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Client
株式会社ジンズホールディングス
Expertise
Digital Product & Service Design
Date

Overview

全国の店舗で使われているJINSの公式アプリリニューアルを支援。経営者直下で店舗を含めたオフライン体験、WebおよびEC機能も含んでいるアプリケーションの構造から見直し、ペルソナ策定、体験設計、UXコンセプト、UI設計思想・アプリデザインイメージを策定。昨今のトレンドであるOMOの体験設計をどのように行ったか、プロセスの一部をご紹介します。

Summary

クライアントのニーズ

  • 店舗オペレーションの負荷、既存システム制約を考慮した上で可能な限りお客様にとって使いやすいアプリにアップデートしたい
  • ユーザーが持つ課題や自社分析を踏まえて、JINSサービス全体におけるAppの提供価値を明らかにしたい
  • 経営方針で掲げる「待ち時間ゼロ」を体現すべく、店舗、Webページ、スマートフォンアプリを連動させた購入体験を考えたい

グッドパッチの対応

  • 顧客や経営層へのインタビューから、顧客体験の課題を抽出
  • 顧客ペルソナ、カスタマージャーニーマップ作成を通して、理想の顧客体験(アプリの体験コンセプト)を設計
  • 段階的なリニューアルロードマップを策定し、コンテンツや店舗と連携したアプリUIデザインの納品
  • 継続的なリニューアルを進める際の指針となるUI設計思想、デザインガイドライン策定

今後の構想や現時点での成果

  • 累計DL数1400万超
  • App Store評価が2.1→4.6へ向上(2023年12月現在)

依頼背景とプロジェクトプラン

2001年に店舗をオープンして以降、長きにわたって「低価格メガネ」市場を先導している「JINS」。昨今はいわゆる「3プライスメガネ」と呼ばれる、低価格メガネが業界で定着しており、価格競争が激しくなっています。

差別化に向けてジンズホールディングスが目をつけたのがユーザーの「購入体験」でした。経営方針として掲げる「待ち時間ゼロ」を体現すべく、グッドパッチにプロジェクトを依頼。店舗、Web、そしてスマートフォンアプリを連動させたシームレスな購入体験を考え、実装面も考慮して提案してほしい、という要望から始まりました。

多くのベンダーがアプリケーションの開発に関わっていく中で、Webやアプリの役割が曖昧になってきてしまい、改めてどのように改善をしていくか方針を立てるところからスタートしています。

ペルソナ、カスタマージャーニーマップを作成し、理想の顧客体験を設計

ペルソナ策定

JINSが目指す顧客体験を精査するため、まずはペルソナの策定から行いました。のべ15名へのインタビューを通じて、眼鏡ユーザーに対する理解を進めながら、JINSが今後特に関係を構築したいユーザー像を4種類に定義しました。

  • メガネによって、視力に関わる不便を解消したい
  • メガネによって、生活を快適にしたい
  • メガネによって、自分らしさをアップデートしたい
  • メガネによって、人生を豊かにしたい

現状のJINSユーザーのボリュームゾーンである左下のセグメントのニーズを満たしつつ、右下や左上に移行するための施策を設計していくことをサービス設計の基本方針としました。

JINS全体が提供する体験のコンセプティング

事業者視点の「商品購入以外のシーンでもユーザーとの接点を増やし、ロイヤリティを醸成したい」という狙い、ユーザー視点の「生活の自然な振る舞いの中で、目の健康に関わる不便を解消したい」という思いを統合した結果、JINS全体が提供する体験のコンセプトを「半歩先回りして目の健康に寄り添うガイド」と定義しました。

アプリリニューアル方針の策定

理想の顧客体験を定義した後は、スマートフォンアプリのリニューアル方針を考えました。まずはJINS全体が提供する体験を起点に、全ペルソナのニーズを満たすアプリの体験コンセプトを定義しました。

これまでアプリを開く主なシーンは「購入時の会員証表示」「購入品に不具合/破損があり店舗に訪れた際の保証書表示」の2つにとどまっていましたが、今回のリニューアルでは

  • 「万が一、何か不具合があったとき開いてみよう」
  • 「見ると生活が快適になったり、自分を少しアップデートできるかもしれない」
  • 「自分に合った商品が簡単に選べそう」

というユーザーの潜在ニーズに合った印象を新たに獲得することを目指し、利用シーンに沿ったユーザーシナリオにつなげました。

合わせてリニューアルの実装における課題や方針を考えるため、既存アプリの調査を行いました。必要十分な機能が実装されている一方で、

  • 最新のデザインガイドラインとトーン&マナーが合っていないこと
  • ランチャーUIのため、ユーザーが能動的に情報を取得しに行かないといけない設計になっていること
  • OSのガイドラインに則っていないこと

といった課題があることも分かりました。そこで、本リニューアルでは、新規機能開発に重点を置くことは避け、将来にわたって長期的に体験コンセプトを実現していくための基盤作りを優先する、という開発方針を立てました。

中長期の改善を見据えたAppデザイン・ガイドライン

リニューアル後のUIについては、今後のアップデートや機能追加の際、しっかりと一貫性を保てるようにアプリ独自のビジュアルデザインコンセプト、UI設計思想、カラー、コンポーネントの定義を実施しました。

コンポーネントには、使用方法やUIの考え方を記述することで、誰が見てもしっかりとJINSブランドとしてのコミュニケーションが実現できる状態を目指しました。さらにアクセシビリティについても配慮し、「目のブランドとしてのJINS」 としてのあるべき振る舞いを目指しています。

新しいUIでは、能動的に情報を掴みに行かなければいけなかったランチャー型トップページから、ダッシュボード型のトップページに変更し、ユーザーが欲しい情報を受動的に受け取れるようにしました。これにより、今後想定しているパーソナライズ表示機能や半歩先周りした情報提供機能の追加も容易になります。

また、目的に素早くたどり着けるような情報設計についても工夫しています。例えば、タブナビゲーションは、左から右にかけて受動的なコンテンツから能動的なコンテンツになるように設計し、目的に到達するための起点として機能します。設計の妥当性については、ユーザーシナリオをもとにプロトタイピングを行い、体験の流れがスムーズか確認しながら進めました。

最終的にJINS側でガイドラインを基に実装し、2022年12月にリニューアルしたアプリをリリース。App Store評価もリニューアル前よりも高くなり、店舗からの使いにくいといったネガティブな声が減ったと伺っています。より多くのお客様にとって、見やすく分かりやすいAppに仕上がっています。

Credit

プロジェクトマネージャー:服部 真人
デザインストラテジスト:松尾 勇季
UXデザイナー:北濱 峻輔、江原 美佳
UIデザイナー:金渕 良太、峰村 巧光
アカウントマネージャー:浦田 文恭
プロジェクト統括:中村 謙一、栗田 透

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