事業と組織の両輪人材へ。次世代のリーダーを育むGoodpatchの新卒研修
この記事はGoodpatch Design Advent Calendar 2020 2日目の記事です。
Goodpatchでは、文化醸成を担う存在として新卒採用を重視しており、2017年以来、毎年約10名の新卒メンバーが入社しています。UXデザイナー、UIデザイナー、エンジニアとして入社した彼ら彼女らは、数々の研修や先輩たちに支えられながら、クライアントのデザインパートナーとして活躍したり、愛される自社プロダクトを作る一員として成長していきます。
この記事では、そんな新卒メンバーが入社してからのサポート体制や、成長する土壌について一挙にご紹介します!
前半:Goodpatch OSをインストールする
4月にGoodpatchへ入社した新卒メンバーは、約2ヶ月かけて次のような研修を体験します。「Goodpatch OS Installer」と名付けた前半の研修は、大きく4つの内容に分かれています。ちなみにGoodpatch OSとは、Goodpatchが大切にするカルチャーを言語化したものです。カルチャーは常にアップデートされるものなので「OS」と表現しています。
ベルリンオフィス出張記として綴られたこちらの記事では、Goodpatch OSの特徴的な項目についてご紹介しています。
カルチャーのテストラボ。9000キロ離れたヨーロッパで醸成されるGoodpatch OS
Goodpatchのメンバーは、どんな職種でも「組織」と「事業」という両輪を行き来することが求められます。企業の思想とユーザーの欲求が繋がったビジネスこそが企業価値を高める今、デザインの対象は必ずしも「モノ」であるとは限りません。例えばデザインの対象が「人事施策」「広報施策」といった目に見えない「コト」である場合にも、デザイン思考を実践できるかどうか。そんな狙いも込められています。
1.代表土屋が4時間かけて語り継ぐ「カンパニー研修」
研修の中でも特徴的なのが、代表土屋が4時間かけて直々に行うカンパニー研修。
まずは会社の根幹となる創業ストーリーや、社員共通の価値観であるコアバリューについて理解を深めます。このカンパニー研修を通して、Goodpatchメンバーは誰でも以下のストーリーを追体験することができるようになっていくのです。
Goodpatchのコーポレートサイトでは、代表土屋の創業ストーリーを当時の写真も合わせて読むことができます。ぜひご覧ください。
2.事業責任者やマネージャー直々にオリエン「事業研修」
事業内容やチームについて、Goodpatchを支えるマネジメントメンバー、事業責任者たちから話を聞けるのが事業研修です。
- 取締役の松岡から、クライアントの課題をデザインの力で前進させるデザインパートナー事業について
- 事業責任者の北村から、クラウドワークスペースStrapについて
- 事業責任者の佐宗から、デザイナー特化型キャリア支援サービスReDesignerについて
- 執行役員の柳沢から、PRとHR、People Experienceを担う経営企画室について
- 管理部長の瀬川から、経理/財務/労務/IRなどを担う管理部について
直接話を聞くことで、なぜGoodpatchがその事業に取り組むのか、どんな人たちが何のために働いているのか、会社についての理解をさらに深めることができます。
3.組織人としてのマインドを醸成し、視座を上げる「ディスカバリー研修」
「7つの習慣」をベースに作られた研修で、ディスカバリーモデルという組織人に必要なマインドセットについて、ワーク形式で学びます。
取締役の松岡、執行役員の柳沢が講師を務め、組織で高いパフォーマンスを出すためのマインドセット、プロフェッショナルとはどういうことかなどを深掘りして考えていきます。「こんな時、自分だったらどうするか?」と自分に向き合うワークが多いことが特徴です。2日間の研修の最後には、3ヶ月後に何を達成するのか、それは何に貢献するものなのかという初心表明をしたためて終了です。2020新卒は、各自の初心表明をメンターに共有してくれていました!
4.企業のカルチャーを深く理解するための「Goodpatch Deep Dive」
Goodpatch Deep Diveは、カルチャーに深く潜り込むことを目的としている研修です。バリュー浸透だけではなく、同期同士のチームビルディングやリーダーシップの育成について、グループワークを通して多角的に数日間かけて取り組みます。
そこで、2019〜2020新卒に実施したのがGoodpatch Deep Diveです。主に「組織」の視点を養うため、自社の採用や広報といった課題をデザインの力で解決するお題に取り組みました!
後半:テクニカルスキルを磨く職種別研修
Goodpatch OS Installer研修を通じて、組織の一員として必要なマインドセットを身に付けたら、後半は職種ごとの専門性を磨く研修があります。それぞれどんな内容なのか見ていきましょう!
UIデザイナー研修
GoodpatchのUIデザイナーとして持つべき価値観や、ビジュアルデザイン・ソフトウェアデザインを実践するための研修です。各分野で専門性を持つデザイナーで研修を設計しました。
講義「UIデザイナーが持つべき価値観」では、このような話をデザインディレクターが伝えています。
グッドパッチのデザイナーはクライアントさんとプロジェクトをするにあたり提供するものとして、SketchやAdobeなどの「デザインファイル」はもちろんですが、「思想」や「文化」も残すということを心がけています。
次に話したトピックとして、「デザインへの責任をもつ」という話をしました。
個人的には、デザインすることはある意味とても怖いことだと感じていて、この怖いとはなにか?を分解すると2つ要因があります。1つは「ユーザー不在のデザイン」、もう1つは「コスト意識」の話です。次のトピックはUser Interfaceが好きか否かという話です。これは特に新卒だけではなく、中途で入社したメンバーにもいえることになります。正直技術的な面だけだとある一定ラインまで成長はするのですが、そこからもう1歩成長するには学ぶ対象が好きかどうか、そこに知的好奇心があるかどうかが絶対に必要だと思ってます。
UXデザイナー研修
GoodpatchのUXデザイナーとしてのものの考え方を身につけるための研修です。主にUXデザイン、チームビルディング、ファシリテーションについて概論と演習を通して学びます。これまで実際に取り組んだテーマには「Goodpatchのリモートワーク環境を改善する」や「在宅ワーク時代の新しいテイクアウト体験を考える」などがあり、インタビューから提案までを行う演習に取り組んでいました。
Goodpatchの新卒向けUXデザイン研修では以下を目当てとしています。
- GoodpatchのUXデザイナーとして必要なマインドセットを理解すること
- Goodpatchに所属している先輩UXデザイナーを知ってもらうこと
UXデザインに活用できるたくさんの手法を理解することも重要ではあるのですが、Goodpatchの研修では手法を伝えることよりも、まずはその土台となる GoodpatchのUXデザイナーとして必要なマインドセットを身につけることを大事にしています。
UXデザイン研修は2週間で、大きく基礎編と応用編の2パートに分けて実施しました。型にはまったプロセスを正しく使えるだけでなく、自らプロセスや手法を考え取捨選択できるように適切なインプットと自由度の高いテーマに沿ったアウトプットを組み合わせています。
エンジニア研修
ユーザーインタビューとプロトタイピングを繰り返し、デザインプロセスを体験するエンジニア向け研修です。目の前の機能だけではなく、2〜3年先の長期的な目線でサービスを提案するまでを体験します。
近年の研修では「リモート環境におけるミーティングの体験向上アプリケーションの提案」 を10日間で行い、コードベースのプロトタイプを発表していました。
グッドパッチの新卒研修はいわゆる社会人基礎のようなものや会社のカルチャーへの理解を深めるものから始まり、それぞれの職能ごとのもの、そして模擬クライアントワークの形式の研修をあわせて約2〜3ヶ月かけて全職種に対して共通で実施します。そのため、必ずしもエンジニアのためのエンジニアリング研修をすればいいという話にはできません。
はじめに、職種を問わずに「ソフトウェアを設計する」ことの解像度を高められるような内容と研修の方針を設定しました。また、研修で達成したい理想の状態として「開発案件に配属されたときに何をしたら良いかわからないという状態を回避すること」「開発案件に必要な観点を学び、スムーズに開発案件に入れるようになること」を目標に掲げました。
全職種合同の模擬クライアントワーク
「radikoをリデザインしてください」
2018新卒は、電通デジタルさんとradikoさんご協力のもと模擬クライアントワークを実施。実際にリニューアル案を提案するプレゼンまでを実施しました。
詳しくはこちら:Goodpatchの豪華すぎる新卒研修とは?「模擬クライアントワーク研修」の内容初公開!
「新卒採用サイトをデザインしてください」
2020新卒の職種合同研修のお題は、未来の新卒採用サイトのデザイン。実は現在の2022新卒採用サイトは、この研修がきっかけで誕生したもの。
制作したデザイナー視点のサイドストーリーの冒頭は、このように綴られています。
実は「新卒採用サイト」は、私たち20新卒が入社後の研修で一度取り組んだ課題だったんです。3つのグループに分かれ、9日間で新卒採用サイトを提案するというグループワークでした。ですが結果は会社として求めているクオリティに達していないと土屋に言い渡され、全チームが不採用。私にとって、多種多様な新卒研修の課題の中で最もやりきれない思いで終えてしまった課題でした。
そんな背景もあり、リベンジの機会がこんなに早く回ってくるとは思ってもみませんでした。ですが、この話を聞いた時に私はとてもワクワクしました。できないこと、やったことないことばかりでも、今度こそやり抜く自信だけはある。これはチャンスだ。そう覚悟を決めました。
年間通してのフォローアップ体制
上記の研修を終えたあとも、1年間を通して成長を支援する取り組みをご紹介します。
斜めの繋がりで支えるメンター制度
新卒メンバーそれぞれにスキルメンターとメンタルメンターがつきます。メンタルメンターは同じ職種、年齢も近い先輩が選ばれ、毎月ランチに行くことができます。他愛もない雑談から仕事の相談までを話す存在として、斜めの繋がりで新卒をサポートします。
CEOと毎月2時間ディスカッション!社長研修
毎月、2時間近くかけて開催されるのが社長研修です。
代表土屋が選んだ課題本やテーマについてそれぞれがプレゼンを行い、土屋や同期と議論します。経営者と自分の視点・視座はどう違うのか、毎月自分をアップデートできる機会です。
過去の社長研修での課題本、テーマについてはこちらをご覧ください!
新卒×CEOの本音トーク!?グッドパッチの新卒研修についてご紹介します
つくり手に回る機会、イベントの企画と実行
一般的に新卒で会社の作り手に回るのはなかなか難しいこともあり、Goodpatchでは作り手になる機会提供を行っています。年間を通した活動で、事業だけではなく組織の感覚も身に付く機会です。毎年新卒メンバーが企画から実行までを担当する社内イベントXpatchは、リモートワークになってからもオンラインで楽しめる企画を続け、社内コミュニケーション活性化に貢献してくれています。
Goodpatchの新卒が運営する社内イベントXpatchとは
定期的な言語化の機会。Goodpatch Blog執筆
このブログの人気シリーズ、「新しいものが大好きなGoodpatchで●月話題になったアプリ、サービス、デザインまとめ」をご存知ですか?
こちらのシリーズはデザイナーとして必要不可欠なインプット(トレンド・情報収集)とアウトプット(言語化・構造化)の機会として2016年から代々新卒たちが継続している研修です。 トレンドを肌で理解することはもちろん、物事を簡潔にまとめて伝える、言語化能力を磨く機会でもあります。
他にも、社員の名刺作成を担当したり、DeNAさんと共催するデザインコミュニティUI Crunchのリブランディングに取り組んだりと、1年目から大活躍。成長機会がたくさんあることがGoodpatchの特徴です。
研修を体験した新卒メンバーの声
さいごに、2020新卒メンバーが研修中の学びや、当時のリアルな気持ちを綴った記事をご紹介します。
僕の、入社までのデザイナーのイメージは
デザイナー is クリエイティブ。しかし、入社をしてみるとその印象は少しだけ変わりました。
めちゃめちゃ”泥臭い”
本質的な問いに向き合うことは、ハードかつ暗闇の中を歩くよう…
アイデアが出るまで一直線で、急に良いアウトプットが出るとかではないし この過程は、むしろとてもハードなものでした。一方で
「やっていることはクリエイティブですか?」と問われるのなら
間違いなくYesと答えます。本質的な課題解決や価値創出にむけて
頭をひねり、議論を交わし、手を動かす…ハードだし地道な過程ながらも刺激的で、クリエイティブそのものだと感じています。
つい先日の社長研修でのこと、「グッドパッチ社員にインタビューをして人材の輪郭を描く」というテーマでプレゼンをする機会があった。私は必死にインタビューをし、必死にグッドパッチ人材の輪郭を考えた。
完成したプレゼン資料を確認して、これでいけると思ったんだけどな…プレゼンを聞いた人の反応はとても鈍かった。
「どっかから取ってきた言葉ばかり。自分の思いはどうなの?」
インタビューをした先輩からのFBだった。あ、そうか。私は自分の言葉で素直な思いを表現することがいつの間にかできなくなっていたことに気がついた。
そう、なくしていたものはその根底にある自信。
悔しかった。必死に涙をこらえてた。
でも、ずっと前からどんなに悔しいことも辛いことも乗り越えていく覚悟は決めていた。私は成長するしかないのだから、できなくなくたってすぐにへこむ必要はない。できることをちょっとずつ形にしていけば良い。まずは自信を取り戻すところから。
今、穏やかでも確かに存在する闘志がどこからともなくこみ上げてくる。
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