デザインプロセスワークショップとは?

昨今、デザイン思考であったり、ユーザー体験を中心としたユーザインタフェースづくり(UI/UX)が広がりをみせています。しかしながら言葉でデザイン思考やUI/UXの考え方を理解していても、実践することは難しいと考えている読者の方は多いのではないでしょうか。

そこでグッドパッチでは、さまざまな企業様とデザイン思考やUI/UXの考え方に基づいたワークショップを実施しています。
ソリューションとしてのデザイン提供に取り組むグッドパッチの開発現場で培われたプロセスを体験するワークショップを通じて、UI/UXに欠かせないユーザーを中心とした課題抽出、アイデア創出、検証などから実践するための気づきや手法をご提供しています。
ご要望に合わせワークショップ内容のカスタマイズもできますので、ご要望があればお問い合わせよりご相談ください。
お問い合わせ後、ワークショップ実施の金額やその他事例などもお伝えさせていただきます。

本ブログでご紹介するデザインプロセスワークショップは、ユーザーを中心としたサービスデザインを、ワークショップを通じて体験していただける集合研修になっています。

こんな企業・職種におすすめです

普段私たちがワークショップを実施している企業は、自社サービス・プロダクト、クライアントワークを提供している企業など様々ですが、動機としては「ユーザー視点に立ったサービスデザインを学びたい」、「UI/UXについてより理解を深めたい」などの理由での受講が多いです。(※アンケート結果より)

職種としてはデザイナーだけではなく、ビジネスサイド(事業開発、営業企画、商品企画など)の方も、部署やチーム単位で受けてくださることが増えてきました。

目的に合わせ個別のカスタマイズもできますので、詳しくは下記よりご相談ください。

今回はテイクアンドギヴ・ニーズ様にご協力いただき、実際に実施したワークショップの事例を公開させていただきます!

株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ(https://www.tgn.co.jp/
全国に100会場以上のゲストハウスを展開し、年間約18000組を手掛ける国内婚礼最大手企業。
従来当たり前のように行われてきた「同じ会場で次々に結婚式が行われる」、「別々の新郎新婦がはち合わせる」などということのない、一軒家を完全に貸し切る「ハウスウェディング」のパイオニア企業でもあります。お客様の想いをくみとり、世界でたったひとつのオリジナルウェディングをデザインするため、ウェディングプランナーを単に結婚式を段取る担当者ではなく、披露宴の進行から装飾のテーマ、料理やサービスの細かな部分までプロデュースする総合舞台監督とし、分業制ではなく「一顧客一担当制」とするなど業界に新たなスタイルをつくりあげています。

ワークショップ実施まで

いきなりワークショップをやるのではなく、実施に向けて準備からしっかりサポートします。具体的には、企業様が取り組みたい理由やワークショップのテーマなどをヒアリングから決定していきます。

0.初回打ち合わせで実施の目的を決定

テイクアンドギヴニーズ担当部長さまとのお打ち合わせ風景

初回打ち合わせでは、グッドパッチが提供しているワークショップの概要をご紹介し、ワークショップのテーマを決めます。
テーマ決めでは、参加企業様がワークショップを実施される目的や課題に思っていること、目的達成に近づけそうなテーマ設定などをヒアリングさせていただきます。

今回、テイクアンドギヴ・ニーズさんの実施目的はこのようなものでした。

  • Web上でもリアルでも、ユーザー視点を意識できるようになってほしい
  • ワークショップ参加社員を中心に、部署横断で共通言語を作り、伝達者になってほしい

この目的を受けて、ワークショップのテーマは「ユーザーがドレスを買う体験をデザインする」というものに決定しました!これは、ユーザー役へのインタビューから得た「結婚準備時にドレス選びが大変だった」という課題を元に決められました。

ユーザー(ヒアリング対象者)へのインタビュー風景

ワークショップの詳細

今回テイクアンドギヴ・ニーズ様と実施したデザインプロセスワークショップの内容はこちら。

デザインについて座学でインプットしたあとは、チームづくり、ユーザー理解、アイデア出しなどグッドパッチがサービス開発を進める際と同じプロセスを体験していただきます。様々なワークを通して、ユーザー中心のマインドセットを学ぶために、ワークの途中でユーザー(ユーザーヒアリング対象者)へのヒアリングやフィードバックを繰り返し行うことが特徴です。

ビジネス視点のワークもあり、ユーザーとビジネスのバランスを考えたアウトプットを目指します(※扱うテーマや当日の状況により変更する場合がございます)。

ワーク時間やワーク内容は、ご要望に合わせカスタマイズしご提案します。ご要望があればお問い合わせよりご相談ください。
お問い合わせ後、ワークショップ実施の金額やその他事例などもお伝えさせていただきます。

ワークショップ当日

当日は3〜5人でチームを組んでワークするため、各テーブル毎に座っていただきます。今回は「普段関わらない人とも接点をもたせたい」という意図で、知らないメンバー同士を集めたチーム編成となりました。参加者全員が各チームに別れたタイミングで、まず担当部長から実施にいたる背景や目的をお話いただき、グッドパッチへバトンを渡していただきます。

ワークショップの目的とテーマの共有

当日のスライドより抜粋

当日のスライドより抜粋

ワークショップの目的とテーマの説明後は、座学のパートがあります。一見すると「関係あるの?」と思われがちなデザインがビジネスに関与する背景や、UI/UXとは何かをお伝えするパートです。

1.ビジネスとデザイン

プロダクト開発の過去と現在や、デザイン思考、ユーザー視点、海外事例などを座学形式で学びます。

当日のスライドより抜粋

2.チームビルディング

座学パートが終わるといよいよ参加者同士のワークが始まります。グッドパッチがデザインパートナーを務めるプロジェクトでは、コミュニケーション量が多いプロジェクトは成功しやすいという傾向があります。そのため、ワークショップに参加する皆さんもまずはチームづくりから取り組みます。
普段交流がないメンバー同士、同じテーブルのメンバーがどんな思いや背景がありワークショップに参加しているのかを知り、今後のワークショップで全員が力を発揮できるようにアイスブレイクとチームビルディングを実施します。

デザインプロセスで用いる手法は、手段に過ぎません。手段が目的化してしまうこともしばしばあるデザインプロセスですが、目的や参加者、状況に合わせてチューニングする必要があります。このあたりは医者にかかる時に処方される薬などをイメージしていただくとわかりやすいかもしれませんね!

今回、グッドパッチがチームビルディングさんの参加者の状況や、目的に合わせて選定したチームビルディング手法は「WIND & ANCHOR」という手法でした。

ピンク色の付箋には自分がポジティブになれる環境や行動、ブルーの付箋には自分がネガティブになる環境や行動を書き出して、貼りながら書き出したふせんの内容をチームメンバーで発表しあいます。それぞれがどんな環境や行動を好むのかを把握することで、コミュニケーションのとり方の参考とします。

ワークショップ当日に挙げられていた内容

チームがあたたまってきたところで、いよいよユーザーを理解するためのワークに取り組みます!

3.ペルソナ確認・ユーザーヒアリング

ユーザーへのインタビュー内容から作成したユーザーシートを読み込んだあと、ユーザーヒアリングに移ります。ユーザーがどんな課題感を持っているのかを深掘りします。

ユーザーシートにはメモがたくさん!

BEHAVIOR(行動)に関する質問でユーザーの傾向を探るチームや、PAIN(課題)を中心にヒアリングするチームもありました。

4.カスタマージャーニーマップ(顧客体験マップ)

次にヒアリング結果からユーザーの行動や思考、欲求、困りごとなどを時系列で可視化する「顧客体験マップ」に着手します。
顧客の行動・思考・欲求を可視化する方法に取り組むことで、ユーザーがどのようにサービスを使うのかを検討します。

カスタマージャーニーマップの作成例

5.アイデア創出・コンセプト作成

ここまでの情報から、ニーズや提供価値、課題解決のアイデア出しと具体化(方向性決め)を行います。ユーザーの困りごとや目的達成につながるためのアイデアを発散と収束を繰り返しながら検討し、ユーザーへ提供したい価値を伝えるために言語化します。

当日のスライドより抜粋

ここでつくられるコンセプトはキャッチフレーズではなく、誰にでもわかる現実的な言葉にすることがポイントです。

コンセプトシートの記入例。「誰に何をどのように」をしっかり決めていきます

このように、ユーザーのニーズに対して出したアイデアがどんな価値を提供できるのかを言語化します。

6.リーンキャンバス

コンセプト作成後は、アイデアに対してビジネス視点からも検討できるようユーザーとビジネスのバランスを考えるリーンキャンバスに取り組みます。

リーンキャンバスは、アイデアを一目でわかる状態に構造化して検証するためのフレームワークです。ユーザー視点で「価値」を定義、「価値」の構造を可視化、ビジネスとしての実現性の検証を行います。

リーンキャンバスの記入例。アイデアが現実的になってきました!

7.ユーザーストーリー

ユーザーストーリーとは、それぞれのステップにおけるターゲットユーザーの体験をストーリー(絵と文字)に起こし、体験の視覚化を行う手法です。

ビジネスとしての実現性の検証を実施後、自分たちのアイデアが自身に都合が良すぎていないかをユーザーストーリーをビジュアルで作成し、ユーザーにフィードバックをもらい検証します。

ユーザーストーリーの一例。速く視覚化し、フィードバックをもらうことがポイントです

8.情報設計

次に体験の視覚化に伴い、サービスやアプリを通じて「情報をわかりやすく伝え」「受け手が情報を探しやすくする」ための構造設計に取り組みます。提供したい価値に基づき、必要な画面・機能の情報を発散・整理を行うフェーズです。

構造設計中のワークの一部

9.ワイヤーフレーム&プロトタイプ作成

情報設計で必要な要素を洗い出した後、限られた画面サイズの中で何をどこに配置するのかを設計します。
ユーザーストーリーを基にユーザーが体験するサービス画面の情報設計をハンドスケッチし、その内容をグッドパッチが開発・提供するプロトタイピングツール「Prott」を用いてプロトタイプ(試作)を作成し、ユーザーへ見せながらユーザー体験の実現に取り組みます。

ワイヤーフレームをProttに取り込むことで実際に触れるものを作成し、ユーザー検証のために活用します。動くものを元にコミュニケーションをするので多様なフィードバックを得ることができます。

10.ユーザーテスト

作成したプロトタイプを、ユーザー以外の参加者にも触ってもらうユーザーテストを行います。もらったフィードバックを基に、プロトタイプ(試作)をユーザーへの最終プレゼンに向けて磨き続けます。

11.プレゼン・評価

いよいよユーザーのために練ってきたコンセプトとプロトタイプを発表し、ユーザーに評価してもらいます。最も評価されたコンセプト、プロトタイプを作ったチームが優勝です!

ワークショップ実施後にアンケートを取り、満足度や次回以降でどんな学びを深めたいかなどについて回答を収集します。集計後に報告会を実施させていただき、ワークショップ全体における取り組みや気づいた点について報告させていただきます。

12.アンケート結果及び報告会の実施

最後に、ワークショップに対するアンケートを集計し、全体報告会を実施します。上限10問のうち、2問は企業様の希望内容なども反映しています。報告会には、アンケート回答に対するフィードバックなども含みます。

ワークショップを実施した企業様の声

テイクアンドギヴ・ニーズ 岩田様より

ワークショップの内容を聞いた時に「ユーザーを中心に考えるという誰でもやらなきゃいけないこと」を「職種や職位、部署など関係なく」取り組めるワークショップだと思いました。弊社はサービス業なので、WEBでもリアルでも直接エンドユーザーが顧客になります。そのため常にユーザー視点を意識して欲しいと思っていますし、部署横断で語られる共通言語をつくりたいとも思っていました。
実際にワークショップを受けたところ、普段関わりのないメンバー同士にも関わらず、年次や職位を超えて皆が役割分担と任された役割を果たし、アウトプットがなされていたことに驚きました。意見を出して収束させる体験や、Prottでモノづくりの楽しさを味わえたことなど、参加者の感想は良い反応ばかりでしたし、一日でできる範囲の丁度良いカリキュラムとサイズ感にも関わらず、ユーザー目線のデザインとは何かを突き詰めることが出来る構成となっていて、運営側としても満足度が高い内容でした。

今回は一部のメンバーに受けてもらいましたが、また、本社メンバーや企画職、サービス開発など様々な人たちに受けてもらい、受講後に自分の持ち場に帰ってからも共通言語の伝達者になってもらいたいと考えています。


グッドパッチの開発現場で培われたデザインプロセスを詰め込んだ1日ワークショップの内容を全部公開させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
デザインプロセスワークショップの他にも、UI/UXデザインについて解説する座学中心のセミナーなども実施しております。

ご要望に合わせてカスタマイズは可能です。下記よりぜひお気軽にご相談ください!お問い合わせ後、ワークショップ実施の金額やその他事例などもお伝えさせていただきます。