今回のインタビューは入社3年目のシニアUIデザイナー坂本秀樹。実は彼は、Goodpatchの選考に二度挑んだ経験を持っています。組織崩壊前と再構築後のGoodpatchへの正直な思い、入社後に遭遇したGoodpatchならではのカルチャーショック。「良いデザインを作ることがゴールだと思っていた」入社当初からの変化と拡張の3年間を聞きました。

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堅実さと自由さ。両方の経験がデザイナーとしてのバランス感覚を養ってくれた

Goodpatchには2019年2月に入社しました。これまで2社を経験したので、3社目になります。

学生時代は、グラフィックデザインやエディトリアルデザインを学んでいました。美大ではなく、総合大学の中に設置されたデザインコース、それも幅広いデザイン領域について学べる環境だったこともあり、デザイナーとして幅広く俯瞰してバランスを取りながら物事に取り組んでいく姿勢を養ってきました。

新卒ではWeb制作の会社にWebデザイナーとして入社しました。その会社はWeb制作と並行して、自社事業としてBtoBのSaaS事業の開発・運用もしていました。入社半年の頃、社長の「やらせてみよう」の一声で突如、自社事業のUIリニューアルを任されたんです。そこからUIデザインを勉強し始めたのですが、プロジェクトを進めるうちに、見た目だけではなく、ユーザーの使い勝手も考えるUIデザイナーの仕事がどんどん楽しくなっていきました。そうしている間に「もっとチャレンジしたい」という思いが高まり、環境を変えることにしました。

2社目は自由活発さで有名な会社で。自分で必要な情報を取りにいく、成長実感は個々人の努力で得ていくという風土だったため、次第に「もっとチームで働きたい」「属人的ではなくナレッジをみんなで貯めていくような働き方がしたい」と考えるようになりました。

きっちりした会社と自由な会社のいわば両極端を経験して、よりバランスの取れた会社、デザイナー一人ひとりの成長に向き合ってくれる会社で働きたいと思ったんです。そこから2度目の転職活動をはじめました。

組織崩壊時と再構築後。2度の選考を通じてGoodpatchに感じた確かな変化 

Goodpatchには縁がなかったなと思いながらも、デザインについて何か調べる時に必ずヒットするのがGoodpatch Blogだったり、代表土屋のブログがおもしろくて読みあさったりと、ずっと意識はしていましたね

後から聞いた話ですが、小山はスカウトを送った時点で、僕自身の経歴やポートフォリオをみて「あの時の坂本さんだ」と気づいてくれていたらしいです。ただ、一度選考で落ちていることと、1度目の選考で訪れたオフィスでは社員が黙々と業務に向かっている様子だったので、今回もし入社できたとしてもうまくやっていけるかなと不安な気持ちがあったことも事実です。

不安半分で迎えた2度目の選考では、「実は当時は組織崩壊してました」と正直に話してもらいました。「カルチャーを再生するために会社全体で改善に取り組んできました」と包み隠さずに伝えてもらえたことで、ネガティブな印象は払拭されましたね。最終面接で、土屋から「組織崩壊中にも選考を受けてたらしいね。その時に入社しなくてよかったね」と言われたのを今でも覚えています(笑)

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カルチャー崩壊と再構築。 Goodpatchが取り組んだ組織デザインの2年間 – 前編
カルチャー崩壊と再構築。 Goodpatchが取り組んだ組織デザインの2年間 – 後編

別々の時期に2度選考を受けているのは珍しいと思いますが、候補者の視点から見ても、組織崩壊前後でGoodpatchは大きく変わりました。2度目の選考では、話す社員がみんな候補者の自分に向き合ってくれていることが伝わり、自分がGoodpatchで働いているイメージがすぐにできたんです。これは大きな決め手になりました。

入社後も、自分の経歴に沿ったプロジェクトに配属してもらえましたし、一緒に働くデザイナーやマネージャーがあたたかく丁寧に迎え入れてくれたので、戸惑うことなく仕事に取り組むことができました。仕事へのストイックさと同時に、人のあたたかさのどちらもがある会社なんだなと実感しましたね。

ただ「良いデザイン」を作るだけでは足りない。クライアントへの深い理解こそがGoodpatchのデザインを生む

入社して初めて担当したプロジェクトはミクシィの新規事業である6gramでした。このプロジェクトは客先常駐型で、毎日ミクシィのPOやエンジニアさんたちと机を並べて仕事をしていました。

実は、常駐にはもともとポジティブなイメージがあまりありませんでした。でもいざ始めてみると、Goodpatchから一緒に配属されていた野崎(駿)が、社内に置いてあるスープやジュースを遠慮せず飲んでいて(笑)。自然体で仕事に取り組めばいいんだと分かって、いい意味でイメージが変わりました。現在、僕のマネジメントをしている野崎は、このプロジェクトを最後にプレイヤーからマネージャーに転身したのですが、Goodpatchの特徴的なクライアントとの向き合い方を彼からインプットできたことはとても大きな収穫でした。 

また、クライアントが僕たちを「パートナー」として信頼してくれていることをすごく感じられたので、外部パートナーだからといって遠慮せず、クライアントと一体化してプロジェクトを進めていくスタイルにすぐに馴染むことができました。

プロジェクトの中で一番カルチャーショックだったことは、一緒に配属されていた野崎と角野から言われた「ある程度デザインパターンを作ったら、クライアントとディスカッションだね」という一言でした。前職までのクライアントとの接し方は、あらかじめ自分の中でデザイン案と推し案を固めて提案するというやり方だったので、ガチガチに固まっていない状態からクライアントと一緒に考えて形にしていくプロセスがとても新鮮でした。一般的な受託制作とも違う「デザインパートナー」らしいやり方だと思います。

デザインパターンの発散と収束を繰り返した6gramのUIデザイン

6gramを通して学んだのは、Goodpatchのデザイナーはかなり深いレベルでクライアントと一体化するということです。週に一度ミーティングをして、そこで出た「宿題」をこなすのではなく、クライアントの懐にしっかりと入り込むために同じ時間を過ごし、とにかくコミットメントするのがGoodpatchのスタイル。前職までもクライアントワークをやっていましたが、複数のプロジェクトを掛け持ちし、それぞれのクライアントと向き合える時間が限定的だったのに対して、一人一プロジェクトに集中してコミットできる恩恵を身に沁みて感じました。

また、クライアントが実現したい体験に対して、UIデザイナーという立場でどこまで何ができるのかを考え尽くす姿勢は大きく変わりました。UIデザインにはある程度共通する原理原則がありますが、それを超えたクライアントに対する理解度がアウトプットの差分として出てくると感じたので、インプットの量や質を深掘ることを徹底していました。

成果物だけでなく地道に積み上げてきたデザインプロセスも評価された瞬間

Goodptachはクライアントと並走してデザインを進めていきますが、「どんどん一緒にやろう」と前のめりな会社もあれば、少し引いたスタンスで距離感を保って仕事をしたいという会社もあります。どちらが良いということではありませんが、僕はGoodpatchに入ってからのいくつかのプロジェクトを経て、クライアントと組み合ってひとつのチームになれたとき、圧倒的な成果につなげられることを学びました

「仕事」として考えると、ある程度線引きをして距離を保った方が賢くこなせると思います。でも、そこを妥協してしまったらGoodpatchに転職した意味がなくなってしまう。ですので、必ず成果につながると信じられるからこそ、積極的にクライアントを巻き込んでいくぞという気概でプロジェクトに臨んでいます。

もちろん、信頼がゼロのところからクライアントを巻き込むことは容易なことではありません。ですが発注元と発注先の関係ではなく、クライアントも含めて「チーム」と考える価値はとても大きいです。

クライアントも一体となった「チーム」であることを強く実感したエピソードがあります。ある企業の新規事業立ち上げの支援で、価値の探索フェーズからずっと関わってきたのですが、ある事情からプロジェクトが中断されてしまったんです。その時に、「もしこの先プロジェクトが再開したら、絶対にGoodpatchさんと走り切りたい。僕の中ではもうスタッフクレジットに入れているくらいの気持ちでいる。他の会社に頼むことは考えられない」と言ってもらえて。 

僕たちはサービスやプロダクトが世に出る時には黒子の存在ですし、成果物ありきの仕事とばかり考えていましたが、一緒にやってきたプロセス自体にも価値を感じてもらえていたんだなと思えた瞬間でした。 

前職まではアウトプットを生み出すことのみ評価される世界で生きてきたのに対して、Goodpatchではクライアントやチームとのコミュニケーションもひっくるめてデザイナーの仕事なんだなと感じましたし、積み重ねてきたコミュニケーションで信頼されたことは純粋に嬉しかったです。  

「デザインの力を証明する」一貫した思いを持ちながら、変化することを恐れない姿勢

「上場を経て何か変わりましたか?」という問いに対しては、僕は根本的な部分は何も変わっていないと感じます。「デザインの力を証明する」という一貫したミッションに事業や社員の思想が紐づいているので、ブレがないんです。

Goodpatchのデザイナーは、僕が考える「デザイナーそのもの」を体現している人がとても多い。大きな夢を語るし、デザインの力を本気で信じているし、みんなデザインのことが本気で好きな人たちばかりです。一方で、予算達成のためにあらゆる手を尽くす泥臭さもあって、夢を語りつつも現実もしっかり見る二面性が楽しい会社だなと思います。

もう一つGoodpatch独自の価値だと感じていることに、職能・職域を越境するマインドがあります。僕はUIデザインを職能として持っていますが、UXデザイナーと一緒にユーザーテストを行なうこともありますし、その時は当然のようにユーザー体験についての意見を求められます。しかもそれが本質的であれば、職能に関係なくアイデアが採用されていくんです。そうした経験を何度もしたことで、どんどん領域を越えていっていいんだというマインドに変化していきました。

坂本は、NewsPicks主催のプロジェクト型スクール「NewSchool」にて講師も担当している

また、社員みんなが貪欲に学ぶ姿勢もならではだと思います。入社から半年ほどで職能別の組織体制に変わり、構造設計に強いチームに配属になったのですが、そこでは毎日UIデザインについてかなり深い会話が交わされています。

今までは知り得なかった深い内容ですし、チームメンバー各人が実践を通じて得た知見をチームに還元して更に刺激しあっています。UIデザイナーとしてこんな密度の高い時間を過ごせる環境は他にはないのではないかと思えるレベルです。領域を超えることが推奨される空気も、日々の学びの深さもGoodpatchだからこそできる経験だと思いますね。

このような地盤がしっかりある中で、夢を持ちながら、それを実現するために自ら動く社員が増えたことで、デザインが貢献できる領域が拡張され続けていると感じます。デザインストラテジーやブランドエクスペリエンスといった職能がGoodpatchに生まれたのも、その最たる例と言えると思います。

これからやりたいのは、GoodpatchのUIデザインの拡張と越境です。正直なところ、入社したばかりの時期はデザイナーとして最高のアウトプットが作ることがゴールだと思っていました。ですが、今は貢献したい領域がどんどん広がっているんです。貢献できる領域が増えれば増えるほど、自分自身の成長にもつながる。デザイナーとしての成長と、組織への貢献はどちらか一つではなく、どちらも達成できると信じています。


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