Goodpatchでは、年二回全社員が集う社員総会を開催しています。日頃はそれぞれのプロジェクトに打ち込むメンバーも、総会の日だけは業務をストップしてビジョン・ミッションに向き合い、Goodpatchの成長を支える事業やメンバーの表彰などを通して一体感と企業文化を醸成するための大切な場所です。

■過去の総会の様子
会社の未来をデザインする一日。グッドパッチの社員総会丸ごとレポート
「企業文化を醸成する場」社員総会におけるPeople Experienceデザインとは

通常、総会は新しい期を迎える直前の8月末と2月末に開催していますが、今回は1ヶ月開催を延期。もともとGoodpatchでは新型コロナウイルスの対策として2月中旬よりリモートを推奨していたため2020年3月27日、初のオンライン総会を開催することに決めました。(3月末より原則出社禁止となり、現在はフルリモートになっています。)

当日は一部運営メンバーを除き、約150名のメンバーが自宅から参加する初めての展開。
課題となったのは、オンラインで一体感をどう醸成するかという点です。同じ空間で共に時間を過ごしていると実感できる体験をどのように作るのか。今回は、Goodpatchが実践したオンラインイベントのTipsをご紹介します。

運営メンバーを含む全員がオンラインで開催した2020年入社式の様子はこちら!
ストーリーのつくり手になる1日。Goodpatchのオンライン入社式を大公開

今回使用したツール、サービス一覧

今回、オンラインイベント対応ができた理由の一つとして国内外の100名以上のデザイナーが所属するフルリモートデザインチームGoodpatch Anywhereの存在があります。
Goodpatch Anywhere式リモートコミュニケーションマニュアル

Anywhereメンバーが日常的に活用してるツールや、オンラインイベントの運営ナレッジを参考に、これらのツールを今回の総会では使いました。

  • オンライン会議ツール『Zoom』(オンライン会議ツール『Zoom』(無料/100名以上が参加できるアドオンに課金)
  • ストックフォトサイト『Unsplash』(無料)
  • 双方向プレゼンアプリ『CommentScreen』(無料)
  • チャットツール『Slack』(無料〜)

Zoomについて
Zoomで100名以上のオンラインイベントを開催するには課金が必要です。

今回は、プロプランにオプションをつけて開催しました。

画像引用:https://zoom.us/pricing

また、Zoomに関しては情報処理推進機構(IPA)が注意喚起を出すなど脆弱性が指摘されています。必ず最新版へアップデートし、セキュリティ設定をよく確認するなど十分注意した上でご活用ください!

お揃いのバーチャル背景を事前配布

当日は150名以上のメンバーが参加しました!

オンライン総会を支えてくれたZoomには「バーチャル背景」という機能があり、参加者は背景を自由に変えることができます。今回は、オンラインでも全員が同じ空間にいるような一体感を演出するため、事前に背景用画像を社内で配布しました!

どんな画像がいいか?と考えたとき、「特別な日」という実感を持ってもらうため、オフィスの背景はあえて避けることに。また、一覧で並んだときにごちゃごちゃしすぎないがお祝い感あるものを探し、こちらの画像に決定!

ストックフォトサイトUnsplashで見つけたもの。クオリティの高いロイヤリティーフリーの画像がたくさんあるので、Zoom背景以外にも、プレゼン資料作成の際などにもおすすめのサイトです!

総会冒頭、オリジナルムービーを流した時のZoomの様子。背景をお揃いにしたメンバーが、ワイプで映っています。今回はプロトタイプとして既存の画像を使用しましたが、オリジナルの背景用画像を作ってみるとより一体感を感じられるかもしれませんね。

現在、さまざまな企業がラバブルな背景用画像を公開しています。Goodpatch Anywhereではそれらをまとめたり、オンラインコミュニケーションをもっと楽しくするためのアイデアをご紹介しています。こちらもぜひご覧ください!
オンラインミーティングを楽しく!Zoomアイデア集

画面にコメントが踊る、Comment Screen導入

全員がオンラインで参加していても隣に座っている人と話すようなインタラクティブな体験をしてもらえるように、画面上に文字が流れる双方向プレゼンアプリのComment Screenを導入しました。

左がComment Screenの画面。指定のハッシュタグを入れてチャット画面に入室し、ここでコメントや絵文字を送ると、右のように、コメントがZoomで共有しているホスト画面に流れてきます。

左:コメント送信画面 右:総会当日のコメント一部

臨場感が出て盛り上がる一方、ハッシュタグを知っていると誰でも参加できてしまうリスクもあります。ハッシュタグの設定とコメントする内容には注気をつけてご利用ください。

また、Zoom上でコメントが流れてくる画面を共有したい時は、KeynoteではなくDesktopを共有します。Keynoteだけを共有した場合、参加者からはコメントが見れなくなってしまうので注意しましょう。事前に数名でテストしてみるのをおすすめします!

画面共有はタイミングも命。ぜひ事前練習を重ねてください!

Comment Screenは、開催前日に急遽導入を決めたため、テストを繰り返して臨みました。参加したメンバーのアンケートでは「一体感が出て盛り上がった」「みんなが何を考えているか可視化できてよかった」「今後のオフラインの総会でも使いたい」などの声が集まりました。いつも以上に双方向でコミュニケーションができ、運営中も気持ちが和みます。これから社内イベントを運営される方はぜひ試してみてください!

受賞した実感を届けるためのこだわり

Goodpatchの総会でメインコンテンツとなるのが、活躍したメンバーやチームを讃える表彰式 Goodpatch Awardです。半年に一度開催される総会のコンセプトに合わせて、社内のデザイナーがゼロからデザインするグラフィックを使った賞状やトロフィーは毎回注目の的。

今回はなんと、海を越えた先のミュンヘンオフィスのデザイナーとのコラボレーションが実現!東京とミュンヘンでZoom、Slackをフル活用して議論を重ね、表彰を彩るデザインが完成しました。

これらのグラフィックはWhyを大切にするGoodpatchらしいデザインプロセスでデザインされています。今回は総会のテーマ「前進」に合わせて、前進する乗り物やさまざまなモノに賞を例えました。以下でその一部をご紹介します!

Most Valuable Project
チームで力を合わせて漕ぐことで前に進める「ボート」

Most Valuable Player
飛躍的な活躍をしたプレイヤーらしい、空高く飛び立つ「紙飛行機」

Most Valuable Product
長い間、老若男女に愛されるプロダクトをイメージした「凧」

このほかにも合計で7つの賞がありますが、表彰式は全てオンライン。受賞者を発表する際は、司会進行役がZoomで受賞者に呼びかけコメントをもらうことにより、リアルな空間で壇上に上がったような演出を取り入れました。

また、通常はステージ壇上で贈呈している賞状とトロフィーは、今回Slackに受賞者ごとのチャンネルを作り、事前に撮影しておいた写真をシェア。少しでも受賞した実感を持てるようなオペレーションを構築しました。

受賞者に贈られる賞状とトロフィー

また、各自の受賞理由はその場で読み上げるだけではなく、Slackの実況チャンネルに一つひとつポスト。受賞理由を読み返すことができ、受賞した実感や納得感を醸成できるように意識しました。

実況チャンネルの様子。お祝いのリアクションがたくさんつきました

オフラインと変わらない体験に欠かせないBGM

通常、イベントやパーティーではBGMが流れています。今回、オンラインでメンバーが自宅からひとりで参加する状況を想像し、少しでもパーティー感を感じられるようにとZoomを介してBGMを流すことにしました。

あくまでBGMとして流すので、ボーカルがあるものよりはインストゥルメンタルがおすすめです。Spotify、Apple Musicなどでチルなプレイリストを探しましょう。事前にローカルにダウンロードしておくことで、通信負荷が下がりますし、いきなり広告が流れてしまうといった体験を損ねるリスクを回避できます。

ZoomでBGMを流す方法
ZoomでBGMやKeynoteの効果音などを再生するためには、「画面を共有」→設定画面左下にある「コンピューターの音声を共有」にチェックを入れます。BGMと効果音の音にズレがないかなど、確認は事前に行っておきましょう。

ハウリング対策
もう一つ、音響部分で気をつけたいのが「キーン」と耳をつく音が出てしまうハウリングです。特に運営メンバーが揃うフロアなどのZoomを複数接続している場所ではスピーカーから出る音をマイクが拾って、その音がまたスピーカーから出てそれをまた拾い、ハウリングが起こりやすくなってしまいます。最低限のメンバーのみマイクオン、後のメンバーはミュートに設定しましょう。

ここだけは気をつけたい、画面共有するホストの事前準備

ZoomでKeynoteを共有しながらイベントを進行する際にホストが気をつけたいのが画面設定です。開催中は「スライドのみ」の表示に切り替えることをおすすめします。BGMの切り替えやうっかり全画面表示を外してしまった場合などに次のスライドが見れてしまい受賞者がネタバレしてしまった、といったミスを防ぐことができます。

スライドを切り替える際には、手元でスライドの全体像が把握するために進行表のような紙を印刷するかもう一つデバイスを用意することにより、次のスライドを確認しながら確実にイベントを進行することができます。
また、デスクトップは必要最低限のファイルのみにし、Slackなど通知がくるツールは切っておきましょう。

運営チームは連携しやすいポジションに集合

今回の総会のために、オフラインでオフィスに集まった運営チームは7名。
プレゼンする代表土屋、司会進行のメンバー2名、カメラマン&スクリーンショット担当1名、Zoom&スライド担当1名、問い合わせ担当1名、進行サポート1名の布陣で、常に連携しながら運営しました。

問い合わせ担当
オンライン開催ということは、参加する環境もメンバーそれぞれによって異なります。当日は総会用の実況チャンネルをチャットツールSlackに作り、そこで呟かれる「音が聞こえない」「BGMを下げてほしい」「Zoomの設定が分からない」などの問い合わせに回答する担当を1人決め、窓口を集約しました。運営からお願いしたい背景画像の設定なども実況チャンネルでリマインドができるので、ぜひ実況チャンネル作ってみてください!

司会進行担当
総会全体のファシリテーションを務めた司会進行のメンバー2名は、Zoomで写る用のPCを真ん中に置き、左右に進行台本を投影したPCを用意。司会視点で特によかったポイントはこちら。ぜひ参考にしてみてください!

Design to empower

今回の総会テーマは「前進」でした。コロナウイルス流行前の2019年から決まっていたこのテーマは、Goodpatchのビジョン「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」に入っている言葉でもあります。

不確実で先行きが見えない状況が続きますが、最後に総会で代表土屋がスピーチした内容をご紹介します。

例え目の前に壁があったとしても、暗闇で見えなかったとしても、霧がかかっていたとしても、自分に向き合い恐怖に打ち勝ち勇気を持って前に進んで欲しい。「前進」というワードにはそんなイメージを持っています。

こんなタイミングだからこそ、今一度社会にグッドパッチが何をできるのか考えなければいけない。Goodpatchは何かを変えたい、前進させたいと思う人たちのために仕事をしている。だから、デザインの力で世の中の人に力を届けたい。ポジティブに前進させる力を。

プレゼンでは、私たちデザイナーは誰のためにデザインをしているのか?という問いかけがありました。今こそそんな問いを見つめ、希望と勇気を持って少しずつ前進していきましょう。これからもGoodpatchはオンライン上でも存在感を示し続け、世界を前進させたいと思う方に役立つようなナレッジを紹介していきます。一緒に頑張りましょう!