Goodpatch Advent Calendar 2017では、Goodpatchのメンバーが興味を持っている分野や、利用している技術などについて書いていきます。
突然ですがエンジニアの皆さんは、デザインについてどのような解釈をしていますか?
サービス開発をする上で、ユーザーインターフェースのデザインはデザイナーが担当することが多いです。しかし、時にはプロジェクトの都合で「チームにデザイナーがいない」というケースも起こり得ると思います。例えばプロジェクトの初期段階では、よりミニマムで素早い仮説検証を求められたりするのではないでしょうか。
デザインを正しく理解して実践できることは、サービス開発において大きな武器となるはずです。本記事では、デザインのリソースが少ない中奮闘しているエンジニアに向けて、デザインを学ぶためのおすすめ本をご紹介します。
ノンデザイナーズ・デザインブック
タイトルの通り、非デザイナーの人に向けてデザインの原則がまとめられている本です。
「Goodpatchメンバーに聞いた!デザインを理解するためのおすすめ本6選」でもご紹介しました。
本書におけるデザインは、「読みやすい」「伝わりやすい」という点にフォーカスしています。
しかし、紹介される4つの原則は、どのようなもののデザインにも適用することができると思います。
まずは自分のレポートや日記の書き方に、本書の内容を活かしてみると、非デザイナーでも、デザインを体感することができるはずです。まずはデザインへの先入観や、苦手意識を取り払うところからトライしてみませんか。
融けるデザイン
「ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論」とあるように、現代の人々にとって心地良い、これからのデザインを示唆する内容となっています。
インターネットが当たり前に存在し、IoTが普及し始めた現代においては、機械が自然とユーザーの日常に溶け込めるかどうかが重要な指標となっていきます。
著者の渡邊恵太氏は、日常に溶け込むようなデザインについて、「透明性」という表現を用いて説明しています。こうした透明性のあるUIを設計する思想を備えておくことは、これからの開発者にとってとても大切なことではないでしょうか。
カーソルのように透明性を得るにはユーザの指の動きに画面がなめらかに連動しなければならない。結果、画面の描画フレームレート(画面の書き換え速度)が高くなければならない。連動するがゆえに、自己帰属化し、透明性を得て、道具的存在となる。そして、デジタルデバイスであっても、ハンマーやハサミのように身体の一部のように利用できる。だから、iPhoneは気持ちが良いのである。
出典 : iPhoneはなぜ気持ちがよいのか?|Telescope Magazine
About Face 3 インタラクションデザインの極意
デザインを考える際に教科書のように使うことができる本です。
工業デザインの発展史という基本的な概論から始まり、ペルソナを用いたユーザーのモデリング、そして優れた製品の設計についてを学ぶことができます。これらを踏まえた上で、インターフェースに落とし込んで解説をしてくれるので、サービス開発を1人で進めているエンジニアや、経験が少ないデザイナーをリードする必要があるエンジニアなどにおすすめです。
ユーザーを初級者、中級者、上級者に分ける考え方はとても分かりやすく、UIを考える際に非常に参考になると思います。
Hooked ハマるしかけ
自社プロダクトの開発に携わっているエンジニアにおすすめな本がこちら。
どのようにしてサービスをユーザーに使い続けてもらうか?という命題を、「フック・モデル」と呼ばれる手法に基づいて解説しています。
フック・モデルには4つのステップがあり、サイクルを繰り返し体験させることで、サービスを使うことをユーザーにとって習慣化させるフレームワークとなっています。
- トリガー(きっかけ)
- アクション(行動)
- リワード(報酬)
- インベストメント(投資)
この4ステップを、あなたが開発するサービスでそれぞれ当てはめて考えるだけでも、有効性が検証できるのではないでしょうか。
これからの時代で重視されるのは体験だと言われ始めてから、しばらく経ちます。しかし、チーム内にユーザーエクスペリエンスをデザインするエキスパートがいるとは限りません。そんな時、まずは本書のようなフレームワークの知識があることは役立つはず。特に、スタートアップでプロダクトを開発しているエンジニアは手にとって見て欲しいと思います!
フォントのふしぎ
タイプディレクターの小林章氏による、様々な欧文フォントについてのコラムが詰まっています。
デザイナーがアサインされていないプロジェクトにおいて、あなたがサービスのロゴやフォントを検討する必要があるならば、強くおすすめしたい内容です。
世の中には、パッと目を惹かれなくとも、日常に溶け込んでいる普遍的なフォントがたくさんあります。
例えば見やすい地図や、エレベータのボタンの数字。使う人にストレスなく機能することこそデザインの本質です。
本書では、心地よいという感情のトリガーを、フォントという切り口から考えることができます。
サービスのロゴを考える時や、使用フォントを検討する時に、手元にあると安心できるおすすめの一冊です。
今回は、エンジニアにおすすめのデザイン本をご紹介しました。
ご紹介した本に限らず、デザインを今までより身近に感じることが、ユーザーの理解につながり、優れたプロダクトを生み出すことにも紐づくのだと私は考えています。
UIデザインをもっと詳しく勉強したい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。