今回登場してもらうのは、UXデザイナーの加納俊平。彼は2017年に新卒でヤフー株式会社に入社後、スポーツナビ株式会社へ出向。そこでアプリのUIデザインやWebメディアのデザイン〜コーディングなどを幅広く経験し、2020年3月にUXデザイナーとしては未経験でGoodpatchに入社しました。

一人でなんでもできるようになることを目指していた彼は今どのように「チーム」で働いているのか。また事業会社での経験がどのようにGoodpatchでの仕事に活きているのか。「スペシャリストではなくジェネラリストとしてキャリアを積みたい」と話す加納のGoodpatchでの歩みを聞きました。

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プロジェクトのコアの思いを形にしたい。その思いを頼りに未経験からUXデザイナーに転身

新卒ではデザイナーとしてヤフー株式会社に入りました。昔から多くの人に影響を及ぼしたいという思いがあり、それならユーザー数が多い会社に行こう!と考え、ヤフーを第一希望で就活をしました。

当時やっていたことを詳しくお話しすると、僕はヤフーからスポーツナビ株式会社に出向していたんです。そこで、アプリのUIデザイン、Webメディアのデザイン、コーディングなどを担当していました。広く俯瞰的に現場をみるジェネラリスト的なキャリアだと思います。スポーツナビは100人くらいの会社で、10人ほどデザイナーが所属していて、3年目からはリーダーとしてチームマネジメントも経験しました。

幅広く仕事を任せてもらえていた中、なぜ転職を考えたのか。そのきっかけは、入社2年目の時に担当した箱根駅伝の特集ページを作ったときのことです。スポーツナビでは、大きな大会があるたびに特集ページを作ります。 特集ページを作るチームには僕のようなWebデザイナーのほかに、実際に駅伝の選手にインタビューをして記事を書く編集者もいて、その人がめちゃめちゃ駅伝マニアで。ある時「本当は(特集ページを見るだけではなく)リアルな駅伝を見に行って欲しい」と話してくれたんです。

それを聞いて「確かに、本当にスポーツを盛り上げたいなら現地に行くべきだ」と強く共感したので、特集ページにYahoo! MAPを埋め込み観戦おすすめスポットを表示させ、さらにYahoo! 乗り換え案内に誘導するという仕組みを作ってみました。 

実際にどれくらいのユーザーが現地を訪れたのか、具体的な数字が取れなかったのが残念ですが、思いを掲げる人と議論して具体的な形にすることがこんなに面白いのか、もっとやりたいと純粋に思った瞬間でした。

その後も特集ページをはじめとするプロジェクトにいろいろと携わりましたが、駅伝の特集ページを作ったときのように、思いを持った人の右腕となり、その思いに密接に向きあう仕事をしたいと考えるようになりました。ですが、自分一人ではなかなか答えを出せなかったため、ReDesignerを通じてキャリア相談をしてみたんです。その時にキャリア相談に乗ってくれたのは、今は同僚である宮本(ReDesignerのキャリアデザイナー)です。

関連記事:「一生のキャリアパートナー」でありたい。ReDesigner 宮本が目指す本質的なキャリア支援とは(宮本実咲インタビュー)

キャリア相談をするまでは、比較的規模の小さな事業会社で経営者と近い距離で働くのがいいのかなと思っていましたが、自分が共感できる経営者やプロダクト、サービスを短期間で見つけるのはとても難しくて。そのことを宮本に話したら「どういう思いが世の中に転がっているのか、クライアントワークを通して知ってもいいんじゃない?」と言われて、その時に初めてGoodpatchという選択肢を意識しました。

その後、いくつかのGoodpatchのイベントに参加して、社員がビジョン・ミッションを自分ごと化し、具体的なアクションに起こしていることに惹かれていきました

特に記憶に残ってるのはあるUIデザイナーの言葉です。「クライアントワークで並走する範囲を決めるのは難しくないですか?」と聞いた時に「デザインの力を証明する=Goodpatchがいなくても自走できることがゴールなので、そこを起点に考えます」と言われたんです。まさに会社のビジョンが社員の中に落とし込まれていて、そこから出た回答だったので、この言葉に触れた時に応募意欲が一気に高まりました。

クライアントワークを担っている会社の中でも、Goodpatchでは特に事業者のコアな思いを汲み取って形にしていくプロセス経験できることが魅力でしたし、その思いを理解した上でUIデザインまで作っていくことは、他の会社ではなかなかできないのではないかと思ったんです。

当初は前職で経験のあったUIデザイナーとして転職しようと思っていました。ですが、UXデザイナーの方がより抽象的なフェーズから経営者やPO(プロジェクトオーナー)の思いに触れることができるのではないかと考え、未経験でしたがUXデザイナーでの転職を視野に入れ始めました。

とはいえ、UXデザインの経験がまったくない中での転職になるので不安はありました。そんな時に、当時のUXマネージャーが面談で「デザインパートナーにとって、UXデザイナーがCXOのような立ち回りができるようになって欲しいと思っている」と僕に言ったんです。その言葉が「経営者の右腕として、思いを形にしていく仕事がしたい」自分の思いと一致すると感じたことで、UXデザイナーとして転職することに迷いはなくなりました。

一人でなんとかしようとした挙句の失敗。そこから学んだ「どんどん周りを頼る」マインド

晴れてUXデザイナーとして入社しましたが、Goodpatchに入るまではデータや数字ドリブンの事業会社で働いており、ユーザーインタビューなどの定性調査はほとんど経験がないという状態でした。また、入社当時は、早く一人で全方位をカバーできるようになりたいと思っていました。

そこで、入社早々「一人でなんでもできるようになる」と目標を掲げ、チームのメンバーにもできるだけ頼らないように……と思っていたら、タスクを抱え込みすぎてしまいパンクしてしまったんです。結局チームに迷惑をかけてしまったため、それからは周りにいるUXデザイナーにどんどん相談していくように変わりました。

今では、別のプロジェクトにアサインされている人にでも、どんどん相談しています。やった経験がほぼないUXリサーチも、別のUXデザイナーに「こういう目的でこういう調査をしたいのだけれど、どんな手法がある?」と尋ねると、自分が考えていたことよりもはるかに的確でいろんな引き出しから答えを導いてくれる。

相談して教えてもらったことをベースにたたきを作り、それに更にフィードバックをもらいながら進めることでパートナーにとって最善のアウトプットを出すことができます。

プロジェクトの進め方などを熟練のUXデザイナーに相談して、ネクストアクションまで一緒に考えてくれるため、UXデザインの実践経験が少ないジュニアUXデザイナーにも、社内の実践知が溜まっていくメリットがあります。私の場合、ステークホルダーマネジメントについて壁打ち会で相談し、案件の状態と合意形成すべき点を図解して紐解いたことがあります。その後、可視化した内容をプロジェクトで活用でき、スムーズに進行することができた経験があります。

引用:Goodpatchで働くUXデザイナーが案件でやったこと

相談の範囲はUXデザインチーム内に限りません。例えばプロダクトのタグラインの付け方についてなどはBXチームに聞きにいくこともあります。Goodpatchの中には、どんどん質問していいよという空気が全社的にあるので、臆せず質問できる環境なんです。

事業会社だと特に、デザイナーは一人でプロジェクトにアサインされるケースが多く、自分もずっと「一人でなんとかする」と自力でやってきたタイプです。そのスタンスを変えずにやろうとしたことが失敗の大きな要因。 一度パンクして、チームメンバーや先輩に助けてもらったことで、いいサービス作るためには自分だけでなんとかするよりも、周囲に話を聞きまくった方がいいものが作れると実感しましたね。チームで動くのだから、チームメンバーに頼っていい、頼るのが当たり前だと、マインドセットを変えるいい学びの機会でした。

事業会社の経験がUXデザイナーの仕事にも多分に活きていると感じる瞬間

さらに事業会社との違いを挙げると、事業会社の場合は期待値を自分で設定できます。例えば「この施策でダウンロード数1万取る」と決めればそこに向かってただ走るのみ。ですから、基本的には定量的な期待値になるんです。「昨年はこの特集でアプリが1万ダウンロードだった、それに対して今期120%成長ならA評価」という感じです。

 ですが、クライアントワークの場合は、期待値が定性的であることが多いと感じました。

「このコンセプトで事業化が可能かどうかを検証する」というように、期待値も実際の目標値も定性的なことが多いんです。これは、定量的なものよりも圧倒的に汲み取る難易度が高く、はじめはとても苦労しました。

入社半年くらい経った時に同じチームの神(一樹)から、「なぜこれをやる必要があるのか」と大目的(Why)からHowまでを繋ぎ込んで話をしなければいけないと言われたことがあります。その頃、僕はパートナーに次はこういうことがしたいです」「今回は、これをやりました」といった報告していました。それはそれで報告としては成立していると思いますが、Goodpatchではそこからさらに踏み込んでパートナーの思いを汲み取り、そこから「Why」を削り出して、僕らが担うタスクの構造化までを行わなければいけないんだと、大きな学びでしたね。

とはいえ、事業会社の経験がまったく活かせないかというとそうではなく、常にKPIツリーの大上段から自分のタスクがどこに紐づくのかを考えて動けるので、目標が定性的になっても自分のやるべきことを見失わずにプロジェクトを推進させられています

事業会社の経験が生きていることは他にもあります。技術仕様など先方のエンジニアと会話できる知識レベルなので「どんな意図でこのUIUXを作ったのか」をきちんと自分の言葉で伝えることができるのは強みになっています。

もちろん「技術的に無理だからUIをこうするべき」とエンジニアとぶつかることもありますが「こう実装してくれれば、このデザインを転用することができると思うけど、どうですか?」と深いところまで相手と話し合うことで、ユーザー体験を毀損することなく開発まで進められます。これは広く俯瞰して仕事をしてきた経験があったからこそできていることだと思っています。

データドリブンでユーザー体験を考えてみたい人求む!

これからはある思いを形にした上で、結果がどうだったのかまで追えるデザイナーになりたいと思っています。形にして終わりで、その後納品したデザインがどうなったのかが追い切れていないことがまだまだ多いので、しっかり成果を出せたかどうかまで検証できることが理想です

たとえ結果が振るわなかったなら、その原因を特定し、改善して伸ばすところまでやりたいと思っています。今はまだGoodpatchにおいては、「考える→作る」までがサービスデザインの区分になっているので、作ってリリースした後のグロースも大事なんだということを社内にも啓蒙しつつ、クライアントに提案していくことが大事なんじゃないでしょうか。

今Goodpatchに足りないと思うのはデータを見ることのできる人です。事業会社でデータをから施策を打ってきた経験を生かして、ユーザー体験に落とし込める人がいるともっと強くなれると思っています。データアナリストのバックグラウンドを持った人と働いてみたいなと個人的には思いますね。 デザインの経験がなくても活躍できる領域はまだまだたくさんあるので、臆さず挑戦してみてほしいです。

元々、幅広くデザインを見るジェネラリスト型でしたが、Goodpatchに入った今もスペシャリストになるつもりはあまりなく、常に俯瞰して広く物事を見ることのできる人材でありたいと思っています。


Goodpatchでは、アプリやデジタルプロダクトを含むサービス一連の体験をデザインするUXデザイナーを募集中です。

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