グッドパッチにはUI/UXを中心としたさまざまなデザイナーが所属していますが、多様なバックグラウンドを持つエンジニアも活躍しています。

今回は2024年にグッドパッチに入社し、フロントエンドエンジニアとウェブアクセシビリティスペシャリストを務めるmaddyにインタビュー。

「アクセシビリティは、エンジニアとデザイナーがつながる分野」と語る彼女に、アメリカから日本に移住して働き始めた背景や、クライアントワークでアクセシビリティ支援に携わる魅力について話を聞きました。

どうしてキャビンアテンダントからエンジニアに?異色のキャリアの背景

──本日はよろしくお願いします。簡単にこれまでのキャリアを教えてください。

現在はエンジニアをしていますが、もともとはキャビンアテンダントからキャリアをスタートしています。大学卒業後、とにかく日本語を使える仕事がしたくて。100通ほどエントリーシートを出してもなかなか通過しなかったのですが、やっと辿り着いたのがキャビンアテンダントだったんです。日本とハワイの便に搭乗し、アナウンスも担当していたので敬語は得意ですよ(笑)。

CAとして2年ほど働いた後に学び直しをしたいと思い、アメリカの大学院に進学してジャーナリズムを専攻し、それからエンジニアになりました。

日本に興味を持ったのは、当時アメリカで大ブームだったポケモンやセーラームーンの影響が大きいです。小学生の頃には週に1回は図書館に通って英語で日本の漫画や文化について調べていて、13歳で日本語を勉強し始めました。

初めて日本を訪れたのは16歳です。

高校の留学プログラムに参加し、東京、横浜、大阪、京都、奈良、白浜、長崎などを訪れたのですが、ずっと憧れの場所だったのでキラキラして見えました。当時の絵日記があるのですが、今でもたまに読み返します。約5週間の滞在だったので、中には飽きてしまって早く帰国したいという友人もいたのですが、私はこのままずっと日本に居てもいいのにと思うくらい楽しく過ごしていました。

──ファーストキャリアがエンジニアではなくキャビンアテンダントだったとは驚きました。

子どもの頃からウェブサイトをよく作っていて、当時好きだったアニメのファンサイトも自作していました。ただ「そのくらい誰でもできるでしょう」と思っていたので、エンジニアリングを仕事として考えたことはなかったんです。

でも大学院でジャーナリズムを学んでいる周りの学生と話す中で「maddyはそんなこともできるの?」と言われて、そのスキルは当たり前じゃないと気がついて。もともと絵を描いたり何かを作ることは好きだったので、自分の興味や強みを仕事にできればと思い、そこからエンジニアのキャリアをスタートしました。

ただ、やはり日本のことが好きだったので、アメリカで働きながらも、いつかは日本で暮らしたいと漠然と思っていました。具体的なプランは無いままだったのですが、20歳後半になってもどうしても夢を諦めきれず……。

そこで日系企業が多く集まるキャリアフォーラムに参加したところ、エンジニアとして前職から内定をいただくことができたんです。そこから「行っちゃいますか!」と思い切って日本で働くことを決めました。

「アクセシビリティ」を仕事に アメリカでは当たり前のこと

──そこから日本での生活がスタートし、どのような経緯でグッドパッチに入社したのでしょうか?

日本に住むことや日本で働くことは初めてだったのと、長時間労働のイメージもあって、最初のうちは不安がありましたが、実際働いてみるとそうではなく安心しました。

前職では7年ほど自社サービスのフロントエンドの開発をしつつ、アクセシビリティの社内コンサルや研修を担当していました。

前職に不満があったわけではないのですが、日本人に帰化したタイミングで、新しい環境で仕事をしてみたいと思い、転職を考えたんです。

新しい環境を選択する上で、これまでのように一つのプロダクトを集中して改善していくことも良いのですが、これからはアクセシビリティの大切さをもっと広めていきたいと考えました。そこで、クライアントワークで多くの企業を支援でき、サステナビリティに関する発信も積極的に行っていたグッドパッチに転職しました

──今回の転職ではアクセシビリティが重要な軸になったとのことで、その背景を教えてください。

私にとってアクセシビリティは小さい頃から身近なものでした。というのも、祖父母に聴覚障害があり、父が障害者向けのキャリアカウンセラーだったので、小さい頃から障害者との関わりが特別なことではなかったからです。

それと、アメリカは訴訟文化が強いので、そのリスクを回避する意味でアクセシビリティに取り組まなきゃと思ってる企業が多いんですね。そのため、アクセシビリティに取り組むことがアメリカではフロントエンドエンジニアの当たり前の仕事の一つでした。

そのような子どもの頃の環境と、仕事の経験がつながって、私にとってアクセシビリティが大事なテーマになったのだと思います。

英語の言語学的には、accessは「アクセス」でabilityが「できること」なので、accessibilityは「アクセスできること」なんですね。もちろん「使いやすいか」「満足しやすいか」ということも大切ですが、そのすべてに「そもそもアクセスできるか、しやすいか」というベースがあるんです。

今、ウェブ上には知りたい情報が全部あるじゃないですか。何でも検索できて、何でも勉強できる。でもある特定の人たちだけがこれにアクセスできないと残念ですよね。

テクノロジーが日々進化している中で、そのような方々が置いていかれないように努力していきたいですし、私が子どものときにウェブサイトを作っていたころと比べると、それこそAIも進化していて、アクセシビリティに取り組みやすくなってきているなと感じます。

アクセシビリティは「エンジニア」と「デザイナー」がつながる領域

──現在はグッドパッチでどんな仕事をしていますか?

ウェブアプリ開発支援とアクセシビリティ支援のプロジェクトを担当しています。クライアントワークで2つのプロジェクトを担当していますが、個人的には残業ゼロを目指しているので、時間管理はしっかりしていますね。

それに何より、アクセシビリティの仕事をするのが念願だったのでうれしいです。

クライアントからは、グッドパッチがアクセシビリティに対して熱い思いを持っていることに驚かれることもあります。アクセシビリティ支援ができる会社の中でも、UI/UXデザインの観点から深いフィードバックをくれるのはグッドパッチだけ、と言っていただけることもありますね。

アクセシビリティの本当に素敵なポイントは、エンジニアとデザイナーがつながる分野だというところです。

会社によっては、アクセシビリティをデザイナーの仕事だと思っているエンジニアも多く、反対にデザイナーは「それはエンジニアの仕事だ」と思っているケースも多いです。その結果、誰もアクセシビリティに取り組まないということが起きてしまっているんですね。

そんな中で、グッドパッチはデザイン会社だからこそ、見た目だけではなくてコードまで、アクセシビリティまで、良いデザインが作れる会社だと私は思っています。

グッドパッチには「Play as a team」というバリューがありますが、その言葉の通り、デザイナーとエンジニアがお互いをリスペクトしながらタッグを組んで活動できています。

──社内の活動ではどのようなことをしていますか?

社内にアクセシビリティ推進チームがあり、専用のSlackチャンネルでメンバーからの相談を受けたり、定期的にライトニングトーク形式の勉強会も開いています。自社の公式サイトのアクセシビリティ診断も行い、その改善も現在進行中です。

他にも社内用にウェブアクセシビリティガイドラインを作成して「デザイナーだったらこういうことに気をつけた方が良い」「エンジニアだったらこういうことに気をつけるように」と分かりやすく整理をしています。

こうした取り組みは社内でも注目されていて、昨年のグッドパッチグループ総会では、チームの取り組みが「Most Valuable Knowledge」賞を受賞しました。ただ、アクセシビリティはプロジェクトではなくプロセスなので「賞を取って終わり」ということはなく、中長期的に取り組める施策を今は考えているところです。

もちろん開発も好きですけど、この分野は私にしかできない仕事だなというやりがいを感じています。私の仕事の原動力は「人」なので、周りの人が支えてくれて、活動を応援してくれることには本当に助かっています。

日本らしい取り組み方で、日本の社会をアクセシブルに

──ありがとうございました。最後にこれからのmaddyさんの目標を教えてください。

これからの目標としては、日本の社会をアクセシブルにしたいです。

アクセシビリティを取り組んでる企業が増えたら「あ、じゃあ我々も取り組まなきゃ」と思ってくれる企業がだんだん増えて、気付いたらみんながアクセシブルになればいいなと。そのために、興味はあるけどどう始めたら良いか分からないという企業を支援していきたいと思います。

また、アメリカでは訴訟を恐れて法律の観点でアクセシビリティに取り組む企業が多いですが、日本らしい取り組み方を考えていきたいです。

エンジニアのチャレンジや楽しみの一つとして、ぜひ皆さんにもアクセシビリティに取り組んでいってほしいですね。

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