サービスデザインをするにあたって、「このサービスはどう生活を豊かにするのか?」というWhyを明確にしておくことは大切です。見た目・色・機能などの形からでなく、意味から入るデザインをするために、Goodpatchのクライアントワークでは、「エグゼクティブインタビュー」を行っています。今回は、そのメリットと進め方についてご紹介します!

エグゼクティブインタビューとは

その名の通り、経営層や意思決定者の方を対象としたインタビューです。プロジェクト初期において、1人当たり30分〜1時間程度のお時間をいただき、会社とサービスのビジョンやゴールについて伺います(最低1人〜複数人にインタビューをさせていただくことが多いです)。

メリット

エグゼクティブインタビューを行うことのメリットは、達成したいビジョンや提供したい価値に基づいた上で、柔軟なデザイン提案が可能になることにあります。「サービスを通して実現したい世界観」、「サービスの戦略的位置付け」そして「サービスへの期待」を理解し、共感した上で、デザインに取り組むことができるようになります。このデザインで達成したいビジョンに近づけるかどうかを繰り返し思考することで、結果として、的はずれな提案は減り、より広い視点からプラスαの提案も行うことが可能になります。

クライアントを含め、「なぜこのサービスを作るのか」が共有できると、一体感が高まり強いチームになることもポイントの1つです。

進め方

以下、具体的な進め方を8つの手順に分けて、ご紹介します(1時間想定)。

手順1:現在のお仕事とこれまでのお仕事


あいさつ・インタビュー概要説明を終えたら、まずは、現在のお仕事について伺います。何を担当されていて、何に責任を持たれているかをお聞きします。そのまま、これまでのお仕事について話を移し、これまで、どのような部署でどのようにお仕事をされてきたのかバックグランドを伺います。手順1は、アイスブレイクも兼ねているので、質問しながら、話しやすい空気感をつくりましょう。

手順2:会社が目指す未来像をずばり!

手順1では現在から過去に向けてヒアリングをしましたが、ここからは未来の話に舵を切り、会社が目指す未来像をずばり一言で伺います。ビジョン・ゴール・戦略・市場状況など様々な観点が出てくるので、それらを整理しながら展開します。回答が一言で収まらない場合も多々ありますが、その場合は、最後にあらためてサマリーいただくのも良いでしょう。

手順3:会社の3年後、10年後


前段で聞いた目指す未来を、時間軸に落とすとどのように実現されていくかを伺います。近い未来と遠い未来という聞き方です。その業界でターニングポイントとなるイベントがあれば、記載しておくのも良いかと思います。このシートの場合は、2020年のオリンピックがたまたま3年後であったため、それを基準に業界の流れや未来予想を聞くことができました。

手順4:未来グラフ(会社ver)


ペンをお渡しし、会社の未来グラフを描いていただきます。縦軸に任意の数値、横軸に任意の年数をとってもらいましょう。描いてもらった後は、グラフの変曲点ごとの意図を伺います。

手順5:サービスの構想がはじまったきっかけ


ここで、一旦、話の時間軸を巻き戻し、トピックも会社全体から、これから作り上げるサービスに話を移します。サービスをはじめようと思ったきっかけをヒアリングしていきます。

手順6:サービスの3年後、10年後


手順3と同様に、サービスの3年後、10年後を伺います。会社の10年後と違い、サービスの10年後はなかなか想像が難しいですが、「こうなったら面白い」というぶっ飛んだ発想をもらうのも効果的です。

手順7:未来グラフ(サービスver)


手順4と同様に未来グラフを描いていただきます。

手順8:会社の未来に対してサービスが担う役割


手順2〜手順7までで記入してきたシートを机全体にひろげた上で、会社の未来に対してサービスが担う役割をヒアリングします。インタビュー終盤、盛り上がってきたところで、サービス、それを担うチームに対しての想いを聞きましょう。

結び

以上、エグゼクティブインタビューの紹介でした。折に触れて、インタビュー内容を思い出し、プロジェクトの指針として利用すると効果的です。クライアントワークだけでなく、自社事業においても応用可能なので、ぜひ試してみてください!