短期間でUI改善の糸口を発見する!ヒューリスティック評価の手法とポイント

グッドパッチでは、これまで多くの企業の新規事業立ち上げやWebサービス、アプリのリニューアルを支援してきました。そしてその多くは数ヶ月の期間がかかり、大規模のプロジェクトでは1年を超えることもあります。実際にサービスを運営されている方からは「UI/UXが大事なのは理解しているけど、予算的にフルリニューアルは難しい」「UI/UXといっても何をしていいのかわからない」といった声をよく聞きます。

そのようなニーズにお応えして、グッドパッチでは短期間で実施できる『Quick Design Install Projects』というサービスをご提供しています。今回はその中でも最短で実施可能な「UI/UXフィードバック」でも用いているヒューリスティック評価の手法をご紹介できればと思います。サービスのUI上の課題を短期間で、かつユーザー視点で導き出し、迅速なUI改善を実現しましょう。

ヒューリスティック評価とは


ヒューリスティック評価といえばヤコブ・ニールセンの『Ten Usability Heuristics』が有名ですが、グッドパッチのヒューリスティック評価は「UIデザインの経験を有する専門家がプロダクトを利用・閲覧し評価や改善点を示すもの」とし、いわゆるエキスパートレビューとして実施しています。

またサービスのUIを評価する際は、ユーザーゴールや想定ユーザー情報(簡易ペルソナ)を定義した上でユーザーになりきってサービスを利用し、評価を行う「認知的ウォークスルー」の手法も取り込んで実施することで、デザイナーとしての知見+ユーザー視点で課題を発見しています。

実施の流れ

ここからは実際にヒューリスティック評価を通じて、サービスのUI上の課題を抽出するプロセスをご紹介します。

前提整理

UIの良し悪しを判断するためには、判断基準が必要です。判断基準を持たずに評価をしてしまうと、単なる好みや印象の話になりがちなので、以下の3つのポイントで評価の前提となる情報を整理します。

サービスについて

評価するサービスについて、サービスの目的は何か、サービス上のユーザーゴールは何かなど、コアバリューやビジネス面での指標を明確にします。ここがブレると、UIの良し悪しを判断する基準が変わるので、サービス担当者やプロダクトマネージャーにヒアリングをしながら認識を合わせます。既存サービスをデザインしたデザイナーの方に同席いただける場合は、その場でデザインの方針や意図について質問させていただくこともあります。

想定ユーザー

誰がどのようなニーズを持って訪れるサービスなのかを整理します。しっかりユーザー定義がなされ、ペルソナが存在する場合は、ペルソナの情報を前提にするのが良いでしょう。ユーザーのデジタルリテラシーは高いか低いか、ターゲットユーザーは新規ユーザーなのかリピーターなのか、どのようなきっかけで流入するケースが多いかなどを整理することで、認知的ウォークスルーの前提を固めていきます。ユーザー視点でのUIの良し悪しを判断するにあたり、想定ユーザー情報は重要な判断基準となります。

またユーザーが流入してから、ゴールに到達するまでの理想のフローがすでに設計されている場合は、それを認知的ウォークスルーで評価する対象ページとして設定することも可能です。

リニューアル背景・課題

リニューアルを検討しているのであれば、その理由や背景、感じている課題について整理をします。課題について担当者の方に伺うと「とにかく古い、今風にしたい」といった見た目の印象による内容や、「コンバージョン率を◯倍にしたい」といった数字を踏まえた内容など、さまざまな反応をいただきます。この点についてヒアリングをする際に我々が気をつけていることは、言われたことを鵜呑みにせずにその課題が正しいかを客観的に判断することです。

もしサービス担当者、あるいはプロダクトマネージャーご自身で評価される際は、改めてサービスの目的やユーザーニーズを振り返り、感じている課題がサービスにとって、あるいはユーザーにとって本質的か考えてみてください。問いのベクトルがずれていることで、成果が出ていないケースはよくあります。

上記の3つのポイントを明確に整理するだけでも、サービスの見え方が少し変わるのではないでしょうか。しかしこれらはあくまでヒューリスティック評価における前提情報です。これらを踏まえて、実際にUIの課題を抽出します。

ヒューリスティック評価の視点

グッドパッチのヒューリスティック評価では、以下の3つの視点で課題を抽出します。事前に視点を整理することで、評価者はそれぞれの視点でより深く洞察し、課題を探ることができます。

ビジュアルデザイン

サービスの性質・ブランドに合ったトーン&マナーで表現できているか。ユーザーがスムーズに目的を達成するためのビジュアル表現は適切になされているか。

コンテンツ・機能

ユーザーがスムーズに目的を達成するために必要な機能・コンテンツは提供されているか。

情報設計

ユーザーがスムーズに目的を達成するための構造・導線・UIは適切に設計されているか。

評価する際のポイント

ある事象を課題として抽出する際、(1) なぜその事象が発生しているのか(2) それによってどのようなデメリットがあるのか、まで明確に提示するようにしましょう。

例えば、「コンバージョンボタンがわかりづらい」という課題を見つけたとします。この書き方では (1) (2) の両方が不明です。

まず (1) なぜその事象が発生しているのかについてはいろいろな要因が考えられます。配色の問題、配置の問題、ラベリングの問題などなど。デザイナーとしての知見がある場合はそれをフル活用し、ない場合はユーザー視点で見たときの状況を明確に書き示すことで、どこに要因があるかを特定し、解決策の方針を定めることができます。

(2) それによってどのようなデメリットがあるのかは課題の本質を把握するためにも詳しく言及する必要があります。今回のケースであれば、重要なのは「ボタンがわかりづらいこと」ではなく、「ボタンがわかりづらい結果、押下したいと感じているユーザーが気づかない/押下する機会を逃す可能性があること」だと考えられます。ここまで示すことで、改善しなければいけない理由がステークホルダーにもしっかり伝わる評価となります。

逆に、これらを明確に示せない場合、それはサービス(あるいはユーザー)にとって課題であるとは言えない内容かもしれません。自分の印象や好み、思い込みでないことを確認するためにも、上記2点は注意してロジカルに示すべきポイントだと考えています。

まとめ方

前述した3つの視点で課題が抽出できたら、サマリを作成してみましょう。以下の図のように、それぞれの視点に対して重要度と改善難易度を示せると良いでしょう。重要度はユーザー体験やビジネスに対する影響度の大きさを表し、改善難易度は改善施策を実行する際の影響範囲やコストの大きさを表します。

つまり重要度が高く、改善難易度が低い課題(上図の場合、ビジュアルデザイン)は優先的に着手すべき課題、逆に重要度が低く、改善難易度が高い課題(上図の場合、情報設計)は優先度の低い課題として整理することができます。課題の優先度を参考に、サービスの改善を見込めるネクストアクションを検討しましょう。

終わりに

ヒューリスティック評価は短期間でサービスの課題が抽出できる良い手法である一方で、注意しないと好みや思い込みによる間違った問いを生んでしまう危険性があることをお伝えしました。ぜひ今回ご紹介した前提整理や注意点を参考に、適切な問いを導き出してみてください。

また今回はグッドパッチがクライアントのサービスの課題を抽出する際に行っているヒューリスティック評価の流れと実施方法をご紹介したので、評価者がデザインの知見を持っていることが前提となっています。もし社内にデザイナーが不足していたり、グッドパッチのUI/UXデザイン領域における知見が必要になった際はぜひお声がけください!

ABOUTこの記事をかいた人

Riku Kawasaki

UXデザイナー/インフォメーションアーキテクト ユーザーを知ることとメッセージをつくること、またユーザーにメッセージが伝わる仕組みをつくることを担当しています。
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