パートナーとしてデザイン会社が提供できる価値【ブランド&ビジネスデザイン】
Goodpatchでは「デザインの力を証明する」というミッションの下、クライアントのデザインパートナーとして様々なビジネス課題に並走しています。ここでいうデザインとは、プロダクトの見栄えや表面上の見た目を綺麗に整えることだけではありません。ユーザー体験(UX)を設計していく上で重要な考え方である「5段階モデル」に代表されるように、「表層」はデザインのごく一部に過ぎません。
(参考:UXの5段階モデルにおける各段階での具体的なデザイン手法とは?)
また、2018年5月には経済産業省・特許庁から「『デザイン経営』宣言」が発表され、2020年3月には広くビジネスパーソンにその必要性や事例を伝えるための「デザイン経営ハンドブック」にまとめられています。デザインはビジネスやブランド価値向上に置いて重要な経営資源であると提唱され、少しずつではありますが日本国内でも経営層にデザイナーが参画する事例も増えてきています。
このような変化を受けて、Goodpatchには、サービス/プロダクト改善のみにとどまらず、ブランドデザインやビジネスデザインなど、多様なご相談をいただく機会が増えたことを実感しています。今回は、そんな広がり続けているデザインの役割についてご紹介したいと思います。
Goodpatchが提供するデザインの領域
Goodpatchが扱う領域は主に3つです。
- プロダクト&サービスデザイン
- ブランドエクスペリエンスデザイン
- ビジネスデザイン
創業以来培ってきた、デジタルプロダクトのUI/UXデザインという強みを活かしながら、現在はビジネスデザインやブランドエクスペリエンスデザインにも提供価値を広げています。
今回はブランドエクスペリエンスデザインと、ビジネスデザインの取り組みについてご紹介します。
1.ブランドエクスペリエンス(BX)デザイン
ユーザーの課題を解決するだけではなく、そのサービス/プロダクトが持つ提供価値が明確に言語化され、企業のビジョン・ミッションなどの思想と繋がっていることがこれからの時代はとても重要です。
ブランドとサービス/プロダクトは両輪であり、それぞれを一貫性ある形で結び、繋げることがビジネスの価値を向上させます。
そのような背景から、社内外両面への強固なブランド構築を目的とした、ブランドデザイン(Goodpatchでは「ブランドエクスペリエンス(BX)」と呼んでいます)についてのご相談を私たちへいただくことが増えてきました。
具体的には、なぜその企業が存在するのか、どのような想いが込められているのか、そして未来でどうありたいのか。そんな企業の内側にある想いを経営者から引き出し、企業文化の礎を作ったり、事業やプロダクトへ反映するお手伝いをしています。
サービスやプロダクトの価値を言語化する「タグライン」、企業の理念・使命を示す「ミッションステートメント」、またそれらを体現する「ビジュアルアウトプット」など、目指すゴールによって成果物も様々です。
実際にブランドエクスペリエンスデザインで支援している企業には、このような悩みがあります。
【差別化・競合比較】
・プロダクトの提供価値が顧客に伝わらない、伝えづらい(機能での差別化や価格競争に陥ってしまう)
・プロダクトの開発方針も、直近の顧客の要望に対応するという短期的な目線になりがち
【事業の方向性・共通認識】
・事業が成長し、ユーザーが増えてきた段階で初期に想定していたコアとなる提供価値と、それを届けたいユーザーにズレが生じている懸念がある
・ユーザーに対してもピンポイントの価値が届きづらくなってきている(すでに一定のユーザー層でチャーン率が高い)
・社内の認識も、「ユーザー」と「提供価値」の認識・解像度が少しづつズレてきている
【組織、カルチャー】
・組織が拡大してきて、共通言語となる強い指針が無くチームの一体感に課題がある
・メンバーが能動的に事業に向き合いづらくなっている
・事業ビジョンやカルチャーに共感してくれる魅力的な人材を増やしたいが、何をアピールしたら良いかわからない
ブランドエクスペリエンスデザインの実例
契約マネジメントシステム「ContractS CLM」
ブランドエクスペリエンスデザインの実例として、契約マネジメントシステム「ContractS CLM(旧:Holmesクラウド)」をご紹介します。Goodpatchは、ContractS(旧:Holmes)社内に向けたミッションステートメント、プロダクトタグライン、営業ツール、ブランドへの思いを書き込むボードを共創し、プロジェクトをご一緒したContractS CEOの笹原さんからは、このような嬉しい言葉をいただきました。
僕がいちばん驚いたというか、これがデザインの力か!と感じたのが、「ContractS CLM」のあるべき姿を可視化した概念図でした。モヤモヤがクリアになりましたし、本質的な価値が伝わらなかった理由もよくわかりました。(中略)僕の頭の中だけにあったイメージを概念図で可視化してもらったことでブランドの解像度が一気に上がり、ついに言語化できるようになったんです。
国際物流スタートアップShippio
オンライン上で輸出入の発注、管理ができる国際物流サービス(デジタルフォワーディング)を提供するShippioとのプロジェクトでは、ShippioのVision,Mission,Value策定までのプロセスに並走。本プロジェクトにコミットしていただいたShippio CEOの佐藤さんからはこのような声をいただきました。
業界や僕らに期待を寄せてくれている株主の方、サービスを直接使う顧客など、いろんなレイヤーの話を聞いて、大きなマップの中で「なぜ僕らがShippioをやるのか」が、3ヶ月の期間でVision,Missionという形で言語化されたことは圧巻でした。
2.ビジネスデザイン領域
近年よく見られるデジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉の背景に含まれるように、急速な技術の発達により様々な領域でビジネスモデルの変革や新しい価値を生み出すことが企業には求められています。Goodpatchには「デザインストラテジスト」と呼ばれる職種があり、そのような課題に直面しているプロジェクトにジョインすることが増えてきています。
デザインストラテジストはチームにおいて「人への共感」と「ビジネス領域とデザイン領域の越境」の触媒となる存在です。調査の設計から始まり、人々への共感を通じて提案価値を根幹に考えながら、良いデザインと良いビジネスのバランスをとります。
■参考記事
新規事業開発に必要な「デザインストラテジスト」の話
プロダクトライフサイクル同様、事業にも様々なフェーズが訪れます。例として、下記のようなケースでデザインストラテジストが大きく力を発揮します。
【事業立ち上げフェーズ(0→1)】
・事業アイディアの提案をしなければならない
・コンセプトの受容性をどう検証すれば良いか分からず不安
【事業ローンチフェーズ(1→2)】
新たな課題が顕在化し、サービス設計を見直すためにどのようにロードマップを引けば良いか悩んでいる
【事業グロースフェーズ(2→10)】
・競合に自社のサービスのシェアを奪われ始めていて、テコ入れが必要
・プロダクトは成長しているが、機能によってデザインの統一感が失われたり、コンセプトにブレが出てきた
【組織改善フェーズ】
オペレーションを見直したり、事業やサービスのビジョンを再定義してメンバーの意識統一を図りたい
以前は、サービスの戦略、プロダクトのコンセプトやビジョン作りといったものは、デザイナーが手を動かして「創る」プロセスと切り離されてしまっていることが多かったように思います。しかし現代においては、企業の戦略や方向性とサービス/プロダクトのあり方をどう繋げていくかが大きな課題になってきています。マスマーケティングが通用しないケースも増え、既存の優れたビジネスモデルやフレームワークに当てはめただけでは、顧客が選び続けてくれるような「勝ち筋」を見出すことができなくなってしまっているのです。
また、“VUCAの時代”と言われる現代において、事業を作る・変えていくというのは「予測不可能」かつ「不確実性の高い」、多くの困難が待ち受けるチャレンジです。Goodpatchには多くのプロダクトデザイン・開発を通して培ってきた経験があり、デザインカンパニーだからこその強みを発揮できる「ビジネスデザインパートナー」になれると考えています。
さいごに
デザインカンパニーは最終的なプロダクトのアウトプットを作ることができるだけでなく、それを強みにしつつ様々なビジネス課題の解決をサポートできる存在へとなるために領域を広げるトライを繰り返しています。私もGoodpatchにジョインしてから約1年半、フロントマンとして活動をするなかで、相談いただく内容も提供できる課題解決も本当に日々多様化していると実感しています。
今回は紹介しきれませんでしたが、デザインプロセスのマインドセットから組織のビジョン・ミッション作りまで多岐に渡る各種ワークショップ、デザイントレーニング、リサーチやエキスパートレビューなど、デザインを文脈に様々な企業課題解決のサポートができると考えています。
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