デザイナー人口を増やすという目的を背景に、グッドパッチはこれまで美大・芸大卒に限らず、総合大学出身の方も含めて、UIデザイナーとUXデザイナーの新卒採用を行ってきました。

最近は事業の拡大に伴って、新卒採用で募集するポジションも幅広くなっています。皆さんは新たに事業開発、BizDev職を新卒採用で募集していることをご存じでしょうか?

これまでUIデザイナーとUXデザイナーの採用をしてきたグッドパッチが、いわゆるデザイナー以外の職種を募集していることについて、イメージが湧かない方も多いかも──ということで、急遽社長の土屋を呼び出し(!)、BizDev職の新卒採用に注力する理由を話してもらいました。

会社の現在地と「BizDev職」を募集するに至った経緯、グッドパッチだから経験できること、新たな仲間に求める資質やマインド。BizDev新卒採用にかける想いに迫ります。

日本初、デザイン会社の上場から5年。事業領域拡大のフェーズに

——今回、2026年卒からBizDev職の募集を本格的に始めました。デザイン会社で「事業開発」というと、イメージが湧かない学生も多いと思います。改めてその背景を教えていただけますか?

土屋:
グッドパッチでは2011年の創業以来、「デザインの力を証明する」というミッションを実現すべく、さまざまな企業に伴走する形で、UI/UXデザインを強みとしたプロダクト開発に取り組んできました。

私たちもその一助を担えたとは思いますが、この10年近くで世の中におけるデザインの価値は非常に高まったと思います。日本でも「UI/UXデザイン」という仕事が認知され、ビジネスシーンにおいても「デザイン思考」「デザイン経営」といった考え方が広まりました。

その中でグッドパッチも急拡大を遂げ、2020年に日本のデザイン会社として初めて上場を果たしました。それから約5年が経ち、グッドパッチはビジネスのポートフォリオをより多く作っていくフェーズに入ったと捉えています。「新しい事業を作り出すこと」を重視し、そこに魅力を感じてくれる仲間を増やしていきたいと考えています。

土屋

——新しい事業を作り出す、という面でグッドパッチはチャンスがある会社なのでしょうか。

土屋:
グッドパッチの現在の事業スタイルは、他社の新規事業の立ち上げ支援など、クライアントと伴走しながらプロダクトやサービスを作っていくクライアントワークが主軸です。ビジネスの各局面での難題を打開する、いわば社運をかけて作り出そうとするサービスにゼロから関わる仕事です。

さまざまな企業と関わってきたので、特定の専門領域の業務知識が豊富な社員もいますし、新規事業の立ち上げ方など、成功のためのノウハウが社内にそろっています。

また、デザインはどのようなビジネス、そして事業領域でも生きるスキルなので、幅を利かせやすい、逆に言えば、どんな事業に関わるときでも必要なスキルになってきています

企業として、現時点ではHRやAIを注力領域としていますが、必ずしもここに限定しているわけではありません。最先端のテクノロジー領域はもちろん、例えば「デザイン×教育」「デザイン×医療」といった、これまで「当たり前」とされてきた慣習や物事が多い領域にも、デザインの掛け合わせによる価値が生み出せる可能性を感じています。

デザイン会社で事業開発をする一番のメリットは「顧客のニーズが分かるようになること」

——最近では、さまざまな企業が事業開発のポジションを募集しています。あえて「デザイン会社」で事業開発に携わるメリットはあるのでしょうか。

土屋:
一番は「顧客(ユーザー)のニーズが分かるようになること」ですね。例えば『Instagram』『Airbnb』など、今や皆が当たり前に使っているようなサービスは、デザイナーが共同設立した会社によって生まれました。ビジネスチャットツールでスタンダードになりつつある『Slack』もそうです。

こうしたサービスが大きく伸びた理由は、やはりユーザーのニーズを的確に捉えたからでしょう。1990年にインターネットが登場して以降、技術革新はもちろんですが、顧客やユーザー、コンシューマーと呼ばれる人々が大きな力を持つようになったことも、ビジネスにおいて大きな変化を生んだ要因だと思っています。

過去にはマスメディアを使って情報を発信することが、モノを売る有効な手段だった時代もありましたが、昨今はSNSによって個人が自由に情報を発信できます。ユーザーが本当に欲しいもの、支持されるもの、共感されるものを作らなければ、物やサービスが売れない時代なのです。

——確かに、いかにCMなどを出しても、SNSで酷評されたら大きなダメージを受けてしまいますよね。ちゃんと「いいもの」を作らなければいけないと。

土屋:
そのような状況下で事業戦略を立てる場合、最も重要になるのは「顧客のニーズが分かること」でしょう。ここにデザインの大きな価値があります。

デザインとは、単に外観を整えるのではなく、「顧客視点で物事の本質的な価値を見出し、価値を最大化させること」が目的です。そのためにも、デザイナーは顧客に徹底的に向き合います。彼らが声にしているものだけではなく、その奥深くにある本当に欲しいものを見つけにいこうとあらゆる手段を尽くす。むしろ、そうしたプロセスを経ずにビジネスで成功するのは、今の時代、ほぼ不可能と言っていいのではないでしょうか

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「作り手の気持ち」が分からなければ、いい事業は作れない

——「顧客のニーズが分かる」こと以外に、デザイン会社、グッドパッチのBizDev職として働くメリットがあれば教えてください。

土屋:
事業作りに必要なプロダクトやサービスを「売ること」と「作ること」の両方の経験が積めることです。

私自身のキャリアでいうと、起業するまでに営業とWebディレクターの2つの経験をしましたが、代えがたい貴重な財産だと思っています。中小企業とエンタープライズを対象に物を売る経験を積み、その後Web制作会社に移り、2年半で100以上のWebサイトを作りました。意識していたわけではありませんが、「売ること」と「作ること」の両方を経験していたのです。

起業してから気付きましたが、事業において「売ること」と「作ること」のバランスはとても重要で、これはグッドパッチという会社が上場できた理由の一つと言っていいと思います。売る側の人の気持ちを理解しているのもそうですが、特に作る側の人の気持ちも分かっているというのは、今後の時代においても重要なポイントになるからです。

土屋

——どういうことでしょうか?

土屋:
サービスやプロダクトの責任者である「PdM(プロダクトマネージャー)」に求められる素養として「BTC(=Business/Technology/Creative)」がありますが、事業開発の文脈でも全く同じことが言えます。

ビジネスサイドの経験を積んだ人が、新規事業を作ろうとしたときにエンジニアやデザイナーの文化や気持ちが分からず、開発がうまく進まないという話はよく聞きます。

デザイナーやエンジニアと一緒にプロダクトやサービス作りに取り組んだ経験がなければ、モノづくりに対する「目利き」も養われません。作ることの経験は、いいチームづくり、そして優れた事業へと必ずつながるのです。事業作りのベースとなる2つの経験が積めることは、間違いなくグッドパッチで働く魅力の一つでしょう。

今回採用するBizDev職においては、これまで大事にしてきたデザイナーのパフォーマンスが最大化されるチームに身を置き、エンジニアやデザイナーと共に、モノづくり・事業づくりができる人材に育ってほしいと考えています。事業やプロダクトの本質的な価値と世の中の人々のニーズをつなぎ、グッドパッチの中核となる新事業を立ち上げてもらいたいと期待をしています。

クライアントワークを通じて、チームの作り方や事業の進め方を学んでほしい

——BizDev職として入社すると、どのようなキャリアを歩むことになるのでしょうか。

土屋:
まずは実際のクライアントワークで、デザインによる課題解決に全力で取り組んでもらいます。その後は営業部門で、数字責任を持って実行する経験を積み、最終的には経営レベルでの課題解決にも関わり、経営目線を身につけてもらいます。入社から3~4年で、新規事業を開発し牽引する人材を目指してほしいと考えています。

キャリアパスのイメージ

キャリアパスのイメージ

——最初から「事業開発」に携わるというわけではないんですね。

土屋:
先ほども話したように、事業開発にはさまざまな経験やスキルが求められるので、すぐに、というわけにはいきません。ただ、クライアントワークとして他社の事業開発に関わることで、事業作りのプロセスはもちろん、クライアントとの交渉の仕方やプレゼンの仕方、社内のデザイナーやエンジニアとのやり取りを学ぶ機会は圧倒的に得られます。

完全に個人向けでマネタイズする事業でもない限り、「クライアント」という存在は避けて通れません。事業の立ち上げを目指す人材にとって、必ず武器になる経験になるでしょう。

——起業家、事業開発をする人材になるために、コンサル会社を選ぶ学生もいますよね。

土屋:
確かに。クライアントワークの会社を選ぶ良さは、事業会社と比べて多くの会社を見られる点にあり、それだけ新規事業立ち上げに関われるチャンスが多いということでもあります。

コンサルでも同様の働き方になるとは思いますが、企業の分析、戦略立案が中心で終わるケースも少なくありません。グッドパッチの場合は、UI/UXデザインを強みとしたデジタルプロダクト領域が中心になるので、サービスをリリースし、事業を育てるというフェーズまで経験ができます。その分野に興味関心がある方や、サービスやプロダクト提供による価値創造にまで携わりたい方には、グッドパッチをおすすめしたいですね。

事業責任者に必要なのは、「任せたい」と思える熱量

——さまざまな資質が求められるBizDev職を新卒で育てるというのは、会社にとってはコストがかさむというか、一見非効率なようにも見えます。どうして新卒採用にこだわるんですか?

土屋:
私が新卒社員に期待しているのは「変化率の高さ」です。上昇率、伸び率とも言えると思います。過去を振り返ってみても、行動力、決断力、柔軟性、発想力、企画力、リーダーシップなど、事業を牽引していく上で必要になってくる要素において、大きな成長を感じたのが新卒社員です。無限の可能性を感じましたし、会社のコアになる可能性を秘めた人材だと思っているんです。

——伸びしろを重視しているんですね。起業家を育成したいということですか?

土屋:
そうですね。今回採用するBizDev職の方には、事業を牽引するリーダーとしての活躍を期待していますが、個人的にはゆくゆくは起業をして、世の中にインパクトを与える会社を作り上げていく人材になってもらいたいと思っています。実はグッドパッチを卒業して起業する人材に、私自身が出資をするというのは、一つの夢でもあるんです。

そして、“起業家の育成”という観点でいうと、グッドパッチはまさにそれができるタイミング。会社の規模的にも創業社長である私との距離が非常に近く、一緒に仕事を進めながら、本質的な課題解決や価値創造のアプローチを考えていくことができる。「起業家の熱」のようなものを肌で感じながら、変革を促す事業作りができる環境だと思っています。

——実際、グッドパッチで事業を運営している人にはどんな方がいるのでしょうか。

土屋:
現在、オンラインホワイトボード「Strap」の事業責任者として活躍している社員がいます。彼は2017年の新卒社員で、PMとUXデザイナーのロールで入社し、PdMのキャリアを経て今に至りますが、人一倍、熱量が高かった。おそらく、事業責任者を任せたときにはチャレンジングな異動だったと記憶していますが、それを超えてくる気概がありました。

Strap

——「気概」が事業責任者を任せる決め手になったと?

土屋:
究極、スキルは後からでも学べますからね。周りから「この人に事業責任者を任せたい」と思えるような熱量があるかどうかは、非常に重要です。誰かに何かを任せる場面を思い返してみても、最終的な決め手になるのは姿勢や本気度、熱量がほとんど。経験がある、スキルがある……といった理由よりは、事業に対する希望や覚悟のようなものを持っているメンバーに任せてきました。

だから、やっぱり自ら機会を作り出すことができる人に出会いたいですね。強い決意がなければ、ビジネスを立ち上げるのは難しい。厳しい言葉ですが、スキルがないから、経験を積んでいないから……と言っている人には、一生チャンスは巡ってこないでしょう。

むしろBizDev職として入ってきた新入社員が「将来、この領域がやりたいんです」と熱意を持って言ってくれたなら、その想いに応えられる会社でありたい。事業立ち上げを支援できるよう自分も頑張ろう、と経営者として強く思っています。

相手が気付いていない課題やニーズを見抜く力が必要

——「熱意」のほかに学生に求める資質はありますか?よければ、選考において見ているポイントを教えてください。

土屋:
これは職種問わずですが、グッドパッチでは「本質的な考え方」を何よりも重視しています。表面的な課題を捉えるのではなく、複雑に絡み合った問題を紐解き、物事の本質を探ろうとする「探究心」のようなものは絶対に必要です。デザインの価値の中心とも言える部分なので。

上下左右あらゆる側面から物事を見ることで、物事の輪郭を掴んでいく。多角的な視点は絶対に必要だと思います。

——デザイナーにとって必要な素養とも言い換えられそうですね。

土屋:
グッドパッチがクライアントのパートナーとして顧客の課題解決や価値創造を目指す際、クライアント自身が「自社のことが見えていない」というのはよくあることなんです。クライアントが見えているようで見えてない課題を明確にし、新しい価値を創出する。そのためには「本質的な考え方」「課題の深堀り」といったスキルが必要になってきます

——ありがとうございました。最後にBizDev職に興味を持っている方にメッセージをお願いします。

土屋:
少し話がそれてしまいますが、グッドパッチにはバックグラウンドや能力が多様なデザイナーがいるのも大きな魅力だと思っています。若いころの人との出会いって大事なんです。自分が何者でもないときに知り合った人と言いますか。

僕自身も起業前にサンフランシスコに行ったときに繋がった縁で、ビジネスになったこともありますし、今もいい刺激をもらっています。社内外含めて仲間がいる、というのは起業家、事業家にとって本当に大切なことで、間違いなく大きな財産になります。

仮にビジネス上の財産にならなくても、魅力的な人と友達になって、一緒に仕事をするっていうだけで楽しいですよ。人生にとってプラスになります。グッドパッチにはそういう環境がある。いろいろ言ってきましたが、あまり打算的にならず、面白そうだと思ったところに飛び込むのがいいんじゃないでしょうか。

その上で、グッドパッチを選んでくれたらうれしいですし、新しいビジネスを多く立ち上げ、グッドパッチ以上に素晴らしい会社を作ってほしいと期待をしています。そういう経験が積めるよう私も支援していくので、ぜひ熱い想いを持って挑んでください。

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