ビジネスとデザイン視点でSDGsに挑む。フードロス削減アイデア創出ワークショップを専修大学で開催
2015年に国連の持続可能な開発目標(SDGs)で掲げられた17の目標と169のターゲット。SDGs推進が叫ばれつつも実際にはどう取り組むべきかわからないと考える方も多いのではないでしょうか。
2021年7月9日、社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」を運営しフードロス削減に取り組むクラダシとGoodpatchが、専修大学の学生向けにワークショップを開催しました。
SDGsのターゲットとして挙げられている項目の中に、私たちの生活に根付くフードロス問題も含まれています。フードロス問題の啓蒙と、SDGsといった社会課題の解決の糸口となりうるデザイン思考の普及を目指して実施したワークショップの様子をお届けします!
関連URL
SDGsを志す企業へデザインの力を。グッドパッチが、フードロス削減に取り組むクラダシと共同プロジェクト開始
SDGs×デザイン!フードロス削減を目指す「クラダシ」の価値の言語化ワークショップを開催
目次
ビジネスとデザインの視点からフードロス削減を考えるため、専修大学 生田キャンパスへ
今回は、専修大学 生田キャンパスに伺いました。専修大学で経営学/アカウンティングの教鞭をとる青木章通教授のゼミナール生を対象に、ワークショップを開催。チームで対話しながら問題解決に取り組む対応型学習を取り入れながら、以下の3点を兼ね揃えた人材育成を目指して実施されました。
①社会問題の解決意欲
②問題解決や価値創出の方法論としてのデザイン能力
③事業の運営/成長に必要なビジネス構想能力
当日のワークショップレポート
当日は、大きく4パートの構成でワークショップを開催。デザインとは何かを学ぶデザイン概論から始まり、フードロス問題を捉えるグループワークも開催。一部プロセスを抜粋しながら、当日のワークショップの様子をお伝えします。
Part1.デザイン思考の考え方とは〜Goodpatch講演〜
まず最初に、アイスブレイク。グループごとに特に考えて欲しい3つのフェーズでのフードロス問題について話し合ってもらいました。
学生たちは特に、自身のアルバイト経験を踏まえた飲食店のフードロス問題の議論に盛り上がっていました。
その後、Goodpatchからいわゆるデザイン思考の基本的な考え方についてお話しました。
この講演では、デザインとは「見た目などの造形だけを指すのではなく、調査や発想を含む全体の設計」としてとらえることが重要であることを知っていただきました。
機能価値だけではなく体験価値が重視されるようになったことで、モノ/サービスが簡単に売れない時代が訪れています。そうした時代で問題解決や価値創出を行うためにデザインの力が必要であり、その重要性がさらに高まることについてお話をしました。
関連記事:【初心者向け】ビジネスに必要な「デザイン思考」とは何か?プロセスをイラストで紹介!
Part2.「フードロス」を考える〜クラダシ講演〜
次にクラダシ講師陣から、「具体的にフードロスとは何か、日本では何が問題とされているのか」といったフードロス問題に触れる講演と、グループワークを行いました。
前半の講演では、日本全体・国民一人当たりのフードロスの現状についてご紹介。
ブランド価値を守るために廃棄してしまっている提供(サプライヤー)側の実態や、短い賞味期限でもお手頃価格で購入したいという消費者心理などをお話ししました。
そういった課題に対して販売・配送事業者と、消費者、社会貢献団体をつなぐプラットフォームであるクラダシの事業モデルをお伝えしました。
後半のワークショップでは、 「クラダシの社員として」 自社(クラダシ)の特徴や取り組んでる課題などをどう解決するかを考えてもらいました。
インフラとしての業界構造の問題、メーカー間の取り組みレベルの違い、消費者の意識の問題、物流網構築の課題など。クラダシを取り巻くさまざまな課題を考慮しながら以下の3つのテーマに分かれて、社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」をさらにグロースさせるにはどうするかディスカッションを行いました。
▼3つのテーマ
・フードサプライチェーンで発生するフードロス削減
・飲食店(レストラン、ホテル等)で発生するフードロス削減
・家庭内で発生するフードロス削減
次のPart3.で、それぞれのグループが決めたテーマに対してどのような解決方法があるのかを探索していきます。
Part3.問題解決グループワーク〜Goodpatch講演〜
Part3では、Goodpatch講師陣による問題解決グループワークを実施しました。先ほどのワークショップで選んだ課題テーマに基づき、4つのフローでディスカッションを進めました。
1.その問題に関わるステークホルダーを書き出す
2.ステークホルダーがそれぞれどんな悩みを抱えているかを書き出す
3.ステークホルダーのなかで、誰にアプローチすることが問題解決に有効かを決め、ターゲットが持つ悩みや課題をさらに深掘る
4.悩みや課題を解決するアイデアを考える
例えば、飲食店(レストラン)で発生するフードロスの削減をテーマに議論する場合、店長/ホールスタッフ/お客さん/仕入れ業者などのステークホルダーを挙げて彼らの利害関係を整理する、といった流れです。
ここでは、課題解決と事業性(経済性)の両立を軸に置きながら議論を進めました。問題構造全体を理解する上で、ステークホルダー間の利害関係を整理することは、デザイン思考で重要なポイントです。
ステークホルダーの心の声を分析していくのが、普段の学生生活では意識しないもう一段深い行為だったようで、参加した学生は苦戦しながらも白熱した議論を繰り広げていました。
Part4.アイデア発表〜講師陣からの講評〜
最後に、発表用のワークシートにまとめてもらい、グループごとに各問題に対する解決策となるアイデアを発表してもらいました。発表を受けて青木教授とクラダシ、Goodpatchそれぞれの講師陣から講評をしていきます。
クラダシがビジネスとして参入する領域を大きく広げるようなアイデアから、クラダシのコンセプトである「楽しく社会貢献」に基づいたプロモーションアイデアなど、さまざまな切り口のアイデアが出てきました。
クラダシ講師陣も「あのアイデアは実際に検討してみてもいいね」と呟くほど核心に迫ったアイデアもあったほどです。
SDGs推進の重要性に社会が気付きはじめているいま、フードロスは身近な社会課題として当事者意識を持つ人が増えてきているのではないでしょうか。とはいえ、フードロスの原因となる業界構造を理解したり、実際に問題解決のアイデアを真剣に検討する機会は限られています。
参加された学生のみなさんは、デザイン思考を取り入れながらチームで納得のいくアイデアを導き出したことに喜んでいたようです。
▼参加した学生の声
固定概念にとらわれず頭を柔らかくし、見方を少し変えることで生まれるアイデアやデザインがあるということを学べた
デザイン思考で顧客の潜在的な課題を見つけ出し、常識にとらわれない解決策を考えるのが楽しかった。
最後に
SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」の射程として定義されているフードロス問題を切り口に、学生のみなさんへデザインの考えや手法をインストールするワークショップを実施しました。
デザイン思考やUI/UXデザインは、頭の中だけで理解するものではなく、モノづくりやコトづくりを通じて実践するものです。Goodpatchでは、ワークショップを通じてデザインプロセスを実践するためのきっかけを提供しています。今回の事例以外にも、業種問わずあらゆる企業や地方自治体、教育機関に対してワークショップを行ってきた実績があります。ご要望に合わせてワークショップをカスタマイズすることも可能です。
是非、お気軽にこちらからお問い合わせください!
【関連記事】デザイン思考の研修おすすめ10選! 期待できる効果や選ぶポイントは?