サービスのUIを設計するとき、「なんとなくこんな機能があった方がいいな」とぼんやり考えたことはありませんか?

今回お話しする「ランキング機能」も、なんとなくあったらいいなと思う機能の一つである場合があります。このようなサービスの付加価値を上昇する機能は、「本来の効果」を意識しなければ全機能の中での優先度が曖昧になり、どこに配置すれば本来の効果が発揮できるのかわからなくなってしまうのです。

本記事では、ランキング機能の本来の効果を、既存アプリ・サービスを参考に考えてみました。今後商品を販売するサービスの設計をする人の参考になれば嬉しいです。

この記事のランキング機能は、ゲームのランキング機能を除いた商品を売り買いするサービス(AmazonやZOZOTOWNなど)におけるランキング機能の話をします。

ランキング機能の有無

早速、日常生活でよく見るランキングを含め、ランキング機能とは何のために存在をしているのかを考えてみましょう。日常生活でよく目にする書店の本や音楽のヒットチャートのように、たくさんの商品を扱うサービスほどランキングは存在していて、購入の販売促進をしてくれるイメージがあります。

しかし、たくさんの商品を扱うサービスでもランキング機能があるものとないものがあります。既存アプリを参考に、ランキング機能があるサービスとそうでないサービスを下の図のように分けて見ました(2018年11月現在)。

ランキング機能があるサービスは、本や漫画・ショッピング系など購入物が実在するサービスに多い傾向があります。また占いなど、不確実性を伴う買い物にも利用されています。

逆にフリマアプリなど商品の在庫が少ないサービスや、デリバリーサービスのようにサービスを使用できる範囲が特定的(デリバリーサービスは宅配先を最初に特定する必要があります)で、商品自体も特定的なものはランキング機能を備えていないことが多いでしょう。

他にも商品の在庫が少ない時や、商品が何かの情報に依存している場合は、依存した結果商品数が少ないため一般的にはランキング機能がありません。

既存サービスから考えるランキング機能の役割

上記の並び替えから、ランキング機能の役割を以下の2つにまとめました。

① 未知の買い物をするときの購入の後押しになる

ランキングの大きな効力の1つは、未知な買い物で失敗したくないという不安感を解消することです。ここでいう未知の買い物とは、「未だかつて、ユーザーが購入したことのないアイテムや体験」を指します。例えば、流行かどうかわからないけれど気になっている服・読んだことのない本・絶対に失敗したくない高価な家電などです。

このような、未知の買い物をするときに、人間は「失敗したくない」という不安を覚えます。この「失敗したくない」という不安は高価な買い物や、今後買うことのない買い切り商品の場合に感じることが多いです。

この不安の解消方法は、アイテムの正体を知ることが一番効果的です。実際に、人は購入する際にそのアイテムのことを知ろうと努力します。例えば、口コミを読んだり、実際に店舗に行ったり、長く立ち読みをしたり、SNSで同じ商品を購入してそうな人を見つけたり…。

こうした不安を解消するときに有効な方法の一つが「ランキング機能」なのです。

ランキング方法はサービスによって異なりますが、購入数を多い順に並び替え、ランク(数値)をつけているものが多いでしょう。ランキング上位の商品の方が、多くの人が購入していることを指し、「失敗しなさそう」「流行してそう」というイメージを喚起します。

② 期待していなかった好みの商品に出会うことができる

ランキングを見ることで、自分が想定していなかったアイテムを見つけることができます。その中にもしかしたら自分が好きなアイテムが潜んでいるかもしれません。

例えば、音楽番組の週間ランキングをぼんやり見ていたときに、ふと聴いた音楽が気になったり…。その時は、その人自身新しい音楽に出会うことを期待していなかったかもしれません。

未知なる出会いに期待しているからランキングを見る場合もあれば、そうでない場合もあるので一概には言えませんが、ランキングは未知なるアイテムに出会わせる確率を増やしてくれます。

おまけ:ランキングと人気順の違い

ランキングと似たような機能に人気順(名前はサービスによって異なる)があります。

ランキングと異なる点は、上位から1位2位3位…と位がついていないことです。

ランキングは、ランキング上位のアイテムの効力は大きいのですが、20位(例えば)以下のアイテムが表示されたところであまり関心は向きません。順位が下がれば下がるほど関心度が低くなるのです。対して人気順は、ランキングのようにどれが1位で2位なのか意識して見ることがないので、たくさんコンテンツが載っていても暇と興味さえあればいくらでも下に遡りたくなります。

従って人気順はランキングと同じような効力を持ちつつも、「コンテンツ一つひとつのインパクトは小さいが、コンテンツを大量に表示しても興味を持ってもらえる範囲が広い」という点では優れていると言えます。

まとめと感想

このような感じで、今回はランキングについて調べてみました。

ランキングは「失敗したくない」商品を扱う、且つ様々なアイテムとの出会いを期待しているユーザーが多いサービスに向いていると思います。向いているだけなので、必ずしも失敗したくない商品を扱うサービスにはランキングの機能を使わなくてはいけないという訳ではありません。

ランキング機能はあくまで選択肢であることを忘れずに、デザインしたいですね 。