学びから多様性を包括する組織へ。Design for Allの取り組み
目次
次の10年に向けた”BEYOND THE STATUS QUO”
Goodpatchは以前からメンバー一人ひとりが自分らしく働くために「Diversity(多様性)」を大切にしています。
余白と意見を尊重する、GoodpatchにおけるDiversityとは?
2021年に創業10周年を迎え、次の10年に向けて、私たちが掲げた言葉は “BEYOND THE STATUS QUO(この先の未来を問い直そう)” でした。
世の中の「あたりまえ」とされてきたことを問い直し、本質に向き合いつづけること。私たちが創業当時から大切にしてきた想いであり、これから世の中に起こしていくムーブメントを表した言葉です。
そのムーブメントの一環として、GoodpatchらしくDiversity & Inclusion(以下D&I)に取り組んできました。本記事では、その歩みをご紹介します。
すべての人に、デザインの力を届ける「Design for All」
多様な人々と複雑な課題が混在する社会において、私たちらしくD&Iに取り組みたい。そんな思いから、GoodpatchにおけるD&Iを「すべての人にデザインの力を届けること」と再解釈し、この取り組みを「Design for All(略してD4A)」と名づけ、2021年9月から1年間にわたって有志で活動を行なってきました。
様々な事業と組織を持つデザインパートナーとプロダクト・サービスのユーザー。すべての人にデザインの力を届けることは、Goodpatchのビジョンである「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」、ミッションである「デザインの力を証明する」に繋がっていきます。
私たちが10年後もデザインの力を届け続けるために、多様な才能の受け皿として、しなやかにアップデートをし続ける組織でありたいと考えています。
学習する組織らしい取り組み方「Learn & Unlearn」
D4Aの取り組みを開始するにあたり、まずアプローチ方法を検討し、「Learn(学ぶ)」というスタイルをとることに決めました。
Goodpatchという組織は、これまで数々の課題に向かい合ってきましたが、その時に必ず「学習」をして成長につなげてきたからです。
D4Aで取り上げるテーマの中には、新しく学ぶ(Learn)ものも、元々ある偏見や無意識バイアスを捨てる(Unlearn)ものも混在します。LearnとUnlearnを繰り返せば、個人もGoodpatchも成長できるのではないかと考えました。
また、D&Iの活動というと既存の何かを「変える」イメージが伴いますが、いきなり変化を起こすのではなく、そもそもなぜこの取り組みを行うのか、必要性と意義、そして作りたい未来を自らの言葉で語るためのベースとして、学びのプロセスが適切だと定めました。
そして次に私たちは、何から学んでいくべきかを検討しました。
D4Aの土台となる考え方の部分を「OS」、その上に乗ってくるさまざまなラベル・分野のことを「アプリケーション」として捉え、最初の1年間はその土台となる部分の学習を「OS編」として活動を進めてきました。
例:
OS:多様性、包括、平等、公平、偏見、共感、倫理など
アプリケーション:性別、年齢、国籍、性的指向、家庭など
組織全体をラーニンググループとした時に、有志のコアメンバーは学びのコーディネーターとして勉強会や情報交換の促進を担いました。
1年間を通して、D4Aの活動を行うSlackチャンネルには140名以上のメンバーが情報収集のために参加し、コーディネーター主催の勉強会を毎月開催しました。
また、全社員が参加する毎月の全社会議では、コーディネーターからD4Aの活動報告を行い、勉強会に参加できないメンバーにも学びや情報共有を行いました。
時にはGoodpatch EUメンバーとのコラボレーション企画を行うことで、拠点を跨いだ知見と意見交換を行いました。
共に学んでいくというスタンスで取り組んだことで、D4Aで取り上げる学習トピックに関しても、ポジティブな受け止め方をしている人が多いように感じています。
D4A勉強会で取り上げたテーマ
D4Aで取り上げたトピックの中には、すでにGoodpatch Blogでも公開しているインクルーシブデザインやPlanet-centric Design(地球中心デザイン)などの他にも毎月異なるなキーワードに着目して勉強会を行いました。
倫理
D&IのOSとも言える「倫理」について、哲学者スピノザの倫理(エチカ)について学ぶことで思考のOSをアップデートしました。
・物事は組み合わせによって意味が変わっていく
・実験をしてみなくてはわからない
・一人ひとりが自由に生きられれば社会は安定する
・与えられた条件のもとでその条件にしたがって自分の力をうまく発揮できることが自由
など、中世を生きたスピノザの考え方の多くが現代でも先進的であることに参加者は驚いていました。講師を務めたデザインストラテジストの小林がPodcastでもエチカについて発信しているので、ぜひ聞いてみてください。
傾聴
Goodpatchでは全社員が普段から1on1を行っており、多くの対話が繰り広げられています。その中で一番シンプルな「人の話を聴く」ということがどれだけできているのか、実践的なワークショップ形式で「傾聴」について学びました。
・傾聴は関係性の器をつくる
・人は生まれながらに満たされた存在である
・リソースを無条件に信頼すること
・ジャッジに気づいて認める、手放す
など、Goodpatch Design Opsにてメンバーのコーチングを行い、メンバーのキャリアや人生に寄り添うライフコーチの柿迫を講師に、明日から実践できる傾聴スキルを習得するために励みました。
エンパワーメント
人々をエンパワーメントするための手法である「パブリックナラティブ」を学びました。Goodpatchは Design to empowerというメッセージを掲げていますが、なぜデザインに向き合うのか、というWHYを改めて言語化し、自分のモチベーションを語るワークを行いました。
・ナラティブは感情的な理解、心で通じ合うコミュニケーション
・感情が行動に影響を与える
・どんな経緯を経て価値観が生まれたのかを伝える
・価値観の軸となるストーリーを言語化することで自分自身も勇気づけられる
講師にはコミュニティ・オーガナイジング ジャパン ナラティブコーチ 河野七海さんを招き、人の心を動かすストーリー・オブ・セルフの作り方を学びました。
ラーニンググループからワーキンググループへ
この1年、ラーニンググループとして土台となる知識を学んできましたが、今後はGoodpatchという組織内にあるイシューを元にしながら、組織として取り組むワーキンググループを立ち上げたいと考えています。
学び続けながらも、実践していくことで個人から組織に活動をアップデートし、Goodpatchが手がけるデザインは、すべての人に届くものであるよう努めていきたいと考えています。