームレスな購入体験の構築が必要とされました。既存アプリの機能と使いやすさを向上させ、顧客ロイヤリティを高めるとともに新規顧客を獲得するため、アプリの役割を明確化し、改善方針を策定しました。

グッドパッチでは、顧客や経営層へのインタビューを実施し、顧客体験の課題を抽出。曖昧になっていたWebやアプリの役割を明確化し、ペルソナやカスタマージャーニーマップを作成して、JINSが関係を構築したいユーザー像を定義しました。

その上で、「半歩先回りして目の健康に寄り添うガイド」という体験のコンセプトを策定し、既存アプリの調査を行い、中長期の改善を見据えたデザイン・ガイドラインを作成しました。

JINSの公式アプリリニューアル後、累計ダウンロード数は1400万を超え、App Store評価も2.1から4.6へと大幅に向上しました(2023年12月時点)。ユーザーが必要な情報に簡単にアクセスできるようになり、店舗からの「使いにくい」といったネガティブな声も減少しました。これにより、長期的な顧客体験向上のための基盤が整備され、今後のパーソナライズ機能や先回りした情報提供機能の追加も容易になりました。

株式会社JINSの事例を見る

UXデザインを依頼するときの4つのポイント

質の高いUXデザインを求めるなら、自社でUXデザインの専門部署を持つほか、専門の外注業者を探すことも1つの手です。UXデザインを依頼するときの注意点を4つ紹介します。

  1. 依頼先が請け負うことのできる対応範囲を確認する
  2. 自社の課題を明確にする
  3. 実績や得意分野を考慮して選定する
  4. どのような支援スタイルを求めているか明確にする

1.依頼先の対応範囲を確認する

まずは、依頼先の対応範囲を確認しましょう。

UXが広く注目されるようになった中で、「UXデザインの支援・コンサルティング」をビジネスとして謳う企業は年々増加しています。数ある専門業者から適切な依頼先を選ぶには、実際にどのようなプロセスで、どこまでの範囲の設計に対応しているのかを確認することが重要です。

例えばWebサイト制作を専門にに対応している企業もあれば、グッドパッチのように、Webサイト、Webアプリ、ネイティブアプリなどソフトウェアはもちろんのこと、店舗などオンサイトでの体験設計など、幅広いカテゴリのUXデザインまで対応している企業もあります。

また、その企業がユーザーの意見を反映したUXデザインだけではなく、ビジネスの事業価値の向上につなげられるUXデザインの支援を行っているかどうかにも着目すると良いでしょう。

2.自社の課題を明確にする

自社が現状抱えている課題を明確にすることも重要です。

ひとくちに「UXデザイン」といっても、課題や目標は企業や製品、サービスによって大きく異なります。そのため漠然とした発注内容のままでは依頼先に意図が伝わらず、想定していた方向性と異なる結果に陥るリスクがあります。

UXデザインを依頼するときには、あらかじめ自社が抱えている課題を明確にしておきましょう。その上で、自社の課題や具体的な改善方法に合ったUXデザイン会社を選ぶことをおすすめします。

3.実績や得意分野を考慮して選定する

依頼先の選定では、UXデザインの実績や得意分野を見極めることもポイントです。

ただ実績の数だけを見るのではなく、自社と同じ業種での実績があるかもチェックしてみましょう。同業種のUXデザインの実績数が豊富であれば、自社の事業に寄り添った提案をしてくれる可能性が高まります。

また、企業によってはスマホアプリを得意とする企業や、Webサイトを得意とする企業、オンサイト系を得意とする企業など、それぞれ得意分野が異なることがある点にも注意しましょう。

4. どのような支援スタイルを求めているか明確にする

事業のパートナーとして、依頼先にどのような支援を求めているかも明確にしましょう。

決められた要件だけを可能な限り手離れよく行う企業もあれば、高い熱量でコミットしながら伴走するスタイルの企業もあります。

たとえば新規事業であれば、右腕となるくらい熱量高く伴走してくれるデザイナーが所属する企業が理想的です。しかし一方で、定数化されたリサーチだけを定期的に行ってほしい場合は、費用が安く安定的な発注が見込める企業の方が望ましいかもしれません。

このように、依頼先がどのようなスタンスでUXデザインを支援しているのかをしっかり調べてから選定することが重要です。

グッドパッチでは、価値ある本質的なデザインを目指すため、ただ依頼先パートナーとして浅く携わるのではなく、事業パートナーとして深く関わるスタイルを採用しています。ただ言われたことだけに対応する「下請け姿勢」では、本来の価値のある体験をもたらすことができないと考えているためです。

もちろん、課題や状況に応じて関わり方を柔軟にご提案しますので、もしグッドパッチのUXデザインにご興味があればまずはお問い合わせください。

【関連記事】UXデザインに強いコンサル・支援会社5選!依頼するメリットや選定時のポイントも紹介

UXデザインを学ぶのにおすすめの本

最後に、UXデザインの基本概念から実践的なテクニックまでを網羅的に学べる書籍を3冊ご紹介します。

  • 『UX原論 -ユーザビリティからUXへ』
  • 『UXデザインの教科書』
  • 『UXリサーチの道具箱』
  • 『はじめてのUXリサーチ』

いずれも初めてUXを学ぶ際に参考となる内容なので、独学や学び直し(リスキリング)の際にお役立てください。

『UX原論 -ユーザビリティからUXへ』

『UX原論』は、ユーザビリティからUXへの発展を解説した書籍です。ユーザー中心設計の重要性や、UXデザインの実践方法、評価手法などを詳しく紹介しており、UXに関する理解を深めたい人や、デザイナー、リサーチャー、マネージャーにとって有用な内容が詰まった一冊です。

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『UXデザインの教科書』

本書では、UXデザインの基礎から応用までをカバーし、ユーザー中心のデザインプロセスを詳細に解説しています。初心者からプロフェッショナルまで、幅広い読者に向けて、具体的な方法論やケーススタディを提供し、実際のデザイン作業に役立つツールやテクニックを紹介。UXデザインの理解を深め、実務に生かしたい方に最適な一冊です。

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『UXリサーチの道具箱』

UXデザインの基本となる「UXリサーチ」に関する調査設計、実査、評価手法に関する基礎基本を紹介している入門書です。ユーザーインタビュー・データ分析・ペルソナ・シナリオ・ジャーニーマップ・ジョブ理論・キャンバスの「7つ道具」を著者の経験に基づいて解説しています。

プロダクトマネージャやエンジニア、デザイナーなど、プロダクトやサービスの企画・開発に携わる方におすすめの内容です。

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『はじめてのUXリサーチ』

UXリサーチの考え方や進め方に加えて、振り返りとリサーチ結果の共有方法まで丁寧に解説されている良書です。UXリサーチのプロセスが具体的に分かるので、初めてUXについて学ぶ方の1冊目としてもおすすめです。
特に、UXリサーチを組織に浸透させるための巻き込み方や仕組みの作り方にも触れている点がとても分かりやすいです。

UXリサーチをしてみたいけれど、進め方がわからない、巻き込み方がわからないという場合は特に役立つでしょう。

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UXデザインでユーザーに必要なサービスを実現しよう

UXデザインの基本的な考え方や参考事例を紹介しました。

現代において、企業の存続には「ユーザーに必要とされるサービス」が必要であり、そのための手段の1つとしてUXデザインは欠かせません。

UXの最適解はユーザーごとに異なるため、UXデザインに絶対的な「正解」はありません。

しかし、リサーチに基づいてユーザーニーズを的確に捉えることで、トライ&エラーを重ねながら「価値のある体験」を得られる理想の設計に近づけることが可能です。

グッドパッチでは、UXデザインの支援を行っています。Webやアプリなどのソフトウェアはもちろん、オフラインでの体験設計にも対応しています。

コミット力が高く、熱量のある開発パートナーをお探しの方は、ぜひグッドパッチまでご相談ください。

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グッドパッチは、御社のビジネスと本質的な課題にコミットし並走するデザインパートナーです。3万件以上のデザインノウハウと体系化されたプロセスを活用し、戦略フェーズから一体となってプロジェクトを推進します。

このような方におすすめです

  • ・事業の本質に踏み込んだUI/UX改善を求めている
  • ・長期的なパートナーシップでデザイン価値を最大化したい
  • ・ユーザー視点と事業成長の両立を目指している

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