今回は、2016年9月に入社した角野 敦史のストーリーをご紹介します。

サービスデザインを専門とするGoodpatchのUXデザイナー組織で活躍した角野は、入社5年目の2021年6月よりDesign Opsに異動。ナレッジの汎用化によって、Goodpatchのデザイナーの専門性を強化する新たなミッションに挑戦しています。

サービスデザイナーとして参画していたDELISH KITCHENのプロジェクトでは、クライアントから圧倒的な信頼を寄せられクライアントの社員総会で表彰された逸話の持ち主である角野ですが、入社直後はあまり成果が出せなかったと自身を振り返ります。5年間の成長曲線の変化や、Goodpatchで働き続ける理由を聞きました。

血が通った組織を初めて目の当たりにした

僕は前職までWebディレクターとして働いていて、Prottのβ版ユーザーでした。Goodpatchという会社については「こんなにデザインプロセスがちゃんとあるなんていい会社なんだろうな」という印象を持っていましたね。大学時代からUIやUXデザインを勉強していた身としてはとても理想的な環境でしたが、デザイナーの実務経験がなかったので働くイメージは持っていませんでした。

面接のきっかけはエージェントからの紹介です。「本当に働けるのか?」と思って話を聞きに行きましたが、クライアントワークも自社サービスも両方やっているからこその業界あるあるで盛り上がって、「自分に合っているかもしれない」と感じました。

ファーストキャリアがWebディレクターだったので、ものづくりをがっつりやるよりは、デザイナーやエンジニアがいいものを作るための潤滑油として働きやすい環境を作るPM/UXデザイナーとして選考を受け、入社に至ります。

入社したのは2016年9月です。土屋のブログにも記載があるように、当時は組織崩壊の真っ只中でしたが、僕自身はそれをポジティブに捉えていました。血が通っている組織だからこそぶつかり合いがあると感じたのです。

Goodpatchに入社するまでは、どちらかというと個人事業主的な働き方の組織にいたので、ナレッジの還元もなければ、組織に関する社員同士の意見がぶつかることもありませんでした。そんな環境と比べると、Goodpatchは血が通っているなと思いました。

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角野が入社した2016年9月は組織状態が最悪で、モチベーションサーベイを実施することもできなかった。

いいものを作るための摩擦係数

入社してから半年は、プロジェクトでも組織に対しても力不足を感じる時期が続きました。

ゼロから自分でサービスを作ることも初めて経験したので、こんなにも大変なんだなと。これまではスピードを優先して質を落とすやり方が得意だったんですが、Goodpatchに入ってからは今まで通りのやり方が通用しないことを実感しました。

なかなか成果を出せずにいた時、あるプロジェクトでデザインスプリントを提案して実践する機会がありました。そこで初めてゼロからサービスを作ることを経験して「いいものはこうやって作るんだ」と網羅的に学ぶことができました。

加えて、Webディレクター時代はクライアントとデザイナーの摩擦をどれだけなくせるかを考えてきましたが、本当にいいものを作ろうと思ったら摩擦は避けて通れないことを徐々に理解していきました。それからはチームやクライアントといかに摩擦係数を作れるかが自分の中の基準になり、「ここは丸く収めるよりもぶつかり合って議論した方がいいな」などと考えるように変わりました。

対等に議論する上でも、クライアント含むチームの中でサービスへの想いは誰にも負けないと言えるくらいの熱量を持てるようになりました。もともと一つのことにのめり込む性分だったので、意識的に変えたというよりは、自然とそうなっていきましたね。

自身の成長の鈍化を感じた時に変えたこと

Goodpatchに入社して数年たった30歳を迎えた頃に、自分自身の成長の鈍化を感じることが増えました。20代のころは成長し続けるためには環境を変えて新しいことを経験していくことが良いと思っていたので、やったことがないことに挑戦していたのですが、経験を積んでいくとできないことに出会う機会は減っていきます。

僕自身が成長曲線の角度を上げるためにやったことは、「環境」×「意識」×「行動」の3つに収束できます。転職という形で環境を変えると、短期的には成長を得ることができますが、またどこかで成長の鈍化は来ます。だからこそ、環境よりも先に自分自身の意識を変えるしかないのかなと考えています。

人はできなかったことができるようになった時に成長を実感します。でもそれは必ずしも自分自身である必要はなく、例えば若手育成でも実現できることです。自分の経験を形式化して若手に伝えていくことで若手の成長につながり、自分も仕事の再現性を上げることができます。そうやって自分の意識を自分の成長ではなく周りの人や組織、事業、会社、社会、国、地球、宇宙と広げていくと今の環境でやれることは無限にあると気づいたんです。

デザイナーのナレッジ共有にコミットする理由

個人の経験や学びを形式化して再現性あるものにすることで、Goodpatch自体を成長させられると気付き、クライアントワークを行う部署で「ナレッジパッチ」というナレッジシェアの取り組みの運用に関わり始めました。

評価とナレッジの共有がごちゃ混ぜになっていた状態を整理し、2020年9月からは評価はせず純粋にナレッジ共有を行う場として毎月開催し続けています。

ナレッジパッチの流れ

プロジェクトを通し、実行してきた事実をベースとし学びを出力(学びのメタ認知)

出力した学びを他者と共有し、学びをみんなで見つめ直しディスカッションする

発表されたナレッジをベースとし、他プロジェクトのナレッジと結合し学びをアップデートする

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デザイナー組織で「Unlearn」する取り組み

今、「やりたい」と思ってGoodpatchでやれないことなんてないと思います。

その代わり着実に歩みを進められたり、組織に対しての危機感を持った上で非難せずアクションできることが求められます。僕もやるべきだと思ったことは自分でやるので、良い意味で組織に対し期待をしなくなりました。期待すると他責になってしまうから、おもしろくないんです。

これからやりたいことが何かというと、不確実性が高いこの時代に、デザインの力を信じる人たちが「デザインってやっぱりいいな」と思えることをやりたいです。そのために、いいプロダクトを作る方法の確立であったり、いいプロダクトが世の中にたくさんある状態を目指したい。どんな手段でやっていくかはまだまだ見えていませんが、だからこそおもしろい。

Goodpatchらしさとは諦めないこと

僕は「Goodpatchらしさ」の一つは泥臭く諦めないことだと思っています。代表の土屋は組織状態が良くなかった2016年頃からデザイン会社として上場することを目指していて、絶対に諦めなかった。よくいえば粘り強く、悪くいえばしつこい(笑)。でもそのしつこさが運を引き寄せて、ここまで来ることができたんじゃないかと思います。

これからGoodpatchは組織としてのOSをアップデートしていく必要がありますが、土屋が持つ諦めないマインドが組織OSに含まれるのは必然ですし、全員に備わっている状態になれたらなと思っています。

We’re hiring! 一緒にデザインの力を証明したい方へ

角野が所属していたUXデザイナー組織には、約30名ものUXデザイナーがおり、サービスデザインなど様々な専門性を持ち日々ナレッジ共有が行われています。ご興味がある方はぜひご連絡ください。

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また、現在彼がコミットするDesign  Opsはクライアントワークを行う部署におけるデザイナー採用、育成、評価などを担う専門チームです。デザイナー、エンジニア採用施策の企画・実行や選考業務をお任せする採用担当の求人もオープンしました!採用業務の経験があれば、人事としての経験は必須ではありません。新しい挑戦がしたい方はぜひご覧ください。

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