ストーリーを辿り北極星を探す。UNICORNとGoodpatchが紡ぐ共通言語
アドウェイズの100%子会社として、アドテク領域における新サービスの開発をミッションに設立されたUNICORN株式会社。
Goodpatchは、UNICORNのさらなる成長を支援するため、2013年の設立当時から現在、そして未来へのストーリーを辿り、UNICORNの外側と内側を繋ぐ本質的な理念を伝える「カルチャーデック」を作りました。
企業の核となるエッセンスを抽出し、言語化、構造化、視覚化していくブランドデザインの過程を、プロジェクトメンバーであるUNICORN代表 山田さん(以下 やましょーさん)、Senior Business Developmentのキムさん、デザイナーのオカノさん、そしてGoodpatch デザインストラテジストの久保、BXデザイナーのカイに聞きました。
メンバーが摩擦なく成果を出せる環境を作りたい
ーー今回のプロジェクトでは、UNICORNの価値観などを記したカルチャーデックを作成していますが、元々UNICORNが抱えていた課題感とはどのようなものだったのですか?
山田さん
UNICORNは現在30名弱の会社で、これまでは外から採用はせず、UNICORNの前身であるBulbitのチームを統合してUNICORNとしていました。
ですが、さらに事業を拡大していくために、10名近く新しい仲間を採用し始めたのがちょうどこの1年間での出来事です。
「30人の壁」という表現がありますが、僕も今までのUNICORNが大切にしてきたものを形にして伝えていかないといけないなと感じていました。そうしないと、昔からいるメンバーと新しいメンバーとでコミュニケーションコストがどんどん膨らんでいくからです。
設立当時からいるUNICORNのメンバーは、アドウェイズを一度退職してUNICORNに出戻ってきたパターンが多く、キムさんもそのひとりです。僕や彼らがアドウェイズに在籍していた2007〜2012年ごろのカルチャーは、ちょっと体育会系というか、昔っぽいところがありました。
時代と共に会社の考え方は少しずつ変化していき、UNICORNは「異なる価値観のメンバーが集まる中で、どうやっていいサービスを提供できるか考えよう」という思想を持つ会社にはなりつつありました。
それでも、新しいメンバーが、昔からいるメンバーについていけないことが度々起きてしまっていたんです。
今までは事業を伸ばすことに真剣に取り組んできましたが、メンバーが摩擦なく成果を生むために頑張れる環境を作るために、何か手を打たないとと感じていました。
そんな時期に、Goodpatchさんが企業のビジョンミッションを策定したり、よりインナーから支援をしていることを知りました。
僕らは設立した時にビジョンとミッション、バリューなどは明確に作っていなくて、社名を前身のBulbitからUNICORNに変更したのが2020年4月のことでした。
もう一度このタイミングで、自分たちは何者で、何を大切にしてきたのか、きちんと言語化して伝えていくのが大事なんじゃないかと思ったことが、このプロジェクトのきっかけです。
正直なところBulbitという社名に思い入れがないわけなんてありません。Adwaysの次なる可能性を作るため、そしてAdwaysで頑張ってきたメンバーのさらなる成長を願いスピンアウトする形で作ることに決めたBulbitという会社、その思いはいまだ変わりませんしこれからも変わることはないと思います。
ですが、5年間かけて築き上げてきたUNICORNというプラットフォームにはそう言った思いを遥かに凌駕する可能性が秘められていると、そう確信しました。それが社名変更に踏み切った大きな理由です。
引用 :
初めましてUNICORN Inc.です。
ーープロジェクトが始まる前、金さんとオカノさんはどんなことを期待されていましたか?
キムさん:
今後UNICORNがスケールしていく時にも、このプロジェクトで生まれるものが、メッセージングの土台になるだろうと思いました。だからこそ、メンバー全員の思いを汲んだ形にしたかったのです。
キックオフの時から、既存のメンバーにも最近入社したメンバーにとっても、違和感がないものにしたいですとGoodpatchさんには伝えていました。
オカノさん:
今回デックを作る以前から、GoodpatchさんにはデザインパートナーとしてUNICORNに関わってもらっていて、私たちの頭の中にあるふわっとしたことを一緒に視覚化・構造化してくれる過程自体が価値だと感じていました。
いい本を読んだときに「そうそう、こういうことが言いたかったんだよ」と気づきがもらえるのと同じで、デックにまとめていく中でも、そんな答え合わせができるといいなとは思っていましたね。
自社への理解を深める、言語化のプロセス
ーーデックとして言語化・構造化・視覚化していく過程についてもう少し詳しく教えてください。
久保:
UNICORNが大切にしてきた価値観や、顧客に受け取られている価値といったエッセンスを抽出するために、社内インタビューや顧客インタビューを行いました。
そこでつかんだ糸口をたたき台として「こういうことですか?」とビジュアルに起こして会話することで、やましょーさんの暗黙知を引き出し共有化することを徹底していました。
久保:
具体的には、デジタル広告業界における負のループと取り組むべき課題や、スケールする上での組織課題、さらにはやましょーさんの原体験、UNICORNのルーツといったところも掘り下げて、インナーとアウターそれぞれで共通言語となる「価値」の言語化を行いました。
カイ:
企業のブランドについて考えるとき、多くの場合は見た目や色などの話からスタートすることが多いと思いますが、Goodpatchではまず企業の内側に向き合います。その上で、社内外を繋ぐ本質的な理念を伝えるための、ブランドコミュニケーションにおける「北極星」となる存在を作っていきます。
UNICORNの場合はやましょーさんの原体験やUNICORNチームの歴史、価値観からなる理念、業界構造やベンチマーク、ブランドストラテジーなどのリサーチ内容をベースに、ブランドアイデンティティに落とし込んでいきました。
山田さん:
毎週の定例ミーティングで出してくれる内容一つひとつが、「そう、これこれ!」と思えるような芯を食ったものが多かったです。まとめてもらった内容をみんなで確認していきながら「ここはちょっと解釈違うかも」といった点をすり合わせていきました。
散らばった情報を構造化したり、言語化していくプロセス自体を通して、社員の会社や事業への理解が深まっていったことは大きな価値だと思います。
久保:
議論のたたき台になるものを持っていく時には、顧客視点や社会視点など、ちょっと引いた視点を必ず取り入れるようにしていました。外部パートナーならではのフラットな視点や僕らの仮説も混ぜることで、より発想を刺激できればいいなと。
会社の思想を明文化したカルチャーデック
ーーデックの中で、皆さんが特にいいなと感じたことについて教えてください。
山田さん:
様々なリサーチと壁打ちを経て、UNICORNの存在意義を示す“Believe”というコンセプトが導き出されました。そしてUNICORNが「信じる」とはどういうことなのかを伝えるために、カルチャーデックが生まれています。
僕としては、このBelieveというコンセプトにたどり着けたことに強く納得感を持っています。
オカノさん:
デザイナー視点では、デックの表紙がとても好きです。
ブラッシュアップを経てシンプルになったのですが、基礎的でインテリジェンスを感じられて、とてもいいなと。今後のUNICORNのデザインでも使っていきたいと思っています。
キムさん:
僕が印象的だったのは8 TRUTHSというバリューです。
これから事業を大きくしていく上で、会社としてどういう考え方がベースにあるのか表現するのはとても大切なことだと思います。
8 TRUTHSでは、Believeというテーマの裏にどういう想いが込められているのかがしっかりと言語化されている。この8つになるまでに、何度もフィードバックを繰り返しながら言語化していった過程を含め、非常に良かったと思っています。
山田さん:
アドテクの事業を成長させようとすると、ほとんどのアドテクの企業は、8 TRUTHSで掲げていることと真逆をいくケースが実は多いんです。
例えば「売り上げを上げるためなら手段を選ばない」とか、黙々と事業をやっているとそうした思想に傾きがちで、むしろそれが美徳だった時代もあったくらいです。でも、僕らはこれまでと真逆のことをしようとしている。
UNICORNには、広告業界が嫌になって、それを変えるためにやって来るメンバーも多いんですが、今までは社長である僕と面接で話すまで、どんな思想の会社なのかを伝えることができていませんでした。それがあらかじめ、8 TRUTHSを通して伝えられるようになることは、大きな変化だと思います。
フラットな視点で構造化するパートナーの価値
ーー今回のプロジェクトを通じた変化や、GoodpatchがUNICORNに残せたものはありますか?
山田さん:
僕らが取り組もうとしている課題は、複雑でわかりにくいという自覚があるので、実は最初、パートナーに入ってもらっても、自分たちのことを理解してもらえないかもしれないと思っていたんです。
ところがGoodpatchさんは割と早い段階から「皆さんがやっていこうとしているのは、こういうことですよね」と僕らが考えていることと同じものを、もっときれいに整理してくれた。ミーティングの一発目から芯を食った内容が出てきて、一気に信頼が高まりました。
自分たちだけでなんとかしようとするのではなく、近視眼になりにくい外のパートナーと一緒にやる意味に気づかされました。僕らのことを知らないがゆえに、フラットに構造化できるというのはあるんじゃないかなと思います。まさにパートナーとしての価値ですよね。
Goodpatchさんとの取り組みが始まって以降は、メンバーが外のパートナーに期待するようになったことが大きな違いかもしれません。UNICORNにも業務委託で関わる人が増えたり、もっと情報をオープンにしていこうと僕自身の考え方も変わりました。
キムさん:
勉強になったことだらけで、これからは学んだことをどう活かしていこうかな、と考えています。
中でも、やましょーさんの頭の中にある内容を、メンバーに伝わっている部分といない部分など、いろいろな角度で引き出してもらったり、乖離なく言語化・可視化してもらったことは、今後社内で何かを進めるときにも、見本になるプロセスだったと思います。
ーー今回のアウトプットを今後どんな場面で活用していきたいですか?
山田さん:
まず、カルチャーデックは新しく入って来るメンバーのオンボーディングに使いたいです。
今のUNICORNには、メンバー同士で「これいいね」と言い合う文化があるので、今後はそうした称賛が8 TRUTHのどれに紐付く内容なのかと考えてもらうことで、僕らが大切にしていることをもっと身近に感じられるようにしていきたいと考えています。
わかりやすくビジョンミッションバリューを作るだけではなく、もっと実際のメンバーの活動をデザインできるようになることが重要だと思います。例えば、今やりたいのはSlackチャンネルの命名規則を整えることなんですが、ただ機械的にやればいいというものではなく、メンバーがどう使うかに合わせて必要な形に整えるべきですよね。会社そのものをちゃんとデザインしていくこと。Goodpatchの皆さんには、そんな部分にずっと関わり続けてもらえるとすごく嬉しいです。
Goodpatchでは、企業のコアとなる要素を経営者との対話やリサーチで見つけ出し、理念や価値観を伝えるためのブランドエクスペリエンスデザインを支援しています。
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