はじめに

2021年、Goodpatchには8人の新卒が入社しました。

今年もGoodpatchでは4月から6月までの3ヶ月間で新卒研修を行っています。昨年は新卒の職種ごとに分け研修を行っていましたが、今年は全職種を対象としてUXデザインやUIデザイン、さらには営業の研修を行っています。

今回の記事では、UXデザイン研修がどのような目的で行われていて、どのような内容を学ぶことができるのかをご紹介します。

研修の目当て

Goodpatchの新卒向けUXデザイン研修では以下を目当てとしています。

  1. GoodpatchのUXデザイナーとして必要なマインドセットを理解すること
  2. Goodpatchに所属している先輩UXデザイナーを知ってもらうこと

UXデザインに活用できるたくさんの手法を理解することも重要ではあるのですが、Goodpatchの研修では手法を伝えることよりも、まずはその土台となる GoodpatchのUXデザイナーとして必要なマインドセットを身につけることを大事にしています。

また、クライアントワークが始まると社内のいろんなメンバーとの協業も必要になるため、研修を通じてGoodpatchのUXデザイナーのことを知るきっかけとなるような仕組みづくりも意識して設計されています。

研修の構成

UXデザイン研修は2週間で、大きく基礎編と応用編の2パートに分けて実施しました。型にはまったプロセスを正しく使えるだけでなく、自らプロセスや手法を考え取捨選択できるように適切なインプットと自由度の高いテーマに沿ったアウトプットを組み合わせています。

また、基礎編は個人で、応用編ではチームでテーマに取り組むことで「早く行きたければ、ひとりで行け。遠くまでいきたければ、みんなで行け。」を体感し、チームワークの大切さを学べる構成になっています。

基礎編では、グッドパッチ流のUXデザインの基礎を学ぶために必要なインプット(講義)と課題に沿ったアウトプットを交互に行うことでインプットした内容の定着を図りました。

インプットは以下のような構成で行いました。

  • チームビルディング研修
  • プロジェクトマネジメント研修
  • UX概論
  • UX研修 調査設計編
  • UX研修 分析編
  • UX研修 アイディエーション編
  • UX研修 ユーザーテスト編

各研修の詳細については後ほどお伝えします。

また研修後半の応用編で扱ったテーマは、Goodpatchにどんな人がいるのか、どんな働き方をしているのかを広く知ってもらうことと、顕在化していない会社の課題に向き合うことを狙いとして設計しました。

応用編ではほとんどのプロセスが自由な中、新卒メンバー自らチームで考えて代表の土屋にエグゼクティブインタビューを実施したり、メンバーやマネージャーにヒアリングを重ねたりとそれぞれが工夫して情報を集めました。そして、最終成果物はマネージャーやディレクターに向けてプレゼンテーションし実際の案件と同じような視点でフィードバックしています。

研修のハイライト

チームビルディング研修

偉大なプロダクトは偉大なチームから生まれる

Goodpatchでは「偉大なプロダクトは偉大なチームから生まれる」という言葉を大事にしています。それは、プロダクトの品質はチームのコミュニケーションの量と質に比例すると言われているからです。そのためチームビルディング研修では、チームビルディングとチームの状態を把握し行動することの重要性を理解することを目的としました。

研修は新卒メンバーのチームやチームビルディングの認識を振り返るところから始め、チームの状態を把握する土台としてタックマンモデルを取り上げました。タックマンモデルでは、チームとして結束力や相乗効果が生まれ、成果が出る段階であるトランスフォーミング(変態期)を目指します。

チームビルディングの段階

チームビルディングに正解はありませんが、何かしらのワークを1回行なっただけで終わるものではありません。プロジェクトを進めていく中でその都度チームの状態を意識し行動することが必要であり、少しずつ1つのチームになっていきます。

またチームビルディング研修では、チームの状態に合わせてGoodpatchのUXデザイナーがよく使う代表的なチームビルディングのワークも紹介しました。

UX概論、UXデザイナーとしての倫理観

UX概論はUXデザインの入門としてUXデザインの定義、プロセス、役割、責任を自分なり考えることを目的としました。

前半は教科書に記載されているような基礎的な定義やプロセスの考え方を学びました。UXデザインに関する説明は抽象的になりがちで、いきなり説明を受けても上手く理解できないことが多いため、各テーマごとの問い(例:UXデザインって重要だと思いますか?それはなぜですか?)に対して受講者がまずは自分なりの意見を考え、一通りの説明が終わってから改めて自分の当初の考えとの差分を振り返る構成で進めました。

また、プロダクト・サービス設計に関わる人として重要なマインドセットの一つとして、デザイナーとして意識すべき、倫理の問題についても考えました。

1.デザインしたサービス、プロダクトの社会的影響を考える

デザイナーとしての倫理観

いざプロジェクトにアサインされると盲目的にプロジェクトのゴールに向かってデザインを進めてしまいがちですが、そのサービスが世に出されたときに社会にどんな影響を与える可能性があるのか想像してみることが重要です。

2.ユーザを貶めるようなことはしない

デザイナーとしての倫理観1

具体的にはユーザーにとって損をする行動を促すことや、特定の行動をユーザーが気づかないうちに誘導することが該当します。ビジネス観点を考慮することはUXデザイナーの重要な役割ではありますが、ユーザーを貶めてまで指標を追いかける状態は避けましょう。

3.ユーザの自由を損ねない

デザイナーとしての倫理観

ユーザーに拒否する選択肢を与えない、キャンセルする選択肢を与えないなどといったこともユーザーの自由を損ねることになります。

4.無意識な差別を行わない

デザイナーとしての倫理観

人間なので無意識な差別は行ってしまっている可能性はどうしてもあります。なるべく多様なメンバーをチームに集めるようにし、各々が率直に間違っていると感じたときに指摘できる空気を作るよう心がけましょう。

そのほかの研修

UX研修 調査設計編

UXデザインの初手とも言える調査設計の基本を理解し、プロジェクトで活用する際の足掛かりを作ることを目的としました。

広く手法について知るよりも1つの手法を深く知り、実践することで横展開できる力がつくと考え、調査の基本でもあるインタビューと行動観察としてのエスノグラフィの大きく2つを取り上げています。

エスノグラフィの手法

UX研修 分析編

調査が終わったら、次は調査によって得た情報の分析です。この研修ではどのように分析するのかだけでなく、分析を行う目的を理解することで調査と分析をより効果的なものにすることを目的としました。

前工程で行った調査結果を何に使うのかについて改めて確認しました。分析だけでなく、すべてのデザインの工程において、常に前工程のアウトプットが後工程のインプットになっている状態を作る(意識する)ことが重要であるためです。そして、調査結果を分析する前に行う個票作成などのまとめ作業は、調査によって得た情報をチームで共通認識を取るために重要なプロセスです。

分析手法

今回は、いくつもある分析手法の中からユーザーモデルの3階層ごとに代表的な手法を紹介し、分析を行う際に気をつけるべき以下の観点を意識しながら実践してもらいました。
・調査や分析の目的を見失わない(何に役立てるためのものか)
・思い込みに気を付ける
・表面上の発言ではなく、その背景に着目する
・全体像(構造)と詳細(理由や原因)を行き来する

UX研修 アイディエーション編

アイディエーション研修では、プロダクト・サービスのアイディアを発散するためのテクニックや、アイディアを関係者にストーリーとして共有する方法を学びました。

アイディア出しについてはCrazy8やHow Might We等の一般的な手法や、Goodpatchの過去のプロジェクトの事例からアイディア出しの発散から、ステークホルダーを巻き込みながらの案を絞り込むための収束方法など実践的な知識をインプットしました。

また、どんなに素晴らしいアイディアだったとしてもその良さが伝わらなければ意味がないため、アイディアのストーリーテリングについてもGoodpatchの過去のプロジェクトからピックアップした良質な事例を通じて学びました。

UX研修 ユーザーテスト編

ユーザーテスト研修では、プロダクト/サービス開発のあらゆる工程においてユーザーからのフィードバックを得るための手法や考え方を一般的なユーザビリティテストとコンセプトテストの2種類に分けて学びました。

Goodpatchの中の過去の実際のプロジェクトのテスト設計書などの途中成果物も含めた事例をベースに工程を紹介しつつ、以下のポイントをマインドセットとして理解しました。

  • 企画からリリース後までプロダクト/サービス設計のあらゆる工程でユーザの意見を聞くことができる
  • テスト設計は綿密に
  • テストを実施する前に必ず本気のパイロットテストをすること

プロジェクトマネジメント研修

GoodpatchのUXデザイナーはプロジェクトの規模によってはPMも兼任することがあるため、PM研修も実施しています。

PM研修では、不確実性の高いプロジェクトを成功に導くためのプロジェクトマネジメントの基礎を理解することを目的としました。デザインパートナーとしてワンチームでプロジェクトを進める中で必要なマインドセットとそれに必要な観点を伝えています。

プロジェクトマネジメントのゴール

さいごに

今回の記事では手法だけでなく、UXデザイナーとして必要なマインドセットを身につけてもらうため、2021年度新卒向けに行ったUXデザイン研修をご紹介しました。

もっとGoodpatchのUXデザイナーの仕事内容について気になった方はぜひこちらの記事も読んでみてください。

Goodpatchでは、未来の仲間たちを募集しています。GoodpatchでのUXデザイナーの働き方に興味を持った方、デザインの力を信じている方からのご連絡をお待ちしています!

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