人々の生活やビジネスにデジタルサービス(プロダクト)が不可欠なものとなった今、ユーザーから支持される製品やサービスを作るカギとして、「UXデザイン」の重要性に注目が集まっています。とはいえ、

「どうすればユーザーに満足してもらえるの?」
「UXデザインの取り入れ方が分からない」

という悩みを抱えている企業も多いのではないでしょうか。

UXデザインの取り入れ方が分からない場合は、まずは成功事例を学び、正しく理解することが重要です。事例から得られる知見や成功要因、手法を適用すれば、ユーザー体験を大幅に向上させることが可能になるでしょう。

そこで本記事では、2011年の創業以来、デザインファームのパイオニアとして多くの企業に向けてソフトウェアのUI/UXデザインを支援してきたグッドパッチが、UXデザインの成功事例やポイント、UXデザインの改善によって得られる効果などについて詳しく解説します。

監修者:小関 弾(株式会社グッドパッチ UXデザイナー)

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グッドパッチは、御社のビジネスと本質的な課題にコミットし並走するデザインパートナーです。3万件以上のデザインノウハウと体系化されたプロセスを活用し、戦略フェーズから一体となってプロジェクトを推進します。

このような方におすすめです

  • ・事業の本質に踏み込んだUI/UX改善を求めている
  • ・長期的なパートナーシップでデザイン価値を最大化したい
  • ・ユーザー視点と事業成長の両立を目指している

単なる請負ではなく、御社の強い想いに寄り添い、時には事業提案にまで踏み込んだデザイン戦略で、企業価値の創造を支援します。

UXデザインとは?

ユーザーと製品の関わりを表現している画像です。

UXとは「ユーザーエクスペリエンス(User eXperience)」の略称で、日本語では「ユーザーが製品やサービスを通じて得られる体験」を意味します。グッドパッチでは、主観的・時間的・状況的側面を含むユーザーの体験と定義しています。

【関連記事】UXデザインとは?UIデザインとの違いや設計プロセス、事例を紹介

主観的・時間的・状況的側面とは、主に以下のように捉えています。

  • 主観的側面
    • 製品やサービスに触れた際の、ユーザー一人ひとりの心の動きや評価を考慮します。人それぞれ感じ方が異なるため、ある人にとって素晴らしい経験が、別の人には必ずしもそうとは限りません。
  • 時間的側面
    • 製品やサービスとの関わりの全過程、つまり利用前・利用中・利用後、体験する期間全体における感情や評価を考慮します。例えば、アプリの場合、使用中だけでなく、ダウンロードを決めた瞬間から使い終わった後まで、そのサービスに費やした全ての時間が対象になります。
  • 状況的側面
    • ユーザーが製品やサービスを使用する際の周囲の条件や場面設定を考慮します。例えば、屋外で利用するのか屋内で利用するのかなど、さまざまな使用状況に応じてユーザーの体験がどう変化するかといった利用文脈の考慮が重要になります。

UXは、主体である人間(ユーザー)が「人工物(モノ)」に関わる際、時間軸を通じて個人的かつ主観的に感じる心理的プロセスであり、製品やサービスを利用して得られる体験すべてを表します。個人的な主観となるため「良いUX」「悪いUX」は人によって異なります。

一方、デザインは本質的な課題解決や価値創造をもたらすアプローチです。

つまり、UXデザインとは「ユーザーの問題の本質を見極め、課題解決に向けて製品・サービスをデザイン(設計・企画)する」ことで「ユーザーにより良い体験(UX)」を届けることといえます。

一般的にUXデザインは「ユーザーの体験のデザイン」とも呼ばれますが、UXそのものをデザインできるわけではありません。代わりに、良い体験を届けるためにユーザーの目的やニーズを把握し、それに合わせてインターフェイスや周辺環境を設計・変容させることに重きを置きます。

なお、UXデザインのプロセスにおいて「ユーザーの目的やニーズを把握する活動」は、UXリサーチと呼ばれます。

【関連記事】グッドパッチのUXデザインチームで始めた「リサーチ道場」とは?【RESEARCH Conference 2024】

UXデザインの重要性

UXデザインの重要性が高まった理由として、主に「モノからコトへの価値観の変化」と「デジタル化によるタッチポイントの激増」の2つが挙げられます。

かつては、高機能な「モノ」を作れば売れる時代でした。しかし次第に「モノ」が溢れ、機能だけでは差別化が難しくなっています。そのため、近年では短期的なモノの売り切りではなく「ユーザーに継続的に利用してもらうこと」、つまり、ユーザーに新しい価値を提供する「コト」が重要になりました。ユーザーにとって本当に必要なものしか売れないため、製品やサービスも改善することを前提として販売する必要があります。

ユーザーに中長期的に使用してもらうには「ユーザーを理解したデザインの設計・変容=UXデザイン」が重要です。UXの改善が売上に直結するとは限りませんが、UXを重視しなければ、製品・サービスだけでなくブランドそのものに対する評価が低下したり、他のサービスに乗り換えられるリスクが高まります。

また、スマートフォンが普及し、常にインターネットに接続できるようになり、ユーザーとサービスの接点(タッチポイント)が劇的に増加し、あらゆる状況でのユーザー体験が重要になりました。さらにSNSの普及によって、ユーザーが海外の優れたサービスに触れる機会も多くなっています。これらも、UXデザインの重要性が高まっている要因です。

優れたUXデザインは、ユーザーの満足度を高め、製品やサービスへの愛着を育みます。その結果、顧客生涯価値(LTV)の向上にもつながっているのです。

UXデザインの改善による3つの効果

時代の変化に伴い重要視される「UXデザイン」ですが、具体的にはどのような効果が得られるか、ここでは、UXデザインを改善することで得られる3つの効果を解説します。

  • コスト削減
  • ユーザー満足度の向上
  • 売上の向上

コスト削減

ユーザーが製品・サービスを使いやすいようUXデザインを改善することで、サポートコストの削減につながります。

使いやすいインターフェイスによって、ユーザーが問題を自己解決できるので、サポートスタッフへの問い合わせを減らせます。カスタマーサポートのコストを削減し、企業の運営費削減にもつながるでしょう。

また新製品を開発する際、ユーザーのニーズを把握せずに開発を進めると、販売後に期待したような利益が得られず、膨大な開発費が無駄になることもあります。

コストを無駄に投下しないためにも、UXデザインを通じてユーザーの声を聞き、早期段階でニーズを把握することが大切です。

ユーザー満足度の向上

UXデザインの改善は、サービス利用全体の満足度向上にも寄与します。使いやすさは、ユーザーの長時間利用やリピート率向上を促し、ユーザーエンゲージメントを高めることが可能になります。

また、良いユーザー体験はブランドに対するポジティブな感情を促すため、他のブランドに移行する可能性を減らせるのもメリットです。ブランドロイヤリティの強化につながり、解約率の低下や購入単価の向上も期待できるでしょう。

反対に使いにくさは、ネガティブな口コミやクレームの原因となってしまいます。ブランドの信頼性を高め、ユーザー満足度の向上を実現するためにも、UXデザインの改善が不可欠です。

売上の向上

優れたUXデザインはユーザーの満足度を高めてくれるため、リピーターや新規顧客を増やすのに役立ち、結果的に売上の向上につながります。

例えばECサイトの定量調査において、ユーザーが離脱するポイントが分かっていても「離脱する理由が分からない」「施策を打ち出しても効果がない」という経験はないでしょうか。

このような場合にUXデザインのプロセスとしてユーザーの心理を定性的に把握できれば、より有効な施策を講じることができ、売上の向上を実現できます。

UXデザインの身近な成功事例6選

本章では、UXデザインの身近な成功事例を6選紹介します。

  1. Airbnb
  2. Spotify
  3. DELISH KITCHEN
  4. ZOZOTOWN
  5. あすけん
  6. LINE

「UXデザインを通じてどのような体験を届けているか」を具体的に解説するので、UXデザインの重要性やイメージをつかむ参考にしてください。

Airbnb

Airbnbのトップ画像です。

出典:Airbnb公式サイト

Airbnbは、世界中で利用されている民泊プラットフォームです。「空き部屋を貸したい」というホストと「ユニークな宿泊先を見つけたい」というゲストをマッチングさせるサービスを提供しています。

Airbnbは民泊サービスのため、貸主が同じ建物内に居住している状況で宿泊するケースも少なくありません。そのため、利用するゲストの多くは「交流や体験を楽しみたい」一方で「安全面が気になる」という不安も抱えています。そのようなニーズに対し、Airbnbではゲストが安全な宿泊地を選べる設計にしているのが特徴です。

例えば宿泊施設の概要ページにレビューを豊富に記載したり、ホストの写真やコメントを紹介するような工夫が挙げられます。また、高評価のホストを認定する機能が設けられており、ゲストは信頼できる宿泊先を簡単に見つけることが可能です。宿泊地を予約した後は、ホストとチャット機能でやり取りできるため、予約後や滞在中も安心して過ごせるのが魅力です。

加えて、「現地でしかできない体験をしたい」というニーズを叶えるために、宿泊サービスと合わせて、その場所ならではのアクティビティやツアーなどの体験サービスを提供しているのもポイントです。

一方、ホストにとっても手軽に自分の物件を掲載し、情報を管理できる便利さや、自分の空間を活用して収入を得る満足感があります。ユーザーのニーズを深く理解し、それに応えたサービス設計を実現することで、ゲストとホストの双方に魅力的な体験を届けることに成功しています。「コト消費」が重視される現代ならではのニーズを的確に捉えた事例と言えるでしょう。

Spotify

SpotifyのTOP画像です。

出典:Spotify公式サイト

Spotifyは、世界中の数千万以上もの音楽やポッドキャストなどを楽しめる音楽ストリーミングサービスです。音楽データをデバイスに保存する必要がなく、インターネットを介して再生できます。

Spotifyは、ユーザーの「自分が好きな音楽と似た音楽に出会いたい」というニーズに対して、似ているアーティストの音楽をリコメンドしたり、リスニング傾向に応じてプレイリストを作る機能を備えています。ユーザーは検索する手間を省いて新しい音楽を見つけられるだけでなく「思いがけず好きな曲やアーティストに出会える」という楽しさを得られます。

またSpotifyは、サービス全体がシンプルで使いやすいインターフェイス設計になっているのも特徴です。音楽の検索やアーティスト情報の閲覧も簡単にアクセスできるため、ユーザー満足度の向上に寄与しています。

DELISH KITCHEN

DELISH KITCHENのトップ画像です。

出典:DELISH KITCHEN

DELISH KITCHENは、料理初心者でも作りやすいレシピを動画で配信する人気サービスです。

リリース当初は30分の料理番組を制作していましたが、インターネット利用者には長尺の動画を受け入れてもらえないという課題がありました。

そこでインターネットを利用するユーザーは「見たいところだけ見たい」傾向にあることに着目し、30分尺だった動画をショート動画形式に変更しました。

料理手順を1分程度の短い動画で分かりやすくまとめ、真上からの料理人目線で撮影することで、視聴者が理解しやすい構成となっています。

アプリのデザインも使いやすさを重視。材料や料理名での検索機能、詳細な手順を確認できるスクロール機能など、ユーザーのニーズに合わせた機能を実装しています。

このように、ユーザーの悩みを深く理解し、それを解決するための機能を直感的に使いやすく提供することで、DELISH KITCHENは2,600万ダウンロード、SNSの総フォロワー数は1,000万を獲得する人気アプリとなりました(2024年9月時点)。

ZOZOTOWN

ZOZOTOWNのトップ画像です。

出典:ZOZOTOWN公式サイト

ZOZOTOWNは、株式会社ZOZOが運営するオンラインショッピングモールです。ファストファッションから高級ブランドまで幅広いブランド数のアイテムを取り扱っており、ユーザーはネット上で気軽に購入できます。

「新しい服を早く手に入れたい」というニーズに対する「即日配送サービス」やクレジットカード代わりに活用できる「ツケ払いサービス」など、ユーザーの細かなニーズに応える機能が充実しています。

またZOZOTOWNでは「ネット通販だからこその利点」を活かしてユーザーニーズに応えているのが特徴です。実店舗よりも品揃え豊富に24時間いつでも買い物ができる、といった一般的な利点やニーズに加え、同社が運営するファッションコーディネートサイト「WEAR(ウェア)」を連携させることで購買体験を向上させています。具体的には、WEARでインフルエンサーのコーディネートを参考にして、欲しいアイテムがあればZOZOTOWNですぐに購入することができます。

一方でネット通販によるファッションアイテムの購入は「試着ができない」ことが最大の欠点とされていました。ZOZOTOWNではこれをカバーするため、無料で返品・交換できるサービスを提供しています。

返品・交換サービスは、有料会員のみ利用できるサービスですが、一度自分の手元で確認してから購入できるのは、ユーザーにとって大きなメリットです。

あすけん

出典:あすけん公式サイト

あすけんは、カロリーや体重などさまざまな情報を記録できるダイエットサポートアプリです。「健康的に痩せたい」というユーザーのニーズに対し、AIの管理栄養士による食事アドバイス機能を搭載しています。

1日の食事や運動情報を記録するだけでユーザー専用のアドバイスを受けられ、直感的に操作できるインターフェイスが魅力です。

また、ダイエット中の多くのユーザーが抱えがちな「諦めずに続けたい」というニーズに対しても、さまざまなサポートを行っています。ユーザー同士でダイエット情報を共有して継続を促す「みんなの日記」やゲーム感覚でダイエットできる「チャレンジ機能」など、ダイエットを通じた体験価値を提供しているのが特徴です。

あすけんでは、ユーザーのニーズに応えるUXデザインを改善し続け、2024年3月には会員数累計1,000万人を突破しています。

LINE

LINEのトップ画像です。

出典:LINE公式サイト

LINEは、音声通話やビデオ通話を無料で利用できるコミュニケーションアプリです。月間ユーザー数9,700万人(2024年3月末時点)を超える同サービスも、UXデザインの成功例の1つです。

チャット形式で簡単にやり取りでき、ユーザーの「迅速かつ手軽にコミュニケーションを取りたい」というニーズに応えられる設計を実現。メールや電話といった従来のコミュニケーションツールの台頭として圧倒的な地位を誇っています。

また、スタンプ機能やビデオ通話機能などを通じて新たなコミュニケーションを生み出したのも特徴です。メールや電話だけでは伝わりづらい感情や表情をスタンプで表現することで「楽しく会話したい」「意図を正しく伝えたい」といったニーズを捉えています。

LINEウォレットやLINE NEWSなどの機能も充実しており、1つのアプリで複数のサービスを利用できる「機能性の高さ」も成功した理由と言えるでしょう。

グッドパッチが手がけたUXデザイン成功事例

より効果的なUXデザインを目指すなら、UXデザインを数多く手がける会社に依頼するのがおすすめです。デザインファームのパイオニアであるグッドパッチでは、さまざまな業種のUXデザインを手がけ、成功に導いた実績があります。

  • サントリー食品インターナショナル株式会社
  • 株式会社ジンズホールディングス
  • Unipos株式会社
  • 株式会社NNA

ここでは、グッドパッチが手がけたUXデザインの成功事例を紹介します。具体的なUXデザイン設計のプロセスや得られた効果などを解説するので、UXデザインの依頼を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

サントリー食品インターナショナル株式会社

SUNTORYの導入実績

出典:株式会社グッドパッチ | Work 「サントリー食品インターナショナル」

サントリー食品インターナショナル株式会社が提供する健康習慣サポートアプリ「SUNTORY+(サントリープラス)」は、ユーザーの健康行動を促し、習慣化を支援することを目指しています。

しかし、開発過程において、従来のユーザーテストでは、日常的に使用するアプリならではの長期的な利用シーンにおける課題やニーズを十分に把握できないという問題に直面しました。

そこで、グッドパッチはサントリーと協働し、ワーキングプロトタイプを活用した開発プロセスを採用しました。これは、機能やデザインを、実際に動作する形で、スピーディーに具現化し、ユーザーに試用してもらうことで、より具体的で実践的なフィードバックを得ることを目的としています。

その結果、短時間のユーザーテストでは得られなかった長期的な利用における課題や改善点、さらにはユーザー自身も気付いていなかった潜在的なニーズを明確化することに成功しました。

具体的には、プロトタイプを用いることでユーザーの行動データを取得・分析。アプリの改善に活かすことが可能になりました。

サントリープラスの事例は、ワーキングプロトタイプを用いたUXデザインが、製品開発の初期段階からユーザーの行動を可視化し、深い理解を得ることで、顧客体験の向上に大きく貢献することを示しています。

サントリー食品インターナショナル株式会社の事例をダウンロードする

株式会社ジンズホールディングス

JINSの事例画像です。

出典:株式会社グッドパッチ | Work 「ジンズホールディングス」

株式会社ジンズホールディングスは、顧客満足度向上とオンラインとオフラインの融合による顧客体験向上(OMO)の実現という課題を抱えていました。

そこでグッドパッチは、顧客や経営層へのインタビューを通じて課題を抽出し、ペルソナ設定やカスタマージャーニーマップ作成を通して、「半歩先回りして目の健康に寄り添うガイド」という体験コンセプトを設計しました。

課題の解決プロセスとして、段階的なリニューアルロードマップに基づき、店舗と連携した公式アプリのUIデザインを作成したり、デザインガイドラインを策定したりといった支援を実施。特に、ダッシュボード型のトップページへの変更や、直感的なタブナビゲーションなど、ユーザーが欲しい情報へとスムーズに導く情報設計を施しました。

その結果、公式アプリのApp Storeの評価が向上し、店舗からは「使いにくい」という声も減少し、顧客体験の向上に成功しました。 株式会社ジンズホールディングスの事例は、ユーザー調査に基づいたUXデザインが、顧客満足度向上と事業目標達成の両立を実現できることを示しています。

Unipos株式会社

ユニポスのトップ画像です。

出典:株式会社グッドパッチ | Work 「Unipos」

社員同士が感謝と少額報酬を贈り合うサービス「Unipos」を提供するUnipos株式会社は、サービス拡大に伴い、組織文化を反映したブランド体験の構築という課題に直面していました。 

スタートアップならではのスピード感で事業が成長する一方で、対外的なクリエイティブの質やブランドの一貫性が追いついていない状況でした。そこでグッドパッチは、Uniposの創業時からデザインパートナーとして伴走し、β版開発時からコア体験の可視化、UX Briefの原型となるCreative Briefの作成などを支援してきました。

具体的には、Uniposのコアコンセプトを明確化し、コア体験を可視化しました。 その結果、Uniposはピアボーナス(インセンティブ)を送り合うという金銭報酬ではなく、「オープンに感謝される喜びや、それによって共に働く仲間や、働く環境に愛着が湧く体験」を提供する感情報酬を軸にしたサービスであるというコアコンセプトを明確化しました。

また、意思決定の拠り所となるUX Briefの原型となるCreative Briefを作成し、バリュー浸透のためのワークショップや施策を実施したり、企業文化や価値観を明文化し、Vision Map、Unipos journey、Brand Summary、Design Guidelineを作成しました。

これらの取り組みを通じて、Uniposは顧客視点で議論できる組織文化を構築し、社内におけるUXデザインの浸透を実現しました。合わせて、一貫性のあるブランド体験を提供できる体制を構築し、社員がUniposらしさを理解し、共感できる組織文化を醸成しました。

Uniposの事例は、UXデザインが、サービスやプロダクトのUI/UXデザインだけでなく、組織文化の構築やブランド体験の向上にも貢献できることを示しています。

株式会社NNA

nnaの事例画像です。

出典:株式会社グッドパッチ | Work 「NNA」

アジアのビジネス情報を発信するニュースサイト「NNA POWER ASIA」(運営:株式会社NNA)は、2016年のリニューアル以降、ユーザビリティの改善が課題となっていました。 ユーザー課題や競合との差別化を明確化し、サービスの提供価値を向上させるため、グッドパッチがサイトリニューアルの支援を行いました。

グッドパッチは、NNA社内・ユーザー・競合の3方向から分析を行い、 「現地記者の多さ」や「記事内容の詳しさ」といった強み、「アジアに進出する日本企業を支援したい」というビジョンを明確化し、プロジェクトステートメントを作成。

リニューアルではユーザー体験を重視し、KPI達成と両立する設計を行いました。 グロースサイクル、体験構造図を作成し、コア体験に基づいた機能施策を検討し、各画面に適切に配置しました。 また、PDF版ユーザーも考慮し、抵抗なくWebサイトに移行できるデザインを採用しました。

その結果、リニューアル後のページセッション(ユーザーが1訪問あたりにアクセスしているページ数)は29%増加、新規契約申し込みも50%増加しました。 チーム内のコミュニケーションも改善され、問題解決能力や主体性が向上するなど、社内の働き方にも変化にも貢献しています。

UXデザインの成功事例から学ぶポイント

最後に、UXデザインの成功事例から見えてきたUXデザインにおけるポイントを解説します。

  • ユーザー中心の設計
  • ユーザーリサーチの徹底
  • ユーザーのフィードバックによる継続的な改善
  • 競合との差別化を意識したポジショニング

効果的なUXデザインを設計するためにも、以下で解説するポイントを実践してみてください。

ユーザー中心の設計

UXデザインを成功させるためには、ユーザー中心の設計が欠かせません。特に、以下の点が重要視されています。

  • ユーザーの理解を深める:ユーザーインタビューや行動観察などの手法を用いて、ユーザーの行動パターン、ニーズ、達成したい目標、そして製品やサービスに求める価値は何かをしっかり把握します。
  • ユーザーの体験全体を設計する:ユーザーが製品やサービスと接触するすべての接点を考慮し、利用開始前から利用後まで、一貫性のある体験を提供します。
  • プロトタイピングと検証:開発初期から実験的なモデルを作成し、ユーザーテストを実施し、フィードバックを得ることで、製品やサービスを改善していきます。

ユーザーの視点を常に意識し「ユーザーが何を求めているのか」「どのような課題を抱えているのか」を深く理解することが重要です。ビジネスの継続性・収益性・技術的な実現可能性を踏まえつつ、ユーザーニーズを満たす設計を考えていきましょう。

ユーザーリサーチの徹底

ユーザーリサーチの徹底は、ターゲットユーザーの行動やニーズを把握し、デザインの方向性を決めるのに役立ちます。ユーザーリサーチによって得られたインサイトを踏まえ、解決策に一気通貫で対応できるか否かが重要です。

具体的なユーザーインサイトを得るためには、インタビュー・行動観察・アンケート調査・エスノグラフィー・ユーザーテストなど、多様な方法を組み合わせることが求められます。

ユーザーリサーチによって得られた情報は、ペルソナシート、カスタマージャーニーマップ、価値マップなど、様々な形で可視化されます。ユーザーリサーチを徹底することは、デザインチーム全体でユーザー理解を共有し、ユーザー中心設計を進める上で重要です。

ユーザーのフィードバックによる継続的な改善

中長期的に支持されるUXデザインを実現するには、継続的なフィードバック収集と分析が大切です。ユーザーからのフィードバックは、サービスや製品の品質を向上させるための貴重な情報源となります。

ユーザーからのフィードバックを基に改善を繰り返すことで、常に高品質なユーザー体験を維持できるでしょう。フィードバックの収集方法としては、ユーザーインタビューやサーベイ、レビューの分析などが挙げられます。

ユーザーのフィードバックを取り入れた改善は、ユーザーとの信頼関係を構築する上でも重要な要素のひとつです。ユーザーが「自分の意見が反映されている」と感じることで、ブランドへの信頼感が増し、長期的な顧客ロイヤリティの向上も期待できます。

競合との差別化を意識したポジショニング

UXデザインを設計する際は、市場における競合との差別化を意識するようにしましょう。ユーザー調査や機能開発などの過程で「参入している市場にどのような競合他社がいるか」「競合他社はどのようなポジショニングをしているか」を理解することが大切です。

その上で、ユーザーの声を聞きながら「競合と差別化できるポイント」を考えてみてください。他社と異なる価値を提供することで、ユーザーにとっても魅力的な選択肢となります。

ユーザーにとって唯一無二の価値を提供できれば、結果として競争が激しい市場でも確固たる地位を築けるようになるでしょう。

UXデザインの成功事例を自社にも取り入れてみよう!

本記事では、UXデザインの成功事例のほか、UXデザインの改善効果や成功例から学ぶべきポイントを解説しました。

自社のUXデザインを改善する際は、まずは他社の成功例を学び、正しく理解することが重要です。成功例をそのまま模倣するのではなく、どの部分が自社にとって有用かを分析し、自社の状況に合わせてカスタマイズしてみましょう。

「UXデザインの改善方法が分からない」「知見を持つ従業員がいない」という場合は、UXデザインを手掛けるに依頼するのもひとつの方法です。

グッドパッチでは、UXデザインの基本的なプロセスを学べる資料を提供しています。気になる方はぜひご覧ください。また自社のUXデザインに課題をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。