デザイン組織のマネジメントにおける心がけとは?
Design Div.マネージャーの長岡です。先日、「デザイナーファーストな組織デザイン方法。」というイベントに登壇させていただきました。テーマは「デザイナーが最大限活きるチームの創り方」。当日のイベントレポートはこちらをご覧ください。
本記事では、登壇内容を元に、なぜ今デザイン組織が重要視されているのか。デザイナーをマネジメントする際は、どういったことに気を付けるべきなのかなど、ご紹介できればと思います。
目次
デザイン組織のマネジメントについて
デザイナーをマネジメントするために心がけていること
私は、この業界ではデザイナーとしてキャリアをスタートし、アートディレクターからマネジメントへとキャリアアップしてきました。デザイナーをマネジメントしていた経験や失敗を元に、気を付けていたこと・心がけていたことをご紹介します。
デザイナーの得意・不得意領域を知る
デザイナーのスキルを可視化し、経験や実績・役割などで等級をつけるとすると、下記の図のようになります。
- リードデザイナー(アートディレクション、クリエイティブディレクション)
- シニアデザイナー(アートディレクション、クリエイティブディレクション)
- デザイナー
- アシスタントデザイナー
また、担当する事業によって得られる経験が異なるため、事業会社のUIデザイナーや、制作会社のデザイナー・グラフィックデザイナーにはそれぞれ「ロジカルな部分に強い」「エモーショナルな表現に強い」などの特徴があります。
上記の特徴を知っておくことで、そのデザイナーの過去やバックグラウンド、実績、これから伸ばしていきたい領域を正確に把握することができます。デザイナーをマネジメントするマネージャーは、一人ひとりの得意・不得意領域を把握し、成長へのモチベーションポイントを知ることで、マネジメントに活かすことが大事です。
ここまでをまとめると、以下の3点がポイントになります。
- 目指したい方向性を理解し成長させる
- 得意領域を深掘りさせ成長させる
- キャリアプランを把握し、チャレンジさせる
デザイナーのスキルと欲求について知る
一般的に人間の欲求は、「マズローの欲求5段階説」で唱えられている通り段階があり、ピラミッドのように構成されています。
この5段階の欲求に、デザイナーの成長と欲求を当てはめると、下記の図のようになります。
アシスタントデザイナーからリードデザイナーへ成長する際にどんな欲求があるのか、箇条書きでご紹介しています。各階層ごとに、内容は大きく変わってくることがお分かりいただけると思います。
アシスタントデザイナーのマネジメントポイント
アシスタントデザイナーのマネジメントでは、まず給与の安定や、多くの経験が積める安定した仕事の提供が重要です。
- デザイナーとして多くの経験をさせる
- 安定した仕事の提供給与などの安定
デザイナーのマネジメントポイント
デザイナーのマネジメントでは、給与の安定や多くの経験が積める安定した仕事の提供に加えて、徐々に承認欲求が強くなることがポイントです。シニアデザイナーに近づくにつれて、会社への貢献欲求も高まるので、そうした欲求を満たせるように以下を意識してみましょう。
- デザイナーとして多くの経験をさせる
- 採用など、組織づくりへのアサイン(組織への帰属感を高める)
- 給与などの安定
シニアデザイナーのマネジメントポイント
シニアデザイナーになると、自己ブランディング欲求が強くなります。個人差はありますが、会社の仕組みづくりへのコミットが見られるようになります。
- 承認欲求をマネジメント(登壇、寄稿など)
- 自己ブランディングをマネジメント
- 採用・教育などの会社の仕組みづくりへのアサイン
リードデザイナーのマネジメントポイント
リードデザイナーは自己実現欲求が強くなり、自己ブランディングだけではなく会社のブランディングへのコミットも見られるようになります。
- 自己実現欲求をマネジメント
- 会社や自己ブランディングをマネジメント
- 採用・教育などの会社の仕組みづくりへのアサイン
デザイナーのキャリアプランを知る
デザイナーをマネジメントするには、デザイナーのキャリアプランについても知る必要があります。
一般的には、アシスタントデザイナーから始まり、デザイナー・シニアデザイナー・リードデザイナーへとキャリアアップします。デザイナーの一部は経験を積んだ後、部下を持ち、組織や仕組みづくりなどのマネジメントの方向へ進む場合もあります。
デザイナーのキャリアプランを考えたマネジメントをするためには、一人ひとりの現状と、これから目指す方向を把握した目標設定、評価する仕組みが必要になります。
スキルアップやモチベーションアップのために心がけていること
スキルやキャリアプランを考えたチャレンジ
チャレンジをすることで、人間は成長します。
失敗を恐れずメンバーを信頼して、スキルアップや今後やりたいことを後押しすること。キャリアプランを汲んでチャレンジできる環境を用意してあげること。また、チャレンジさせた後にきちんとフォローアップすることが゙重要です。
最適な環境を用意する
マネージャーは、デザイナーがデザインに集中できるよう、できる限り環境を整えることが重要です。PCのスペック、モニターの種類、ソフトウェア、フォント、素材、その他周辺機器、勉強会やイベントの実施など、最適な環境を構築することでデザイナー個人のモチベーションが向上し、アウトプットの質が向上します。
教育環境の整備
社内外でナレッジを共有するためのイベントや勉強会の実施、外部のデザイナーとの交流会などは、デザイナーのスキルアップのための環境づくりとして重要です。グッドパッチでは、デザイナー向けのイベントや勉強会を開催しているので、今後はこのブログでその内容などもお伝えしていこうと思います。グッドパッチが開催するイベント情報はこちらをご参照ください。
ペアデザイニング
ペアプログラミングという言葉がありますが、デザイナーも同様にペアで同じプロジェクトのデザインを行うことで、先輩デザイナーから技術を盗むなど、教育面でとても良い影響があります。シニアデザイナーとアシスタントデザイナーなどを意図的に組ませることで、教える側と教えられる側として、共に成長することができます。
グッドパッチのデザイナーの領域をご紹介
ビジネス(成果)へのコミットメントが求められる時代に
これからのデザイナーは、より経営にインパクトを与えることにコミットしながらも、下記のようなバランス感覚がとても大切になってきています。
- 具体と抽象のバランス
- 定量と定性のバランス
- 論理(ロジカル)と感性(エモーショナル)のバランス
- 経営視点とユーザー視点のバランス
ただし、一人のデザイナーで広い領域をカバーできるとは限りません。そのため、デザイン組織のマネジメントに求められることは、一人ひとりの目指したい方向性やスキル、得意・不得意を考慮した上で、広い領域を組織的にカバーできる仕組みづくりです。
グッドパッチのデザイナーは以下のように、領域を超えた担当範囲を持つようになっています。
上流工程へのアサイン
クライアントワークにおいて、UIデザイナーやUXデザイナーがプロジェクトの初めから入ってデザインを行なっています。
- データでの定量分析、競合分析、マーケットの分析
- エグゼクティブインタビュー、ユーザーインタビュー、アンケートでの定性分析
- ヒューリスティック分析、ユーザーテスト
- リーンキャンバスやビジネスモデルキャンバスを使ってのビジネスへの理解 など
領域を超え、デザイナーが手を動かすだけの時代は終わりへ
デザイナーの領域とは、手を動かすだけではなくなってきています。そのため、積極的に上流工程へと踏み込んでいく必要があります。
さいごに
デザイナーをマネジメントするためには、やはりデザイナーの特性をよく知っておくことがとても大切です。
そこでグッドパッチでは、クライアントさまの社内のデザイン組織を構築するサポートを行なっております。デザイン組織を作るための、組織内の啓蒙活動やミッション・ビジョン作成、採用計画・評価制度・キャリアプランづくりなど、さまざまなお手伝いをいたします。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください!