「地方の制作会社にいた自分にとって、グッドパッチは就職先としてはハードルが高い会社。スカウトをもらった時も、無理だろうと思いお返事を保留にしていました。独学でUXデザインに取り組んでいただけの自分が、踏み入っていいのかな、という不安がなかなか拭えませんでした」

2025年5月にグッドパッチに中途入社し、UXデザイナーとして活躍する樽見。8月に開催されたグッドパッチグループ総会では、担当するプロジェクトが表彰されるなど、入社早々に成果を出している彼女ですが、実は入社を決めるまでには葛藤があったそう。

Webディレクター時代から抱えていたデザインへの憧れとコンプレックスや、グッドパッチに対する印象が今どのように変化しているのか、新入社員の視点をのぞいてみましょう。

Webディレクターを8年経験。直面したキャリアの限界とは?

ーーはじめに、樽見さんがデザインに出会ったきっかけを教えてください。

最初にデザインに熱中した原体験は、小・中学校の頃です。学生ながらに夜を徹してWebサイトを作った経験が、私のデザインの原点だったと言えます。ビジュアルを追求することだけでなく、Webサイトを訪れた人が能動的に関与できる仕掛けづくりにも夢中になりました。

線ひとつ、ピクセル単位までこだわり抜く当時のデザイナーという職業に憧れやリスペクトはありましたが、私が情熱を注ぐことができるのはプロジェクト全体の構想を描き、成果を最大化する戦略や企画フェーズの部分だったんです。それで、新卒でWebディレクターとして制作会社に入社しました。

ーー現在、樽見さんはグッドパッチでUXデザイナーとして働いていますが、Webディレクターから転職しようと考えたきっかけは何だったんでしょうか?

Webディレクターとして8年間、クライアントが持つミッション達成のために走り続けてきましたが、直面したのが自分ができることの限界。スキル不足もありましたし、制作会社の立場では推進力に限りがあり、当事者として深く関わることは難しいなと感じるようになって……。

そんな背景があって、当初は事業会社への転職を検討していました。フリーランスという選択肢もある今の時代において、せっかく組織に所属するなら組織である意味を肌で感じられる企業で働きたい、プロダクトやサービスが中心にある事業会社ならチーム全員で同じ方向を目指す環境に身を投じられる、と感じていたのも大きいです。

でも改めて過去の経験を振り返ったとき、自分のモチベーションの源泉は「顧客に伴走する」ことだったと気づいて。転職活動の軸がはっきりしたとき、事業会社でなくてもグッドパッチなら、会社として目指すものを分かち合いながら、自分がクライアントをリードしていける存在に成長すれば望む働き方を叶えられるかもしれない、と感じて選択肢として浮かび上がったんです。

「デザイン」への引け目が、入社を迷わせた

ーー当時、グッドパッチにはどんな印象を抱いていましたか。

デザイン業界で知らない人はいない、第一線の会社。「グッドパッチではやっていけないだろうな……」と思っていました。実は転職活動中にグッドパッチから届いたスカウトも、無理だろうと思い、お返事すらしていなかったくらいです……(笑)。前職時代にGoodpatch Blogの記事を参考にしていたり、UXデザインのワークショップに来てもらったこともあって、その頃から「デザインのプロフェッショナルばかりなんだろうな」というイメージが強かったですね。

グッドパッチの人は、デザインという領域に長く携わっていたり、救われた経験を持っていたり、デザインへの向き合い方がとても真摯だったり、人生におけるデザインの比重が大きい印象があって。 独学でUXデザインを学んだだけの自分が踏み入ってはいけないのでは、と引け目を感じてしまっていました。

選考に進んだのも、エージェントの方に背中を押されたという消極的な理由です(笑)。不安や引け目を抱いたままで、ドキドキしながら面接に臨んだことを覚えています。

ーー樽見さんの不安は、選考で解消されたのでしょうか。

選考ではUXデザイナー/デザインディレクターの北村さんをはじめ、数名のUXデザイナーと話しました。皆さん感情や課題を理解する力・寄り添う姿勢が強く、気持ちがいい会話ができる人たちばかり。「こんなに人間力が高く聡明な方たちについていけるだろうか……」と逆に気後れしたところもあります(笑)。

前職のWebディレクター時代から、カスタマージャーニーマップやペルソナといった手法を使う経験はしてきました。しかし、UXデザインについて体系的に教えられるレベルではないと思っていたので、UXデザイナーとしてクライアントにどこまで価値を提供できるか不安が大きかったです。「精鋭集団」という印象があったので、悩んだ時に一人で孤立してしまうのではないかと想像していました。

グッドパッチなら大丈夫かもしれない、と思えたのは、面談に出てくれたUXデザイナーの皆さんから 「グッドパッチにはUXデザイナーが20名近くいて、悩みや不安を持ち寄って相談できる環境がある。みんな案件での稼働がメインではあるけど、どんな相談も受け入れるマインドセットがある人たちだよ」 と伝えてもらったからです。

働く環境として、UXデザイナーが集まる定例ミーティングで、自分の案件の相談を持ち寄る時間が毎週あったり、スキルを支える「UXスターターキット」というフレームワークが用意されていることを知りました。業務レベルの話だけではなく、中長期的なキャリアプランもマネージャーと毎週の1on1で話すことができると聞き、 クライアントワークをしながらも、組織の力で各々のスキルを高めていけること は魅力的で、印象に残りました。

社内ドキュメントの画面。「アウトプットリスト」と「探索型インタビュー設計書 (CPF)」の詳細が表示されている。リストには「IV」と「CPF」に関連する分析シートや設計書が並び、設計書の説明には目的、使用タイミング、およびフェーズごとの概要が含まれている。

UXスターターキット:UXデザイナーのスキルをサポートするためのツール。ビジョン・ミッションという抽象度の高い概念から、顧客の課題発見、ソリューション提供までの幅広いフェーズに対応。Notionで構成されており、ボリュームは50ページ越え。

代表の土屋さんからも「樽見さんにこういったことを期待していて、このスキルを生かせば十分に活躍してもらえると思っています」といった客観的なフィードバックをもらったことにも背中を押されました。私があまりに不安がっていたので、改めて一言添えてくれたのかもしれません(笑)。

選考プロセスを通して自分の悩みや不安に向き合ってもらったことで、少しずつ考えが変わっていきました。「もしかしたら、私もグッドパッチでやっていけるかもしれない」と。

ーーそのほかに入社の決め手になったことは?

キャリアチェンジがしやすい点です。UXデザイナーからPdM(プロダクトマネージャー)やリサーチャー、ストラテジストへ転身した人もいるし、新規事業やプロダクト立ち上げも声を挙げると挑戦できる機会があることは魅力的ですよね。

これまではWebディレクターの業務でカバーする範囲が幅広かったので、自分のキャリアにおける主軸や強みが分からなくて。グッドパッチでは、UXデザイナーとしてスキルを磨きながら、志向性が変化したときには転職せずとも新しい挑戦ができる。変化・成長し続けられる環境は、入社の決め手の一つです。これからはUXデザインを主軸にしつつも、将来的にはプロダクトやサービス設計にも越境していきたいと考えています。

意志と弱さや人間らしさを併せ持つ人たちとの出会い

ーー実際に入社してみて、グッドパッチのメンバーはどんな人たちですか?

「みんな優しいから大丈夫」と聞いていた通り、本当に話を聞いてくれるし、否定から入らない。相談を持ちかけると「私ならこうするかな」など、自分の意見をすぐに出してくれるけど、強く押し付けたりもしない、バランス感覚がある人たちばかりで、日々助けられています。

例えば、Slackには「よもやま相談」というチャンネルがあり、職種を越えて案件のお悩みの打ち手を話し合っているログがたくさん蓄積されており、勝手に見て学ばせてもらったりしています。

Slackのメッセージを左右に並べたスクリーンショット。左側のメッセージは、クライアントのUX組織立ち上げを支援するにあたり、UXの理解度を定量・定性で測定した経験がある人や、その際に使用したアンケートフォーマットの共有を求める相談が投稿されている。右側のメッセージは、基幹システムのリプレイスや業務システムのUIUX改善など、具体的な関連事例を探しているという依頼。いずれのメッセージも「急ぎ:2-3日中に回答が欲しい」と締めくくられている。

UXデザイナーが活用する「よもやま相談」では、案件に関わる相談をフォームに記載するとSlackに連携され、回答が集まってくる。

個人が好きなことを呟くtimes-〇〇というSlackチャンネルもよく動くので、リモート中心で働いていても、心理的安全性が高いです。最近ではAIに関する取り組みもUXチーム全体が一丸となって取り組んでいるなど、情報共有も活発なので、AI時代に自分の役割が変わっていく中で一人で情報収集して……といった不安・孤独感が生まれにくいと感じています。

ーー皆さんとのコミュニケーションを通して、グッドパッチのメンバーにはどのような共通点があると思いますか?

グッドパッチに集まる人の根底には「もっと良くしたい」という意志があるからこそ、人の悩みに対して「こうした方がいいんじゃないかな」というアイデアや意見がすぐに出てくるのではないでしょうか。意志に裏打ちされたコミットメントの高さはずば抜けているけど、苦労や失敗も共有してくれる人間らしさがあるので、「ひとりぼっちじゃないな」と安心できるんです。

人間らしさを感じるのはUXデザイナーに限った話ではありません。月次で各事業の進捗やハイライトが共有される全社会議で、経営陣が「うまくいかなかったこと」をオープンに話す姿にも驚きました。そこまで社員に話してくれるんだ、という衝撃はありましたが、信頼感につながっています。メンバーが会社の現在地を知る上で、とてもありがたいスタンスだと思います。

本当に大変なときは弱音も吐くし、人としての優しさを持っている人たちなんだ、と入社して初めて知ることができました(笑)。

ステージ上で撮影された6人の集合写真。背景の大きなスクリーンには「GEAR NEXT 次を創る、新たな一歩。」というテキストと、メガネをかけた男性の顔のアップとピースサインが表示されている。ステージ上に立っている全員が手に賞状を持っている。

2025年8月のグッドパッチグループ総会では、UXデザイナーとして担当したプロジェクトが表彰された。

デザインへのコンプレックスを、ここで乗り越える

ーー樽見さんと同じような悩みや迷いを抱えている人もいると思います。今、グッドパッチの選考に進むことを迷っている人に声をかけるなら?

キャリアを振り返って「自分なりに考えて、できることは手を尽くしてやってきた」と思える人は、もっと自信を持ってほしいです。

私がグッドパッチに入社することをためらったのは、デザインへの向き合い方に自信が持てなかったからと言えます。もし、私と同じようにそういったコンプレックスを持たれている方がいれば、まずはグッドパッチに飛び込んでみて、向き合っていけば良いのではないかと思います。

私は今でも「デザインのプロフェッショナルです」と言えるだけのことをやってきたかと聞かれると、まだ分からない。 でもクライアントに本気で向き合って、一生懸命に仕事をしてきたことについては自信があります。

デザインにコンプレックスを抱えてしまうのは、リスペクトが強いことの表れでもあります。リスペクトを持って接すれば、仲間が支えてくれるし、信頼を積み重ねていけば、引け目を感じなくなる日がきっと来るはず。安心して飛び込んでみてください!


現在、グッドパッチではUXデザイナーを積極採用中です。
樽見と同じように「無理だろうな……」と感じている方、まずは一度カジュアルにお話ししませんか?ポートフォリオ不要・オンラインでの実施なので、ぜひお気軽にお申し込みください。

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[取材/編集] 杉本 花織、池田 憲弘
[撮影] 五十棲 凌賀
撮影場所:グラングリーン大阪北館 JAM BASE 6階

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