こんにちは。グッドパッチのUIデザインチームです。

「UIデザイナー」というと、画面を作る人というイメージを持っている方は少なくないと思います。しかし、グッドパッチのUIデザイナーは、いわゆるデジタルプロダクトのUIデザインだけでなく、LPやチラシ、のぼり、ポスターといったプロダクト「以外」の、そしてときにはアナログ領域のデザインをするケースも少なくありません。

今回の記事では、その一例としてコープデリ生活協同組合連合会が2025年3月にリリースした「ほぺたんアプリ」リリースに向けた支援をご紹介します。

UIデザインと一貫性を持ったPR素材づくりの裏側、そして、サービスの価値やメッセージをユーザーにさまざまな形で届ける「サービスブランディング」という視点から、制作にあたって大切にしたことをまとめました。

「ほぺたんアプリ」のブランディング支援をグッドパッチが手掛けた理由

グッドパッチでは、2022年以降コープデリ生活協同組合連合会への支援を続けており、2024年2月にリニューアルした「コープデリ宅配アプリ」がリリースされました。

今回ご紹介する「ほぺたんアプリ」は、宅配以外も含むコープデリのさまざまなサービスを利用できるアプリで、ほぺたんカードの連携、お気に入り店舗のチラシ閲覧、組合員情報の確認など、多機能でありながら、誰でも直感的に使えるシンプルな設計が特徴です。そのほか、地域のイベント情報など、組合員の暮らしに欠かせない情報や機能がぎゅっと詰まった、“生活のハブ”のような存在を目指しています。

コープデリ宅配アプリのリニューアル時にも、チラシやLPなどのデザインを手掛けたのですが、そのアプローチや制作プロセスなどを評価していただき、ほぺたんアプリについても、リリースにまつわる施策や制作物に対するデザインの依頼をいただきました。

私たちは「プロダクトを一番知っているのは、プロダクトを作った人たちだ」と信じています。だからこそ、その理解と熱量を、アウトプットの最後の一手である「伝える」部分にまで生かすことができるのです。これが、サービスの価値やメッセージを正しく伝える「サービスブランディング」の観点でも、UIデザイナーが価値を発揮し、支援をすることが大切だと考えている理由です。

サービスブランディングの支援で、具体的に行ったこと

サービスブランディングという観点で、私たちが具体的に制作したものをご紹介します。アプリに触れるきっかけとなる場所すべてを「体験設計の一部」と捉え、並走して支援しました。

  • LP
  • 店頭ポスターやのぼり
  • 店頭配布用のA5チラシ
  • アプリログイン・登録ガイド
  • アプリ紹介LPの構成・コピー提案
  • SNS画像やストア画像

一つひとつは小さなピースですが、それぞれをただ「見た目を整える」だけではなく、どの機能をどう伝えるべきか、どんな順序で伝えると誤解が生まれにくいかを、全体構成からキャッチコピーといった細かな要素まで共に考えました。

特に意識したのは、ユーザーがアプリに出会う最初の瞬間が「楽しくて、ちょっとワクワクするもの」になっているかどうかという点です。画面の中だけで完結するのではなく、オフラインやSNSも含めた一貫した世界観と伝わる構成でデザインすることが、ブランドの信頼感や使ってみたい気持ちを醸成するのだと感じています。ここからは、PR素材の中でも工夫したポイントをピックアップしてご紹介します。

1.LP:機能を並べるだけでは伝わらない。「届け方」もプロダクト体験

LPは「サービスを知り」「興味を持って」「使ってみたい」と感じてもらうための大切な接点です。今回のアプリ紹介用LPでも、情報を単に並べるのではなく、「どんな人が、どう便利になるのか」が自然と想像できるストーリー設計を意識しました。

例えば、アプリを通じて日々の暮らしに小さな驚きを届けたいという想いを、トンマナやビジュアル、ライティングに反映しました。サービスの魅力が伝わるだけでなく、購買意欲や行動につながる広告効果も意識しています。

画面もただ並べるのではなく、斜め配置や部分表示、背景の切り替えなどで視覚的なリズムを演出。キャラクターがのぞく「TOPに戻る」ボタンなど、グッドパッチらしく細部にも遊び心を込め、最後まで楽しく読み進められる設計に仕上げました。

2.のぼり:一瞬で「おトク」が目に飛び込むように

今回のプロジェクトでは、実店舗やイベント会場などに設置されるのぼりも作りました。のぼりは、道を歩いている人の目にふと入る「接触1秒」のメディアと言えます。そのため、一瞬で視認・理解されることを最優先にデザインを組み立てました。例えば、

  • 遠くからでも読み取れるシンプルで大きな文字サイズ
  • 「お得」「クーポン」「今すぐ」などの、行動につながるワードの強調
  • アプリ画面やマスコットキャラ「ほぺたん」を使った親しみやすいビジュアル

機能の紹介よりも、「使ってみようかな」と思ってもらう気持ちのスイッチを押す役割を意識しました。

3.チラシ:A5サイズで、気軽に持ち帰りたくなるデザインに

 

店頭やイベント配布を想定したA5チラシは、のぼりと同様に視認・理解されることが重要ですが、加えて「手に取る」「持ち帰る」といった点が目的になります。そのため、手に取る心理的ハードルを下げるためにサイズとトーンのやさしさを重視しました。

  • 500ポイントキャンペーンの訴求を大胆に配置しつつも、情報過多にならないように整理
  • アプリを使い始めるステップも図版付きでやさしく解説
  • 生活に寄り添うアプリであることが伝わる、やさしい色合いと余白設計

こうしたポイントを意識し、ユーザー視点に立って「このチラシ、冷蔵庫に貼っておこうかな」と思えるような日常に自然となじむデザインを目指しました。

リリース後の反響

ほぺたんアプリは2025年3月にリリースしたばかりですが、グッドパッチとしてどこまで支援するかを明確に定めず、「伝えるところまでがサービスデザイン」としてやり切ったことで、すでに目に見える成果が出てきています。

リニューアルしたアプリはリリースからわずか1週間で2万人以上がインストールしており、2025年8月末時点で15万ダウンロードを記録。旧アプリが3年半で達成した19万インストールを超える見込みが立っていると伺っています。

こうした数字がすべてではありませんが、届け方をデザインしたことが、ユーザーの反応やビジネス上の成果につながったことは、素直にうれしいと感じています。また、意図した設計が、ユーザーにしっかり伝わったという実感もありました。

UIデザイナーが「ユーザー体験の全てをカバーする」ということ

私たちはデザインは画面を整える仕事ではなく、体験をつくることが価値の本質だと考えています。

今回のように、アプリのUIを設計するだけでなく、リリースに向けたPR素材やコピー、のぼりやチラシまで一貫して関わることで、“どんなふうに出会ってもらい、どう感じてもらうか”というサービスやプロダクトの体験全体をデザインすることの意味を、改めて実感できました。さらに「グッドパッチのUIデザイナーがデザインする範囲は、もっと広くていいんだ」と再確認できました。

例えば、A5チラシを手に取った人が「なんか良さそう」と感じてくれたり、のぼりを見て「あ、アプリあるんだ」と気づいてくれたり。そのすべてが、ユーザーにとっての「UIの入り口」になっていると言っても過言ではありません。

UIデザイナーこそ、サービスの価値やメッセージを伝える主役になり得る──そのためにも「サービスブランディング」の視点を持つべきだと思っています。それは画面の中だけではなく、体験の輪郭そのものをデザインする視野を持つということもあります。その視野は、デザイナーとしてのキャリアを歩む上で大きな武器になるはずです。

「このアプリ、なんかいいな」
「便利そう。ちょっと使ってみようかな」

そんなふうに思ってもらえるきっかけをつくるのも、デザイナーの仕事。もし、グッドパッチでUIだけでなくサービス全体の体験をデザインしたいと思ってもらえたなら、一緒に働いてみませんか?

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