【ユーザー中心設計】UXデザインを理解するためのおすすめ本10選
今回は、UXデザインを理解するためのおすすめ本を、社内でインタビューしてみました。
これからUXデザインを学んでいく初心者の人や、ユーザー中心の視点でプロジェクトを進めたいと考える人向けの本をご紹介します。参考になれば嬉しいです!
目次
一人から始めるユーザーエクスペリエンス
タイトルにもあるように、一人でUXに取り組む人のための指南書のような本と紹介されました。
前半は導入編として、「UXとは?」という全体像の解説から始まり、専門的なサポートがない環境でどうUXを推進していくかについて学べます。
後半が実践編で、27のメソッドを所要時間・使いどころ・進め方に沿って解説しています。27の手法はとても厳選されている印象だったので、すぐに取り入れることもできると思います。
著者のLeah Buley氏は、「ユーザーエクスペリエンス」をテーマに掲げるコンサルティングファーム・Adaptive Path出身のUXデザイナーです。
彼女はAdaptive Pathで、成果を出せているチームの理由を学んだことから、組織にUXを導入したいけれどサポートを得られない人に、どうノウハウを伝えればよいのか考えるようになったそうです。
「プロジェクトでUXデザインをもっと浸透させたい」と考える、プロジェクトマネージャーの人に特におすすめしたいです。
ストーリーマッピングをはじめよう
ストーリーマッピングをはじめよう
ウェブサイトやアプリ、サービスなどのプロダクトには、映画と共通した部分があると本書では語られています。
つまり、オーディエンス(ユーザー)の心を掴み、エンゲージメントを得るためには、土台にしっかりしたストーリーが必要ということです。
サービスや商品を作る時は、ユーザーのストーリーをデザインするという考え方でUXに向き合おう、という内容がこの本では語られています。
「UXデザイン」という言葉は、抽象的で難しそうに感じてしまうかもしれませんが、「ストーリーのデザイン」という表現は初心者でも理解しやすいので、入門にぴったりなのではと思いました。
ストーリーを用いたサービスのデザインについて、弊社のプロジェクトマネージャーが実践方法などをまとめた以下の記事も参考にしてみてください!
【アイデアの可視化】ストーリーを使ったサービスをデザインする方法
UX戦略
UX戦略とは、企業戦略としてユーザーの体験を向上させることで、プロダクトを成功に導くという考え方です。
この考え方に基づいて、潜在的顧客、競合他社製品、提供価値の創造などを紐解き、革新的なプロダクトを生み出す方法を学ぶことができます。
UXデザインの考え方は、デザイナーだけのものではありません。サービス・製品づくりをする人、つまりビジネスに関わる人全員が持つべき考え方ではないでしょうか。
著者の経験ベースで実例を用いた解説が多いので、デザイナー以外の職種の人にも「なぜUXが重要視されているのか」を考える機会を持つために、是非読んでいただきたいです。
また本書は、弊社代表の土屋が前書きと帯にコメントを寄せています。
この本ではUX戦略だけではなく、具体的な戦略に当たる手法やメソッドまで細かく書いてあり、この種の本の中でも戦略を題材にここまでまとめた本は今までなかったのではないだろうか。スタートアップの起業家、企業の経営陣はもちろん、デザイナー、エンジニアを率いるリーダーやマーケッターなど多くの人に読んでもらいたい一冊である。
(「日本語版まえがき」より)
ユーザビリティエンジニアリング
ユーザビリティエンジニアリング(第2版)―ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法
「ユーザー中心設計の流れが網羅されている本」と紹介していただきました。
ペルソナ、カスタマージャーニー、プロトタイピングなどの基本的な手法の解説から、ユーザー視点での製品開発を知ることができるそうです。
ユーザー視点で製品開発をすることで、作り手の都合や思い込みでユーザー体験を損ねる可能性がなくなるので、今一度しっかり向き合いたい内容だと思いました。
初心者でも理解しやすい分かりやすい文体で書かれているそうで、UXデザイナーを志望している学生の人にもおすすめです。
UXの重要性に気付いているけれど、実践の方法が分からないと悩んでいるなら、一度読んでみてはいかがでしょうか。
UXデザインの教科書
UXデザインを「知る・理解する・実践するための教科書」として紹介していただきました。
本書ではUXデザインをひとつの学問領域として捉えており、歴史的背景から理論、プロセス、手法までを体系的に学ぶことができるそうです。
教科書という名の通り、体系的でボリュームがある内容なので、基礎的なプロセスを理解している中級者レベルの人だとスムーズに読み進められそうです。
基礎知識は身についたけれど、UXって結局なんだろう?と感じたら、この本で「ユーザーのもっとうれしい体験のために」という原点に戻ることができそうだと感じました!
Lean UX
Lean UX ―リーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン
リーン思考とは、チーム内の齟齬や思い込みなど無駄な要素を削ぎ落とし、プロジェクトを迅速に進めようとする思考法です。
本書では、リーン思考に基づいた構築・計測・学習のループをUXデザインに応用することによって、最適なデザインに最短で到達する方法を解説しているようです。
つまり、表紙にもある「リーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン」とは、
- 製品のUXを高めるためにスピーディーにユーザーへ製品を届ける。
- 分析や計測を行い、徐々に製品の完成度を高めていく。
この姿勢のことであり、本質的なユーザー視点でのものづくりに直結しているのかなと思います。
なぜスピード感がUX向上のために求められるのか、チームに広める時にも役立ちそうな本ですね!
IA/UXプラクティス
IA/UXプラクティス モバイル情報アーキテクチャとUXデザイン
「初心者でも読みやすいし、実務にも活かせる」と社内のプロジェクトマネージャーが推薦してくれました。
IA/UXデザイナーの坂本貴史さんが、モバイルを中心としたUX設計について書かれた本です。
初心者が実践に結びつけるイメージが湧きにくい点を、著者の体験を元にQ&A方式で解説しているようです。
この本を薦められたということは、優れたUXを実現するためには、手法だけではなくきちんと情報設計されていることも大切なのだと思いました。
まずはモバイルという身近なテーマから、UXのデザインを学んでみませんか。
Subject To Change
Subject To Changeー予測不可能な世界で最高の製品とサービスを作る
こちらもAdaptive Pathの主要メンバーが書き下ろした本です。
Adaptive Pathは優れたUXのために、戦略と設計の2つの観点からアプローチをとることが有名です。2014年にアメリカ金融大手のキャピタル・ワンに買収されたことも記憶に新しく、FinTech業界をUXデザインによって先導していく存在になりつつあると言えます。
そんなAdaptive Pathの製品・サービス開発におけるノウハウが詰まった本なので、社内のメンバーからは「徹底的なユーザー目線でのものづくりを始めるマインドセットになる」とコメントがありました。
変化の激しい市場環境で、優れた製品・サービスを生み出す方法についてしっかり学べるので、自らが関わる製品のUXデザインに活かすこともできると思います。
機会発見
UXを構成する要素として欠かせないユーザー調査を、社会学の手法に基づいて「観察」を軸に進めていく手法について書かれています。
著者の岩嵜博論氏は、博報堂のイノベーションデザインディレクターとして、生活者の発想という起点で事業を作る活動をされています。
「今までにないものを作るためには」という課題について試行錯誤を重ね、「機会発見」というアプローチにたどり着いたそうです。
この機会発見というアプローチは、著者が日常的に接しているマーケティングの世界で培った経験に加えて、「社会学」と「デザインシンキング」がベースとなっている。(中略)みなさんにとって本書が、これまでの価値観やルールから一旦離れるきっかけとなり、「いままでにないもの」を生み出す手助けになることを願っている。
(まえがきより)
博報堂では、0→1フェーズでのUX設計をよりカジュアルにできるUX Kokeshiというツールも開発しており、UXリードの部分が多いようです。
日本の大企業がこのような発想を広めることで、UXデザインの価値がもっと向上していくといいなと思います。
Goodpatchでは、そんな博報堂さんと過去に共同でワークショップを行っています。詳しい内容は、以下のレポートをご覧ください!
プロダクト開発からワークショップ設計まで!Prott User Meetup vol.20イベントレポート
デザインの次に来るもの
デザインについてもっと勉強したいなら、と薦められたのがこの本です。
ユーザーの問題解決を図る「デザイン思考」だけでは、今後も選ばれ続ける製品は生み出せないという主張がされており、新しい手段として「意味のイノベーション」という経営戦略が紹介されています。
ろうそくが今でも売れ続ける理由を、ただの灯りとしての存在から、あたたかみを演出するアイテムとして、そもそもの「価値」が変わってきているためだと分析していて、俯瞰でビジネスとデザインについて書かれているところなど、読んでいて非常に興味深く、職種を問わず楽しみながら読める内容だと思います。
さいごに
「UXデザインを理解するためのおすすめ本」として、10冊の本をご紹介しました。
おすすめ本を聞く中で、UXに対して持っていた抽象的なイメージが取り払われ、誰かのより良い体験を作るためにするべきことがUXデザインなんだと気づきました。とても基本的で、人間的な考え方ですよね!
インタビューをしたメンバーが、「本から基本的な手法を知ることも、現場での実践もどちらも大切!」と話していたことも印象的でした。
本を読むことでインプットを重ね、現場でのトレンドもキャッチアップして実践することがベストと言えるのではないでしょうか。
私は実務経験がまだまだ少ないので、まずは今回のおすすめ本で、UXデザインについてどんどん学んでいこうと思います!