こんにちは、GoodpatchでUXデザイナーをしている北濱です。
先日より、社内でデザイナー×事業家育成プログラム「アントレパッチ」をはじめたので、その内容をお伝えしたいと思います。

アントレパッチとは何か?

アントレパッチは今期よりスタートしたグッドパッチ社内でデザイナーを事業家に育てるプログラムです。社内から有志が10名ほど集まり、代表の土屋が自ら講師となり毎月3時間様々な課題とディスカッションを通じて、デザイナーとしてだけではなく事業家のマインドを育てる事を目的としたプログラムです。

私はこのアントレパッチの企画運営に携わっており、今日はアントレパッチをスタートした背景と内容についてご紹介したいと思います。

営業、ファイナンス、組織設計まで踏み込むデザイナーが求められている現在

僕はGoodpatch入社前にリクルートでサービス企画職として働いていました。営業、プロダクト企画、事業戦略策定などの7年間の経験を経て、ユーザー体験を中心にしたプロダクト開発に関心を持ちGoodpatchにジョインした背景があります。(この辺りのお話は、2021年8月にワンキャリアライブでお話しさせてもらいました!よかったらアーカイブをご覧ください。)

入社後、UXデザイナーとしてクライアントの新規事業に携わる中で、GoodpatchのユーザーリサーチをはじめとするUXデザインや、ソフトウェアのUIデザインにおける知見の多さには圧倒されました。一方で、クライアントからは営業・ファイナンス・組織設計まで踏み込んだ事業全体のデザインが期待される場面も増えており、事業戦略レイヤーの観点を持ったデザイナーがいたら最強なのではないかと感じていました。

昨今のコンサルティングファームによるデザイン会社の買収からも分かるように、DXが叫ばれる現代で事業を成功に導くためには、ユーザー体験、顧客体験への投資は必要不可欠です。デザイナーが事業に必要な観点を理解することも、不可逆な流れであると言えます。

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これからのデザイナーに求められるのはアントレプレナーシップ?

入社してから新入社員が必ず受ける社長自らが約5時間に渡って行う社長研修の中で代表の土屋が必ず話すキーワードの一つに起業家精神(アントレプレナーシップ)があります。自分はリクルートで働いていたので比較的なじみのあるワードでしたが、それでもデザイン会社のオンボーディングで聞くのは新鮮でしたし、しっかりと意識していなかった起業家精神の定義も含め聞いた時にとても腹落ちしました。

Goodpatchは今後新規事業の立ち上げ・M&Aなど、様々な領域でのビジネス拡大の可能性があります。デザイナーだけではなく事業家人材が会社の成長にとって必要な状況にあるのです。代表の土屋もPOの右腕人材だけでなく、デザイナーとして事業オーナーシップを持って実行できる人材は希少価値も高く、事業家人材の育成が今後のGoodpatchの強みになると考えており、「事業家を育成する社内プログラム」という今のアントレパッチの形が見えてきました。

プログラム参加者は社内公募制。代表自ら面接も

アントレパッチの参加者を集めていくにあたり、重視したのは本人の熱量です。

Goodpatchでは一緒に仕事をするパートナーを選ぶ基準に「経営者・事業責任者に情熱があるか」を掲げており、事業の成功確度を最終的に左右するものは当事者の熱量であると考えています。よって、アントレパッチの参加者も新卒から中途入社の社員まで制限を設けず、今後Goodpatchで事業を作っていく気概を持つ社員の公募制としました。

定員は10名。少人数で議論をしながら理解を深めることが狙いです。

結果として社内からは定員を超える応募があり、土屋が一人ひとりと面談を行い、「なぜやるのか」というWhyを強く持つメンバーを選出しました。ちなみに今回の公募では女性社員の応募が男性社員の応募を上回りましたが、こういった機会に挑戦する女性が多いのもグッドパッチの特徴の一つだと感じています。

私自身も、このプロセスを見ながら、改めてGoodpatchには熱量がある人に賭けて機会提供を行ってくれる会社だなと感じました。

社員の熱量を引き出す選考課題は合計3000文字のエッセイ

求めたいことは「熱量」だったので、前提として欠席などなくやり抜くことができることを条件にしました。また、公募にあたっては「時間軸を設けずに会社をどうしていきたいか」、「個人として今後チャレンジしたいこと」の2軸でエッセイを描いてもらうことで、会社・個人のWillの接合点の確認を行うことにしました。

・N年後のGoodpatchはどんな会社であるべきだと考えますか?自分が考えるあるべき姿とその理由を書いてください。(1,500文字以内) 

・あなたはこれからのキャリアでどんなことにチャレンジしたいですか?自分が考えるチャレンジとその理由を書いてください。※キャリアはGoodpatchに閉じなくても大丈夫です。(1,500文字以内) 

実際に届いた課題の一部をご紹介します。

Q.N年後のGoodpatchはどんな会社であるべきだと考えますか?

10年後のGoodpatchは『21世紀を代表するデザイン会社』であり、“第二創業期・社長交代、グローバル5拠点体制、DesignFundの売上5割、DesignPlatform事業の売上2.5割、DesignPartner事業の売上2.5割の比率であるべき“だと考えます。それぞれ理由を書きます。

まず第二創業期・社長交代ですが、それは決して土屋さんが退くことではありません。土屋さんは会長としてソフトバンクの孫さんのような存在であり続けます。言うなればGoodpatchのDNAを紡いでいく役割になり、Goodpatchグループの500年の存続に頭を使うようになります。今のGpはファウンダーが未来、それも遠い未来に視点を向ける余裕はありません。第一創業期の経営陣はより遠い未来への投資活動とGp人材の継承に注力し、直近3年の経営は次の世代にバトンを渡していくことでGpがより日本にとって意味のある会社になり得ると考えています。

ReDesigner/Strap事業責任者 佐宗

 

■ Vision・Missionを背負って多様な方角に向かっている状態
これまでのGpはVMVに共感し、信じる仲間が集い、同じ方角へ向かう組織でした。
VMVが見上げた先にあり、そこに向かって走ってきたイメージです。
でもこれからは、上ではなく中心になるべき。
中心軸にあるVMVを背負いながら、各々が好きな方へ広がっていく組織のあり方に変化したい。
そういった組織の形が成り立つのか、とても難しく珍しいと思いますが、Gpならできると信じてます。

Gpが成長し拡大するというのは、国を大きくして領土を増やしていくイメージだけではないと思っています。
同じ場所で育った人が土地を豊かにしながら移動して、いつのまにか世界中に多様な文化が生まれていた。でも実はルーツは同じところにあった!という状態がGpらしいな、そうでありたいなと思っています。
歴史的にも国は滅んでも、価値観や文化は残っていることはたくさんありますしその方が個人的にロマンがあります。

関わった人に良い影響を伝播できる人材が集まる組織
クライアントからの評価で、Goodpatchメンバーと並走したことでクライアント側の社員が成長した・視座が変わったという声をたまに聞くことができます。これをもっと常に、当たり前にできる組織になりたいです。
良いアウトプット・高いクオリティの提案ができる優秀な人材が集まる組織は、世の中に多くあるかもしれません。
でも、関わった人に影響を与え、知識やナレッジではなく人間そのものに価値・魅力を感じてもらえる。全員がバイネームで「あなたに会えて良かった」と言ってもらえるようになれたら、デザインカンパニーとして唯一無二だと思います。
一人一人が、クライアントや関わった誰かにとって、なくてはならない存在である組織になることが理想です。

BXデザイナー 米永

Q.あなたはこれからのキャリアでどんなことにチャレンジしたいですか?

自分がチャレンジしたいのは、ものづくりをするデザイナーの価値の拡張です。

Goodpatchという常にデザインの定義が拡張され続けてきた環境に約2年半身をおいても、デザインにおける「具体化する」ことの価値を痛感し、さらなる価値の発揮が望めると考えます。現状、ユーザーに届けるアウトプットを作り込む前のフェーズ、つまり事業側の理想を描く探索のフェーズにその可能性を強く感じています。

UIデザイナーは以前土屋さんが言われていた通り、ユーザーと事業の接点のデザイナーと捉えています。ユーザーが直接目にする・触れるものをつくるUIデザイナーの具体化する力は無二であり、「デザインの力を証明する」ために欠かせない専門性だと感じています。

これまでUIデザインのアウトプットの質をあげるには、抽象と具体の往復が有用だと実践を通じ理解してきました。
プロダクトのUIデザインでは抽象の理解、すなわち一連の体験設計プロセスへの積極的参加がその助けとなりましたが、プロセスへの理解と同時に自身が普段ユーザーとしての属性を持ち、理解の水準が一定以上であることも大きな要因であると考えます。そして、UIデザイナーがユーザーと事業の接点のデザイナーであるならば、ユーザー側だけでなく事業側の理解を深め、事業として継続できる手応えを具体物にも反映できることは必須ではないかと考えています。
自身はGoodpatchで幸いにも事業を起こす・価値を創出するといった幾つかの探索的なプロジェクト参加の機会を得て、そのフェーズでもプロトタイプによる合意形成や理想の具体化など「具体化する力」を活用できる手掛かりを得ましたが、更に手法として深め再現性を担保することで具体化する力の価値が拡張できると考えています。

UIデザイナー 坂本

 

# いいデザインを創出し続ける組織を作る
大学でデザインを学んだり、就職してからもデザインに関わるキャリアを歩んできました。デザインすることやものづくりすることは飽きることなくいつも新鮮な刺激がありどんなプロジェクトでも楽しく、自分のキャリアを振り返っても幸せだなと思っています。
ただ、多くは個の力に頼ったプロセスでそれに伴ったアウトプットでした。

Goodpatchに入ってからは、組織崩壊もあり個の力ではなくチームで力を最大化することが多く、一人ではたどり着けない「チームでものづくりをする強さ」を感じました。
その中で直近のキャリアとしては、自分自身がチームでデザインをするのではなく、チームでデザインする組織を作ることにチャレンジしたいと思いOpsに異動しました。
DesignDiv.はボトムからの施策や動きに頼っている部分がまだまだ多く、組織としては伸びしろがあると思っています。特にナレッジは、各プロジェクトを組織全体で支えエンパワーする存在であり組織としてのチーム力が大きく影響する領域だと思っています。

また、Ops自体の取り組みは他社のデザイン組織やプロダクト組織にもインストールできるものにし、組織内のデザイナーの価値向上にも将来的に寄与していきたいと思っています。そのためにまずは、DesignDiv.を1つの成功事例にしたいと思っています。

# いいサービスを作る
上記で記載した組織を作ることも1つデザインとして面白く自分の中では価値のある仕事ですが、やはり純粋にいいサービスを作りたいという想いが根底にあります。

多くの人が使い、多くの人の生活にいい影響を与える量と質を兼ねそわえたサービスを作ることは「デザインの力を証明する」ひとつの答えだと思っています。
スタートアップのトレンドとしては、toBでSaaSで大きな利益構造が見込めるものが多くありますが、使う人という側面ではtoCには勝らないのでより多くの人が使い、より多くの人の生活にいい影響を生み出すtoCサービスを作ることにもチャレンジしたいと思っています。

サービスデザイナー/Design Ops 角野

プログラムの詳細

アントレパッチのプログラムは、土屋、先輩社員の吉本とディスカッションしながら決めました。各トピックについてチームごとにリサーチを行い、結果をプレゼンし議論する形式です。

初回は自社をテーマに「GoodpatchがどのようにしてPMFに至ったか」についてリサーチ。デザイン会社でありながらスケールし続け、上場を果たしたGoodpatchのこれまでの経営判断を振り返り、ポイントを汎用性ある形で抽出しました。

第二回は他社のPMFにおけるターニングポイントをリサーチし、汎用化出来る学びを持ち寄りました。

<リサーチした企業>
・メルカリ
・Makuake
・ココナラ
・FABRIC TOKYO
・テスラ

リサーチ結果は別途ブログでも紹介したいと思います。

今後は外部の起業家の皆さんを招いて、リサーチ結果と仮説をぶつけて議論する会などもできればと考えています。大先輩起業家の皆様、土屋から相談が来た際はぜひご検討ください!

バイアスを壊すアントレプレナーシップを象徴したグラフィック

新しい取り組みをする上では、まず社員のハートを揺さぶることが重要です。そこで、僕たちの意志が伝わるグラフィックを社内のデザイナー峰村に相談して一緒に作ってもらいました。

モチーフはグラフィティアート。もともとは違法行為だったものが、その活動と美しさ、影響力でアートへと昇華したアウトプットだったというところにヒントを得ました。常識を疑い活動をし続け、批判もらいながらカルチャーとして認められたストーリーは、起業や新しい事業を起こすことにも似ています。新しいものを恐れずに戦うという文脈でも親和性があることから、このグラフィックが誕生しました。

ストリートカルチャーに敬意を表し、アントレパッチのオリジナルグッズはNEW ERAとTシャツです。社内でも大人気でした!

大人気につき、現在は在庫切れ!

事業インパクトを与えるデザインを追求したい方を募集中です

Goodpatchではユーザーと事業、企業価値を網羅的に考えながらデザインに取り組みたい方を募集しています。
アントレパッチは今後も二期、三期と続いていくので、受講したい方はご応募お待ちしています!

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