社会人になって約10年、キャリアチェンジのラストチャンスとも言われている30代。私(西村 洋)はUXデザイナーとしてデザインの力を証明するため、事業会社ではなくデザインファームに転身する道を選びました。余談にはなりますが、私は既婚者で子供もいます。

懇意にしているエージェントでは、事業会社への転職を希望しているデザイナーが多いと聞き、私も事業会社を中心に転職活動をスタート。自分の目で、デザインを事業成長に取り込むことに成功している「組織」、デザイナーの役割の変化や現状を見てきました。

約2ヶ月の無職期間を経てたどり着いた「答え」とは── 。

デザインに本気の人間が必死で見つけた会社

私は、大手メーカーのデザイン部門にて「UXリサーチャー」としてキャリアをスタート。自社のウェブサイトのユーザーリサーチやユーザビリティ評価、鉄道業務で使うアプリケーションのUIデザインやエネルギー関連の新規事業提案など、UXリサーチャーとして幅広い仕事を経験積みました。

特に「デザインの力」が事業に活かせるという手応えを感じたのは、社内の新規事業公募制度に応募したときのことです。

こちらはデザイナー約100人が新規事業アイデアを応募するコンテスト。私が応募したプランが採択された理由は「デザイン×ビジネス」の提案だったこと。このとき、初めてビジネスにデザイナーの視点が役立つと実感できました。

しかし、ユーザー中心の提案は「面白い」とコメントいただけたものの、事業実現性の低さ、自社がそのビジネスを手掛ける意義など、ビジネス面において、特に自身の力が不足していたこともあり、途中でプロジェクトは頓挫。

それ以降、外資系コンサルやVR技術を扱うスタートアップにて、新規事業支援のコンサルティング、営業、人事、総務など、様々な仕事にて「デザイン」の力を活かそうとチャレンジしてきました。

あるとき、VR事業をクライアントに提案しているとき、デザインよりも技術へ投資する方が経営判断として正しいと言われ、デザインは事業を成長させる魔法のクスリではないと、気づきました。

例えば、VRを活用した「四季を365日楽しめる」観光コンテンツを、現場のリサーチ結果を元に、ユーザー体験設計をして提案。しかし、いざ事業化の意思決定段階となると、投資対効果に見合わない、既に世の中にあるARを活用したサービス導入の方が利益が上がるなど、いくらデザインやUXが優れているサービス企画を再提案しても、前に進まなかった。

VRのような事業投資の難易度が高い領域でも、デザインさえ優れていれば、クライアントの共感を得られ、リスクある投資もしてくれるだろうと勝手に思い込んでいた。デザインの力を信じて疑わなかった私は、自身の力量不足を痛感するとともに、デザインの力が信じられなくなってしまい、とても悲しくなりました。

無職期間中、なぜ悲しい気持ちになったのか、真剣に向き合ってみました。月並みですが、私は「デザイン」がとても好きなんだと、このとき初めて認識しました。もし、デザインをあくまでも一つの道具であるとか、経営資源の一部などと考えていれば、悲しくなることはありません。

私が信じる「デザインの力」を上手く活かせる手段がないか、もう一度考え抜き、何度もチャレンジする。そう覚悟を決め、転職活動に取り組みました。幸運にも、1000人を超える会社のデザイナーを束ねる部門や、数億円後半を超える資金調達に成功したITサービスを手がける50人ほどのスタートアップ等からもお声がけいただけました。

しかし、一つ疑問が湧きました。

果たして、このままUXデザイナーとして働くことで「経営」に「デザイン」を取り込むことができるのか?

確かに、事業会社に行けば、デザインの意思決定に何かしら携われる。でも、周りの友人で事業会社のデザイナーとして色々チャレンジしてみたものの、デザインに対して投資が思うようにされなかったり、一人で孤独で不毛な戦いに挑むことになる等、不遇な境遇で日々仕事をしている人もいるのを見聞きします。

最初に勤めた会社でも、デザインに対して経営層が理解を示し投資をしても良いと思った部分は正直あります。それは、デザインの力を活かす道筋を、私が提案できなかったという力不足が主な原因ではありますが。

ただ、そもそも日本という目線で見てみたとき、デザインに投資する企業はまだまだ少ないし、それが原因の一端であるのも事実だと思ってます。ようやく2018年に「デザイン経営」を経済産業省・特許庁が宣言したばかりで、まだまだデザインとビジネスの両面で取り組む機会はそもそもケースとして少ない。

だからこそ、私は考えました。

デザインを真の意味で経営に取り込むため、自身が成長し、貢献する近道は、経営層の方々と直接「デザイン」に関する意思決定についてシビアに議論し、提案する経験を絶えず積むことだと考え、転職面談を数社した中、ようやく希望に叶う会社が見つかりました。それが「グッドパッチ」です。

CEO土屋とのカジュアル面談で、「事業会社に行けば意思決定の場に近付ける」という思い込みに気付けたのがとても大きかったです。

デザインファームだから出来ないことなんてない。クライアントとの関係性、やり方次第で、いくらでもデザインを経営やビジネスに活かすための提案はできると、ハッとさせれました。特に「CDO(Chief Design Officer)」を、デザインファームから輩出していくという巨大な構想を聞いたとき、強くそう感じました。

この構想だけでなく、ビジョンに深く共感しているデザイナーと、専門性について切磋琢磨しながら働ける環境も兼ね備える「デザインファーム」という選択肢が、私にはとても魅力的に映りました。デザインがとても好きなのもあり、グッドパッチという道を選択することに決めました。

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UXデザイナーは、キャリアチェンジ の「穴場」

「デザイナー」という言葉を聞いたり見たりすると、絵のセンスに長けている必要があるなど、自分とは縁遠い職種だと思いがちです。アニメーター、イラストレーター、工業意匠のデザイナー、UIデザイナーなどには、確かにいわゆる「美」のセンスが求められます。

ただ、UXデザイナーにおいては、少し事情が異なります。UXリサーチや、サービス開発経験などに長けていれば、キャリアチェンジは十分可能です。具体的には、UXに関するマーケティングリサーチ、エスアイヤーやコンサルタントとしてサービスやプロダクトのUX開発業務に携わっているような方のイメージですね。

厚生労働省が2019年に発表した「賃金構造基本統計調査」を参考に、「CREATIVE VILLAGE」様が算出したデータによるとデザイナーの平均年収は401万円ですが、UXデザイナーの平均年収は、カカクコムが運営する求人ボックスが独自に算出している情報を見ると、2019年10月時点においては601万円と年収は比較的高く、30代のキャリアチェンジとして十分候補となりえます。

私の肌感覚では、UXデザイナーの需要に対して人材供給が追いついてません。そのため、UXデザイナーの中でもどこかの分野に特化することで、その第一人者となれる可能性を秘めている点からしても、穴場だと思います。

事業会社、外資系コンサルからスタートアップまで、4社渡り歩いて感じたグッドパッチのグッドカルチャー

グッドパッチが、他のデザインファームと大きく異なる点は2つあります。

①クライアントにベンチャー企業や新規事業に関わるプロジェクトが多く、経営層と仕事をできるチャンスがある

創業当初、グッドパッチの実績が大きく取り上げられたのは「Gunosy」のデザインでした。それから、FiNCリンクアンドモチベーションなど、デザインパートナーとして様々なベンチャー企業や上場企業のプロダクト開発にも深く携わってます。

グッドパッチは、こういった創業の経緯もあり、世の中を大きく変革する企業や組織との仕事を大切にするカルチャーがあります。

こう聞くと、ベンチャーのみを対象にしていると思われがちですが、実際にはベンチャーや大企業などの企業規模に関係なく、新規事業や新サービスなどの立ち上げフェーズに関わることが多いです。そのため、経営に直接的関与することがデザイナーであっても必然的に求められるため、高い力量が求められます。

実際、私がグッドパッチでアサインされた案件でも、経営層と直接UXデザインに関する意思決定についてシビアなやり取りをしており、日々「経営」×「デザイン」という視点でモノゴトを考え、デザインが経営に与える影響を実感でき、自分の選択は間違っていなかったなと、常々感じてます。

正直、広い視野、深い知見や洞察を強く求められ、とっても大変です。しかし、この厳しい環境を通じて、様々な経験が血肉となり、デザイナーとしての成長を最近実感した瞬間がありました。

それは「デザイン」に対する考え方が、今までよりもフラットになったこと。課題の解決手段の一つとして見られるようになり、クライアントがデザインに期待している部分が、今までよりも見誤りづらくなりました。少しずつですが、デザインの力の片鱗が見えて気がします。

ただ、目標は遥か彼方にあります。UXデザイナーとしてもっともっとデザインの力を発揮し、クライアントの事業成長に貢献したいので、これからも研鑽を積んでいきたいという気持ちでいっぱいです。そんな人がグッドパッチにはたくさんいます。

②全社員にミッションが浸透しており、デザインに本気の猛者が100人以上も集まっている

私はがグッドパッチが「デザイナーを本気で大切にしている」と感じたのは、入社して最初にオフィスに足を踏み入れたときです。その感覚は正しくて、全社員がグッドパッチのミッションである「デザインの力を証明する」という言葉を覚えてるだけでなく、本気で心から共感していると感じらました。これはとても驚きました。

今まで様々な組織で働いてきました。しかし、100人を超える組織でミッションが全社員に浸透しているのは珍しい。しかも、それがちょっとクセの多い「デザイナー集団」であれば、そのハードルはさらに高いと思います。

これを実現できているのは、デザイナーの価値を深く理解し、デザイナーの地位向上を本気で遂行しているCEOや役員、マネージャーがちゃんといるからだと、3ヶ月間働いてから分かりました。

もっとデザインがしたい、デザインについて語り合える仲間やチームが欲しいといった人には、最高の環境です。当たり前のように「デザイン」について仲間と語れるのは5年ぶりで、とってもホッとしたのを今でも覚えています。

UXデザイナーを「あなた」の選択肢に

私が「UXデザイナー」に転身してから約3ヶ月が経ちました。心の奥底から叫びたいことは「毎日デザインできて幸せです!」。

この一言に尽きます。

営業に関する問い合わせを社内で見ることができるのですが、最近UXデザインに対する相談が格段に増えていると感じます。ますます、UXデザイナーの需要は増えていく。一方で、UXデザインに関連する開発やデザイン経験を有する方が、UXデザイナーに転身する道は一般的ではありません。需要に対して供給が追いついていない構造はしばらく変わらないと思います。

だからこそ「UXデザイン」を極めたい人、一人で戦っているがゆえに中途半端なUXデザインになってしまうことに憤りを感じている人、何よりも「デザイン」を楽しみたい人は、今がチャンス。「UXデザイナー」という道を新しい1つの選択肢として考えてもらいたいです。

もし、少しでも興味あれば、グッドパッチではUXデザイナー向けのイベントやカジュアル面談も定期的にやっていますので、ウェブサイトなどから気軽にコンタクトいただきたいと思ってます。もちろん、そのハードルが高ければ、私に連絡いただいても良いです。

つい3週間ほど前、UXデザイナーへのキャリアチェンジに迷っているベンチャーで働く方のキャリア相談がありました。その後、Facebookのメッセンジャーで「今は様々な会社に「UXデザイナー」として応募している」という報告が来て、とても嬉しかったので、またそんな機会に恵まれたらよいなと思っています。

この記事が、皆様の心にある「デザイナー魂」を揺さぶり、あなたの選択肢として、デザイナーという道を考えるキッカケになれば幸いです。

 

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