新しいものが大好きなGoodpatchで9月話題になったアプリ、サービス、デザインまとめ(2022)
秋分の日が過ぎすっかり秋の気配が感じられるようになりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?9月はデザインやビジネス分野でたくさんの大きなニュースがありました。
今月もGoodpatchで話題になったアプリケーションやサービスをご紹介します。
目次
プロダクト
Apple、新型モデル「iPhone14」シリーズを発売
https://www.apple.com/jp/newsroom/2022/09/apple-introduces-iphone-14-and-iphone-14-plus/
2022年9月8日、Appleは新型モデルiPhone14シリーズを発表しました。ラインナップは全4種類(iPhone14、iPhone14 Plus、iPhone14 Pro、iPhone14 Pro Max)で、今回から「mini」がなくなり6.7型大画面の「Plus」が加わりました。
注目点の1つはメインカメラの性能です。iPhone 6sからiPhone13シリーズまで1,200万画素だった画素数が8年ぶりに向上し、iPhone14 Pro/Pro Maxでは4,800万画素となりました。
また同2機種では、画面上部のノッチ(インカメラなどが設置されている黒いくぼみ部分)が「Dynamic Island」というインタラクティブに変化するインターフェースに置き換えられました。これにより、画面上部のデッドスペースが有効活用され、アプリを開かなくてもバックグラウンドで進行中の情報などを見ることができます。
他にも紹介しきれない多くの新機能が搭載されているiPhone14は、9月16日から発売が開始されています。
サービス
Zenlyがサービス終了を発表
https://twitter.com/ZenlyJP/status/1570031583004078080?s=20&t=UefXXZJpEX3YmahSNa7UAQ
2022年9月1日、位置情報共有サービスのZenlyがサービスを終了することを日本版の公式Twitterで発表しました。具体的な日程はまだ未定とのことです。
Zenlyは若者を中心に、親しい間柄の友人同士で利用しているユーザーが多いサービスです。お互いの位置情報に加え、移動速度や同じ場所への滞在時間、眠るタイミングやバッテリー残量まで共有することもできます。
Zenlyの親会社であるSnapが運営する「Snapchat」には、Snap Mapと呼ばれる機能が盛り込まれています。そのため、今回Zenlyを終了する理由の1つは、位置情報共有の機能をSnap Mapに統一していくためなのではないかという推測もあります。
リブランディングを行ったばかりでUIにもこだわりを感じるアプリだっただけに、社内では残念だという声が多くありました。Zenlyのようにユーザーに愛される新たな位置情報共有サービスの誕生が期待されます。
「ヤマト運輸公式アプリ」にて、スマホ決済サービス「にゃんPay」が提供開始
https://www.yamato-hd.co.jp/news/2022/newsrelease_20220905_1.html
2022年9月12日、ヤマト運輸株式会社は「ヤマト運輸公式アプリ」にスマホ決済サービス「にゃんPay」を追加しました。当サービスは、みずほ銀行が提供する、企業・自治体のアプリ等に決済機能を組み込むサービス「ハウスコイン」を活用した初のサービスであり、全国の金融機関と連携するほか、これまで培ってきた高いセキュリティ性を担保して運営されるそうです。
「にゃんPay」は、ヤマト運輸直営店やセールスドライバーによる集荷時に、宅急便の運賃や包装資材の料金などの支払いに使用することができます。中でも発送時に「にゃんPay」で支払うと、宅急便運賃から12%の割引が適応されるとのこと。また、サウンドフィードバックとしての決済音では「にゃんにゃーん♪」とヤマトならではの遊び心あるマイクロインタラクションが施されています。さらには、支払い時に不足金額分のみを登録口座から自動チャージする「ちょうどチャージ」機能など、他キャッシュレス決済サービスでも見受けられる慣用的で便利な機能が提供されています。
9月28日から三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行など30行が対象銀行として新たに追加されたとのこと。機能的にも情緒的にも価値にこだわっている「にゃんPay」。ぜひ使ってみたいと思います。
デザイン
クラウドファンディングのCAMPFIREがロゴデザインをリニューアル
https://campfire.co.jp/new-logo/
クラウドファンディングプラットフォームのCAMPFIREがロゴデザインをリニューアルしました。
今回リニューアルした新シンボルは、これまでの炎のモチーフを残しつつ、「&(アンパサンド)」の形を取り入れています。「起案者が支援者の応援に支えられている」構図ではなく、プラットフォームを通じた「繋がり」、そして起案者やクラウドファンディングの支援者、全国のパートナーさんと手を取り合い伴走し、一つのプロジェクトを成功させる。まさに皆の力で一つの炎を大きくしていくイメージを可視化しました。
- プレスリリースより引用
多くの人を巻き込むため親しみやすい印象を持ちつつも、お金を扱うプラットフォームとしての信頼性が感じられるようなブランドイメージはCAMPFIREにピッタリです。カラーコード「#110114」は、創業年月日(2011年1月14日)となっており、「常に遊び心を持ち、ワクワクを提供する。」という想いを表現しているところも、Goodpatchのバリュー「Craft details, create delight (こだわりと遊び心を持つ)」に通じ、共感できると話題になりました。
Adobe、約2.9兆円でのFigma買収を発表
https://www.figma.com/blog/a-new-collaboration-with-adobe/
2022年9月15日(日本時間)、クリエイティブプロジェクトに対応するアプリを豊富に提供するAdobeがコラボレーションデザインツールFigmaを200億ドル(約2.9兆円)で買収することを発表しました。昨今、UIデザインやUXデザインを施す上でFigmaは多くのデザイナーに親しみを持って使用されています。類似サービスAdobe XDを提供するAdobeにFigmaが買収されるニュースは、グッドパッチ社内でも大きな話題になりました。
気になる今後についてですが、Figmaの共同創設者兼CEOのDylan Fieldはこちらの記事で、①画像、写真、イラスト、ビデオ、3D、フォント技術におけるAdobeの知見をFigmaに取り入れる機会が得られること。②Adobeは、Figmaが自律的に運営され続けることに深くコミットしており、Dylan Fieldは引き続きCEOを務めること。③Figmaの価格設定を変更する予定は今のところないこと。を述べています。
Adobe XDとの棲み分けやFigmaへのAdobe機能の織り交ぜ方など、気になる点が多々あるので今後の動向から目が離せませんね。Figmaにとっての大きな変化であり挑戦であることは明確です。この意思決定が我々ユーザーにとっても彼らにとっても幸せな結末になることを祈ります。
トレンド
任天堂から、待望のスプラトゥーン3が発売
https://www.nintendo.co.jp/switch/av5ja/index.html
2022年9月9日、任天堂からNintendo Switch向けソフト『スプラトゥーン3』が発売されました。また、任天堂の発表によるとNintendo Switch向けソフトの発売後3日間の国内販売最高本数を345万本を記録するなど爆発的な人気を博してます。
アクションシューティングゲームとしての面白さも勿論ですが、ユーザーにゲームを飽きさせない工夫が散りばめられたユーザー体験はデザインに携わる側の目線で見ても人気の理由が分かる作品ですね。元々「塗る気持ちよさ」から「戦略が生まれる楽しさ」につながる画期的なゲームでしたが、さらにユーザーの体験に考慮した設計がされていました。複数人で協力して戦うモードの際、対戦に負けた時に責任を感じさせない作りになっていたり、前作で出てきたキャラクターが現実世界とシンクロして成長し再登場したりと、ライトユーザーから前作もプレイしていたヘビーユーザーまで楽しめるUI/UXデザインが散りばめられています。
また、こちらの記事をみると任天堂の徹底した世界観作りの裏側を知ることができます。ぜひ「スミ」から「スミ」まで覗いてみてはイカがでしょうか。
海外
パタゴニア創業者、会社の所有権を環境団体に譲渡
https://www.patagonia.jp/home/
アウトドア用品パタゴニア(Patagonia)創業者のイヴォン・シュイナードは2022年9月14日、本人と家族で保有していた30億ドル(約4300億円相当)の株式すべてを環境保護団体などに寄付したと明らかにしました。株式の譲渡先は、シュイナードと家族が保有する議決権付き株式(全株式の2%)を保有することになった「Patagonia Purpose Trust」と、無議決権株式(全株式の98%)を移管された環境保護団体の「Holdfast Collective」です。
大胆な選択として世間を驚かせていましたが、これはシュイナード氏自身がビジネスリーダーとなり自然から価値あるものを収奪して投資家の富に変えることを目的とせず、「パタゴニアが生み出す富をすべての富の源を守るために使用する」という当初から掲げる思想の延長線上にある、一つの通過点として受け取ることもできます。
サスティナブルファッションや気候変動危機に適応した施策が活発になる中、常に最前線で新しく、かつ一貫した活動を続けるパタゴニア。BXデザインの観点で見ても、以前「モノを買わないで」と顧客に伝えたことがあったように、今回の施策もブランドとユーザーの触れ合い方を大きく覆すような体験が今後続けて設計されていくかもしれません。
常に地球を救うためにビジネスをしているパタゴニアだからこそ、この決断はファッション業界だけでなく、全ての企業における社会貢献のあり方にも一石を投じそうです。
スターバックスがNFT活用の新サービス「Starbucks Odyssey」を発表
https://waitlist.starbucks.com/#/landing
米スターバックスはNFTベースの新プログラム「Starbucks Odyssey」を発表しました。顧客が無料ドリンクなどの特典と交換できる「スター」を獲得できる「スターバックス リワード」のサービスモデルを基に、NFTプラットフォームを活用して新たな体験や特典の展開を計画しています。
既存の「スターバックス リワード」のアカウントがあればOdysseyのWebアプリにログインでき、コーヒーに関するクイズやゲームなどのジャーニー(旅)に参加できます。これらのジャーニーをクリアすると、NFTの「ジャーニースタンプ」が獲得できます。スタンプを集めるとリワードのポイントも増え、従来のドリンクやフードに交換できるだけでなく、限定イベントへの参加などにも使える上、Odyssey上で購入したり交換したりすることも可能だそう。購入には暗号ウォレットは不要で、クレジットカードやデビットカードで簡単に行えます。
複雑な仕組みや専門用語を排除した上で、誰でも簡単に利用できることを前面に押し出したコミュニケーションとスターバックスならではの体験へのこだわりが感じられます。こういった、既に生活の中に溶け込んでいる世界的なブランドがNFTを活用したサービスを提供することで、新しい技術と体験の融合が進んでいくのかもしれません。
以上、9月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしておりますので、来月もお楽しみに!
過去の月間まとめ記事はこちらからどうぞ!