春の訪れを告げた満開の桜も、葉桜へ移ろい、梅雨の気配を感じる今日この頃。4月から新しいことを始めた方も多いのではないでしょうか。

今月もGoodpatchで話題になったアプリケーションやサービスをご紹介致します!

アプリケーション

フリマアプリの「楽天ラクマ」がリブランディング&サービスを拡充

https://rakuma.rakuten.co.jp/ts/announce/new_rakuma/

楽天グループが運営するフリマアプリ「楽天ラクマ」は2022年4月5日、フリマアプリの枠を超えて循環型社会に貢献する、新たなECプラットフォームを実現するため、ロゴとアプリアイコンを刷新し、リブランディングを行ったことを発表しました。また大手のリユース事業者や並行輸入事業者が出店する「ラクマ公式ショップ」や、農産物や水産物などに特化した「産直・こだわり食品」の販売も強化するようです。

ロゴは「ラクマ」をローマ字の「Rakuma」に、ブランドカラーをレッドからブルーへ変更し、より未来感があるイメージを表現しているそう。既存のアプリアイコンはお店の軒先テントを想起させる可愛らしい雰囲気のものから色はそのまま、シャープなモチーフに変わり、より洗練され広がりのあるイメージを表現しているようです。また、新しく強化した「ラクマ公式ショップ」や「産直・こだわり食品」も「ホーム」タブの画面内の上タブにかなり優先度高く配置をされています。サービスを拡充したり、親しみやすい印象から一気にスタイリッシュなイメージに大きく方向転換したりすることで、競合サービスと差別化していく、という意図があるのかもしれません。一方、ユーザーが慣れ親しんだものから大きく変わったUIに使いにくさを感じたり、既存のイメージからあまりにも遠ざかってしまったりするとユーザーが離れてしまう可能性も出てきます。ユーザーが受けるブランド印象にポジティブ・ネガティブな影響を与える可能性を想定した上でデザインの改修の検討をしていくことが、改修の成否を分けるポイントになってくるでしょう。「ラクマらしさ」を残しつつ大きくイメージチェンジしたラクマですが、このリブランディングは楽天グループ全体のイメージにも影響を与えていくことも考えられます。様々な要因が絡んだ今回のリブランディングが功を奏すか、今後に期待です。

道路の損傷や不具合をアプリで投稿できる「道路通報システム」を東京都が本格導入

https://www.mycityreport.jp/

東京都は道路の損傷や不具合を簡易的にアプリで報告できる「道路通報システム」を2022年4月1日に本格導入することを発表しました。スマートフォンのカメラとGPSを活用し、都民が不具合を見つけた場合は投稿できる仕組みになっています。投稿にはMy City Report for Citizensのアプリをインストールし、写真を添付する必要があります。

車椅子を利用している方が実際に投稿し、道路が補修され、「橋が渡りやすくなった」「自分の声が反映されて嬉しい」と喜んでいる様子がテレビでも放映されていました。このアプリがあれば、歩きづらいけどこれまで気づいてもらえなかった道を補修してもらえる希望がわきます。都民一人ひとりにとって大きな存在になりえますね。
また、国側も全ての損傷を把握するのは大変なので、通行人が報告してくれるのはとてもありがたいですよね。

近来、住民と行政の協働によるまちづくりの活動が求められています。過ごしやすく、安全なまちになれば、住み続けたいと思ってくれる住民も増えます。そのためには、住民もまちの課題に積極的に向き合う必要があります。危険を未然に防ぐための行動は、よりよいまちづくりのための活動の一つになることでしょう。さらに多くの自治体にも広がっていくことを期待します。

サービス

世界初!IG証券が株価チャートで音楽を自動生成するサービスを開始

https://ig-stockmusic.com/

2022年4月11日、オンライン証券会社のIG証券が株価の変動を音楽の旋律に変換するサービス「IG STOCK MUSIC」を世界で初めて公開しました。銘柄、チャートパターン、ローソク足など、直近3ヶ月の株価情報をAIが分析し自動で生成される音楽は、株価の変動に合わせて毎週更新。生成された音楽は他の音楽配信サービスと同様に、銘柄でプレイリストを作成したり、友達にシェアしたりすることが可能です。

このサービスを見たとき、筆者は直感的に「面白い!」と感じました。資産運用やトレードの専門的な知識のないひとでも、株価の変動を音楽で感覚的に享受でき、株に興味を持つという行動を促進しているからです。企業が事業計画を打ち出すとき市場規模・市場シェアは大切な指標となり、企業活動において市場規模そのものを拡大していくことはサービスにとって良い影響をもたらします。一見全く異なるジャンルに見える株価と音楽の共通項の「波」に着目し、株価と音楽をつなげることで株への無関心層を市場に引き込むことを目指していると推察します。
また、当該サービスはUIでも面白い取り組みがなされています。再生バーに始値や終値が記載されていたり、楽曲進行に合わせてローソク足がカラー表示されるなど音楽と株価の連動を聴覚だけでなく視覚でも体感することが可能です。検索画面では、曲名ではなく銘柄やティッカーシンボルで検索するなど、株価情報を閲覧するときには基本となる動作を自然とできるような工夫も見られます。このように細部にこだわったデザインは、サービス内の世界観を魅力的に演出し、記憶に残る体験を生み出すと言えそうです。

日本初!パナソニックHDが完全遠隔監視・操作型 自動配送ロボットの道路使用許可を取得。 ロボット配送サービス実現へ

https://news.panasonic.com/jp/press/data/2022/04/jn220415-2/jn220415-2.html

2022年4月15日、パナソニックホールディングス株式会社(以下、パナソニックHD)は、国内で初めて完全遠隔監視・操作型の自動配送ロボットの道路使用許可を取得しました。これにより、これまで必須となっていたロボット付近での保安要員の配置が不要となり、小型低速ロボットを活用したフルリモートでの配送サービスなどの実証実験が可能になります。

今回の道路使用許可の取得は、1,200 kmを超える走行実証実験を行う中での小型低速ロボットの認識能力の向上や、遠隔監視・操作に関するAI技術の進化によって実現。緊急時でもオペレーターが遠隔で介入して適切な対応をとることができるだけでなく、遠隔システムとの通信が途切れたとしてもロボットが自律的に安全な場所まで走行できるとのこと。

小型低速ロボットによる配送サービスの実用化は、少子高齢化による労働力不足の解消を狙いとしており、その実現は労働人口の減少が叫ばれる地域において特に歓迎されることになりそうです。このようなサービスが世の中に受け入れられるためには、技術的に安全性が担保されていることはもちろん、生活者の信頼や安心感を醸成することが大切になりそうです。警視庁の審査を超えた今、次に期待されるのは生活者の基準にいかに寄り添えるかという点かもしれません。

セブン銀行ATMとマイナンバーカードを活用した給付金の受取システムの構築と実証を兵庫県加古川市で実施

https://www.sevenbank.co.jp/corp/news/2022/pdf/2022041201.pdf

2022年4月12日、セブン銀行は兵庫県加古川市、株式会社セブン・ペイメントサービス、xID株式会社、株式会社両備システムズと共同でセブン銀行ATMで住民が給付金等の受け取りを安全かつ速やかに行えるシステムの構築と関連する周辺環境の整備、本仕組みの本格導入に向けた実証を2022年7月頃に実施することを発表しました。

この取り組みの背景には2020年に実施された特別定額給付金の給付において自治体で膨大な手続きが発生したこと、それにより受け取りの遅れが発生したことなどがあります。本取り組みでは、マイナンバーと連携したIDシステムによる新たな給付金等受取システムを構築し、1日でも早く給付金を受け取りたいという住民のニーズを満たすことが期待されます。全国に二万店舗以上展開するセブンイレブンで銀行口座の登録など面倒な手続き不要で給付金を受け取ることができれば、行政にとっても住民にとっても喜ばしいことです。

マイナンバーと銀行口座の連携がなかなか進まない中で本取り組みのような事例が実施されることは、行政手続きのデジタル化や行政システムの民間連携強化の追い風になるでしょう。一方で、手続きの種類によってユーザーが触れるツールがバラバラだったり、給付金受け取りまでに複数のインターフェースに触れる必要があったりすると、むしろ紙一枚で申請できる方が楽に感じるかもしれません。さまざまなサービスが乱立することや仲介業者が多数入ることで結果的に住民=ユーザーの負に繋がらないかは十分検討する必要があります。

トレンド

任天堂とソニーが英国でオンラインゲームサービスのサブスクリプションを改善

https://www.gov.uk/government/news/cma-welcomes-sony-and-nintendo-s-gaming-subscription-improvements

2022年4月13日(英国時間)、イギリスの競争・市場庁(CMA)が任天堂とソニーがそれぞれオンラインゲームサービスのサブスクリプションサービスを改善することで合意したと発表しました。この改善により、イギリス内においてはPlayStation Plusが会員資格を長期間使っていないユーザーに連絡しユーザーから利用更新または停止の手続きが行われない場合は引き落としを停止するように、Nintendo Switch Onlineはユーザーが選ばない限り自動継続にならないようになりました。

今回のこの決定はCMAが2019年4月から始めた調査を受けてのものですが、サブスクリプションサービスの当たり前が覆される出来事だったと思われます。英国内のみの対応とはいえ、短期的に見れば企業の不利益になる変更を決定したことは英断であったと言えるでしょう。近年ユーザーに意図しない消費を誘発するデザインがダークパターンとされ問題視されています。サブスクリプションサービスが契約したまま利用していないユーザーから収益をあげることは、現状当たり前の構造となっていますが、「意図しない消費」という意味でいえばこれも隠れたダークパターンであると言えるかもしれません。今回はそのダークパターンを改善したということになります。これは短期的に見れば売上が下がるものの、長期的に見ればよりユーザーがサブスクリプションを気軽に契約できるという効果も期待できるかもしれません。今回は行政の調査がきっかけでしたが、このように長期で見てユーザーも企業も嬉しい施策をこれからは進んで提案していくことをデザイナーの責務の一つとしていきたいですね。

大阪・関西万博がデザインシステム「EXPO 2025 Design System」を策定

https://www.expo2025.or.jp/news/news-20220418-05/

2022年4月18日、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は公式ロゴマークを中心にデザインシステム「EXPO 2025 Design System」を策定したことを発表しました。デザインシステムを用いることで、万博にまつわるデザインを統一させて万博のブランドイメージを定着、向上させていくことを狙いとしています。そのためデザインシステムを構成するデザインエレメントは3種類、それぞれの形状を変化させたパターンも用意するなど、あらゆる場面で広く使われ、進化し続ける余地を残しています。

近年はデジタルサービスに限らず行政でもデザインシステムを策定し、ユーザーへ一貫したコミュニケーションを取る動きが見られています。その中でも本万博では提供するあらゆる体験をユーザーとの「インターフェース」として捉え、デザインシステムを通じてデジタルとアナログの一貫した体験作りに挑戦しています。これは「万博」の元々持つ、新しい技術や商品が生まれ生活が便利になる「きっかけ」と言われる場としての機能と同じように、新しい時代への挑戦と見ることができるのではないでしょうか。その挑戦の一個として体験向上にデザインの考え方を盛り込んだ取り組みがされることは、デザインの未来を感じさせる挑戦だと言えそうです。


以上、4月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしておりますので、来月もお楽しみに!

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