グッドパッチは2025年9月、地方でデザインの力を証明する第一歩として、関西支社をオープンしました。「勤務地選択制度」を導入して以来、日本全国から多くのメンバーがフルリモートで活躍しているグッドパッチ。そこで今回、関西を拠点に働く社員に、関西支社への期待についてオープンに語ってもらいました。

スピーカー紹介

Goodpatch Anywhere 事業責任者/関西支社長 小澤美里(以下、小澤)

撮影:五十棲 凌賀(以下同)、撮影場所:グラングリーン大阪北館 JAM BASE 4F Syn-SALON

2024年入社。大阪在住
普段の仕事内容:Goodpatch Anywhereの事業、組織戦略の立案および推進。事業予算管理から商談・メンバーアサインなどのプロジェクトの進行支援や、ブランド開発、組織開発など幅広く担当。

Design Div UX Unit マネージャー 北村 篤志(以下、北村)

2016年入社。大阪在住
普段の仕事内容:UXデザイナー組織マネージャー。主なミッションはUX組織の戦略策定、品質向上、ピープルマネジメント、採用、育成。いくつかの案件で、プロジェクトの統括としてクライアントの事業成長を支援。

Design Div Product Manager 五十棲 凌賀(以下、五十棲)

2024年入社。大阪在住
普段の仕事内容:Product Manager(以下、PdM)として、クライアントのプロダクト成長を支援。具体的にはプロダクトのビジョンや戦略の策定、プロトタイプ検証、リリースまでの開発体制の構築や、プロジェクトのリードなど。プロダクト成長のプロフェッショナルとして、クライアントごとの課題に沿った支援体制を構築を行う。

Market Design Div Account Sales マネージャー 片岡 圭史(以下、片岡)

2023年入社。奈良在住
普段の仕事内容:企業のデジタルサービス開発・改善を中心にブランディングや組織づくりなど幅広い課題の提案をリード。営業チームのマネージャーとして、営業戦略の策定・実行、チームメンバーのマネジメントを担当。

 

──ついに関西支社がオープンしましたが、皆さんはオフィスには行かれましたか?

五十棲:
今週も行きました。出社メンバーと気持ちを共有できるので、いいリフレッシュになっています。正味めちゃめちゃいいなと思ってます!

小澤:
まだ始まったばかりなのですが、先日は入居しているイノベーション支援施設「JAM BASE」の入居者交流パーティーがありました。他社の方とお話しする機会も多く、接点が広がっていく・作っていけそうな感触を持ちました。

片岡:
やっぱり場所があると帰属意識が生まれますよね。関西固有の一体感もあり、それは社員同士だけでなくクライアントと接していても感じます。

北村:
まさか関西にオフィスができるとは、と驚きでした。自分自身は2024年ごろに東京から故郷の関西に戻り「出社機会が少なくなるな」と感じていたので、オフィスが私についてきたような不思議な感覚です(笑)。

全国どこからでも活躍できる、グッドパッチの働き方と文化

──これまでフルリモートで勤務していた皆さんですが、実際、働きやすさという点ではどうなんでしょう?

北村:
育児と仕事のバランスがとりやすい点はありがたいですね。私個人としては、共働きで小さな子どもが2人いる環境で毎日出社していると、どうしても育児の時間に制限が出てきてしまいます。フルリモートであれば、送り迎えや家族のサポートに時間を割けるため、限られたリソースを有効に活用できるのが大きいです。

通勤時間がゼロになる分、学習やアウトプットの質を高める時間にあてられるというメリットもありますね。

──関西で働く皆さんも子育てしながら活躍する方が多いですよね。

五十棲:
自身のミッションに最大限集中でき、かつ子育てとの両立により公私で責任が果たせることは魅力です。やるべきことに集中できるのはもちろん、効率が上がれば「挑戦したいこと」に時間を割くこともできます。

実際、私はPdMとしてクライアントワークが主なミッションではありますが、ソリューション開発や採用などのイベント企画にも積極的に取り組んでいます。これはフルリモートにより1日単位で時間の使い方をデザインできるからこそ。

子育てをしていると保育園の送り迎えやご飯の支度がありますが、フルリモートならすぐに切り替えて取り組めますし、家族のサポートができることがうれしいです。

片岡:
子どもが3人(3歳と1歳の双子)おり、何かあったらすぐに対処できることは自分としても、妻にとっても安心です。子育てと仕事の両方をしっかりやりたい自分にとってはぴったりな働き方ですね。

──リモートワークの強みを生かしつつ、拠り所となるオフィスがあるのはいいですよね!一方で、対面でのコミュニケーションがないことでキャッチアップが難しくなるといった側面もあると思います。ここ2年で入社した小澤さん、五十棲さん、片岡さん。入社当初、困ったときはどんな仕組みや文化に助けられましたか?

小澤:
オンボーディングの施策として、入社後にさまざまな方と1on1する仕組みになっていたのは助かりました。それを理由に他部門の多様な方とお話しできたことで、後々実務でのコミュニケーションの取りやすさにつながり、さまざまな場面で効いてきました。

五十棲:
社員の人柄の良さと、ナレッジ共有文化に助けられました。皆プロフェッショナルなマインドセットがあり、成長したい人を後押ししてくれる人ばかり。お互いにリスペクトを持って業務に取り組んでいるので、困ったときは相談すれば親身になって答えてくれるし、詳しい人が教えてくれたりもします。

また社内にはナレッジを共有する文化があり、クライアントワークや業務を通じて得たナレッジが社内ポータルによく上がります。まるで自分が体験したかのようにリアルに学べる内容で、「もっと詳しく聞きたいです!」と1on1の相談をすると、「え、そんなことまで言っていいの!?」ということまでオープンに教えてくれます。

──その他にも「ならでは」の文化はありますか?

片岡:
とにかく手を挙げたら実現できる社風や、手を挙げることを推奨する文化があることで、気軽に社内でアイデアを相談できる環境がありますね。

リモートワークでも、そうじゃなくても、大切なのは「対話」すること

──リモートワークという環境下で、クライアントへ価値を提供する立場として、普段どんなことを心がけていますか?

北村:
対面での「場の空気感」がない分、コミュニケーションの透明性を大事にしています。特にUXデザイナーは「言語化」や「見える化」をする立場でもあるので、強く意識しています。資料化されることでステークホルダーの認識が揃いやすいというのが結果的に良い効果を生んでいると思います。

他にも、フルリモート環境でどうやって信頼を獲得していくかが大事で、特にレスポンスの早さも心がけています。Slackで連絡が来たときはいかに即レスできるかを意識していて、それが安心感につながると考えています。

片岡:
物理的な距離やオンラインであることを感じさせないようなコミュニケーションを心がけています。例えば「熱量や明るさが伝わる表情や声のトーン、立ち振る舞い」「クライアントと要所要所でフィジカルなコミュニケーションを取りにいくマインド」など。フルリモートは自分の都合なので、できる限りクライアントとは直接あいさつや接点を持つように進めています。

──特に信頼感や安心感を得られるようなコミュニケーションを大切にしているんですね。

小澤:
私の場合は、対クライアントだとフルリモートなので「毎朝30分の定例を持ちましょう」といった形で機会を作りやすいですし、単純接触回数を増やしてコミュニケーションを担保することを意識しています。

五十棲:
クライアントの近況や表情の変化を見逃さないようにしています。例えばオンラインで会議をするにしても雑談を入れて先方の状況を理解したり。

また、私も可能な限り出張して会いに行くようにしています。リモートで成り立つ世界だからこそ、要所要所で対面すると印象に残りますし、実際プロジェクトが進めやすくなったりします。

──逆に社内メンバーとのコミュニケーションはどうでしょう?プロジェクトやチームを牽引していく立場の皆さんの、チームづくりにおいて大切にしていることを教えてください。

北村:
「フルリモート」だからというわけではないですが、チーム作りで意識していることはメンバーのWill Can Mustの3つの距離(重なり)を把握して、キャリアパスを形成していくこと。そのために、メンバーとの1on1でWillやCanを整理してもらう機会を作っています。それらを把握した上で、案件アサインを伝える時に、MustとWillとCanと紐づけて説明しています。

──リモートワークかどうか、はあまり関係ないのでしょうか。

片岡:
そうですね。僕も北村さんと同じくリモートだから、というのはないです。心がけていることは、相手を理解するために対話の場を作ることです。オンラインが有効な場であれば、積極的にそうしています。うれしいことがあったら、チームメンバーで共有して賞賛したり、一緒に1つのお題を考えたり、チームで食事に行ったり。

──逆にリモートワークだからこそ、心がけていることを挙げるとするといかがですか?

小澤:
社内では、機能的な会議と雑談的な時間をあえて別々に設定していますね。

五十棲:
社内外問わず些細な変化を察知したら、ポジティブ・ネガティブに関わらず、すぐに会話の場を設けるようにしています。そこはあえて空気を読まずに時間をもらうように打診していますね。

関西で問い直す、デザインの力

──関西支社の存在が、グッドパッチの文化やナレッジシェアなどの仕組みにどんな影響をもたらすとうれしいですか?

五十棲:
例えば関西は製造業が多いので、そういった関西特有のクライアントに関するナレッジをためて共有できるといいなと思っています。

──具体的に「関西特有」だと感じる文化はありますか?

片岡:
人情深い文化やクライアントが多く、つながりを凄く大切にしている印象があります。だからこそ、関西に拠点があることや関西に住んでいることはクライアントにとっても安心感を与えられるのではないかと感じています。

小澤:
確かに、そういった関西特有の文化はありますね。私も地方出身なのでわかるのですが、つながりがないところに門がなかなか開かないのは、名古屋などの他の地方でも同じですよね。地方あるあるかも。関西支社ができたことで、グッドパッチが地方企業をご支援する型、地方企業の皆さまとの連携といったナレッジが得られれば理想ですね。

──今後関西支社でのプロジェクトや事業など、どんな期待を寄せていますか?

北村:
関西は製造業の中でも業界の先進的な企業が多いので、フィジカルなものとAIとデザインを掛け合わせたプロジェクトを持てたらいいし、知見をグループに展開できたらおもしろいと感じています。

五十棲:
彼らが持つデジタルプロダクトやサービスにグッドパッチがデザインで伴走していくイメージを持っています。ゆくゆくはグッドパッチもフィジカルなプロダクトのデザインにまで広げられたらアツい。

デジタルプロダクトと物理的なプロダクトでは、開発の手法や重要視する点が大きく異なっています。互いに学び合うものがあるはず。プロダクトデザインという分野が存在するように、デザインという架け橋が存在するので、入り込める領域があると感じます。

──具体的には、どんな価値を届けたいですか?

北村:
関西にはものづくり企業が多いと言いましたが、いわゆる老舗な企業が多い印象があります。すごく価値のある製品や技術なのに、ちゃんと世の中に伝わっていないことがもったいないと感じることがあります。

そんな状況を、デザインの力を使って本質的な価値を見つけ出し、時代に合った方法で伝え直すことで、価値を最大化できるのではと考えています

片岡:
関西企業は、ものづくり企業が多く営業力が強い印象があります。故に、製品のプロダクトデザインは専門チームがある企業が多く、デザインに高い価値を置いていると感じます。

一方で、ソフトウェアやデジタルにおけるデザインは、まだまだデザインの価値がほとんど浸透していないように感じています。とあるクライアントでは、第三者であるグッドパッチからデザインの価値や重要性を伝え、上層部を説得して欲しいという声をいただくこともあります。

小澤:
私も、先日ものづくり企業の方とお話しする機会があり、何かできたらなと思っていたところです。例えばそういった企業のウェブサイトひとつとっても、まだまだ私たちができることがありそうだと感じています。

JAM BASEには学校法人のオープンイノベーション拠点なども入居されているので、そういったところと連携しながら学生が関西に残ってデザインをやろうという選択肢が作れたらいいですよね。関西に制作会社はありますが、UI/UXというジャンルは少ないですし、関西のデザイン関連イベントも限られていますし。 

──これから関西でデザインの力を証明していこう、ということですね。

片岡:
デザインと聞くとアウトプットのデザインを想起されるクライアントは多い印象です。故に、例えばデザインにおける戦略や設計の価値が伝わらずプロジェクトが合意できなかったり、値引きの依頼をいただくこともあります

関西における「デザイン本来の価値」の伝達、浸透はこれからだと捉えています。この価値を丁寧に浸透させていくのが、私たちの仕事です。関西に拠点を構えたからには、全力で取り組んでいきたい。一方で、例えば京都はデザインに積極的に投資している企業もある印象です。学校との連携で学生起業を応援する、などの投資を行う企業もあるので、そういった認知の広げ方もありそうだなと感じています。

五十棲:
歴史ある企業にとっては、デザインという言葉は比較的新しい概念のはず。例えば「デザイン本来の価値」の伝達と浸透をミッションに持つ新設部門の力になれることもあると思います。

──「デザイン本来の価値」を伝えて浸透させていくには、どんな方法がありそうでしょうか?

五十棲:
JAM BASEもそうですが、関西ではオープンイノベーションの文脈に、いかに浸透させるか、かなと思います。

例えば京都にはオリジナリティに溢れシェア率が高い製品を持つ会社が多く、お隣の大阪は「いくら儲かるのか?」といった、商機と顧客を重視した会社も多いです。「オリジナリティ×商機」の観点からオープンイノベーションが盛んなのは理解できますが、「デザイン=見た目」という意識もまだまだあります。切り口を変えてここに入り込む中で、デザインを伝えていくことができると思います。

北村:
社内でデザイン部署があって、啓蒙活動に苦労している所があるとすれば、パートナーとして支援していきたいですね。それが結果的に、関西全体のデザインへの理解の深まりにつながっていけば理想的ですよね。

──関西支社設立や今回の座談会を通じて、どんな未来を描いていますか?

五十棲:
グッドパッチで関西のデザインコミュニティを立ち上げたい!関西支社メンバーで会話しながら、(話にでた)町工場を対象にしたプロジェクト、可能性があれば積極的に開拓していきたいですね。

小澤:
関西にいながらもそれぞれリモートワークで働いていたメンバーと集まって顔を合わせる機会が増え、身近にこんなに楽しくてエネルギッシュなメンバーがいたんだなと改めて実感しています。皆が持ち合わせているスキルと、地元で持っているコミュニティを掛け合わせて、地域に根差した活動をしていけたらとワクワクしています。

片岡:
関西ではグッドパッチという会社の認知はまだそこまでないので、業界トレンドを作っていくような動きは必要になっていくと感じます。待っていても始まらないので、どんどん仕掛けていきたいですね。

北村:
関西支社のメンバーでプロジェクトはやってみたいですね。今はオフィスで同じ空間にはいるものの、同じプロジェクトはできていないので。どんな化学反応が起きるか気になります。やはり根底に、生まれ育った土地に貢献できる何かを残したいという気持ちがあります。分科会っぽく切り出してプロジェクトを作ってみるのも面白いと思います!

──関西×デザインの未来、期待に胸が高鳴ります!最後に皆さんの推しスポットを教えてください。

小澤:
箕面の滝です。夏場にはサワガニの大群、冬場にはお猿さんに遭遇するなど、街にいながら自然を感じられます。近くには大阪北部の宝、箕面ビールの本店もありクラフトビール好きにはたまらないスポットです。

北村:
京都出町柳の鴨川デルタですね。川辺でぼーっとしてるとリラックスできます。近くの有名な豆餅を買って食べながらだと、リラックス効果が倍増します。

五十棲:
私は、服部緑地公園です。梅田から電車で15分。緑溢れる中BBQができて、スタバもオープンしました。子どもが楽しめる遊具もたくさんあり、リラックスできます。

片岡:
大阪の鶴見緑地公園は広くて芝生も綺麗でおすすめです。子どもとピクニックを楽しんでいます。

──ありがとうございました。街からすぐに文化財や緑に触れられるのも関西の魅力のひとつですよね。


グッドパッチ関西支社では今後さまざまなイベントを予定しています。この記事で興味を持っていただいた方、ぜひ遊びに来てくださいね。

今回の座談会メンバーと直接話せる、PdM・UXデザイナー向けのイベントを11月12日(水)に開催します。一緒に関西×デザインをさらに盛り上げていきたい方、ご参加をお待ちしています!

・日時:11/12(水)18:45 スタート
・場所:グラングリーン大阪北館 JAM BASE 4F Syn-SALON
・参加方法:こちらのフォームからお申し込みください

 

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