時折、春めく風が鼻先をかすめてうれしくなる今日この頃ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

今月もGoodpatchで話題になったアプリケーションやサービスをご紹介します。

サービス

Googleマップの新機能「Immersive View」が東京での利用が開始

https://www.moguravr.com/google-maps/

Googleが2022年に発表していた「Googleマップ」の新機能「Immersive View」が、東京での提供を開始しました。

これまでのGoogleマップの探索方法は真上かストリートビューでしたが、「Immersive View」は、ストリートビューと航空写真を融合することで従来のマップアプリでは味わえない没入感のある地図を表示してくれるシステムです。まるで現地にいるかのようなリアルさを感じながら天気の移り変わりや交通・混雑状況など、役に立つ情報を得ることができます。

他には、スマートフォンをかざすことでATMや駅などをスポットとして可視化し、簡単に見つけられる拡張現実(AR)を活用した探索機能もあるそうです。

このような新機能を見ると、マップ系のアプリケーションにとって「いかに現実と地図上の世界を一体化できるか」が今後のユーザー体験の鍵になってくるような気がしますね。無機質だった画面上の地図は、次第に私たちにリアルな世界を見せてくれる「窓」のような役割を果たしてくれるのかもしれません。Googleがテクノロジーを駆使して、次はどんな探索体験を与えてくれるのか期待が高まります。

Googleが会話型AI「Bard」を公開。ChatGPTのライバルとなるか

https://blog.google/technology/ai/bard-google-ai-search-updates/

2023年2月6日(米国時間)、Googleが「Bard」と名付けられた会話型AIサービスを発表しました。現在はテストユーザー向けに提供されています。

同社の発表では「Bardは、世界の幅広い知識と大規模な言語モデルの力、知性、創造性を組み合わせることを目指している」とのことです。Webの情報を利用した従来の「Google検索」がよりアップデートし、さらに複雑で洞察の必要な問いにも答えてくれる検索エンジンとなるかもしれません。

Bardは、同社が開発した「LaMDA(Language Model for Dialogue Applications)」という対話アプリケーション用言語モデルを利用しています。昨年11月に公開されたAIチャットボット「ChatGPT」を活用したサービスが急増している中、GoogleはLaMDAやそれを利用したサービスでChatCPTに対抗するかたちとなっています。

ほぼ同時期にBardとImmersive Viewの2つの新サービスを発表したことからも、Googleがさらなる検索体験の進化を目指していることが伺えます。私たちの生活にも大きな影響を与える可能性があり、今後も目が離せません。

Instagramが新機能「ノート」を日本でも導入開始

https://about.fb.com/ja/news/2023/01/instagram_notes/

2023年1月31日(米国時間)、Instagramは昨年12月から米国など一部地域で展開していた、新しい機能である「ノート」を日本でも導入を開始しました。

もう既に利用されている方もいらっしゃると思いますが、「ノート」とは、DM画面から最大60文字以内でテキストを投稿できる機能のことで、馴染みのある「ストーリー」と同様に24時間で投稿が消える仕様になっています。一方で「ストーリー」における共有範囲が全アカウント(ブロックアカウントや非表示アカウントを除く)であることに対して、 「ノート」は全アカウントではなく、相互にフォローしあっているアカウントや親しい友達に追加しているアカウントが共有範囲となります。

Instagramの既存機能である「投稿」や「ストーリー」では画像や動画を起点としたリッチなコミュニケーションを行うことができる反面、他愛のない些細な投稿は行いづらいと考えます。一方で「ノート」ではテキストのみでの投稿を限定的な共有範囲で行えるため、比較的、気軽に取り留めのないコミュニケーションを行うことができるのではないでしょうか。このようにコミュニケーションの形式がコニュニケーションの内容に対して作用することは、とても興味深いですね。

トレンド

STUDIOがユーザー向けファンコミュニティ「STUDIO Community Japan」をリニューアル

https://blog.studio.design/ja/posts/community_renewal

STUDIO株式会社は、2023年2月16日(木)にSTUDIOユーザーのためのファンコミュニティ「STUDIO Community Japan」をリニューアルしました。

コミュニティの利用プラットフォームをSlackからCircleへ移行し、質問や回答はストックされるように。より便利で役立つコミュニティとして運用されるようになりました。特に「Community Rewards Program」として投稿やコメントなどの活動でコミュニティを盛り上げるメンバーに対してバッジが付与され、バッジの種類によって特典が受けられるような仕組みも活用しています。

ちょうど2月9日に開催されたSTUDIO DESIGN AWARD2022授賞式では弊社のデザインパートナーシップ事業のサイトコーポレート・サービス賞を受賞したことも相まって、Goodpatch社内で話題となっていました。

STUDIOのサービスとしての可能性と、クリエイターと一緒に文化を築き上げていく姿勢には学ぶことがたくさんあり、いつも勉強になります。

「ゲームボーイ Nintendo Switch Online」「ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online」が配信開始

https://topics.nintendo.co.jp/article/40f195c8-f85c-41db-9184-f1155018011d

2023年2月9日、任天堂は「ゲームボーイ Nintendo Switch Online」と「ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online」を発表しました。発表されたコンテンツではテトリスやスーパーマリオ、カービィなど、世界中を魅了した多くのシリーズ初期作が過去から舞い戻ってきました。

今では高画質で豪華なエフェクトや、どこまでも探検できるオープンワールドなどアップデートされたゲーム体験が一般化され始めています。ですが、世界観のシンプルさと奥行き、制限が多いからこそ生まれたコンテンツ力やグラフィックなど、噛めば噛むほど分かる当時の魅力を現代のゲーム機器で体験できるのはとても意義のあることのように感じます。

また、昨今はゲームに限らずアニメや映画などでも「リメイク」が世間を騒がせています。昔ながらを感じたい人もいれば、今風にアップデートされた作風を楽しみたい人など融通の効かせ方が難しい「リメイク」ですが、今回の「ゲームボーイ・ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online」はほぼ当時を再現しています。当時の画面の色合いなどを楽しむために画面を切り替えられる仕様にもしているそうで、新規の人も当時遊んだ人も色んな感情を馳せながらゲームが体験できるのは任天堂のこだわりを感じますね。

メルカリ、グループミッションと共に創業10周年特設サイトを公開

https://about.mercari.com/unleash/

2023年2月1日、2013年2月1日の会社設立から10年目を迎えた株式会社メルカリは、次の10年の成長に向けた新たなグループミッションとそこで掲げられている「Unleash」(可能性を広げる)をキーワードとした特設サイトを公開しました。

メルカリが新たに策定したグループミッションは『あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる(Circulate all forms of value to unleash the potential in all people)』。これまでメルカリはフリマアプリ「メルカリ」における『新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る』をミッションに掲げて活動してきました。一方、スマホ決済サービス「メルペイ」をはじめとするフリマアプリにとどまらない事業拡張を推し進める中で、改めてメルカリグループ全体として「社会にどのような価値をもたらす存在になっていくべきか」といったWhyを明文化するために、各サービスのミッション(カンパニーミッション)の上位概念として策定されたそうです。

また、グループミッションに合わせて公開された創業10周年特設サイトでは、創業者からのメッセージやこれまでのメルカリの歩みが掲載されています。カラフルなコラージュを基調としたビジュアルからは、「切る」という作業から得られる心の解放が想起され、まさにグループミッションで掲げられている「Unleash」(可能性を広げる)がキーワードとして浮かび上がってくるようです。細部までこだわり抜かれた特設サイト、是非ご覧になってみてはいかがでしょうか。

デザイン

FigmaでUIデザインを手伝ってくれるAIツール「Genius」が公開予定

https://www.genius.design/

デザインツールを開発するDiagramが、Figma上でUIデザインを手伝ってくれるジェネレーティブAIツール「Genius」を発表しました。Geniusは「AIコンパニオン」として、Figma上で何がデザインされているかを理解し、そのデザインを自動で補完するような提案を行います。

Geniusを開発するDiagramは、ビジョンとして「UIデザイナーの生活を改善し、誰もがデジタルの世界をデザインできるようにする、信じられないほど強力なツールを作成する」ことを掲げており、これまでにもAutomatorやMagicianといった画期的なデザインツールを公開してきました。Goodpatchでも多くのデザイナーがFigma上でこれらのツールを使用しています。

現在Geniusは公開前のウェイトリストを用意しています。Figmaのヘビーユーザーとしては公開が待ちきれません。

海外

Netflixが海外向けにアカウントパスワードの共有対策を発表

https://about.netflix.com/en/news/an-update-on-sharing

Netflixが、ひとつのアカウントを複数人がログインして視聴利用することを防ぐために、パスワード共有対策について発表をしました。今のところ日本は対象外で、対象の国はカナダ、ニュージーランド、ポルトガル、スペインとなっています。

Netflixアカウント保持者は同じWiFiかIPアドレスを使っている「メインの場所」か「世帯」を設定し、家族や同居人は新しくプロフィールを作ることで利用が可能になります。一方で、WiFiもIPアドレスも異なる人がアカウントを使う場合は、メンバー追加が必要になるとのことです。

「自分のデバイスやホテルのテレビなどでも簡単に視聴できる」ことが売りのひとつであったNetflixなので、旅行や出張先での利用にはどのような対応になるのかはまだ発表されていません。

サブスクリプション型のオンラインサービスにはついてまわる「アカウントのパスワード共有問題」。他企業も含め、今後どのような対応が主流になるのかには注目しておく必要がありそうです。

以上、2月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしていきますので、来月もどうぞお楽しみに!

過去の月間まとめ記事はこちらからどうぞ!