「GoodpatchのUXデザイナーやデザインストラテジストは、これまでどんな業界で働いてきた人たちが多いのですか?」とよく面接で質問をいただきます。
今回ご紹介する高階・村上・酒井は、実は全員ポストコンサルとも呼ばれるコンサル業界出身者です。

3名それぞれどんな経験を活かしてGoodpatchで働いているのか、前職とのギャップを感じた部分はどこか、今どんなクライアントと接しているのかなど、座談会形式で語ってもらいました。

コンサルティングファームによるデザイン会社の買収が進み、境界が融けつつあるコンサルタントとデザイナー。ビジネス課題を解決する人材としてのデザイナーについて、興味がある方はぜひ最後までご覧ください。

高階 有人
新卒で大手SIerに入社し、システム開発やデジタルビジネス企画を経験。その後コンサルティングファームにて官公庁向けのITコンサルティングや調査研究に従事。Goodpatchには2021年にUXデザイナーとしてジョイン。

村上 まり子
新卒でオンライン辞書を運営するスタートアップにてマーケティングを担当し、その後コンサルファームにて先端技術を活用したDX推進支援や、Esports事業開発支援などを経験。Goodpatchには2019年にUXデザイナーとしてジョインし、UXデザインやUXリサーチ業務を担当。

酒井 亮輔
新卒でアップルジャパンに入社後、アクセンチュアの経営コンサルティング本部で、ライフサイエンスや飲料・食品業界等の事業戦略策定、PMI、BPR等のプロジェクトを経験。その後、ヘルスケアに特化したKPMGヘルスケアジャパンに入社し、総合商社やPEファンド、製薬会社等のクライアントに対する事業戦略策定やデュー・ディリジェンス等のプロジェクトを担当。Goodpatchには、2021年にデザインストラテジストとしてジョイン。Twitter @RyosukeSakai3

コンサル業界出身者がUXデザイナー、デザインストラテジストになるまで

ーーまずは自己紹介も兼ねて、皆さんの前職までの経験と、転職を考えたきっかけを教えてください。

UXデザイナー 村上
前職はAI(機械学習)やARを使って経営課題を解決する、いわゆる総合系コンサルにいました。その頃から個人的にUXデザインに関する本を読んで勉強したり、周囲にもUXデザインの重要さについて話はしていたのですが、周囲からはどうしても表層のビジュアルの話と捉えられてしまうことが多く、もどかしい気持ちを持て余していました。
だからと言って、私も独学で本で勉強した程度の知識しかなかったので「UXデザインとは本来こういうものなんです」と語る勇気はなくて

UXデザイナー 村上

学生時代から人間について考えることも好きだったこともあり、UXデザインの専門家がいる環境で、自分自身も学びながら仕事ができる環境があればいいなと考えていました。ですが実務経験はないので、いきなりUXデザイナーとして働く前に大学院に行こうと考えていた矢先、転職サイトのプロフィールをみたGoodpatchのエクスペリエンス・デザインのマネージャーの方からお声がけいただいたのが、Goodpatchとの出会いでした。まったくの未経験だと難しいとばかり思っていましたが、面接時にポテンシャルを見込んだ採用もしていることを知り、未経験でも入社できたことには驚きました。

デザインストラテジスト 酒井
僕は前職で6年、前々職で3年ほどコンサルティングファームで働いていたので、計10年ぐらいコンサルティング業界で働いてきました。
私がいたコンサルティングファームでは、大企業の事業戦略や、企業買収に関わるデュー・ディリジェンスに加え、新規事業立ち上げの案件も多く手掛けていました。そこでは、ゼロから新しい事業を生み出す際に、市場性や事業性、さらには内部の経営資源をみながら、ロジカルにファクトベースで検証していくアプローチをとっていましたが、何か違う視点や新しいアプローチはないのか?と模索することもありました。少しモヤった気持ちを抱えていた時、いくつかデザイン思考やアプローチに関する書籍を手に取る機会があり、ユーザー起点での着想やプロトタイプ思考について理解を深めていったことも、デザイン会社に興味を持ったきっかけです。

また、これまでのコンサルタントとしての仕事は、どちらかというとクライアントのために仕事をすることが多く、残念ながらその先にいるユーザーまで見る機会はあまりありませんでした。
デザイン会社であれば、クライアントだけではなく、クライアントのクライアント、つまりエンドユーザーに対しても新たな体験や価値を提供でき、社会にもよりインパクトを与えることができるのではないか?と考えたのも転職の理由の1つです。

デザインストラテジスト 酒井

サービスデザイナー 高階
僕は、前職までは官公庁向けのITコンサルティングや、クライアントのDX推進に関する提案活動などを経験した後に、Goodpatchに入社してきました。
転職のきっかけは、端的に言えばデザインを仕事にしたい、デザインにフルコミットしてみたいという思いが強くなったからです。前職でも独学でデザイン思考について学んだり、見様見真似で業務に取り入れようとしていました。ユーザーからインサイトを得て全体に活かしていくというメソッドが、とても真っ当で意味があることだと感じたからです。

しかし、ITコンサルという立場上、クライアントから受ける期待はどうしてもシステム領域に留まりがちでした。もっとユーザーの課題を深掘りをしたくても、スケジュールや関係各社との兼ね合いも強く難しい状況で。デザインの考え方や方法も部分的にしか使うことができず、デザインの本質や真髄ではなく上辺を撫でているだけなのではないか、というモヤモヤを抱えていました。もちろん自分にもデザインの実践経験は少なかったので、偉そうには言えないけど何か違う気がする…という感覚は、村上さんと同じでした。

サービスデザイナー 高階

クライアントやユーザーと向き合って感じる「コンサルタントとデザイナーの違い」

ーー皆さんが、前職とのギャップを一番感じる点はどこですか?

サービスデザイナー 高階
これはいいギャップだと思うのですが、Goodpatchでは検証を繰り返すことや工程を遡ることを恐れないですよね。入社当時はそこにすごく驚きました。前職ではいわゆるウォーターフォール式に上流から順に工程を進めることが多く、また工程ごとに別のベンダー企業がいるような状態が普通でした。なので上流から降りてきたものを作るしかない構造にはなりやすいのです。
ですがGoodpatchでは、上流から開発までを一気通貫で担当していることもあり、ユーザビリティ検証の過程で問題があったら、前工程に戻って執念深く考え直すことが多いです。尚且つそれをパートナーからも望まれている、という点がいい意味で驚きでした。

UXデザイナー 村上
私はGoodpatchに来てからスタートアップと仕事をする機会が増えました。スタートアップのパートナーと働く上で、ベンチマークする海外の優れたサービスやプロダクトについて調べることが増えて、自分の中にプロダクトマネジメントという観点が新たに増えました。
日本の大企業とは全く異なる組織のあり方であったり、良いプロダクトを作ることに集中した職種同士の連携であったり…。これまでは大企業の特定の部署とだけ仕事をする案件が多かったのですが、スタートアップ企業との仕事を通して視野が広がったことは一つの変化ですね。

デザインストラテジスト 酒井
あえて高階さん、村上さんと違う観点で僕が感じたギャップをあげるなら、2つあります。
1つは、Goodpatchにおけるビジョン・ミッション・バリューの浸透と、人や組織に対するコミットメントの高さです。過去に組織崩壊を経験したということもあるかと思いますが「偉大なプロダクトは偉大なチームから生まれる」や「領域を越えよう」といった価値観に基づき、メンバーは日々仕事に取り組んでいます。

また、コンサルティングファームと同様、Goodpatchもプロジェクト単位で人員が配置されるという構造なので、場合によっては組織に対する意識が希薄になることもあるかと思いますが、Goodpatchではプロジェクトメンバーやチームを越えて社員同士が気軽にコミュニケーションを取れたり、最大限パフォーマンスを発揮できるような環境や仕組みづくりが徹底されています。会社の10周年を盛り上げるために多くの社員が自ら企画を立案するなど、全員が将来の組織づくりにもコミットしている姿はすごいなと感じました。

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もう1つは、Goodpatchでは「共感」というワードがよく使われることです。
コンサルタントは自分の感情や主観を持ち込まず、クライアント企業の複雑な課題を客観的に理解・認識することを優先するのが一般的だと思います。
一方、Goodpatchのようなデザイン会社は、ユーザーの価値、感情といった柔らかく捉えにくいものを扱っていることもあり、まずはユーザーに関心を持ち、自分ごとと捉えながら共感し、寄り添っていくスタイルですよね。ここはコンサルティングファームと大きく違う特徴的な点だと感じました。

コンサルタントは課題を客観的に捉え、事象として扱う側面が強いですが、デザイナーはより感情を持った有機物、人間に向き合って仕事をしているというイメージです。担当していた大企業の新規事業・サービスの立ち上げ支援においても、まずユーザーの負に共感するために、ターゲットとなるユーザーにインタビューを行い、徹底的に一次情報に触れることを意識しました。

ちなみに、「共感」という言葉ですが、正直、コンサル時代は仕事をする上では、あまり使わない、聞かない言葉でした(一応、他者に共感できるぐらいの人間性は持ち合わせているつもりですし、笑 共感力はとても重要だと思いますが)。どちらかと言うと、コンサルタントは、まずは複雑に絡み合う物事を自分なりに理解し、現状を客観的かつ分かりやすく整理することがより求められていると思います。

引用:【非デザイナー向け】デザイナーに必要な能力 / 酒井によるnote

UX / サービスデザイナーとして果たす役目

ーー村上さん、高階さんはどんな課題感を持つ企業が多いと感じますか?

UXデザイナー  村上
Goodpatchではデザイナーが商談に出たり、セールスと一緒に提案活動をすることがあるのですが、商談に出ていると「競合他社と比較して自社製品に課題を持っている」「DXの波が押し寄せる中で、従来と同じやり方に危機感を持っている」というパターンが多いです。
自社製品の課題感を深堀っていくと、目に見える部分のデザインだけではなく、もっと上流の戦略やコンセプトから作り直す必要がある場合がほとんどです。そうしたケースでは、ユーザー調査から事業アイデアに繋がりそうな課題の構造化などから提案させてもらいます。

サービスデザイナー 高階
僕が接する企業の方は、「ユーザーから見えている表側の体験」と「従業員などの裏側の体験」の両方を整合させるような、「サービス全体の設計」について悩まれていることが多い気がします。
例えば、「プロダクト」がお店で提供される「料理」とするなら、料理を提供するための店舗オペレーションや予約システムなど裏側の設計を含む「レストラン経営」が「サービス」と定義できると思います。

service_restaurant2

このようにサービス全体を俯瞰して、横断的に捉えることが重要になるのですが、表と裏それぞれの体験の整合をとることは簡単なことではありません。破綻のないサービスを設計するにあたり、専門的な視点で手伝ってほしいというプロダクトオーナーや経営者の方は多いです。そのような意思決定者が俯瞰で物事をとらえ、意思決定しやすくする材料を届けるのがUX/サービスデザイナーとして大事な仕事なのだと感じています。

コンサルタントとデザイナーの境界は融合する

ーーこれからコンサルタントとデザイナーのキャリアはどう変化していくと思いますか?

デザインストラテジスト 酒井
プロダクトオーナーや経営者といった、意思決定者の真横に立つデザイナーというお話があったように、ビジネススキルを持ったデザイナーとコンサルタントの役割はどんどん混ざって、これまで以上にその境界線が融けていくはずだと思います。当然、そもそも物事の本質を捉まえて解決策を導くという点でデザイナーもコンサルタントも共通する部分は多く、必要なケイパビリティやマインドセットは似てきていると感じています。デザイナーとコンサルタントがベン図のように相互理解を進めていくことを求められる時代ですよね。

UXデザイナー 村上
UXデザイン手法を使いこなすコンサルタントも増えていくと思います。UXデザイナーという仕事自体の専門性が現在は細分化されはじめているので、UXリサーチをやる人はUXリサーチに特化していったり、もう少しジェネラルに役割をこなす人はコンサルタント領域に近づいていく、といった形ですかね。

少しでもデザインに想いがあるならチャレンジしてほしい

ーーどんな方にGoodpatchへの転職をおすすめしますか?

サービスデザイナー 高階
ITコンサル出身の観点から言いたいのは、ITコンサルタントからデザイナーへの転身は可能だということです。これまで培ってきたスキルを活かしながら、よりユーザー起点で、ITだけでなくビジネス領域にまで踏み込んで、活躍できるフィールドがあります。デザインに少しでも想いのあるITコンサルタントにはどんどんチャレンジしてほしいなと思います。

UXデザイナー 村上
ちゃんと最終的にユーザーに使われるものを作りたいと思っている人でしょうか。デザイナーやコンサルといった言葉に囚われる必要はないと思います。そういう思いを持っている人はきっとGoodpatchに入ると幸せなんじゃないかと思います。

デザインストラテジスト 酒井
私自身もそうでしたが、自分はデザイン会社やデザイナーとは無縁だと思っているコンサルタントの方ですかね。後は、経営企画や事業開発をされている方、プロダクトマネージャーをされている方でしょうか。
Goodpatchに一度入ってから元の職場に戻るという選択肢をとったとしても、違うスキルが身に付いて視野が広がると思うので、おすすめです。


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