2025年、グッドパッチに新設されたデザイナートレーニングチーム「hatch」。このチームには、実務経験は浅くても、デザインへの強い想いと行動力を武器に入社したメンバーが集まっています。

今回、UXトレーニーである高木と、hatchマネージャーでありUXトレーナーの秋野にお話を伺いました。営業コンサルタント職からUXデザイナーへと転身した背景や、オリジナル研修「模擬クライアントワーク」から得た学びを実務でどう生かしているのかなど、キャリアチェンジ後の挑戦と成長について、リアルな姿を語ります。

<語り手>
高木美莉:hatch UXトレーニー

2022年早稲田大学卒業後、広告代理店で法人営業・コンサルとして日系商品の海外向けマーケティング支援に従事。越境ECやO2O施策の企画・運用を担当し、2025年7月にグッドパッチのデザイナートレーニングチーム「hatch」へUXトレーニーとして入社。

秋野比彩美:hatch マネージャー・UXトレーナー
ヤフーでデザイナーとしてキャリアをスタート。グッドパッチにはUXデザイナーとしてジョイン。UXデザイナー組織の統括マネージャーを経て、2025年3月にデザイントレーニングをメインミッションとする部署「hatch」を立ち上げ、責任者として活動。

デザインと出会い、会社を辞めて専門学校へ

──最初に高木さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

高木:
新卒では広告代理店で営業コンサルタントとして2年半働いていました。中国市場に特化しているという少しユニークな領域を扱う会社で、例えば日本企業や日本のブランドが中国市場に進出したいという際に、ECやデジタルマーケティング、SNSなど、いろいろな手法でそのサポートを行っていました。

UXトレーニー高木が話している様子

──営業コンサルタントということで「デザイナー」とは縁遠い存在にも見えます。そこからどうしてUXデザイナーを志したのでしょうか?

高木:
営業コンサルの仕事を通じて、クライアントのニーズを把握するのはもちろん、その先にいるユーザーを意識してものを考える機会が増えていったんです。例えば、ECサイトならそこの商品を買ってくれる消費者を。SNS運用も担当していたので、どんな人がどんな課題を持っていて、どんな情報を提供すると興味を持ってもらえるだろう、ということを考えるのが、すごく楽しかったんですよね。

営業資料作りでも、どうすれば情報が伝わりやすくなるのかを考えるのが好きだったのが相まって、「ユーザーがどんな人か知る、その人たちの課題や解決策を考えて提供する仕事ってないかな」と調べる中で出会ったのがUI/UXデザイナーという仕事でした。

──そうだったんですね。UI/UXデザイナーという職業を知ってからは、具体的に何をしたのでしょうか?

高木:
YouTubeや書籍などでデザインについて勉強をしましたが、私は総合大学を卒業して営業コンサルタントをしていたので、そこから自分の職業を「デザイナー」に変えることはかなり難しいだろうなと。そこで、専門学校へ行こうと考えて仕事を辞めました。

──仕事を辞めたんですか!? 結構な決断ですね……。

高木:
仕事と両立して通学する選択肢もありましたが、卒業まで最短でも1年かかるところが多くて。しっかり教育機関に通ってデザインについて体系的に学びつつ、すぐに転職活動を行おうと考えました。「早くデザイナーになりたい」という気持ちが強かったので。

スクールでのアウトプット専門学校でのアウトプットの一部

トレーニングチームだからこそ、「自律・自学・自走」を重視する

──秋野さんはデザイナートレーニングチーム「hatch」のマネージャーとして、どのような観点を選考で重視していたのでしょうか?

秋野
私がマネージャーを務めるデザイントレーニングチーム「hatch」は、2025年に設立された新しいチームです。UI/UXデザインにおいて即戦力といえるほどのスキルはないが、デザインへの熱量とそれを表す行動力を持つメンバーと、「真の成果を生み出せるデザイナー」になることを目指して日々さまざまなトレーニングを実務を通して実践しています。

他職種からUI/UXデザイナー職への転職を志望される方の中で、独学でデザインについて学んでいらっしゃる方は多くいらっしゃいます。ただhatchは、「これから頑張りたい人を一から手取り足取り教える場所」というよりも「すでに頑張っている人の “自走” を仕組みで支える場所」でありたいと考えています。

そのため、いわゆる座学にとどまらず、アウトプットを自分で試しに作っていたり、高木のように学びの場に出向いていたり、さらにもう一歩進んだ行動をしているかどうかは重視しています。

──高木さんの選考の印象はいかがでしたか?

秋野:
私たちはクライアントワークでUXデザイナーという仕事をしているので、クライアントが何を望んでいて、そこに対してどんな価値を提供できたら、クライアントの作りたいサービスかつユーザーにとって良いものになるか……ということを考えなければいけません。そのため、ユーザーはもちろん、クライアントのニーズを引き出してそこに対して何かアクションできることは重要なスキルで、実はこれは営業と近しかったりするんですよね。

高木さんは営業コンサルタントをされていたこともあって、選考中の会話でも、こちらの質問の意図や気持ちを汲み取りながら答えてくれていたことはしっかり伝わってきました。

UXトレーナー秋野が話している様子

ユーザーの声を聞きたい熱意がUXデザイナーとしての適性

秋野:
「専門学校で学んだことの中で、ユーザーインタビューが一番面白かった」という話をしてくれたことも印象的でした。

UI/UXの知識や経験が少ない状態で学びに行くと、どうしても具体的なUIを作るところに興味関心を抱きやすいのですが、その中でも、UXデザインの領域により興味を持ってくれたというのは、UXデザイナーとして必要な感覚だなと思いました。

高木:
ユーザーインタビューは面白く、やりがいがあるなと思っています。自分が全く経験したことのないことをしている方や、自分にはない視点を持っている方の話を実際に聞きに行けるという機会だったので、私個人にとってとても魅力的でした。

ご本人は何気なく話されたことでも、UXデザイナーがそれを分析し、示唆やインサイトを得ることで、まるで「ダイヤモンドの原石」を発見したような価値ある情報になりますよね。それを見つけ出してプロダクトにできるまでの過程が、面白くてやりがいがあるなと感じています。

専門学校で学んだ座学やケースワークと「実践」とのギャップ

──入社してから3カ月ほど経ちますが、この期間を振り返っていかがでしょうか?

高木:
想像していた以上にグッドパッチが提供しているサービスのレベルが高く、在籍しているデザイナーの人数も多いので、吸収できる部分も多い一方、だからこそ頑張って自分で食らいついていかなきゃいけない部分もあります。

入社してから最初の1週間ほどは全社共通のオンボーディングプログラムをこなし、その後は秋野さんなどhatchのトレーナーの皆さんにクライアント役を担当いただき、中途入社同期と一緒に「模擬クライアントワーク」として、デザインプロセスのロールプレイングを1カ月ほどかけて密に行いました。

模擬クライアントワークが終わった現在は、トレーナーにも並走いただきながら、実際のクライアントワークのプロジェクトでUXデザイナーとして活動をしています。

──模擬クライアントワークには、オンボーディングとしてどのような目的があるのでしょうか?

秋野:
UXデザインは特にですが「座学を受けてワークで実践したとしても、実際のクライアントワークでそのスキームをそのまま使うことは難しい」というのが実情です。

実際のプロジェクトでは、ビジネス状況が変わるにつれてクライアントの意見や意向も変化していきますし、反対にビジネス要件がかっちりと決まっていたりもします。そのような変化や制約が多い中で、どうやってクライアントとユーザーに価値を作っていくのかというところは、実践を通して学ぶしかないんですよね。

とはいえ、プロフェッショナルとしてクライアントワークでは失敗してはいけません。そのため、前段階として社内で「模擬クライアントワーク」を行います。ここでは完全に失敗してもいいから一度自分で全てやってみる、そして大失敗した悔しさをバネに、実案件でどうやって成功にもっていけるか考える力をつけてもらうようにしています。

──実践でしか得られないことがあるから「最短ルートで実案件に入る」ことを意識したプログラムになっているんですね。

秋野:
「hatch」に配属となったメンバーには、なるべく早くクライアントワークの本番の案件に入ってもらおうとチームの立ち上げ段階から決めていました。

もちろん最初はトレーナーも並走する形になりますが、いわゆる「鞄持ち」ではなく、「メインでフロントに立ってもらって何かあったらトレーナーが助けるよ」と伝えています。これもやはり、実際に自分の頭で考えて自分の手を動かさないと、その後の成長につながりにくいんです。

模擬クライアントワークのアウトプットの一部模擬クライアントワークのアウトプットの一部

──高木さんが専門学校で学んできたことと、入社後のギャップはありましたか?

高木:
まさに今、秋野さんがおっしゃったことかなと思います。専門学校で学んでいたUXデザインは「まずデスクリサーチをします。それを使ってインタビューを作ってみましょう。次にインタビューを作って、このフレームに落として考えてみましょう」というような感じで、次に何をやるのかプロセスが既に決まっているケースワークが多かったです。

私も当初は「本番もこんな感じに進むのかな」と思っていたのですが、実際に模擬クライアントワーク案件が始まってみると、「この次はこれをやっていいの?インタビューはこれで良かったんだっけ?」と戸惑うことの連続で……。


──これは模擬クライアントワークがうまく機能しているとも言えますね。座学と実践では違うと。

高木:
直近で行っているプロジェクトでも、クライアントと体験コンセプトに関する議論をする中で、サービス全体のユーザーの体験の、どこをコアにすると最も効果的かという議論をしました。これまで多くのユーザーの声や数字と向き合ってきたクライアントと、一部のユーザーインタビューの声を聞いただけの私たちUXデザイナーで、視点にズレがでてしまい合意するのに苦戦しました。見ているユーザーのサンプルの広さが違ったんだと思います。

対象にする範囲という前提をしっかり説明することや、クライアントが見ている視点を含めた全体像と、私たちが今回のインタビューで聞いた範囲をそれぞれジャーニーの形で可視化して分かりやすく伝えることで、「ユーザーが最も感情が動く瞬間はどこか?」という議論と合意形成ができました。

共通のゴールをつくるためには、「何を議論するか」ではなく「誰の視点でどういう観点で議論するか」をよりシャープに定めて議論する必要があるんだなと実感しました。

入社3カ月、UXデザイナーとしての成長実感

──そのような高木さんの姿は、秋野さんの視点ではどのように映っていますか。

秋野:
高木さんと毎週1on1ミーティングを行っているのですが、自分が「これができていない」と感じると、私が指摘する前に、起こった事象、それがなぜ起きたかという要因、そこからどうすればよかったのかをまとめて報告してくれるんです。今までマネジメントは長く経験してきましたが、これを誰かに言われる前に考え、時に解決策の実行まで自律的にできるというのは純粋にすごいなと思います。

高木:
入社前と比べると、ほんの少しですけれど、思考の観点の広さと深さは鍛えられたのかなと思っています。

ユーザーインタビューを例に挙げると、ただ決められた質問を聞くだけではインタビューは成立せず、実際には質問表には載っていない他の質問をしたり、深掘りをしなくてはいけません。ただ「模擬クライアントワーク」でインタビューを行った時は、どこを深ぼれば良いのか分からず、自分が気になったところを聞いて何かに繋がったらいいな……という状態でした。

でも、実案件で秋野さんや他のUXデザイナーの先輩のインタビューの様子を見てみると、手元にあるのは私と同じ質問表なのに、私とは全くインタビューの仕方が違ったんです。「こういう観点で深ぼっているな」とか「こういう言葉に対して反応して聞いている」という傾向を分析して、解像度を高めていくうちにインタビューのポイントをつかめるようになってきました。

UXトレーニー高木のショット

今からがスタート 「hatch」のデザイナーにしか描けない未来へ

──最後に、今後の高木さんの目標を教えていただけますか?

高木:
すごく遠い話になってしまうかもしれないのですが、世界中の人が使うようなジェネラルなサービスと、その反面、数人しか使わないようなニッチなコアサービスの両方を作りたいです。

そんな大きなサービスと小さなサービスの両方を作れるようになるためには、目下ではデザインプロセスの中で自分の好きなことや得意な領域を見つけてそこを伸ばし、強みを持った「尖がった」デザイナーにはなっていかなきゃと思っています。

また、デザインプロセス自体の場数を踏んだ回数がまだ少ないので、さまざまな業種やフェーズのプロジェクトに関わりながら、自分の得意領域を見つけられたらなと思ってます。

──ありがとうございます。秋野さんから高木さんへの期待やメッセージをお願いできますか?

秋野:
hatchに配属になったメンバーの場合、hatchからの卒業を目指すことが最初の目標になるのですが、卒業はゴールではなく、デザイナーとしてのキャリアの始まりです。だからこそ、その先で自分がどんな成果を出したいのかということをなるべく解像度高くイメージして欲しいと思っています。

また、現在生成AIを中心に新しい技術変化が起きていて、UIやUXの境目がどんどん融けています。ただ一方でhatchの皆さんは、最初から真っさらな状態でスタートし、すでにデザインプロセスにAIが組み込まれた状態で「どういうデザイナーであるべきか」という問いに向き合うことができます。hatchのデザイナーにしか出せない成果や専門性があるはずなので、その「AIネイティブだからこそ出せる成果」にむかってまっすぐ進んでほしいと思います。

──ありがとうございました。

UXトレーニー高木とUXトレーナー秋野の2ショット

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